著者
倉澤 卓也 佐藤 敦夫 中谷 光一 池田 雄史 吉松 昭和 池田 宣昭 井上 哲郎 金井 廣一
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR TUBERCULOSIS
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.75, no.5, pp.389-394, 2000-05-15 (Released:2011-05-24)
参考文献数
18

We report an outbreak of pulmonary tuberculosis (TB) in a dormitory of construction labors, and this outbreak is suspected to have been caused by exogenous reinfection, based on the restriction fragment length polymorphism (RFLP) analysis and other findings.After a patient entered our hospital with active TB, 12 new other patients were discovered by contacts examination. These patients lived together in the same dormitory. They were all male and single, and were aged from 43 to 63 years old. Except one patient (No.3) previously treated for TB for three months about 2 years ago and was suspected to be the index case of this outbreak, 12 other patients did not have a medical history of TB.The bacilli cultured from 11 patients (No.1-11) were tested by RFLP analysis, three patterns were identified, and the fingerprints from 9 patients (No.1-9) were identical, and the patterns of incomplete resistance of some antituberculous drugs were quite similar between No.1-9 and No.12 and between No.10 and No.13, respectively.The locations of the main lesions of TB on chest X-ray pictures were the apico-posterior segments of bilateral upper lobes. No signs suspected to indicate primary tuberculosis were detected.Considering the rate of tuberculous infection in Japan among the middle age and above as well as the identical RFLP results, most of patients in this outbreak except the index case No.3 were suspected to have TB due to the exogenous reinfection.
著者
平嶋 裕輔 浅井 武 鈴木 健介 中山 雅雄
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.70, pp.223_3, 2019

<p> ゴールキーパーにとって最も重要なプレーはシュートストップである。このシュートストップは、現在、セーブ率を用いて評価されることが一般的である。しかし近年、セーブ率は、被シュート1本毎のシュートストップ難易度が考慮されておらず、現場に有効な評価指標ではないとその妥当性を疑問視する声もある。そこで本研究は、2014FIFAワールドカップ全64試合を対象に、128名のGKをセーブ率によって評価し、その結果と被シュート1本当たりの平均シュートストップ失敗確率、被シュート数、予測失点との関係を明らかにし、セーブ率の問題点を検証することを目的とした。被シュート1本当たりの平均シュートストップ失敗確率及び予測失点の算出には、平嶋ほか(2014)が開発したシュートストップ失敗確率予測回帰式を用いた。その結果、セーブ率と被シュート1本当たりの平均シュートストップ失敗確率、予測失点との間に有意な負の相関関係が認められた。つまりセーブ率は、シュートストップの難易度が考慮されておらず、平均シュートストップ失敗確率の低い選手、予測失点が少ない選手の評価が高くなるという大きな問題点を有するということが明らかとなった。</p>
著者
石井 健太郎
出版者
専修大学ネットワーク情報学会
雑誌
専修ネットワーク&インフォメーション (ISSN:13471449)
巻号頁・発行日
no.27, pp.7-13, 2019-03

This paper discusses the findings of experiments on spatial cognition by an avatar-controlling user of telecommunication systems. With the presented telecommunication systems, the avatar-controlling user has an objective viewpoint to see the remote environment. However, sometimes, the words of an avatar-controlling user may not be intuitive for an avatar-viewing user, because the avatar-controlling user does not necessarily share the viewpoint of the avatar. We conducted a series of experiments to investigate how user interface or avatar implementation can mitigate this mismatch of the avatar-viewing and avatar-controlling users. The results showed that a refined user interface and a physical robot brought more intuitive utterances for the avatar-viewing user than an original projection-based system.
著者
中村 怜之輔 風岡 三信
出版者
岡山大学農学部
雑誌
岡山大学農学部学術報告 (ISSN:04740254)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.27-36, 1977

現在わが国のバナナ消費量の85% を占めるフィリピン産Cavendish種バナナの流通経路を次の3段階に大別し,温度条件を中心にして輸送環境を追跡調査した. 1)プランテーション→輸出港(フィリピン) トラック輸送を含むこの工程での箱内温度は気温付近の25~28℃で,冬期にはこの工程で高温の影響を受けることはないと思われる. しかし,滞荷が生じるとパッキング・ハウスや桟橋で直射日光にさらされて,果実温度が一時的に30℃を越えることが予想される. とくに夏期には注意が必要であろう. 振動は輸送距離が短かい割には回数が多く,また3G以上の強振動が日本国内の通常の輸送状態の場合と比較してかなり多かった. 2)海上輸送(ダバオ→大阪) 5000トン級バナナボートで,目標温度13.5℃,5日間で低温輸送した. 3Aホールドでは冷却速度が遅く,大阪到着時にも14.5℃で目標には達しなかった. 一方,4Bホールドでは50時間後には目標に達し,その後も低下して12℃に至った. 今回は低温障害の発生はみられなかったが,危険性は十分にあり,今後船内での過冷却については十分注意する必要があろう. ホールド内湿度は荷積後数時間後には95% RHになり,以後そのまま保たれた. また大阪到着時のホールド内空気組成は酸素19.4% ,炭酸ガス0.20であった. 船の動揺による振動加速度は,使用した加遠度計では記録されなかった. 3)輸入港→追熟加工業者(日本) 大阪港→出雲市(バン・トラック),神戸港→米子市(二重シートがけ)の2回のトラック輸送を行なった. 峠を越える時点で,外気温は一時的に約0℃にまで低下したが,箱内温度はほとんど影饗を受けなかった. また振動は比較的少なかった。
著者
横井 修一 現代行動科学会誌編集委員会
出版者
現代行動科学会
雑誌
現代行動科学会誌 (ISSN:13418599)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.1-11, 2012-08-31

「学問にはどんな意義があるのか」という疑問や悩みをもつことは、近年少なくなったと言われるが、恐らく現在も大学では、漠然とであれ新入生から教師まで一度は持たれる問いであろう。それは大学卒業後の人であれば、学問・研究に関わらない立場で学問と関わる意味は何かという問題であり、本紙の読者には職業上の専門知識との関係なしに<行動科学>という学問に関わる意味は何かという問題で、より広げて言えば<行動科学>(注1)という学問は私たちの生活でどのような意義をもつかという問題である。 この『現代行動科学会誌』の読者である現代行動科学会会員の大半が<行動科学>を学んだ卒業生であるが、職業として学問(教育・研究)に関わる人は一部であるし、臨床心理学関連の専門職のように<行動科学>が職業的な専門知識として必要とされている人々も多数派ではない。大多数の会員にとっては職業上の「専門知識」と直結しないとすれば、その<行動科学>の学問的な知識はどのような意味を持つのであろうか。 本稿では以上の問題について、<行動科学>をひとまず「社会学」に置き換え、私たちの日常生活において社会学がどのような意味をもつかという問題として、M.ブラウォイの「公共社会学」論を踏まえながら考えてみたい。 ブラウォイ(Michael Burawoy)は公共社会学論に関する論文を2004年以前にもいくつか著しているが、中心となるのはアメリカ社会学会における会長講演(2004年)をそのまま活字化した次の論文である。講演の全文はきわめて明晰なもので、その後に書かれた論文で取り上げられている論点が、本稿に関連する限りではすべて展開されている。 Michael Burawoy, 2004, For Public Sociology PRESIDENTIAL ADRESS, American Sociological Review, 2005, Vol.70(February:4-28) 本稿におけるブラウォイの紹介は主としてこの論文に基づいており、その引用や参照箇所は単に該当頁だけを付記する。引用文中の「・・・・」は省略を、「[]」は原文にない補いを示す。なお、本稿の「注」は研究論文の作法としての論拠の提示や補足であり、本稿の内容自体は本文だけでも理解されるのではないかと思う。 本稿の1~4節はブラウォイの公共社会学論の―本稿の主張の基礎となる部分の―紹介で、5~6節がブラウォイの議論を踏まえた筆者の主張である(注2)。
著者
五十嵐 寛
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.75-79, 2020-01-15 (Released:2020-02-19)
参考文献数
9

シミュレーション教育に従事する方々を対象に,セミナーを開発する場合の最重要ポイントを,成果(アウトカム)基盤型教育とインストラクショナルデザインの観点から概説する.セミナー開発時の必須項目は,受講対象者の設定(入口)とアウトカム(出口)設定,教育効果の指標(カークパトリック・モデル),モチベーションへの配慮(ARCS動機づけモデル)などである.
著者
林 志修 佐々木 輝美
出版者
日本デジタルゲーム学会
雑誌
デジタルゲーム学研究 (ISSN:18820913)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.53-65, 2018 (Released:2019-10-01)

本研究では向社会的デジタルゲームに関する先行研究での課題の解決を試み、向社会的行動を文脈によって定義づけ、その定義に基づき、人気デジタルゲームタイトルの内容分析を行った。内容分析の結果、分析対象になった27個のデジタルゲームタイトルでは1時間当たり平均3.59回の向社会的行動が行われた。内容分析に基づき、デジタルゲームの中の向社会的行動とプレイヤーの向社会性の関係を明らかにするためインターネット調査を行った。その結果、向社会的行動の表現が多くみられたデジタルゲームのプレイ時間とプレイヤーの向社会性の間に有意傾向の正の相関がみられた。また、向社会的行動を文脈によって分類したとき、異なる種類の向社会的行動の持続時間はプレイヤーの向社会性と異なる関係を示すことが分かった。
著者
国学院大学 編
出版者
国学院大学
巻号頁・発行日
vol.大正13年, 1924
出版者
日経BP社
雑誌
日経アーキテクチュア (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.779, pp.90-93, 2004-09-20

フジテレビ系月曜21時からの人気ドラマ枠、いわゆる「ゲツク」で、この夏放送されていたのが「東京湾景」。トレンディドラマという言葉が死語になっても、時代の空気を映す鏡であることに変わりはない同枠の主題は旬の「韓流はんりゅう」だったが、映像上注目すべき点がもう一つあった。
著者
戸田 宏文 山口 逸弘 鹿住 祐子 中江 健市 上硲 俊法 田中 加津美 吉田 理香 吉田 耕一郎
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.319-324, 2013 (Released:2014-02-05)
参考文献数
18

我々は喀痰抗酸菌培養検査において,採痰ブース内水道水にMycobacterium lentiflavumが混入したことによるpseudo-outbreakを経験した.81症例からM. lentiflavumが検出されたが,感染症例は認められなかった.採痰ブース以外の院内水道水103箇所の抗酸菌培養を行ったところ,6個所からM. lentiflavumが検出された.臨床分離株14株,採痰ブース由来3株,および院内水道水由来5株の合計22株についてrep-PCRにて相同性の確認を行ったところ,プロファイルAからEに分類された.プロファイルCとDには臨床分離株と環境由来株が混在し,95%以上の相同性が認められた.