著者
ロドリゲス ロメロ F. ラガルダ フィゲラス A. ウリベ アルコセル M. ロハス ララ M. L.
出版者
日本貝類学会
雑誌
貝類学雑誌 (ISSN:00423580)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.180-184, 1979
被引用文献数
3

アメリカガキCrassostrea virginicaの地方種群について, 染色体レベルでの比較検討の可能性をさぐる目的で"G"バンドパターンを調べた。メキシコ湾タバスコ地方のマンチョナ礁湖産アメリカガキの生殖巣から, エア・ドライ法(著者等1978)により染色体標本を作成し, BAKER等(1975)の簡易法で"G"バンドを観察した(第1図)。"G"バンドパターンは対合する染色体で完全に一致した。各染色体対ごとのバンド数は第1表に示すとおりであり, 各染色体のバンドバターンは第2図のようである。アメリカガキ地方種群の間には生理的変異のあることが知られているが(LOOSANOFF and NOMEJKO 1951, STAUBER 1947)そのような変異が染色体上に反映しているかどうか, 各地の種群についてこの方法で確めるのが今後の課題である。抄択 稲葉明彦
著者
三上 恒治 村上 卓道 岡田 篤哉 丸川 太朗 中村 仁信
出版者
日本ハイパーサーミア学会
雑誌
日本ハイパーサーミア学会誌 (ISSN:09112529)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.129-137, 2005
被引用文献数
1

集束超音波療法 (Focused Ultrasound Surgery;FUS) は, 焦点域の組織のみを壊死させる低侵襲性熱凝固治療である.50年前より超音波ガイドによるFUS治療の臨床応用が報告されてきたが, 不正確な位置情報, 温度測定法の欠如, 治療効果の評価法の欠如により十分な治療成績が得られていなかった.しかしながら, MRIガイドによる正確な位置情報の取得と治療中の温度計測により安全で正確な治療が可能になった.また造影MRIにより治療直後に治療効果を評価することが可能となった.本稿ではMRIガイド下FUS治療の原理, 治療方法と最近の臨床応用について述べる.
著者
武内 謙治
出版者
日本犯罪社会学会
雑誌
犯罪社会学研究 (ISSN:0386460X)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.68-83, 2015

近時の少年司法・矯正改革の特徴としてみられるのは,(1)非行を「社会病理」ととらえる視点の退行,(2)人間行動科学領域の専門知の退行・萎縮,そして(3)(立法の場における)(とりわけ裁判)実務家からポジティブな実務経験が語られることの乏しさ,という現象である.本稿は,非行を社会病理ととらえる視点が,保護処分の処遇上の有効性を正面から問題にする思考や,非行の問題を社会として引き受けることとつながってきたこと,特に結果重大事件における専門知の用い方が悪循環を来していること,(裁判)実務家からポジティブな経験が語られることが少なくなっていることが,「適正」という言葉の理解に反映しており,少年法適用年齢の問題もこれと無関係ではないこと,しかしながら,この傾向を推し進めることは,理念的には,個の尊重や自立的な非行の克服への信頼の軽視ないしは否定を,実際上はケースワークの退行を帰結することを指摘する.それを踏まえて,問題状況を好転させる契機が今次の少年司法・矯正改革に内在しているかを問い,その枠を超えたより抜本改革として,参審制による審判への民衆参加制度を採用する必要性と可能性について論じる.
著者
上田 睦
出版者
関西大学
巻号頁・発行日
2009

博士論文
著者
新山 陽子 西川 朗 三輪 さち子
出版者
日本フードシステム学会
雑誌
フードシステム研究 (ISSN:13410296)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.15-33, 2007-06-30 (Released:2011-09-26)
参考文献数
37
被引用文献数
11 7

We know a trend toward supply of the detailed production history information of a food at the point of purchase to consumer with trace-ability system in the food chain. On the other hand, psychological consumer behavior research has pointed out the limitation of information processing capacity and therefore the adoption of the simplified information processing methods as heuristics at the point of purchase.This study has given the consumer information processing model has been based on comprehensive models as EBM Model, Bettman Model, Elaboration Likelihood Model and so on. Based on the model, we have collected the protocol date of consumers by thinking aloudmethod at the point of five kinds flesh foods purchase in a retail shop, and have analyzed the number of search items and attributes of the foods, the kinds of decision strategy and the times of the information processing. As the results, we have pointed out routine problem solving or limited problem solving included heuristic decision strategies in the consumer information processing at the point of purchase. Accordingly, it is not a realistic idea that consumers make it a practice to refer the supplied great detailed information at the point of food purchase. It is desirable that we supply essential information of food attributes with simplified condition to consumers.
著者
赤澤 淳子
出版者
仁愛大学
雑誌
仁愛大学研究紀要 (ISSN:13477765)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.17-31, 2006-12-30

本研究では,恋愛過程において遂行される恋愛行動の規定因を明らかにすることを目的とした.研究1では,恋愛過程で生じると思われる恋愛行動項目を検討し,恋愛行動を捉えることのできる尺度を作成した.分析の結果,男女ともに「親密交際行動」・「相互理解行動」・「否定的行動」・「男性役割行動」・「女性役割行動」・「デート行動」という6つの下位尺度からなる恋愛行動尺度が構成された。研究IIでは,関係進展度,性別役割の自己認知,恋愛意識,交際相手の行動が,恋愛行動の遂行に及ぼす影響について検討した.その結果,男性においては結婚の可能性が直接男性役割行動を高め,女性では結婚の可能性がErosを介して間接的に女性役割行動を高めていた.また,女性の女性役割行動が交際相手の男性の男性役割行動の遂行度を高めていた.これらの結果は,恋愛過程において男女が遂行するとされる相補的役割の中に,性別役割行動が含まれており,関係進展度がそれらの遂行に影響を及ぼしていることを示唆しており,青年期の恋愛関係においても,固定的な性別役割分業観が影響を及ぼしている可能性が示された.さらに,女性においては,Ludusが行動の規程因として強く影響していることから,女性の場合その恋愛が遊び感覚であるか否かによって大きく行動が変わることが明らかになった.
著者
小池 拓矢 菊地 俊夫
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

<B>1. はじめに</B><BR> ジオパークを訪れた人びとは火山や海洋、河川などの営力によって形成されたダイナミックな景観を目にすることになる。これらの景観はジオパークの来訪者に大きなインパクトを与えるコンテンツである。よって、どこでどのような景観が来訪者に評価されたのかを検討することは、ジオパークの管理や運営をする上で重要である。そこで、本研究は伊豆大島で行われたジオツアーを事例として、ジオツアーの参加者がどこでどのような景観を評価しているのかを明らかにする。<BR> 伊豆大島は東京の都心の南方に位置しており、2010年10月に「伊豆大島ジオパーク」として認定された。伊豆大島には玄武岩質の成層火山である三原山をはじめとしたジオサイトが存在する。<BR><B>2. 研究方法</B><BR> 本研究は、首都大学東京の都市環境学部自然・文化ツーリズムコースで開講された野外実習における伊豆大島でのジオツアーに対して調査を行った。ジオツアーは2015年6月30日に行われ、これに参加した学生13名に調査に協力してもらった。<BR> ジオツアー参加者の景観評価を明らかにするために、本研究は参加者がツアー中に撮影した写真を分析するVEP(Visitor Employed Photography)という手法を用いた。参加者にGPS機能付きのデジタルカメラを貸与し、ツアー中に自由に写真を撮影してもらった。ジオツアーは2つのグループに分かれて行われ、それぞれのグループにガイドが1人ずつ付いて学生を案内した。2名のガイドが行ったインタープリテーションの内容をICレコーダーで記録し、インタープリテーションと景観評価の関係性について考察した。ジオツアー終了後には、参加者に撮影した1枚1枚の写真の撮影対象などを問うアンケートを行った。このアンケートでは、撮影対象のほかに、それぞれの参加者が気に入った写真5枚を選んでもらい、これらについても分析の対象とした。<BR><B>3. ジオツアー参加者の景観評価</B><BR> VEPを用いた調査を行った結果、一方のグループ(参加者7名)からは694枚の写真が、もう一方のグループ(参加者6名)からは581枚の写真が得られた。両グループともに地形景観や地質資源の写真がよく撮影されており、これらの写真の撮影地点に対してカーネル密度推定を行った結果、写真撮影が集中して行われた場所はすべてガイドによるインタープリテーションが行われた場所であった。ただし、その集中がみられた位置はグループごとに多少の違いがみられた。<BR> 次に、ツアー参加者が選好した写真についての分析を行った。参加者によって撮影されたすべての写真の撮影対象と比較して、参加者が選好した写真は人間を撮影したものの割合が大きかった。以上の結果から、ツアー参加者はあくまで記録として地形や地質に関する写真を撮影するが、記憶に残りやすいのは友人との楽しい時間の思い出であると考えられる。ツアー参加者に楽しかった記憶や満足した記憶が残れば、その地を再度来訪したり、他人に来訪を薦めたりする可能性は高くなる。<BR> 起伏に富んだ地形や非日常的な自然景観を利用して、人物のユニークな写真を撮影できるのがジオパークの特徴であり、ジオパークのガイドはツアー参加者にこれらの地質的・地形的資源を「観察」させるだけでなく、「体感」させるようなインタープリテーションを行うことが重要であるといえる。菊地・有馬(2011)はジオツーリズムの役割として、「広く一般に地形・地質や地球科学の知見が楽しく有意なものだと認識してもらうことがより重要である」と述べている。本研究の結果も、ジオパークにおけるインタープリテーションはただジオサイトに関する情報を提供するだけではなく、楽しさを同時に伝えることが必要なことを示唆していた。
著者
上野 正雄
出版者
日本犯罪社会学会
雑誌
犯罪社会学研究 (ISSN:0386460X)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.65-71, 2017

少年法は保護処分すなわち教育によって少年を更生させようとする.しかし,近時の少年法を巡る 動きを見ると少年の責任を追及するという姿勢が強くなってきている.その背景には,少年を可塑性 が高いという点で質的に成人と異なる存在と見るか(子ども観),少年と成人の連続性を重視して本質 的な相違はないと見るか(小さな大人観),法対象者の見方の違いがある.このような中で,近時の脳 科学・神経科学の進歩は,衝動的行動を抑制する前頭前皮質の成熟は20代後半まで緩徐に進行するが, 感情をつかさどる大脳辺縁系は10歳頃に始まる思春期に成熟が促進され,この両者の成熟速度の不均 衡のため,10代の若者は危険な行動に走りがちだが,一方で環境に素早く適応することができる,と いう知見をもたらした.これは「子ども」観が拠って立つ科学的根拠の一つとなる.反面,非行少年 に対する責任を追及するという方策は,少年の更生とそれによる社会の安全確保にとって望ましいも のではないことになる.その上で,「子ども」観の徹底という点から,少年法上のいくつかの制度につ いてどのように解釈し,運用することが適切なのかを検討する.

1 0 0 0 OA 泰西革命史鑑

著者
久松義典 編訳・評点
出版者
巌々堂
巻号頁・発行日
vol.上巻,中巻,下巻, 1885
著者
志村 ゆず
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.84, pp.PD-129-PD-129, 2020

<p>新型コロナウィルスの感染拡大は,未曾有の不安を人々にもたらした。コロナ禍はこれまでにない特性の影響力を持っている。拡大地域では感染症予防によって人々の対面交流が妨げられ,日常生活で通常行っている様々な心理的回復の資源が剥奪された。このような心理的急性期に苦肉の策として感染拡大地域の教育現場では,オンライン授業が導入され始めた。これまで実験場面では筆記法の効果が検討され,実践場面でも専門職による電話相談や遠隔カウンセリングなどが実施されている。</p><p>本研究では,大学のオンライン授業が実施される中で,不安管理のために大学生にオンライン筆記法を実施した。執筆中は心理的配慮についても慎重に行った。本人の承諾を得て個人情報に留意し執筆内容の質的分析を行った。不安内容についてはオンライン筆記の内容より不安や効果に関する記述を抜き出して語りの質を検討した。結果は,次の観点から検討した。1不安の記述についての表現の明確さ,2実際の感染状況との関連性,3不安を乗り越えようとする努力の焦点であった。この観点を考慮に入れ,筆記法の効果や問題点や留意点などについて考察した。</p>