著者
藤原 真理
出版者
東北大学
雑誌
東北大学文学部日本語学科論集 (ISSN:09174036)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.71-82, 1993-09-30

本研究は、「そう」という形式を含む相づち表現「そう」「そうだ・そうです」「そうですか」「そうですね」を中心に、その用法を分析することによって、相づちによって表現される話し手の立場・態度の様相の一端を示したものである。「そう」系の相づち表現は、その用法上、話題・情報に対して話し手が積極的に「同意」を表明する場合と、情報の「受容」の表明にとどまる場合との、二つに大別される。それらは共起する感動詞によって、「感心」「思案・納得」「気づき・驚き」「肯定」など、さまざまな副次的な表現意図と合せて表出される場合がある。そのうち「思案・納得」「気づき・驚き」は、「受容」「同意」のどちらとも共存可能であるが、「感心」は「受容」とのみ、「肯定」は「同意」とのみ共存する。こうした分析から、相づち表現の意味構造が幾つかの層の表現意図からなる、重層的なものであることが予想される。
著者
谷口 幸代
出版者
名古屋市立大学
雑誌
人間文化研究 (ISSN:13480308)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.155-168, 2008-06

多和田葉子の戯曲『Pulverschrift Berlin』は、森鴎外の『大発見』を下敷きにしながら、観客を様々な固定観念から解き放ち新しい発見へと導く。本稿はその発見の過程を、言語遊戯と新たな鴎外像の創出という二つの観点から検証する。まず、音の連想、意味の連関などから日本語とドイツ語の間を往還し国家の支配から自由になった言葉が、様々な固定観念を融解することを明らかにした。その中で鴎外の留学目的の衛生学を意味するドイツ語も解体されて日本語へ変身し、多言語の「エクソフオニー」の響きを奏でる。次に鴎外像の創出では、多和田はクライストの翻訳史に関する考察の中で、日本の近代化を推進する意志と近代化に対する批判とを併せ持つ鴎外像を構築しており、この戯曲の鴎外もそれを受けたものと考えられる。続いて作中に挿入された詩の分析へ進み、鴎外がその名のイニシャルを通して、詩の題名でもあるアルファベットの「O」に変身させられるととらえた。それは様々な固定観念から解放されるトンネルの出入り口だと考えることができる。以上から、この戯曲はルイーゼ像が建つ場所をこうした出入り口を発見する可能性に満ちた場所とする。それによって、かつてクライストが詩を捧げたプロイセン王妃ルイーゼに極めて現代的な作品として捧げ直されるべき作品として創作されたと結論した。
著者
森 幸男 相川 直幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DSP, ディジタル信号処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.95, no.227, pp.15-20, 1995-09-12

本研究では、主成分分析技法を用いて日本語単母音の特徴を抽出し、不特定話者の母音の認識を試みた。本方法は、音声の短時間スペクトル包絡を用いて主成分分析を行い、各主成分ごとの主成分得点の分布を得る。この分布の幾つかは、母音ごとに集中する傾向がある。そのような主成分で任意の音声の主成分得点を求め、あらかじめ求められた分布と比較し、候補母音を決定する。本研究では、40話者の5母音を用いて分析し、任意の14話者の5母音を認識させたところ、91.4%という比較的高い認識率が得られた。
著者
野田 信雄 池上 康之
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.69, no.680, pp.901-908, 2003-04-25
被引用文献数
4

The purpose of this paper is to explain the optimum extraction condition of Uehara cycle under Ocean Thermal Energy Conversion (OTEC). We studied about the optimum condition of extraction which makes cycle efficiency highest, because cycle efficiency depends on condition of extraction. And we studied about influence of the performance of the regenerator to the cycle efficiency.
著者
清水 宏一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.18, pp.109-114, 2003-02-27

京都市が「京都デジタルアーカイブ構想」を策定したのは、1997 年4 月のことである。その後1998 年8 月に京都デジタルアーカイブ推進機構を立ち上げ、さらに2000年8 月には京都デジタルアーカイブ研究センターを設立して今に至っている。京都が何をめざし、何をどのようにアーカイブし、また今後にどういかしていくのか。また、京都デジタルアーカイブ研究センターなどが中心となり全国に呼びかけた地域デジタルアーカイブ全国協議会は急激にメンバーを増やしつつあり、政府のデジタルアーカイブ研究会、自民党のデジタルアーカイブ小委員会などの動きも目が離せなくなってきている。こうした状況につき、実践に基づく解説と見解、さらに将来見通しを述べる。Kyoto City Government developed the "Kyoto Digital Archives Concept" in April, 1997. In the promotion of the Kyoto Digital Archives Project, the Kyoto Digital Archives Promotion Organization was established in 1998, then as a succeeding body of this organization, we started the Kyoto Digital Archives Research Center in August, 2000.Then, what does Kyoto City Government aim at, and how do we proceed for archiving, and by what method do we do? The members of the National Council for Regional Digital Archives Promotion, for which Kyoto Digital Archives Research Center took the lead and appealed all over the country, are increasing in number rapidly. At the same time, we can not look aside a move of study group of digital archives in central government, digital archives subcommittee of Liberal Democratic Party and so on. With these circumstances above, I would like to describe my comment and view based on our practices, and a future prospect of my own.
著者
西岡 郁夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. 設計自動化研究会報告
巻号頁・発行日
vol.97, no.103, 1997-10-28

今日、半導体市場の需要の70%を占めると言われるパーソナル・コンピュータはインターネットの急速な普及もあって従来の Stand alone PCから Networked Systemになり社会の隅々にまで浸透し、会社や家庭などで誰もが使う情報端末となってきているが、一方では初心者には難解な道具として敬遠されることも事実である。そこで、万人にとって使いやすい物になるためパソコンがどのように変身していかなければならないのか、益々多機能/高機能化するマルチメディア処理によりパソコンが今後どのような方向に向かうのかを論じ、21世紀に向けてのVLSI開発研究への参考に供したい
著者
片寄 晴弘 竹内 好宏
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.71, pp.15-22, 1994-08-06
被引用文献数
13

音楽学,あるいは音楽心理学の分野では,従来,主観的に説明されていた音楽解釈,音楽構造認知を客観的な視点からしようという研究が行われている.これらの取り組みは音楽情報処理,特に自動演奏システムにおいて参考にすべき取り組みであるが,残念ながら良く知られていない.また,客観的な視点といっても,ある意味で人間の主観的な理解を前提にしているため,コンピューテーショナルモデルとして利用する際には,使うための枠組みを立てた上で,主観処理部をモデル化しなければならない.本稿では演奏解釈・音楽構造認知理論を比較し,コンピューテーショナルモデルとして利用する際のメリットと解決すべき課題を整理する.In the field of Musicology and Music Cognition, recent researchers have been trying to make an objective model of music interpretation or structural analysis, which has been historically studied in a subjective manner. Computer scientists in music field, especially who try to construct an automatic performance system, should refer and consider these theories. These theories, however, are not well known. They are not fully computational, because the aim is to give human an understandable view. This paper describes some comparison of proposed theories and discusses merits and demerits to apply them in making computational models.
著者
矢満田 健 羽生田 正行 宮澤 正久 吉田 和夫 金子 和彦 天野 純
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.175-181, 1996-04
被引用文献数
1

症例は51歳男性で1983年6月23日左肺癌にて左上葉切除術およびリンパ節郭清が施行された.組織学的には高分化型腺癌でpT2N0M0,stage Iの診断であった.その後肺再発にて,初回手術の3年6ヵ月後に左下葉部分切除術を,その4年8ヵ月後に左のCompletion Pneumonectomyを,さらにその1年9ヵ月後に右肺上葉の部分切除術をと,3回の肺再発にて初回手術を含め合計4回の肺切除を施行した.本症例は組織学的所見を考慮し,すべて初回手術時の再発肺癌と診断したが,再発に対する積極的な再手術により本例のように比較的良好な予後を呈する症例が存在するので,呼吸機能の評価で可能であれば,積極的な外科治療が必要と思われる.
著者
冨田 京一 金村 三樹郎 黒岡 雄二 諸角 誠人 河村 毅 福島 範子
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.80, no.9, pp.1374-1377, 1989-09-20
被引用文献数
1

経過観察中,inverted typeのtransitional cell carcinomaの異所性再発がみられたinvertedpapillomaの症例を経験した.症例は24歳男性で1982年10月23日無症候性肉眼的血尿を主訴として当科受診.膀胱鏡検査にて内尿道口に表面平滑な小指頭大の腫瘍がみられ,全体像が膀胱鏡検査では把握できないため,膀胱高位切開にて腫瘍を切除した.組織学的検査にてinverted papillomaと診断された.その後19カ月,35カ月,43カ月,53カ月後に異所性再発を繰り返し,その度に経尿道的に切除した.組織学的検査にて大部分が内反構造を伴うtransitional cell carcinomaであった.inverted papillomaは一般的には良性疾患として扱われているが,悪性化および再発の可能性が存在することから他の膀胱腫瘍と同様に術後の経過観察が必要と考えられた.
著者
遠藤 守 安田 孝美 横井 茂樹 林 良嗣
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.637, pp.37-42, 2002-01-31

コンピュータ上に構築した3次元の仮想都市空間内に仮想人間を導入するための仕組みを提案し,都市空間を構成する物体を効果的に管理する手法を開発した.本稿では仮想人間の動作を付与する仕組みを提案し,インデックスに基づくデータベースを用いてすべての情報を管理する具体的な仕組みについて述べる.提案手法を実現するにあたりインターネットを通して操作可能なインターフェースからなるシステムを構築した.これによりコンテンツ作成者や利用者は容易に都市空間を構築・体験することが可能となる.また構築したシステムの応用として空間内のキャラクタを主人公としたドラマ化手法を開発し,コンテンツを製作したのでここに報告する.
著者
秀熊 佑哉 芳田 哲也 大西 明宏 白土 男女幸 久米 雅 仲井 朝美 柴田 勘十郎
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
ジョイント・シンポジウム講演論文集 : スポーツ工学シンポジウム : シンポジウム:ヒューマン・ダイナミックス : symposium on sports engineering : symposium on human dynamics
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.403-406, 2007-11-13

Kyoto bow is the Japanese traditional bow which made form 100% natural materials such as bamboo, woods and so on. Kyoto bow consists of three different parts and they were glued together, so that Kyoto bow can be regarded as hybrid adhesive composite structure. The characteristics of Kyoto bow very much depend on the materials and adhesive. The purpose of this study is to investigate the effect of the structural materials of bow on muscle activity during drawing the bow. Three kinds of bow were used in this study; 1) typical carbon bow, 2) Kyoto bows which were produced with normal bamboo, or 3) heated bamboo. The deformations of bow and muscle activities were measured during drawing the bows by using the motion capture and the electromyogram. As a result, advantage of a Kyoto bow and muscle activity during the drawing the bow were clarified.