著者
川村 元二 池田 佐喜男
出版者
一般社団法人 日本繊維機械学会
雑誌
繊維機械学会論文集 (ISSN:18838723)
巻号頁・発行日
vol.21, no.7-8, pp.T160-T167, 1968-07-10 (Released:2010-09-27)
参考文献数
5

目的 布の密度, 表面のおうとつ, 潤滑剤の存在, 摩擦速度などが摩耗寿命に与える影響を実験的に検討する. 成果 (1) 密度の増加とともに摩耗寿命は摩擦子の種類を問わず一般に増加する. (2) 併用織物のおうとつが大きいほど摩耗寿命は短くなる.金属ブレードではこの傾向が著しい. (3) 構成糸が太くなるほど摩耗寿命は増加する. (4) 潤滑剤が水のとき, 1) 研磨紙摩耗で親水性繊維は摩耗寿命は減少するが, 疎水性繊維では増加する.2) 本実験の範囲内では, 金属ブレード摩耗で寿命の減少は認められなかった. (5) 摩擦速度が増加すると, 1) 研磨紙摩耗では摩耗寿命はほとんど変わらない.2) 金属ブレード摩耗では寿命は減少する. (6) 布の緊張度が増加すると, 1) 研磨紙摩耗では摩耗寿命は減少する. 2) 金属ブレードの摩耗では逆に増大する.

1 0 0 0 OA 年録

出版者
巻号頁・発行日
vol.[350],
著者
佐藤 真一
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.56, no.7, pp.628-633, 2015-06-15

本稿では,計算機による画像・映像の認識と理解に関する研究について,その困難さについて再考し,これまでの研究の歴史について振り替えるとともに,現在の潮流について述べ,今後の研究の展望について考察する.
著者
小川 正
出版者
日本神経回路学会
雑誌
日本神経回路学会誌 (ISSN:1340766X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.62-71, 2019-09-05 (Released:2019-10-31)
参考文献数
35
被引用文献数
2

本稿では,視覚探索を行うときに機能する注意の神経機構とその情報処理について述べる.現実世界の視覚環境は複雑であるため,外界を理解するためには眼球運動によって視線をスキャンさせ,詳細を知りたい物体に視線を向ける視覚探索が必要となる.注意には,外界から入力された感覚情報などにもとづいて起動される「外因性のボトムアップ型注意」と,知識・意図などの脳内情報にもとづいて起動される「内因性のトップダウン型注意」があり,これらの注意機能は生体にとって重要と思われる視覚情報を選択することによって合目的な視覚探索行動を可能にしている.大脳皮質において眼球運動系の上位中枢であるLIP野(the lateral intrparietal area)やFEF野(the frontal eye field)はトップダウン型注意の上位中枢であり,注意と眼球運動の神経機構は密接にかかわっている.視覚探索では時間経過とともに必要な神経情報処理が「注意による目標選択」から「目標に向かうサッカード眼球運動の生起」へと変化すると考えられるが,実際に視覚野であるV4野(visual area V4)において前者を反映したニューロン活動から後者を反映したニューロン活動へと神経情報がダイナミックに変化していることを示す研究知見を紹介する.さらに,ニューロン活動においてそのような時間ダイナミクスを生み出すと考えられる視覚運動野(LIP野,FEF野など)から視覚野(V4野など)への神経フィードバック経路について考察する.
著者
伊藤 博
出版者
日本神経回路学会
雑誌
日本神経回路学会誌 (ISSN:1340766X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3-4, pp.107-117, 2020-12-05 (Released:2021-01-08)
参考文献数
45

脳は,外界刺激への反応を最適化するのみならず,内部モデルを作り個々の行動のもたらす結果を推測することで,より長期的で複雑な行動計画を可能としている.空間探索はその能力を端的に示す行動で,一つ一つの行動選択が目的地に到達するためにどのような意味を持ち得るかを,脳内の空間地図に照らし合わせて計算していると考えられる.本稿では,まず空間認知・探索の研究の歴史を振り返り,これまで解明されてきた脳内メカニズムを議論する.こうした研究の多くは,海馬や嗅内皮質領域の活動と,動物の現在地またはその周辺の空間表現との関連を主に探ってきた.しかし,空間探索には他にも様々な計算過程,例えば目的地の決定や経路の選択が必要であり,こうした点に関しては未だに多くの部分が不明である.また脳内空間地図により計画された目的地への経路が,最終的に四肢の動作として表現されるための座標変換も必要となる.このように空間探索行動には,様々な計算が複雑に絡み合っており,それぞれの異なる機能に着目した研究が求められる.こうした問題に対して我々のグループが行ってきた研究の成果を紹介しながら議論したい.
著者
齋藤 征人
出版者
帯広大谷短期大学
雑誌
帯広大谷短期大学紀要 (ISSN:02867354)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.31-44, 2010-03-31 (Released:2017-06-16)
参考文献数
6
被引用文献数
1

本研究では,社会福祉士国家資格取得後の現任経験がおおむね3年以上の,社会福祉士の「実践知」形成プロセスの全体構造を明らかにすることを目的に,幅広い職域で実践の渦中にある11名の社会福祉士にインタビュー調査を実施し,これをM-GTA法を用いて質的に分析した.その結果,実践知形成のために,実践を可視化することと,それを促進するための環境づくりの重要性が確認された.また,社会福祉士の養成機関において,人との関わりや視野の広がり,社会福祉的なものの見方・考え方を獲得する機会を保障する必要性が改めて示唆された.
著者
阪口 昭
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.64, no.10, pp.2317-2322, 2022 (Released:2022-10-20)
参考文献数
10

2019年10月より約2年間,ブータン国立病院(Jigme Dorji Wangchuck National Referral Hospital)にて内視鏡勤務を経験した.コロナ禍と重なる期間ではあったが,上部消化管内視鏡約4,000例,大腸内視鏡約350例,ERCP約140件施行した.ブータンでは,Helicobacter pylori(H. pylori)感染率は70%を超え,若年者の陽性率も高く,悪性疾患のうち,死亡率の第一位は胃癌である.見つかる胃癌の多くは進行胃癌である.現在,国家プロジェクトとして,胃内視鏡検診が行われ,H. pylori除菌と早期胃癌発見に向けて進行中である.今回,発展途上の医療資源の少ない国で,上部消化管・大腸内視鏡やERCPはどのように行われているのかについて報告した.今後一人でも多く発展途上国の医療について関心を寄せる内視鏡医が生まれることを期待する.
著者
松本 禎明 高倉 咲季
出版者
九州女子大学
雑誌
九州女子大学紀要 = Bulletin of Kyushu women's university (ISSN:18840159)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.181-195, 2019-03-18

Sports agency awakened to school carefully about an accident prevention by groupgymnastics in a physical education-like event in 2016, but occurrence of an accidentstill continues. So we did an attitude survey about group gymnastics to an elementaryschool teachers and the victim family of an accident. The results of the attitude survey were as follows. There were "when safety wassecured, introduction agreement" and "even if safety was secured, the introductionopposite" for an answer of elementary school teachers about group gymnastics. Butboth teachers recognized danger hard in common. Teachers have to confer carefully because a judgement of group gymnasticsimplementation is trusted to school finally. When performing group gymnastics, allteachers emphasize the purpose and educational value, and consider in the movementability of the school children individual and the special quality of the boys and girlsat the top with risk management consciousness, usually, implementation of safetytraining is needed. An important thing is to have sense of impending crisis hard, learn an accident casein the past and argue sufficiently at school. In particular, the victim family insists,we're never supposed to forget the opinion by which we assume "If teachers feeldanger, they have to stop introduction once and reconsider."
著者
松浦 茂樹
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
日本土木史研究発表会論文集 (ISSN:09134107)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.275-285, 1987-06-20 (Released:2010-06-15)
参考文献数
12

近年水辺の復活、ウォーターフロントの開発等水辺が社会から注目されているが、戦前の河川改修でも河川環境は重視されていた。この状況を1935 (昭和10) 年の大水害後、翌1936年樹立された京都の鴨川改修計画に基づいて論ずる。鴨川の社会的特徴は、御所をはじめ千年の歴史をもつ社寺・史跡・風物のある古都・京都市街地を流れていることである。鴨川は「東山ノ山紫二対シ河流ノ水明ヲ唄ハレタル古都千年ノ名川」と認識されていた。また「鴨川は京都市の鴨川に非ず」と、我が国にとって重要な河川と主張された。京都の風致の重要性としては、文化面における国民の訓練、産業の発展、国際観光の三つがあげられた。このため鴨川改修計画では、治水上支障のない限りにおいて鴨川の風致を配慮した計画が樹立された。具体的にはコンクリートの露出をできるだけ避け、石垣、玉石張を中心にして行われたこと、曲線を用いた床止め工の形状等によく現われている。また高水敷にはみそそぎ川が残され、夏には納涼床が張り出されて京都の風物詩となっている。昔から鴨川での夕涼みは京都市民に親しまれていたが、1986年夏気象観測を行い、その状況を求めた。1936年の環境整備計画は、河川技術者集団の総意の下に行われたと推察される。河川技術者がそのような能力を機械施工化以前には常識としてもっていたものと判断される。なお1936年の改修計画は、鴨川に限られることなく京都市の大改造計画であり、京阪線の地下化、都市計画道路の築造等が一体として図られていた。これらの事業は近年の1979年より再開され、現在工事中である。
著者
林 優 赤羽根 良和 近藤 照美 笠井 勉 林 典雄
出版者
東海北陸理学療法学術大会
雑誌
東海北陸理学療法学術大会誌 第23回東海北陸理学療法学術大会
巻号頁・発行日
pp.O064, 2007 (Released:2007-11-02)

【目的】鵞足炎とは、薄筋、縫工筋、半腱様筋で形成される鵞足が、ランニングを主体とした反復する膝の屈伸により生じる鵞足部での摩擦障害と理解されている。鵞足炎は日常よく遭遇する疾患ではある一方でまとまった症例数の中での具体的な運動療法や治療成績に関する報告はほとんど散見されない。今回、鵞足炎と診断され運動療法が依頼された症例について、その臨床的特徴を検討すると共に、当院における運動療法の成績について報告する。 【対象・検討項目】平成14年8月より18年までに当院を受診し、スポーツ動作時に膝内側部周辺部疼痛を訴え、鵞足炎と診断された19例(男性13例、女性6例、平均年齢16.6歳)を対象とした。競技種目はバスケットボール5例、陸上5例、サッカー2例などであった。検討項目は_丸1_圧痛の局在部位_丸2_林によるトリガー筋鑑別テスト_丸3_走行時のmalalignmentの有無_丸4_下腿外旋テーピングによる症状の変化_丸5_治療成績は、スポーツ復帰率、スポーツ復帰後のスポーツレベル、運動療法期間について検討した。 【治療】原則として薄筋、縫工筋と半腱様筋停止部へのtraction forceを排した形での選択的ストレッチングを実施し、疼痛が軽減しないもの及び本人の都合上早期スポーツ復帰を希望するものにはインソールを作成した。 【結果】_丸1_圧痛は全例に認め、鵞足部単独1例、鵞足部+薄筋腱部11例、鵞足部+薄筋腱部+縫工筋腱部5例、鵞足部+縫工筋腱部1例、鵞足部+半腱様筋腱部1例であった。_丸2_トリガー筋鑑別テストは全例に陽性であり、薄筋単独18例、薄筋+縫工筋1例であった。_丸3_走行時のmalalignmentは、程度の差はあれ全例knee in toe outを呈し、大腿の過内旋が主体のもの11例、下腿の過外旋が主体のもの8例であった。_丸4_全例下腿の外旋制動テーピングによりランニング動作時の疼痛が軽減した。_丸5_治療成績は筋のストレッチングのみで疼痛が消失したもの9例、インソール併用で疼痛が消失したもの10例であった。スポーツ復帰率は100%であり、完全スポーツ復帰までの期間は平均4.9週であった。ストレッチングのみで復帰した症例の治療期間は平均4.2週、インソールを併用にて復帰した症例は平均5.4週であった。また、スポーツ復帰後の競技レベルの低下例はなかった。 【考察】薄筋には圧痛局在部位及びトリガー鑑別テストの所見が高率に発生しており、鵞足炎の主症状には、薄筋が関与したenthesopathyが大きな割合を占めると考えられた。また全例すべてにMalalignmentを認めた。大腿の過内旋や下腿の過外旋などのmalalignmentをベースに、ランニングなどの反復する機械的ストレスが作用し、鵞足部での滑走障害が生じた結果、疼痛が発現するものと考えられた。治療としては、選択的ストレッチングのみで47%の症例で疼痛の消失が得られたことより、鵞足炎に対する運動療法のファーストチョイスは鵞足構成筋に対する選択的筋ストレッチングが実施されるべきと考えられた。その後の経過の中で、Malalignmentの影響が強いと判断されたケースにおいて、alignment是正目的のインソールが適応となると考えられた。
著者
大瀧 慈
出版者
一般社団法人 日本放射線影響学会
雑誌
日本放射線影響学会大会講演要旨集 日本放射線影響学会第53回大会
巻号頁・発行日
pp.42, 2010 (Released:2010-12-01)

広島市は、2008年に、原爆投下直後に黒い雨を体験した可能性のある広島市及びその近郊の居住している31598名を対象としたアンケート調査を行った。その調査では、黒い雨を体験したか否かの他、体験者の場合には、その場所(役場や学校など)、雨の降り始めの時刻(時単位)、同降り止んだ時刻(時単位)、雨の強さ、雨の色、飛遊物の目撃の有無について郵送による自記式回答が得られている。各回答者のうち黒い雨体験者に関しては、その場所毎に類別され、それぞれの調査項目について、平均値や比率により要約を行った。さらに、体験者のうち体験場所および体験時刻が記載されていた1565名分を対象にして、それらの要約値に対するノンパラメトリック回帰分析を適用し、黒い雨の各特性値に関する時空間分布を推定した。 その結果、広島での黒い雨は午前9時頃広島市西方郊外で降り始め雨域を北西に拡大しながら10時頃沼田・湯来東部付近で最強になりその後衰弱しつつ雨域を縮小しながら北上し午後3時頃加計付近で消滅したことが推測された。また、線形変換による調整後の降雨時間が1時間未満と推定される領域の外縁が、従来からいわれていた宇田雨域よりも広く、現在の広島市域の東側および北東部側を除くほぼ全域と周辺部に及んでいた。
著者
有馬 健一郎 井上 亮 中野 茂夫
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.705-710, 2014-10-25 (Released:2014-10-25)
被引用文献数
3

大規模な面積を必要とする野球場の整備は、様々な都市計画的な検討事項を包含していると考えられる。プロ野球で使われる専用球場は大規模で、集客力も多いため、そうした課題が顕在化すると考えられる。そこで、フランチャイズ制度導入後のプロ野球専用球場を対象に、専用球場の変遷と管理・運営体制について整理し、各球場の立地特性に着目し、球場および周辺整備の経緯・計画と照らし合わせて考察を行う。そこで明らかになったことの一つとして、球場の立地は、野球規則によって推奨される方位が示されているものの、規則を遵守した専用球場はなかった。
著者
藤井 信行
出版者
川村学園女子大学
雑誌
川村学園女子大学研究紀要 = The journal of Kawamura Gakuen Woman's University (ISSN:09186050)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.37-53, 2007-03-15

観光学の中の一分野として「観光歴史学」の設立を試みた。私たちの時代に残る歴史的財産を,確実に次の世代に残していくための学問的な体系化である。その際「観光歴史学」に2つの目的を設定した。1つは,そうした歴史的財産を観光資源として再生することであり,いまひとつはその保存と活用を考えることである。保存・活用という問題はマネジメントの問題であり,もちろん歴史学にそんな分野はない。ここに歴史学にはない「観光歴史学」の存在意義がある。小論は,まず観光資源としての再生という点に関して,ケーススタディとして世界遺産トロイヤの遺跡をとりあげ,その観光歴史学的考察を試みたものである。
著者
Subramaniyan Geethanjali Krishnasamy Vijayakumar
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
IEICE Electronics Express (ISSN:13492543)
巻号頁・発行日
vol.19, no.20, pp.20220343, 2022-10-25 (Released:2022-10-25)
参考文献数
30
被引用文献数
5

Escalating fuel prices and a keen attention to improve air quality have resulted in proliferation of pure electric and hybrid electric vehicles. Fuel savings and reduced carbon footprint are the main enablers for the choice of electric automobiles compared to the conventional vehicles with internal combustion engines. Availability of electric power sources such as lightweight battery packs also has promoted electric drive as a viable option. Both plug-in electric and hybrid vehicles necessitate new power train schemes ensuring safe and reliable operation. The DC-DC converters are the heart of an electric vehicle. They are used to convert the battery voltage to another level as required by the motor drive. Traditionally, most of the automakers use buck boost converter as it enables the bidirectional operation. This paper presents a comprehensive analysis of a dual way DC-DC converter namely split pi converter for an electric vehicle drive train system driving an inverter fed induction motor. The dual way converter investigated has numerous advantages such as inherent bidirectional capability, EMI reduction and reduction of the passive elements. Simulation results and experimental investigations based on a laboratory prototype are presented.