著者
山本 忠行 YAMAMOTO Tadayuki
出版者
創価大学通信教育部学会
雑誌
通信教育部論集 (ISSN:13442511)
巻号頁・発行日
no.25, pp.71-91, 2022-08-07

「教科書で教える」ことは日本語教育の基本姿勢とされるにもかかわらず、定義が曖昧で、人によってその捉え方が異なる。一般教科、英語、国語などと比較しながら、「教科書で教える」ことの意義を再確認した上で、問題のある日本語教師が「教科書を教える」ことしかできないことを明らかにした。さらに初級と中上級で具体的にどのように「教科書で教える」のかを例示し、「教科書で教える」ことこそ、教育実習で身につけさせるべき技能であることを論じた。
著者
佐溝 昌彦 渡邉 諭 杉山 友康 岡田 勝也
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.237-249, 2013 (Released:2013-09-20)
参考文献数
31
被引用文献数
4 8

鉄道橋梁では河川増水時に橋脚基礎周辺の河床が洗掘されて安定性が低下し,橋脚が傾斜・転倒することがある.こうした災害から旅客や列車を守るため,ハード対策に加えて,ソフト対策として河川水位に応じた運転規制を行っている.こうした措置を合理的に実施するためには,橋梁の状態を詳細に調査したうえで実施する必要があるが,膨大な数の橋梁すべてを対象に行うことは困難である.このため,洗掘被害を受ける恐れのある橋梁をより簡便な方法で的確に抽出することが重要となる.本論文では,日常の検査業務で得られる種々のパラメータと過去の被災データに基づく多変量解析により,現状の被災危険性と将来的な洗掘危険性を推定する手法を検討した.その結果をもとに,増水時に被災を受ける恐れのある注意すべき橋脚を抽出する手法を提案した.
著者
宮下 充正 松井 秀治 三浦 望慶 星川 保 亀井 貞次
出版者
The Japanese Society of Physical Fitness and Sports Medicine
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.1-8, 1969-03-01 (Released:2010-09-30)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

The purpose of this study is to conduct the examination of heart rate and speed variations with respect to the various interval trainings of swimming. One trained, one post-trained and one untrained swimmers were employed for this study. The experiment was conducted during the summer of 1968. The temperature of atomosphere varied from 30°C to 33°C and that of water from 27°C to 29°C.The data of heart rate were obtained from the record of ECG. Two electrodes or ECG consisting of silver cups of 10mm in diameter were attached to the skin over sternum. In order to avoid mechanical and electrical disturbances, the electrodes were tightly fixed through the following procedures;1) The electrodes were pasted on cleaned skin with ECG jelly.2) The adhesive plaster was placed over the electrodes.3) The adhesive plaster was coated with wax.The wire of 20 meters was used to connect the electrodes and the recorder. On trial of interval training was consisted of two phases; 1) The active phase....To swim 50 meters according to his swimming ability. 2) The rest phase...To take a 0, 5, 10, 20, 30, 45 or 60 seconds interval between each 50 meters swimming. Each trial of training was repeated ten times.Results are as follows;1) The longer the rest period is, the higher the swimming speed is.2) All swimmers swim 50 meters at 60-80% of their maximum speed and the percent of the trained is higher than that of the untrained.3) Maximum heart rates of the trained, the post-trained and the untrained during tenth swimming are 188, 180 and 173 respectively, which are the same in every trial.4) Decreasing rates of heart rate during the rest period are 10 under in 5-10 seconds interval, 15-25 in 20-30 seconds interval and 20-50 in 45-60 seconds interval,
著者
Hsin-Chuan Chen Rong-San Lin
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
IEICE Electronics Express (ISSN:13492543)
巻号頁・発行日
pp.10.20130656, (Released:2013-09-24)
参考文献数
5
被引用文献数
3

H-bridges are important driving components for consumer electronics and industry controls. They also play an important role in technologies related to DC motor control. Conventional H-bridge drivers require dead-time generation to avoid the shoot-through current resulting from both upper and lower power transistors being turned on concurrently. Unlike the conventional H-bridge driver, this paper proposes an H-bridge driver based on a complementary MOSFET type using gate bias, without a dead time generator, to improve its driving efficiency. Moreover, this proposed H-bridge driver also has a reduced hardware complexity.
著者
小林 重人 山田 広明
出版者
地域活性学会
雑誌
地域活性研究
巻号頁・発行日
vol.5, pp.3-12, 2014-03-01

サードプレイスは地域の交流拠点としての機能を有する。本研究は、マイプレイス志向の若年者が地域社会と繋がる契機となる場、つまり交流型とマイプレイス型の両機能が実現するサードプレイスの創出モデルを提案する。モデルに基づき設計した非常設型カフェの来場者を対象にアンケート調査を行い、非常設型であることと地域資源を提供することがマイプレイス型の若年者を惹きつける要素として働くことを明らかにした。また居心地満足度の高い利用者がカフェ運営への参画を希望しやすいことを示した。以上の結果に基づき、我々は利用者の地域への愛着を高めることで、利用者の地域関与を生み出すサードプレイス創出モデルを構築した。
著者
寺上 愛香 前場 康介
出版者
跡見学園女子大学
雑誌
跡見学園女子大学心理学部紀要 (ISSN:24348295)
巻号頁・発行日
no.4, pp.147-153, 2022-03

本研究では,大学生の進路選択における不安を,自己効力感の情報源の1つである生理的・情動的喚起として扱い,自己効力感と不安の関連について明らかにすることを主な目的とした。調査対象者は4年制大学に所属する大学生130名であり,進路選択行動変容ステージ,自己効力感,および就職不安についてWeb アンケート方式にて実施してもらった。その結果,進路選択行動変容ステージの進行,すなわち進路選択行動への動機づけや行動頻度が高まるにつれて,自己効力感は向上し,同時に不安が低減していくことが明らかとなった。しかしながら,行動変容ステージにおける3段階目の,30日以内に進路選択行動を開始する意図があるという段階を示す準備ステージでは,一時的にその傾向が反転するという,他の行動とは特異的な点がみられた。また,就職活動そのものに関する不安と比較して,選択すべき職業への適性に関する不安の方が,自己効力感をより強く阻害する可能性が考えられた。さらに,進路選択やキャリアに伴う不安は,就職活動が終了すれば消失するものではなく,就職が決まった後もその決定が正しかったのか思い悩むなど,長期にわたり継続するものであることが示唆されており,本研究においても就職不安におけるそのような特質が反映された結果となった。
著者
杉本 良男
出版者
国立民族学博物館
雑誌
国立民族学博物館研究報告 (ISSN:0385180X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.615-681, 2003

「儀礼」の概念は,ヨーロッパ・キリスト教世界とくにプロテスタントからは否定的なイメージをもたれている。そこには,カトリックとプロテスタントとの対立関係が潜在しているが,とくに19世紀イギリスにおける「儀礼主義」は,福音主義者からのはげしい非難にさらされた。1830年代をさかいにイギリス植民地政策そして宗教政策は,現地主義から文明化路線へと大きく転換をとげた。それは,福音主義的なイデオロギーに基づく変革であり,そのことが,当然ながら植民地スリランカにおける宗教儀礼のあり方にも大きな変化を与えた。小稿では,ポルトガルに始まり,オランダを経てイギリスの植民地支配を経験したスリランカにおいて,「儀礼」がどのような視線にさらされ,またその視線をどのように受け止め,さらにその結果,現在どのような存在形態を示しているのかについて,系譜学的に跡づけたものである。
著者
角谷 寛
出版者
京都大学
雑誌
戦略的な研究開発の推進 戦略的創造研究推進事業 さきがけ
巻号頁・発行日
2001

睡眠時呼吸障害は、睡眠中に無呼吸・低呼吸を引き起します。このために頻回に生じる低酸素血症によって、不可逆的な脳の障害が生じ、痴呆症を引き起こす可能性が示唆されています。本研究では、睡眠時呼吸障害の状態をマウスで再現し、痴呆症との関係を解明します。
著者
立田村史編さん委員会編さん
出版者
立田村
巻号頁・発行日
1996

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著者
秋田書店 [編]
出版者
秋田書店
巻号頁・発行日
vol.1, no.4, 1978-07
著者
松岡 昌子 田中 美加
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.69, no.8, pp.595-605, 2022-08-15 (Released:2022-08-04)
参考文献数
51

目的 患者ケアの質の向上や看護師の心身の健康,離職意思の低下などとの関連が示されているワーク・エンゲイジメントは,組織公平性との関連が示唆されている。そこで本研究においては看護師における主観的な組織公平性とワーク・エンゲイジメントとの関連を明らかにすることを目的とする。方法 首都圏内にある中規模病院に勤務する日本人看護師を対象とし,無記名の自記式質問票を使用したアンケート調査を行った。解析では日本語版ユトレヒト・ワークエンゲイジメント尺度得点(UWES-J)を従属変数,組織公平性尺度得点(OJS-J),年齢,性別,役職,雇用形態,勤務形態,自己効力感,ソーシャルサポート,仕事のコントロール,仕事の量的負荷を独立変数として,段階的に重回帰分析を行った。さらにOJS-Jの各下位尺度得点についても同様に段階的に重回帰分析を行った。結果 270人に調査票を配布しそのうち有効回答のあった219人(回収率83.0%)を解析対象とした。UWES-Jを従属変数とし,年齢,性別のみ調整したモデル1,加えて役職,雇用形態,勤務形態,自己効力感得点を調整したモデル2,さらにソーシャルサポート得点,仕事のコントロール得点,仕事の量的負荷得点を調整したモデル3のすべてのモデルにおいてUWES-JとOJS-Jとの間に有意な正の関連が認められた(モデル3:β=0.202, P<0.01, R2=0.363)。さらに,OJS-Jの各下位尺度得点について同様の分析を行ったところ,手続き公平性得点とUWES-Jとの間に有意な正の関連が認められた(モデル3:β=0.165, P<0.05, R2=0.383)。いずれのモデルにおいても,分配公平性得点と情報公平性得点には有意差を認めなかった。結論 病院に勤務する看護師のワーク・エンゲイジメントと組織公平性との関連を調べた結果,ワーク・エンゲイジメントと組織公平性,とくに手続き公平性との正の関連が認められた。これらより,看護師のワーク・エンゲイジメントを向上させるためには組織公平性の保持と向上が重要であることが示唆された。
著者
細谷 紀子 佐藤 紀子 杉本 健太郎 雨宮 有子 泰羅 万純
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.69, no.8, pp.606-616, 2022-08-15 (Released:2022-08-04)
参考文献数
27

目的 本研究は,全国市区町村における災害時の共助を意図した平常時の保健師活動の実態とその実施に関連する要因を明らかにし,災害時の共助,すなわち住民相互の助け合いを推進するための平常時における保健師活動に示唆を得ることを目的とする。方法 2019年1月1日現在,全国市区町村(特別区含む,政令指定都市は本庁を除き各区を対象)のうち,2019年中に災害救助法の適用があった市区町村を除く,1,463市区町村を対象に郵送式による無記名自記式質問紙調査を行った。回答は統括的な役割を担う保健師に依頼した。調査項目は市区町村概要,保健師の活動体制,防災に関する活動基盤,災害時の共助を意図した活動の実施状況である。得られたデータを用いて,災害時の共助を意図した平常時の保健師活動の実施を従属変数とする多重ロジスティック回帰分析を行い,関連する要因を検討した。結果 541件の回答があり(回収率37.0%),主要な項目に欠損値があった6件を除く535件の回答を分析した(有効回答率36.6%)。保健師の活動体制は地区担当制と業務担当制の併用が81.7%,地域防災計画策定への保健師の関与有は31.6%であった。「災害時の共助を意図した平常時の保健師活動」のうち,避難行動要支援者等への「個別支援」実施有は223(41.7%),自主防災組織等の「住民組織への支援協働」実施有は186(34.8%),その他の「共助を意図した活動」実施有は160(29.9%)であった。未実施の理由は,防災対策が「事務分掌外」であること,「住民組織との接点がない」などが上位に挙がった。ロジスティック回帰分析の結果,災害時の共助を意図した平常時の保健師活動の実施には「保健師の活動体制が地区担当制であること」「地域防災計画策定への保健師の関与があること」「災害対策に関する保健師活動マニュアルの作成があること」などが有意に関連していた。結論 災害時の共助を意図した平常時の保健師活動として個別支援は4割,それ以外は3割の実施であり,十分に行われていない実態が示された。担当地区をベースにした地区活動のあり方を見直すこと,地域防災計画策定への保健師の関与と災害対策に関する保健師活動マニュアルの作成に向けた統括保健師の役割発揮および外部支援の必要性が示唆された。
著者
佐藤 幹也 伊藤 智子 谷口 雄大 大森 千尋 金 雪瑩 渡邉 多永子 高橋 秀人 野口 晴子 田宮 菜奈子
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.69, no.8, pp.617-624, 2022-08-15 (Released:2022-08-04)
参考文献数
23

目的 介護保険総合データベース(介護DB)の導入により,悉皆的な介護保険研究が可能になった。反面,介護DBでは死亡情報が含まれず他データとの突合も制限されているため,死亡に関する研究は実施困難である。本研究では,統計法に基いて入手した介護保険受給者台帳(受給者台帳)と人口動態統計死亡票(死亡票)を用いて,受給者台帳の受給資格喪失記録を死亡の代理変数として使用することの妥当性を評価した。方法 受給者台帳に記録された受給者情報の月次断面を2007年4月から2017年3月まで累積し,介護度が自立または年齢が65歳未満の者を除外した510,751,798件を研究対象とした。受給者台帳の異動区分コードが終了の場合を受給資格喪失とし,これと死亡票とを確定的マッチング(性別,生年月日,死亡年月日,居住市区町村)で突合できた場合を死亡例として,受給資格喪失の死亡に対する検査特性(感度,特異度,陽性反応的中率,陰性反応的中率)を算出した。結果 受給者台帳510,751,798件中の5,986,991件(1.17%)で受給資格喪失となり,うち5,295,961件の死亡が特定された。受給資格喪失の死亡に対する感度は100%,特異度は99.9%,陽性反応的中率は88.5%,陰性反応的中率は100%だった。陽性反応的中率を層別化すると,2012年以前は85~88%程度,2013年以降は91%前後,男性(91.9%)は女性(85.9%)よりも高く,年齢階級(65-69歳:80.6%,70-74歳:86.7%,75-79歳:86.4%,80-84歳:86.7%,85-89歳:88.0%,90-94歳:90.6%,95歳以上:93.4%)や要介護度(要支援1・2含む要支援:72.2%,要介護1:79.7%,要介護2:85.9%,要介護3:89.3%,要介護4:92.3%,要介護5:94.0%)とともに上昇した。結論 受給資格喪失を死亡の代理変数として用いると偽陽性が1割程度発生するため,受給資格喪失を死亡率そのものの推計に用いるのは適切ではない。しかし曝露因子間の交絡の影響や曝露因子の死亡への効果が過小評価される可能性があることに留意すれば,受給資格喪失を死亡の代理変数としてアウトカムに用いることは許容できると考えられた。
著者
勝俣 誠
出版者
JAPAN ASSOCIATION OF INTERNATIONAL RELATIONS
雑誌
国際政治 (ISSN:04542215)
巻号頁・発行日
vol.1983, no.73, pp.86-103,L12, 1983-05-25 (Released:2010-09-01)
参考文献数
33

The contemporary societies of the Maghreb (Morocco, Algeria and Tunisia) are fundamentally ruled by three main relations: large scale relations with the industrialized countries, particularly with France, the former colonial power; sociocultural relations between the Maghreb states and informal Islamic institutions that structure the space of everyday life; and politico-economic relations with the Sub-Saharan African states.The present article focuses upon the first set of relations as a way of posing and examining the followng questions:(1) Why and how, even today, Maghreb's economic dependence upon industrialized economies is maintained through the emigration of Maghreb's labor force;(2) How Maghreb's external trade relations based on raw materials determine the nature of the economic and social development of the Maghreb;(3) How relations with the industrialized world can be placed in a Mediterranean geo-political context.If most studies agree on the existence of dependent relations between Maghreb society and the industrialized world, the determination of the precise components of dependence varies from one study to another. An analysis of the cultural and agricultural aspects of the movement of labor allows us to understand the motivation and role of each emigrant in perpetuating the movement. On the other hand, the anatomy of a natural resource oriented economy shows us the limited possibility of autonomous development based on the international valorization of local resources. Further, the external prospects for Maghreb society are more uncertain than ever because of the sustained world recession. That is the reason why an alternative scenario of a Mediterranean bloc is being discussed professionally as one of the regional solutions to world-wide uncertainty.This scenario corresponds with the mutually expanding interests of the EC and the Arab World. An example of the closer ties is a network of agreements which the EC has established with almost all of the Mediterranean countries, including those with the Maghreb, concluded in 1976. These treaties are restricted to economic relations. Another example is the Euro-Arab Dialogue (DEA). This idea appeared in the aftermath of the Arab oil embargo in 1973. In a series of negotiations between the EC and the Arab countries, politics in the Middle East has come to the surface as a policy issue, though policies are yet to be formulated. It is obvious that the geo-political location of the Mediterranean Sea is strategically important for both the Maghreb and France. Since the late 1970s, France in particular has advocated a regional plan of cooperation based on the strategic location of the Mediterranean region. In comparison with former plans, this plan mentions that France, as the sole nuclear power in the region, is expected to make a contribution to security in the area; second, the Mediterranean countries —Southern Europe, the Maghreb and the Middle East— are located on the periphery in the structure of world capitalism. How this scenario develops still remains to be seen.