著者
Yuriko Ishida Masaru Suzuki Hiroshi Horii Junichi Nakamura Munehiro Matsumoto Sho Nakakubo Takahiro Sato Ichizo Tsujino Ryo Morita Daisuke Abo Satoshi Konno
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
Internal Medicine (ISSN:09182918)
巻号頁・発行日
pp.0015-22, (Released:2022-07-22)
参考文献数
23
被引用文献数
1

Pulmonary artery agenesis (PAA) is a rare congenital vascular anomaly usually diagnosed during infancy. We herein report a 67-year-old man with PAA manifesting as massive hemoptysis. Contrast-enhanced computed tomography of the chest revealed the diagnosis of PAA, which we speculated to have resulted in the present event. Detailed angiography provided more accurate information on the pulmonary vasculature and collateral circulation, which helped us plan tailored treatment. Although very rare, we must consider the possibility of PAA in adults with unexplained hemoptysis.
著者
渡邊 雄二
出版者
九州産業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

近代において日本がどのように朝鮮時代絵画について関心を持ち、理解をしたかというテーマに沿い、植民地朝鮮の公的な施設や民間において行われた絵画の収集展示活動を通して検証した。これには韓国の近代的な視点での美術という新しい価値観が生まれる経緯の考察を伴うのであるが、それは植民地朝鮮での博物館施設における収集展示活動により確定されたといえよう。そして、民間においても、当初、日本人を中心に収集活動が盛んになり、次第に朝鮮人も加わった美術市場が開かれた。ただし、韓国の伝統的絵画の理解という点では、関わった研究者は関野貞などわずかの人物であり、朝鮮時代の書画活動を深く理解するには到らなかったと考える。
著者
金井 一賴
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.15-24, 2005-03-20 (Released:2022-08-03)
参考文献数
23

これまで産業クラスターや産業集積の議論において企業家活動の視点から統一的に分析された研究はほとんど存在しない.既存の産業クラスターや集積の分析において企業家活動は正当な地位を与えられてこなかったということができる.本稿では,企業家活動の議論を再検討することによって,企業家活動と産業クラスター(産業集積)の創造・展開のプロセスとの関係を統合的に分析できることを示す.企業家活動の視点から産業クラスターの創造・展開のプロセスを分析することによってダイナミックな議論が可能となり,産業クラスターに関する新たな理論展開への道を拓くことができる.
著者
齋藤 靖
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.56-65, 2004-09-20 (Released:2022-08-03)
参考文献数
26

本稿では,日米のセメント産業の比較を通じて,技術転換に対する既存企業の適応力に関する日米間の差を説明するためのメカニズムを提示する.既存企業が技術転換に適応できずに競争力を低下させる米国の事例と同じ産業に関して,日本の場合では既存企業が技術転換に適応し競争力を維持している.既存の議論とは異なる「創発的に形成される技術環境」という“産業レベルの視点”を用いることで,日米間のこのような差を説明する.
著者
清水 剛
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.44-55, 2004-09-20 (Released:2022-08-03)
参考文献数
40

本稿では,戦後日本における企業システムの形成・発展過程について,企業の安定性という視点から検討することを試みる.日本の企業システムの特徴が企業とステイクホルダーとの長期的関係にあるとすれば,そのようなシステムの発展・形成過程の背後には企業の存在の安定化があると考えられる.本稿ではまず企業の安定性の変化を把握した上で,労働システムと企業年金システムという二つのシステムを取り上げてこの点を検討する.
著者
小川 進 水野 学
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.52-63, 2004-06-20 (Released:2022-08-03)
参考文献数
16

本稿では,これまでコンビニエンス・ストアの成功要因として信じられてきたものの実際の効果について検証した.「トップと店舗指導員が行う直接対話の頻度」や「ドミナント出店」といったこれまでコンビニの成功要因として語られてきた活動は実際には店舗業績(店舗平均日販)と関係がなかった.以上の発見に加えて,本稿では,大手チェーンが規模優位を発揮して,高日販を実現している可能性を示唆した.
著者
築達 延征
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.24-32, 2004-06-20 (Released:2022-08-03)
参考文献数
25

本稿では,従来の正統的ビジネス・エシックス研究としての規範理論・制度化の限界を指摘し,ヨーロッパ社会哲学・思想を土台にするアプローチを提唱する.具体的には,現象学・社会的構築主義・ハーバーマス・フーコーの方法論による実践診断理論の必要性を説く.実践診断を導く包括概念としてcollective myopia(集合近眼)を提唱する.さらに,組織の現象 学・社会的構築主義的エピステモロジーと規範によるコントロールについても言及する.
著者
上野 恭裕
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.21-32, 2004-03-20 (Released:2022-08-03)
参考文献数
29

現在の日本企業は事業集中を進めているが,関連型多角化も行われている.組織構造は事業部制組織が一般的だが,職能別組織も依然として重要な地位を占めている.また事業部制組織も欧米のものとは異なり,分権化の程度は低く,日本独特の混合型も多く存在する.組織は戦略に従うという命題は支持されるが,組織構造には多様性も存在する.日本企業は環境の変化に対応して組織改革を行っており,その道筋は多様である.
著者
加護野 忠男
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.4-10, 2004-03-20 (Released:2022-08-03)
参考文献数
4

多角化企業の業績が思わしくないといわれているが,電機産業の多角化戦略の業績を比較すると,コア事業を持っている多角化企業は比較的高い経営成果をあげていることがわかる.本論文では,コア事業が高い経営成果に結びつく理由として,企業内部の多様な人々の心理的エネルギーを動員することができる,事業間の複雑な相互依存関係からシナジーを実現することができる,コア事業にはトップの関与があるため事業部長では行うことのできない種類の意思決定を事業レベルで行うことができる.これらの分析をもとに,コア事業をもつ多角化戦略を実行するための方策について考える.

1 0 0 0 OA 戦略の審級

著者
石井 淳蔵
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.17-25, 2003-12-20 (Released:2022-08-03)
参考文献数
21

本稿の目的は,市場戦略(マーケティング)の審級(妥当な判断の帰属点)に関する基礎的な検討を行なうことである.市場が戦略の審級としての地位を失う現代にあって,それを理解することの理論的意義は高い.環境に審級を求める議論と行為者の準拠枠に審級を求める議論を検討しつつ,絶対的な審級の困難,戦略固有の環境における開かれた合理性の概念の意義,そしてそこから導き出される理論的課題の在処を指摘する.
著者
原田 勉
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.49-61, 2003-12-20 (Released:2022-08-03)
参考文献数
40

本稿では,ITに関するアウトソーシング,内部調達,並存型,という代替的な利用形態の可変費用削減効果を測定した.その結果,製造業では内部調達,アウトソーシング,非製造業ではアウトソーシングにコスト削減効果が確認された.しかし,並存型については費用削減効果は確認されなかった.したがって,組織能力の点では,短期的にはスタック・イン・ザ・ミドルの現象が確認されたのである.
著者
長瀬 勝彦
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.44-55, 2003-09-20 (Released:2022-08-03)
参考文献数
29

実験的研究方略は,因果関係が記述できるなど,他の多くの手法にはない長所を持っている.組織論が反証可能性を確保した通常の科学として発展を遂げていくためには,欠かすことのできない研究方略である.しかし一方で,厳密な科学的手続きを重視するあまり,現場の意思決定の生き生きとした部分の分析は自重してきた観がある.今後は柔軟に新しい領域に展開していくことによって,組織研究全体の発展に資することが期待される.
著者
亀田 達也 塚崎 崇史
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.23-30, 2003-09-20 (Released:2022-08-03)
参考文献数
17

本稿は広義の進化心理学が組織研究に対してもち得るインプリケーションを論じる.Toda(1961)の「キノコ喰いロボット」を題材に,適応的視点が人間の心理・行動のデザインを探る上で有効であることを示す.次に,人間にとっての中心的な適応問題が,集団生活における正負の相互依存構造から生まれることを論じる.本稿では,社会規範の維持を中心に,組織・集団におけるマイクロ-マクロ・ダイナミクスの特徴を適応の観点から素描する.
著者
加護野 忠男
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.4-10, 2003-06-20 (Released:2022-08-03)
参考文献数
16

環境決定論と主体的選択論は,組織研究の対照的な分析視角であるだけでなく,組織における行為者の対照的な認識スタイルでもある.よい選択を行うためには,二つの認識スタイルのバランスが必要である.しかし,組織の成熟化とともに,環境決定論的認識スタイルが強まりがちである.このバランスを回復するには,組織の戦略駆動力を高める必要がある.この戦略駆動力を高める方法について考察する.
著者
藤本 隆宏
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.11-22, 2003-06-20 (Released:2022-08-03)
参考文献数
28

もの造りの経営学(技術・生産管理論)の立場から,「設計情報」概念を用いたオペレーション・ベースの戦略論の可能性を考察する.まず,もの造り現場の競争力は,もの造りの組織能力とアーキテクチャ(製品・工程の設計思想)の間の相性によって影響されると見る.そして,得意・不得意アーキテクチャの見極めに基づく「両面戦略」を説明する.次に,もの造り現場の競争力を最終利益に結び付ける戦略の枠組を考える.その基本は,「アーキテクチャの位置取り戦略」である.
著者
島田 昌和
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.46-55, 2003-06-20 (Released:2022-08-03)
参考文献数
19

新たなビジネスを創出するには,さまざまなタイプの経営者に対して事業に適合した枠組みを準備し,適切に資金を供給することが不可欠である.資本主義草創期の渋沢栄一は,株式会社による公益モデル,合資会社によるハイリスク・ハイリターンモデル,合名会社と匿名組合による個人ビジネスモデルを提供した.同時に株式市場の持つ信用創造機能をフルに活用して様々なタイプの経営者への資金供給を自らが率先して担った.
著者
山崎 敬一 葛岡 英明 山崎 晶子 池谷 のぞみ
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.32-45, 2003-03-20 (Released:2022-08-03)
参考文献数
15

この論文では,リモートコラボレーション空間において,遠隔地にいる作業者がどのようにして時間と身体的空間を組織化しているかを,エスノメソドロジー的相互行為分析の手法で明らかにする.さらにそうしたリモートコラボレーション空間での共同作業に対するエスノメソドロジー的・社会学的分析に基づき,社会学者と工学者からなる筆者らの共同研究グループがデザインした,いくつかのリモートコラボレーションシステムについて紹介したい.
著者
原田 勉
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.64-90, 2002-12-20 (Released:2022-08-03)
参考文献数
26

本稿の目的は,日本の製造業におけるNC工作機械の技術普及を分析対象とし,その規定要因を実証的に明らかにすることにある.本稿の基本的な主張は,NC化以前の旧技術における学習,知識の蓄積が新技術の採用を促進する要因であったというものである.換言すると,代替的な新・旧技術間には,技術能力の点でスピルオーバー効果が存在しており,それが技術普及に決定的に重要な役割を果たしていたのである.