著者
大市 三鈴 笠原 由紀 松尾 貴子 楳田 高士 栗林 恒一
出版者
関西鍼灸大学
雑誌
関西鍼灸大学紀要 (ISSN:13495739)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.35-40, 2004

鍼灸治療において、抜鍼後の鍼体に付着する可能性のある肝炎ウイルスが、綿花で拭うという操作によりどの程度除去されうるのか、HBVを含む血清を鍼体に塗布する実験を行いその結果について検討した。HBe抗原陽性者の血清を鍼体に塗布したものと、それを80%エタノール綿花および乾綿でそれぞれ一回ずつ拭ったものからDNAの抽出を行い、HBV遺伝子に対するprimerを用いてPCR反応を行いウイルスの検出を行って3者を比較した。同様の実験を二度行ったが、どちらの実験においてもエタノール綿花で拭ったものと乾綿で拭ったもののいずれからもHBVが検出された。今回の結果からHBVが付着した鍼体からは綿花で一回拭っただけではウイルスが除去されない可能性が明らかとなった。
著者
山村 高淑 岡本 健
出版者
北海道大学観光学高等研究センター = Center for Advanced Tourism Studies, Hokkaido University
雑誌
CATS 叢書 (ISSN:21853150)
巻号頁・発行日
vol.7, 2012-03-31

観光資源としてのコンテンツを考える : 情報社会における旅行行動の諸相から = Current Issues in Contents Tourism : Aspects of Tourism in an Information-Based Society
著者
吉川 徹 キッカワ トオル Kikkawa Tooru

吉川徹. 階層・教育と社会意識の形成 : 社会意識論の磁界. ミネルヴァ書房. 1998. 304p.
著者
安達 登
巻号頁・発行日
pp.10-21, 2012-03-31

新しいアイヌ史の構築 : 先史編・古代編・中世編 : 「新しいアイヌ史の構築」プロジェクト報告書2012
著者
谷村 省吾 TANIMURA Shogo
出版者
サイエンス社
雑誌
数理科学 (ISSN:03862240)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.42-48, 2018-03

物理学者のウィグナーは1959年に “The Unreasonable Effectiveness of Mathematics in the Natural Sciences” (自然科学における数学の不合理な有用性)と題する講演を行った。数学は自然科学においてあまりにも便利である。とくに物理学では、推論・計算をする上で数学が便利だというだけでなく、そもそもの前提となる物理法則を数学以外の言葉では言い表せない。そのように世界が成り立っていることは不思議だし、そのような数学を人類が創造したことも不思議だ。しかも、もともと物理のために創られたのではない数学概念が、のちに物理を語る言葉として使われることがある。そのようなことはまことに不思議で、合理的に説明できない、というのがウィグナーの論の概要である。ウィグナーの見解は当たっていると思える部分もあるが、私は全面的には支持できなかった。まず、数学を用いた物理学がうまくいっている面はたしかに目につくが、物理学の失敗例もまた多数ある。人類史上、突然に、素晴らしくうまくいっている数学と物理学ができたというよりは、うまくいったものが生き残るという進化的な過程を経て、現在のような自然科学のしくみ、とくに科学的思考方法と表現形態ができてきたと考えるほうが素直であるように思える。 そういったことを論じて、うまく行っている数学と物理学の関係の例として、代数的量子論の概略を解説した。各節の見出し:1. 物理学と数学;2. 数学は物理学の言葉である;3. それは不合理なのか?;4. 量子力学と数学;5. 代数的量子論.補足解説の各節の見出し:1. スペクトル値と最小多項式;2. 本稿の式(2)の導出;3. 本稿の式(4)の導出;4. 本稿の式(6)の導出;5. 量子力学をよく知っている人向けのコメント;6. ウィグナーの論説と進化論;7. 数学・物理学の成功は奇跡か?;8. 進化は必ずしも改善を意味しない;9. 謝辞(リポジトリ掲載 2019年11月6日)
著者
高橋 直
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.200-209, 1992-03-31 (Released:2016-11-30)
被引用文献数
1

It is generally known that littering can not be controlled by merely physical technology but by controlling the littering behavior of individuals. This would seem to be the most important factor of control. As one effective technique for controlling littering behavior, a behavior modification technique has recently been discovered. This study evaluates the effectiveness of such a behavior modification technique to induce littering behavior in a naturalistic settings: the baseball stadium. The procedures used were as follows; (1) an operant contingency in the form of positive reinforcement procedures, (2) a positive prompting strategy, (3) a negative prompting strategy, (4) a litter bag only condition. The findings revealed a highly significant effect of treatment. There were significant differential effects between the different treatment strategies.
著者
古関 大樹
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.100328, 2015 (Released:2015-04-13)

発表の目的本稿が対象とするマンボとは、木材や石材などで天井や壁を覆わない、素掘りの地下水路を指す呼称である。その独特な名称の起源には諸説あるが、中世の鉱山用語で坑道を指す「まぶ(間歩・間風)」が転訛したというのが有力視されており、戦国時代末から江戸時代初期にかけて著しく発達した鉱山技術が、新田開発や乏水地域の用水確保に応用されたと考えられてきた。全国的には、鈴鹿山脈東麓(三重県北部)や垂水盆地(岐阜県西南部)などで発達していたことが知られている。マンボの研究を深めた小堀巌編『マンボー日本のカナートー』(三重県郷土資料刊行会1988)の副題にみえるように、日本のマンボは縦坑を備えた事例が中心に報告されてきた。その独特な形態や、大規模なものになると数100m以上の長さを持つことから、掘削方法や地域文化財、ほかの灌漑方法との比較や地域開発との関わりなどに関心が集まってきた。これに対して本発表が対象とするマンボは、河岸段丘の段丘崖に沿って掘削され、竪坑ではなく横坑を備えた事例である。また、従来は、稲作が困難な地域でマンボが普及した様子が伝えられてきたが、ここでは河川環境の変化に注目して考察を進めたい。地域の概要本発表が対象とする佐久良川は、滋賀県湖東地域の主要河川である日野川の支流である。その上流域は、鈴鹿山脈西麓の丘陵地帯の谷水を集めており、谷間の耕地を基盤とする農村景観が展開している。 圃場整備が行われるまでは、丘陵の枝谷に構えた溜池と河川灌漑が中心を担ってきた。しかし、河川と耕地が展開する段丘面の高低差は少なくなく、深い所になると10m以上の切り立った段丘崖が形成されている。本来であれば、佐久良川からの取水が非常に困難な地域であるが、ここでは井堰のすぐ近くの段丘崖にマンボを通し、段丘上に灌漑用水を導いている。河川環境の変化とマンボの導入 古文書や古地図、聞き取り調査などから約15本の水路でマンボが導入されていたことが分かった。この中には、現在も活用されているものもある。明治の地籍図から起こした復原図と比較すると、これが導入された水路は、地域の中核的な水路である場合が多い。地元の伝承によると、江戸時代後半~近代にかけて導入が進んだという。資料が良好に残る事例では、マンボが導入される数年前に大洪水が発生し、深刻な渇水に見舞われたことが契機となったようである。マンボの掘削と並行して、井堰の位置が大きく上流に移されているが、「井堰が川底ごと流失」したという資料があり、河床の低下が問題視されたのだと考えられる。既存の耕地を維持するためには、従来よりもさらに高い位置に井堰を置く必要があり、そのために横穴を備えた段丘崖を通るマンボが開削されたのだと考えられる。隣村との対応を含めて考察したい。
著者
尾川 達也 藤本 修平 大門 恭平 石垣 智也 森本 信三 森岡 周
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.129-137, 2020-12-20 (Released:2020-12-29)
参考文献数
22

目的:リハビリテーション医療の共有意思決定(Shared Decision Making;以下,SDM)を測定する患者報告式尺度を開発し,理学療法領域での信頼性と妥当性を検討すること.方法:リハビリテーション医療に必要なSDMの要素に基づき,Shared Decision Making for Rehabilitation(以下,SDM-Reha)仮尺度を作成し,入院や外来,地域で理学療法を受けている患者を対象に調査した.結果:218名(年齢70.1±13.3歳)のデータから探索的因子分析を行い,1因子10項目からなるSDM-Rehaを開発した.内部一貫性はCronbachのα係数が0.94,再テスト信頼性はICC(1,1)が0.93と高く,併存的妥当性も良好であった.結論:SDM-Rehaはリハビリテーション医療のSDMを評価する指標として,信頼性と妥当性を有する尺度である.