著者
Yoshimitsu Shimomura Tomotaka Sobue Ling Zha Tetsuhisa Kitamura Motoki Iwasaki Manami Inoue Taiki Yamaji Shoichiro Tsugane Norie Sawada
出版者
The Japanese Society for Hygiene
雑誌
Environmental Health and Preventive Medicine (ISSN:1342078X)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.19, 2023 (Released:2023-03-07)
参考文献数
47
被引用文献数
1

Background: The association between meat, fish, or fatty acid intake and acute myeloid leukemia (AML) and myelodysplastic syndrome (MDS) has been investigated in a few studies, and the results were inconsistent. In addition, most studies are mainly based on the United States and European countries, in which the dietary patterns differ from that in Asia. Therefore, the risk of AML/MDS from meat, fish, or fatty acid intake in Asia requires further exploration. The aim of this study was to investigate the association between AML/MDS incidence and meat, fish, or fatty acid intake using the Japan Public Health Center–based prospective study.Methods: The present study included 93,366 participants who were eligible for analysis and followed up from the 5-year survey date until December 2012. We estimated the impact of their intake on AML/MDS incidence using a Cox proportional hazards model.Results: The study participants were followed up for 1,345,002 person-years. During the follow-up period, we identified 67 AML and 49 MDS cases. An increased intake of processed red meat was significantly associated with the incidence of AML/MDS, with a hazard ratio of 1.63 (95% confidence interval, 1.03–2.57) for the highest versus lowest tertile and a Ptrend of 0.04. Meanwhile, the intake of other foods and fatty acids was not associated with AML/MDS.Conclusion: In this Japanese population, processed red meat was associated with an increased incidence of AML/MDS.
著者
山田 悟郎
出版者
北海道開拓記念館
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

平成13年度は、平成12年度に続き畠跡が発見された八雲町栄浜2遺跡と、平成13年度に畠跡が発見された隣接した栄浜3遺跡、北海道北端の稚内市声問川右岸2遺跡で発見された畠跡の調査を行い、畝断面に切り返しされた痕跡が存在するか否かの観察を行うとともに、花粉分析や浮遊選別用の土壌試料を採取した。切り返し跡が確認できたのは栄浜3遺跡の畝跡だけで、同遺跡の畝跡では3回の切り返し跡が確認でき、最低でも3年間は耕作が継続されていたことが明らかになっている。他の2遺跡の畝跡では切り返しの痕跡が確認できなかったことから、単年度の耕作が行われただけであったことが明らかになった。採取した土壌試料からは、野生植物の花粉や種子を検出することが出来たが、栽培種の花粉や種子はまだ発見されていない。また、石狩低地帯の千歳市内に分布する18世紀以前のアイヌ文化期遺跡の調査を行い、その下位には例外なく擦文文化期の遺物包含層や住居群が存在すること、同遺跡での断絶はみられず、擦文文化がアイヌ文化に移行した様子が伺える。擦文時代の雑穀が出土している同市末広遺跡、ユカンボシC13遺跡、ユカンボシC2遺跡、オサツ2遺跡、メボシ遺跡でも、上位にアイヌ文化期の遺物包含層や住居群が存在し、やはりそこから雑穀種子が出土している。出土した種子をみると、擦文文化の遺構ではアワ、キビが主となった作物コンプレックスが、上位のアイヌ文化期の遺構では、ヒエ、アワが主となった作物コンプレックスが確認でき、擦文文化から雑穀農耕は継続されたものの、主要作物の一つであるキビがヒエに置き操わったことが明らかとなった。
著者
赤松 大輔
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.419-438, 2022-12-30 (Released:2022-12-30)
参考文献数
83

現在,教科固有の見方・考え方や,教科を超えた資質・能力を育む重要性が指摘されている。こうした問題意識を踏まえ,本稿では,学習に対する学習者の信念である学習観に着目し,教科・領域という観点から,学習観をはじめとした学習者の信念に関する知見の整理と展望を行った。特に,認識的信念研究と学業的自己概念研究で想定される信念の階層的構造に着目した。まず,信念の領域固有性に関する理論モデルである認識論の統合的領域理論(Muis et al., 2006)のモデルに基づき,先行研究を領域横断型研究と領域特定型研究に分類した。先行研究を整理・展望することを通して,近年は教科や学習全般のみではなく,教科で扱われる具体的なトピックや日常生活を含むより全般的な信念といった新たな階層の信念が取り上げられ,階層に応じて信念の機能や可変性に差異がある可能性が示唆された。次に,学業的自己概念研究では,教科の連続的な関係性や階層の異なる信念間の影響の方向性に関する知見が多くみられた。最後に,これらの知見を学習観研究のモデルに統合することで,特定領域で形成された学習観が他の領域に広がっていくという新たなモデルを提案した。
著者
鈴木 力英
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.119, no.3, pp.556-561, 2010-06-25 (Released:2010-08-30)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

In mid-November, 2009, a breach of the server of the Climatic Research Unit (CRU) of the University of East Anglia, UK, occurred, and more than 1,000 e-mails were copied and disseminated over the Internet. CRU is one of the leading climatology institutes, and has constructed a long-term world temperature database that was referenced in the assessment report of the Intergovernmental Panel on Climate Change (IPCC) as evidence of global warming. The words “trick” and “hide the decline” in an e-mail, which mentioned the process for preparing the temperature time series, generated the allegation; those words demonstrated that scientists at CRU intended to falsify data to exaggerate warming. However, it can be regarded that the allegation was a manufactured controversy originating from irrelevant interpretations of personal e-mails at CRU. Scientists are now being requested to ensure that scientific knowledge and understanding are convincing not only to scientists but also to the general public.
著者
Tsuguya SAKAMOTO Chuwa TEI Masahiro MURAYAMA Hirofumi ICHIYASU Yoshiyuki HADA Terumi HAYASHI Keiko AMANO
出版者
International Heart Journal Association
雑誌
Japanese Heart Journal (ISSN:00214868)
巻号頁・発行日
vol.17, no.5, pp.611-629, 1976 (Released:2008-12-09)
参考文献数
20
被引用文献数
214 244

Left ventricular scanning by echocardiography and ultrasono-cardiotomography was performed to search the possible muscular abnormality in 9 cases with giant T wave inversion without documented cause. The deeply inverted T wave was more than 1.2mV (average was 1.63mV) in the left precordial leads. All the cases had electrocardiographic left ventricular hypertrophy of obscure origin and ischemic episode was absent. Conventional echo beam direction to measure the short axis of the left ventricle disclosed almost normal thickness and movement of both interventricular septum (IVS) and the posterior wall (PW), so that the report of these cases is frequently within normal limits. However, ultrasono-cardiotomography (sector B scan) disclosed the fairly localized hypertrophy near the left ventricular apex, and conventional echocardiography also revealed the same area of either IVS or PW or both below the insertion of the papillary muscles, when the scanning towards the apex was performed (asymmetrical apical hypertrophy: AAH).Control study of 9 cases with IHSS showed asymmetrical septal hypertrophy (ASH) with almost equally hypertrophied IVS from base to apex. All cases had inverted T waves, but these were of lesser degree. Three cases had relatively deep T wave compatible with those of AAH, and these cases also had the apical hypertrophy of considerable degree (unusual type of IHSS, i.e., intermediate type between AAH and ASH).The close relationship between the depth of the inverted T waves and the Apex/Mid wall thickness ratios suggests that the altered recovery process of the hypertrophied apical musculature is responsible for the giant T wave inversion of heretofore unsolved origin. Until the connective link of AAH to the other forms of hypertrophic cardiomyopathy is disclosed, the cases with such a T wave and the apical hypertrophy may be designated as asymmetrical apical hypertrophy (AAH).

10 0 0 0 OA PICSとは何か

著者
井上 茂亮
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.43-47, 2023-04-15 (Released:2023-05-15)
参考文献数
28

集中治療室 (ICU) における機器の技術革新やガイドラインによる診療レベルの向上と標準化, 教育プログラムの充実により, 近年の重症患者の生命予後は劇的に改善した. しかしながら, 重症患者の長期予後や生活の質はいまだ改善せず, 集中治療を受けた患者の多くは身体的および精神的な障害を抱えたまま, 十分な社会復帰に至っていない. 集中治療後症候群 (Post‐intensive care syndrome;PICS) は世界中で急速に進行する超高齢社会とICU患者の高齢化を背景に浮かび上がった21世紀の集中治療医学の新たな問題点である. PICSとは, ICU在室中あるいはICU退室後, さらには退院後に生じる身体機能・認知機能・精神の障害で, ICU患者の長期予後のみならず患者家族の精神にも影響を及ぼすものとして広く認識されはじめている. PICSの提唱からちょうど10年たった今, 本章ではPICSの病態の概要とともに, ABCDEFバンドルを中心とした予防・治療に関する最新の知見を解説し, ICU患者の長期予後改善に向けた方策を提案する.

10 0 0 0 OA 可能動詞の成立

著者
三宅 俊浩
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.1-17, 2016 (Released:2017-03-03)
参考文献数
23

本稿は「読める」等「可能動詞」の成立過程について論じる。従来その成立については「レル」起源説,「得ル」起源説,下二(一)段自動詞「切ルル>切レル」等への類推説という三つの説が存在する。本調査により,中世末期の「読ムル」が動作主を取らず対象語に備わる一般的な可能属性を叙述するものであり,さらにこの様相は語彙的・意味的・統語的に近世前期の可能動詞と連続的であることが確認された。一方,「レル」「得ル」は「読ムル」および可能動詞の様相と著しく異なるものであった。さらに自動詞類推説について検証すると,属性叙述を行う有対下二(一)段自動詞と四段他動詞の関係は,可能動詞および「読ムル」と派生元の四段他動詞との対応と並行的であることがわかった。以上から可能動詞は属性叙述を行う下二(一)段自動詞への類推により成立したと結論付けた。
著者
柴田 崇徳
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.217-228, 2017-07-01 (Released:2017-07-01)
参考文献数
24
被引用文献数
2

アニマル・セラピーを参考に開発されたアザラシ型ロボット「パロ」は,米国では「神経学的セラピー用医療機器」の承認を得た初めての医療ロボットで,認知症,発達障害,精神障害,PTSD,脳機能障害,がん患者等を対象として,30か国・地域以上で約5,000体が利用されている。世界各地での治験等により,パロとの触れ合いが,人の気分を向上させ,不安,うつ,痛み,孤独感を改善することが示された。認知症者の場合には,徘徊,暴力・暴言等の問題行動を抑制・緩和する。また昼間に傾眠する人がパロと触れ合うと覚醒し,夜間によく眠れ,昼夜逆転を改善,夜間の起き出しを減らす。これらは介護者の負担を軽減し,転倒等のリスクを低減する。さらに副作用がない「非薬物療法」として,各種抗精神病薬の投薬を低減する,全く新しい医療福祉サービスである。
著者
三木 貴弘 西上 智彦
出版者
保健医療学学会
雑誌
保健医療学雑誌 (ISSN:21850399)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.61-69, 2018-04-01 (Released:2018-04-01)
参考文献数
35

慢性腰痛において,本邦では未だ生物医学的モデルに基づいた治療が実施されていることが多いが,諸外国では生物心理社会モデルに基づいた治療が実施されている.オーストラリアの理学療法士であるPeter O'Sullivanによって考案されたCognitive Functional Therapy(CFT)は慢性腰痛を生物心理社会モデルに基づいて評価,治療を行う新しい治療体系である.CFTは認知的側面(Cognitive Component),機能的側面(Functional Component),生活習慣的側面(Lifestyle Component)から構成されており,各側面の評価,治療が実施される.CFTの治療効果の有効性は多く報告されており,疼痛,能力障害だけではなく,運動恐怖や過度な不安,破局的思考,自己効力感も長期的に改善されたことが報告されている.慢性腰痛において,CFTは生物心理社会モデルの理解を助け,患者のアウトカムを向上させることができる新たな介入方法になるだろう.
著者
千葉 とき子 斎藤 靖二 木村 典昭
出版者
国立科学博物館
雑誌
国立科学博物館専報 (ISSN:00824755)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.25-36, 1982

蛇石火山は伊豆半島南西部に位置する第四紀火山で, その噴出物は東西3km, 南北6km にわたって分布する。この火山体は第三紀中新世後期の白浜層群を不整合に覆って形成された。火山体を構成する岩石は, 岩相・層位学的にみて, 大きく2つのユニット(下部ユニットと上部ユニット)に区分される。下部ユニットは火山体の主要部分を構成するもので, 熔岩流と火砕岩からなり, 約150m の厚さをもつ, 上部ユニットは数10m の厚さで, 陶汰の悪い熔岩の角礫を含む堆積物からなる。下部ユニットは北部の高地と南部の海岸付近に, 上部ユニットは間の比較的平坦な地形の部分に分布する。 下部ユニットの熔岩のうち, 南部の落居付近にみられる7枚と北部の大峠付近の3枚について岩石記載を行った。岩石はすべて(かんらん石)-紫蘇輝石-普通輝石安山岩である。岩石9試料のモード, 主成分を分析した。熔岩が噴出したときのメルトと結晶の量化は3 : 2∿3 : 1で, 後に噴出した熔岩ほどΣFeO, MgO, CaO に乏しく, SiO_2に富む。しかし, 全体としては化学組成の変化の範囲は比較的狭く, 結晶分化作用があまり進行しないまま, 短期間に熔岩の流出が行われたとす推定される。鉱物組定・化学組成からみて, 蛇石火山の岩石はカルク・アルカリ岩系に属し, ノルム石英を10vol.%以上含むことから, 伊豆半島南西部の第四紀火山の溶岩のなかで SiO_2に最も過飽和であるといえる。
著者
木村 元
出版者
早稲田大学
巻号頁・発行日
2004

制度:新 ; 文部省報告番号:甲1896号 ; 学位の種類:博士(理学) ; 授与年月日:2004/3/15 ; 早大学位記番号:新3771

10 0 0 0 OA 法令全書

出版者
内閣官報局
巻号頁・発行日
vol.明治18年 上巻, 1912
著者
谷 晋三
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.13-18, 2015-01-31 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
5

認知行動療法においては、臨床的な症例報告は多くの臨床家に重要な情報を提供する。しかし、雑誌「行動療法研究」に掲載される論文の数は限られている。本研究では二つのガイドライン(Ortega & Rodriguez, 2008; Gagnieretal., 2013)が推奨する臨床的な症例報告の目的とその内容を紹介している。Robey (2004)は臨床研究における五つのフェイズモデルを提案している。臨床的な症例報告はそのフェイズI、IIとIVに含まれている。Robeyの五つのフェイズモデルでの臨床的なケースレポートの目的について最初に紹介する。次に、二つの臨床的なガイドライン、CAREガイドラインとGuidelines for clinical reports in behavioral clinical psychologyを紹介し、最後に本誌「行動療法研究」の編集者の一人として、読者に臨床的な症例研究の投稿することを推奨する。