著者
太田 信義
出版者
名古屋学院大学総合研究所
雑誌
名古屋学院大学論集. 社会科学篇 = Journal of Nagoya Gakuin University (ISSN:03850048)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.27-34, 2020

「人生100年時代」においては,現役引退後にも長いシニア時間が待っている。充実した後半生として,どう過ごしていくのか。今や,誰にとっても重要なテーマとなってきている。 本稿は,このテーマについて,これまでの仕事・研究人生を振り返りながら,その生き方・考え方をまとめたものである。現役時代を「ものづくり技術者」として打ち込んだ筆者は,引退後に大学院で社会科学研究に打ち込む。博士論文を仕上げ,単著書として出版した後も,研究を続けている。 冒頭のテーマに対して,筆者のたどり着いた答えは,「シニア時間を知的に楽しむ」である。「働・学・研」で学びとった知識と豊富な経験とを融合させ,頭脳を働かせ,創造性ある考え方で時代の変化に対処し,楽しんでいくこと,である。どう実践していけるか,継続していけるか。そして,どう楽しめるか。それは,次に待つ大きな課題でもある。
著者
岩田 雄治 杉田 治男 出口 吉昭 Fred I. KAMEMOTO
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.183-188, 1992-06-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
11

1984年11月に駿河湾から採集されたサガミアカザ抱卵雌より得た幼生を飼育し, その形態を観察した。採集時に発眼卵であった卵は, 40日後に孵化を開始した。幼生はプレゾエア, 2期のゾエアを経てメガロパに達した。ゾエアは摂餌が観察されず, メガロパにおいて摂餌が観察された。同属の幼生との比較ではミナミアカザエビ幼生と類似していたが, ゾエアの生時の体色および腹節の背棘が無いことによって同種との判別が可能であることが判った。
著者
吉田 毅
出版者
日本スポーツ社会学会
雑誌
スポーツ社会学研究
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.43-58, 2010

<p> 本稿の目的は、オリンピック金メダリストがどのような競技生活を送って金メダル獲得に至ったのか、また、金メダル獲得は金メダリストのその後の人生にどのような影響を及ぼしているのかについて、競技者のキャリア形成の視点を踏まえ解明することであった。ここでは、冬季オリンピック、ノルディック複合団体で金メダルを獲得した日本チームの1人を事例とし、ライフヒストリー法を用いて検討した。<br> 氏は、スポーツ少年団で本格的なジャンプを、中学時代に複合を専門的に始めた。高校時代にはハードトレーニングに打ち込んだ結果、日本代表としてジュニア世界選手権に出場し、また、インターハイで優勝した。氏の競技者キャリアは、中学時代までは「導入・基礎期」、高校時代は「強化・飛躍期」、大学時代は「停滞期」、そして実業団時代が「仕上げ期」と捉えられる。これは、競技力養成という点で、早期には結果を求めるよりも基礎づくりが重要であることを示唆する1つのモデルとなり得るだろう。また、ピークに達する前段階での停滞が奏功したモデルともいえるが、氏はこの時期にもオリンピックに出場したいとの夢を保持していた。氏が金メダル獲得に至るまでには、金メダル獲得の追い風というべき運命的な要素がいろいろと見出された。おそらく金メダリストの競技者キャリアには、そうした運命的な要素を孕む金メダル獲得に至るストーリーがあるのだろう。 氏のこのストーリーには、さらに各段階の指導者、ならびに両親をはじめとした支援者と様々な他者が登場する。<br> 氏にとって、金メダル獲得は至福の体験であり、ほとんど良い意味で氏の人生を変えるものであった。例えば、世間の注目を浴び、あらゆる面で自信を得、多額の報奨金を得た。現役引退後のセカンドキャリア形成プロセスでは、学校等からの度々の講演依頼、また複合のテレビ解説依頼があり、仕事では知名度の高さが有利に働いた。</p>
著者
後藤 健志
出版者
くにたち人類学会
雑誌
くにたち人類学研究 (ISSN:18809375)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.1-19, 2018

アマゾニアの熱帯雨林に産する向精神性の医薬であるアヤワスカは、インディオの精神文化を扱った民族誌の中では、比較的なじみの深い主題として記述されてきた。アマゾニアの生態系とは、植民者たちが到来する以前から、在来の園芸農業による改変を被りながら形成されてきた自然と人間との複合体である。アヤワスカの原料となる植物種もまた栽培種として、そこでの伝統的な生業体系の中に組み込まれてきた。本稿では、植民者たちの間で創設されたアヤワスカを実践する新宗教が、アヤワスカの慣習がもともと存在してこなかったマト・グロッソ州へと展開していく過程について、「園芸」という側面に注目して考察する。アヤワスカの摂取を通じて自己の内的世界を変性させた主体が、やがて現代的な熱帯農業の技術と融合させながら、自己を取り巻く外的世界をアマゾニア的な構成態へと再編していく過程について、筆者のフィールド・データをもとに素描する。
著者
寺島 俊穂
出版者
関西大学法学会
雑誌
關西大學法學論集 (ISSN:0437648X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4-5, pp.795-848, 2004-02-25

土倉莞爾教授還暦記念論文集
著者
寺島俊穂著
出版者
風行社
巻号頁・発行日
2004
著者
庄司 貴由
出版者
日本政治学会
雑誌
年報政治学 (ISSN:05494192)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.2_168-2_190, 2020

<p>1993年後半、日本は歴史的転換期を迎えていた。非自民連立政権が誕生し、長らく続いた五五年体制が崩壊する。その直後、細川護熙首相が政治改革を最優先に掲げた結果、政治指導者たちはPKOをめぐる議論から遠退き始める。それでは、ONUSAL参加への道筋はいかにして整えられたのか。本稿の目的は、ONUSAL派遣をめぐる政策決定過程を、主として外務省に着目して明らかにすることである。</p><p> 日本の対エルサルバドル外交は、外務省中南米局が準備した 「二つのD」 (民主主義と開発) 政策によって開かれた。和平合意の成立を機に、中南米局は 「二つのD」 の 「中核国」 にエルサルバドルを据え、中南米外交の強化を図っていく。クリスティアーニ大統領から選挙監視要員の派遣を要請されるや、中南米局と総理府国際平和協力本部は内々で調査を進め、武装強盗など紛争当事者以外の脅威まで 「発見」 するに至った。そうして得られた情報は、当時議論が集中した自衛隊や政治改革と掛け離れ、国会での建設的な議論に結び付かなかった。だが、ONUSAL派遣をめぐる営みは、新たに地域局主導のアプローチが形成される端緒を意味したのである。</p>
著者
小長野 豊 江西 一成 井戸 尚則
出版者
東海北陸理学療法学術大会
雑誌
東海北陸理学療法学術大会誌
巻号頁・発行日
vol.26, pp.85, 2010

【はじめに】今回,受傷後6年間経過し積極性の乏しい頚髄損傷者の理学療法を経験し,いくつかの知見を得たので報告する.【症例紹介】31歳男性,頚髄損傷・両大転子部褥瘡の診断名で,家族関係は疎遠であった.入院までの経過は,平成15年6月4日受傷し,C4~6前方固定術後,リハビリテーション(以下,リハビリ)を受けたがADL全介助であった.平成18年1月より母親を介護者として自宅生活を送ったが,平成19年母親死亡により施設入所となる.しかし,問題行動で強制退所となり,同年11月民間病院へ入院した.その後,褥瘡発生したが,治癒を認めず平成21年7月23日当院へ転院した.【初期評価】第6頚髄損傷(AIS:A).上肢の残存筋筋力は肘伸展の1以外3~4レベル,ROMは股・膝関節に20~30度の屈曲拘縮を認めた.両大転子部の褥創は右7×6cm左5×4cm,左右ともに真皮まで達していた.ADLは食事と車いす移動以外全介助であった.【経過】理学療法は,褥瘡治療(ラップ療法)を優先しつつ,循環改善のため起立台による立位訓練,関節可動域,筋力増強訓練を行った.しかし,当初は本症例・PTともに,明確な目標と理学療法内容に確信を持てずに積極的なリハビリを行えなかった.その後、旧知の頚損患者との接触,頸損者の動作映像の参照,独り暮らし実現へのスタッフの積極的関与などから,リハビリに前向きとなった.その結果,リハビリでは約2ヶ月目にROM,筋力,耐久性の向上を認め,いざり動作,座位バランス訓練が可能となった.この頃より,本症例・PTともに移乗動作獲得を明確に意識したリハビリを行い,約4カ月目にいざり動作,約6カ月目に移乗動作が可能となった.約8カ月目,医療相談員との協働によって介護付き賃貸住宅へ退院した.【まとめ】本症例では,基本的理学療法に加え,当事者間共通の目標設定を持てたことが功を奏したと考えられた.
著者
喜納 昌吉
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1569, pp.133-135, 2010-12-06

1948年生まれ、62歳。沖縄県出身。音楽家として「ハイサイおじさん」「花」などのヒット曲を生む。2004年、参院選に民主党から比例区で出馬し当選、民主党沖縄県総支部連合会代表に就任。今年7月、参院選で再選を目指すも落選。11月の沖縄県知事選でも出馬を検討するが、断念した。【沖縄県知事選の概要】現職の仲井真弘多氏が、前宜野湾市長の伊波洋一氏らを破り再選された。