著者
中島 早苗 分部 利紘 今井 久登
出版者
The Japanese Society for Cognitive Psychology
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.105-109, 2012

本研究では匂いの同定しやすさ(同定率),快・不快(感情価),日頃嗅ぐ頻度(接触頻度)が匂いからの無意図的想起の生起要因となるかを検討した.74名の参加者にさまざまな匂いを提示して,<i>SD</i>評定を求めた.その後,評定中に自伝的記憶を意図せずに想起したかを尋ねた.その結果,接触頻度の高い匂いほど無意図的想起が生じやすかった.しかし同定率や感情価は無意図的想起の有無と関連がなかった.この結果は,匂いからの無意図的想起では言語表象を介した活性化が生じないこと,無意図的想起は手がかりの種類によって想起過程が異なることを示唆する.
著者
川上 栄子 小嶋 汐美
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.23, pp.115, 2011

【<B>目的</B>】日本には様々な年中行事があり、気候、風土を生かした様々な行事食がある。しかし、現在の食を取り巻く環境は、近年急速に変化し、伝統的な食文化の伝承が困難な状況である。食育の1つの要因である食文化の伝承は、食育を推進する管理栄養士の教育において意義を理解させ、実践を促すことが必要である。そこで、今回、どのような行事食が作られ、食べられているか実態調査を行ない、本地域の特徴を生かした今後の指導対策を検討することとした。本報では主な行事食の実施状況を分析し、地域特性等検討結果について報告する。<BR>【<B>方法</B>】本校健康栄養学科(管理栄養士養成課程)1年~2年生64名及び保護者を対象に平成22年1月に行なった。調査方法は日本調理科学会特別研究「調理文化の地域性と調理科学:行事食」の調査票及び10項目のアンケートを自己記入方式にて実施。調査結果の内、五節句の行事食の喫食状況に着目、学生と保護者別に集計し比較した。<BR>【<B>結果及び考察</B>】回収票は学生55枚、保護者58枚であった。正月料理の雑煮は学生92%、保護者97%の喫食状況率であった。五節句では人日の七草粥では学生42%、保護者57%。上巳の寿司は学生61%、保護者93%。端午の柏餅は学生45%、保護者73%。七夕のそうめんは学生3%、保護者13%。重陽の菊花酒は学生0%、保護者0%であった。お正月の雑煮の他は上巳のお寿司が両者とも過半数の喫食率であったが、他の節句では学生の喫食率の低さが目立った。この結果から食文化伝承に必要な要素は、まず食べる機会があること、そして自分自身が作る立場となって初めて受け継がれていくことが明らかになった。このことから、大学生の実習内容に年中行事の実施、伝承の価値を高める工夫し、喫食率、継承意識の向上を図る必要がある。
著者
森 津太子
出版者
甲南女子大学
雑誌
甲南女子大学研究紀要. 人間科学編 (ISSN:13471228)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.19-25, 2003-03-18

Most people have difficulty remembering events that occurred in their first years of life. Such a phenomenon has been studied for about 100 years since Freud termed it "childhood/infantile amnesia" . This article reviews the literature on the earliest memory, the emergence of which indicates the end of the childhood amnesia period, and examines current theories of childhood amnesia. A variety of theories of childhood amnesia were divided into three categories for discussion (the retrieval failure theory, the encoding/retention failure theory, and the social interactive theory) from the perspective of whether the theory assumes that memory is a permanent storage system or not (i.e., the retrieval failure theory vs. the encoding retention failure theory) and whether the theory assumes that memory is an intrapersonal process or an interpersonal proc- ess (i.e., the retrieval failure theory and the encoding/retention failure theory vs. the social interaction theory) . Finally, the implications of childhood amnesia for recovered memory and future directions are discussed.
著者
山倉 智宏
出版者
新潟大学
雑誌
新潟医学会雑誌 (ISSN:00290440)
巻号頁・発行日
vol.118, no.1, pp.1-5, 2004-01-10

麻酔薬の作用標的として神経伝達物質依存性のイオンチャネルが重要であると考えられている.最近の研究により麻酔薬の作用部位がチャネルを構成するサブユニットあるいはサブユニット上のアミノ酸レベルで同定されてきた.さらに個体レベルで特定のサブユニット分子を欠失するノックアウトマウスや分子上のアミノ酸を置換変異したノックインマウスの作成・解析により,全身麻酔という個体反応と麻酔薬の分子レベルでの作用との間の直接の連関性を検索することが可能になりつつある.
著者
藤岡 久美子
出版者
山形大学地域教育文化学部附属教職研究総合センター
雑誌
山形大学教職・教育実践研究 (ISSN:18819176)
巻号頁・発行日
no.8, pp.49-56, 2013-03

本研究では,21名の幼児を対象に年少クラス在籍時及び13ヶ月後の年中クラス在籍時に注意と行動の制御に関する教師評定を行い,年中クラス在籍時に独自に開発した実行機能課題を実施し,また片付け場面の行動観察を行った。実行機能課題では,色あるいは形,または色と形の組み合わせによるターゲット図形が口頭で指定され,それらが多数描かれた図版を見てターゲット図形の数を答えることが求められた。転導性が高いほど課題成績が低かった。また,幼児が自発的に示すターゲットの復唱が試行の成功を伴うかどうかは,片付け場面の行動の種類と関連しており,復唱が成功を伴っているほど,片付け場面で自分が使ったものを片付けていたが,復唱しても失敗に終わっているほど,片付けへの取り組みが悪かった。また, 教師評定と片付け場面の行動の間にも,目標指向性が高いほど片付けへの取り組みがよいなどのいくつかの間連が見いだされた。 キーワード:幼児 / 自己制御 / 実行機能 / プライベート・スピーチ
著者
細井 將右
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2018, 2018

明治16年陸地測量部による地形図作成はドイツ式に変わったが、工兵測量は引き続きフランス式で、参謀本部を含む陸軍の指導者を養成する陸軍士官学校の地図測量教科書『地形學教程』はどのように対応しているか。残されている明治20,30年代ほかの『地形學教程』に明治初期導入のフランス地図測量技術の影響を見ようとするものである。明治28年第三版は巻之一、二と付録の3冊から成る。大まかに見て、巻之一は地形図の基礎知識と利用法、巻之二は自ら行う地図測量法で、こちらは明治9年のクレットマン『地理図学教程講本』の後継といえよう。明治31年に改正、活版洋装本に。明治34年改訂版は巻之一、二と附録の3冊から成る。巻之一、二の内容構成は従来のものをほぼ踏襲、巻之二には、「アリダード二ベラトリース」(測斜照準儀)のようなもののほかフランス語器具名が多数見られるが、その後、器具の選別、国語化が進み、大正時代には、例えば上記の器具は測斜儀となる。昭和15年改訂版でも巻一、二の上記枠組みはほぼ保たれている。