著者
新谷 俊一 田中 和広
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地學雜誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.118, no.3, pp.340-349, 2009-07-07
参考文献数
20
被引用文献数
3 12

&emsp;Mud volcanoes are structures formed as a result of the emissions on a land surface or the sea floor of argillaceous material, which is composed of erupting remobilized mud, petroliferous or magmatic gases, and high-salinity water. Recently, large constructions have been planned deep underground besed on the expectation of geological stability. Therefore, it is important to study the origin of erupted mud and groundwater and the depths from which they ascend when evaluating long-term stability. Three active mud volcanoes and a passive mud volcano are found in the Tertiary Shiiya Formation distributed in Tokamachi City, southern part of Niigata Prefecture. Detailed descriptions of the mud volcanoes are provided by Shinya and Tanaka (2005). However, the origin of erupted mud and the formation mechanism of abnormal pore water pressure have not yet been identified. The authors measured the oxygen and hydrogen isotopic ratio of groundwater and vitrinite reflectance of coal fragments separated from erupted mud of an active mud volcano to investigate the origin of erupted mud, particularly the depth of the origin, and the formation mechanism of abnormal pore water pressure. As a result, &delta;<sup>18</sup>O and &delta;D values of erupted water are 1.2&permil;, -5&permil; respectively, showing good agreement with those of the Nanatani Formation distributed at a depth of 3400 m in depth in the studied area. Vitrinite reflectance (Ro) shows a bimodal distribution (<i>i.e.</i>, 0.3-1.2% and 1.5-1.8%). Ro value of coal fragments sampled from the Shiiya Formation at the outcrop in the studied area are 0.3-0.45%. High Ro (1.5-1.8%) values of coal fragments are obtained in core samples at a depth of 4000 m in the Gimyo SK-1 oil well, which was excavated 2 km NW from the mud volcano. As a result of an investigation of erupted materials at the mud volcano, they were found to have originated at depths of from 3400 m to 4000 m in the studied area. Geothermal temperature of underground at depth of 3400 m to 4000 m in the in the studied area is estimated to be about 120&deg;C to 150&deg;C. Estimated temperature is high enough to cause diagenetic transition from smectite to illite. Transition from smectite to illite results in the release of a large volume of pore water into the sediment. It is concluded that dehydration due to mineral transition might be the major reason for abnormal pore water pressure formation at depths of 3500 m to 4000 m in the study area.
著者
大重 育美 衛藤 泰秀 小川 紀子 苑田 裕樹 山本 孝治 西村 和美 姫野 稔子 高橋 清美 田村 やよひ
出版者
日本赤十字九州国際看護大学
雑誌
日本赤十字九州国際看護大学紀要 = Bulletin of the Japanese Red Cross Kyushu International College of Nursing = 日本赤十字九州国際看護大学紀要 = Bulletin of the Japanese Red Cross Kyushu International College of Nursing (ISSN:21868042)
巻号頁・発行日
no.18, pp.23-30, 2020-03-31

われわれは平成28年度の学長指定研究開始後より、福祉避難所としての仕組みを整えるための活動を行ってきた。平成29 年度には、熊本地震の際に福祉避難所としての運営を行った施設責任者を対象に聞き取り調査を行い、公共施設での福祉避難所の課題を明らかにした。今年度は、日本赤十字九州国際看護大学(以下、本学とする)が福祉避難所として機能するためにどの場所が適切なのか、実際に収容できるのかの実証的な調査が必要であった。そこで、本研究は災害を想定した福祉避難所としての運営に向けた課題を環境の変化と人体への影響という視点から明らかにすることを目的とした。方法は、福祉避難所として想定している本学敷地内のオーヴァルホール、体育館、実習室の外気温、室内温、湿度の経時的な変化を計測し、20歳代から70歳代までの各年代の参加者の自覚的疲労度を主観的評価と体温、血圧、脈拍を経時的に測定した。その結果、室内温は、時間の推移に伴い徐々に下降傾向で、オーヴァルホールと実習室は温度の推移がほぼ同じで2時以降やや下降気味であった。外気温は、オーヴァルホールと体育館は同じ推移であったが、実習室の外気温は棟内であり、気温の低下の影響は少なかった。主観的な評価項目では、「ねむけ感」が時間の推移に伴い高まり、「ぼやけ感」は22時をピークに下降気味となった。したがって、室内温、外気温の変化がほぼ同じだったことから、収容場所は要配慮者の状況によっては、オーヴァルホール、体育館、実習室の利用が可能であることが示唆された。課題は、睡眠環境の整備として寝具の工夫が必要であることが明らかとなった。報告 = report
著者
山田 一之
出版者
静岡産業大学経営研究センター
雑誌
環境と経営 : 静岡産業大学論集 = Environment and management : Journal of Shizuoka Sangyo University (ISSN:13415174)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.93-101, 2020-12

令和2年は春先からの新型コロナウイルス感染拡大によって新学期の開始が遅れ、学生は4月から5月上旬にかけてほぼ1か月間自宅待機を余儀なくされた。予期せぬ長期の臨時休業は、学生に大きな心理的負担を与えたと考えられる。そこで、自宅待機中の学生の生活・学修および心理状態について検討するために、5月上旬の新学期始業時に、自宅待機の1か月間の学生の過ごし方についてアンケート調査を行った。その結果、半数以上の学生が自宅待機期間を休みであると考えていた一方、規則正しい生活を送っており、健康状態も比較的良好であったことが明らかにされた。また、自宅待機中の学修態度に関しては、半数以上が自主的な学習を行っていたが、同様に半数以上の学生が遠隔学習の開始について不安を抱えていた。自宅待機中の心理状態に関しては、退屈であった、人と会えなくて寂しかった、不安であったなど、未知の体験によるストレス状態に置かれた学生が多かったことが明らかにされた。本研究の結果は、本格的な遠隔学習導入の際の学生対応について示唆を与えるものであると同時に、長期間の自宅待機を経験した学生の学修およびこころのケアのための基礎資料となると考えられる。
著者
田井 明 藤井 健太 服部 敬太朗
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.I_1441-I_1446, 2018

<p> 平成29年(2017年)7月5日から6日にかけての豪雨は,筑後川中流部右岸域に位置する福岡県朝倉市,東峰村,大分県日田市を中心に甚大な被害をもたらした.本研究では,被災地全体を対象とした人的被害の特徴と発生要因・死亡原因の詳細な分析と赤谷川と桂川水系妙見川を対象に河川中・下流域での被害拡大要因の検討を行った.今次災害においては,自宅待機中ならびに洪水流による被害者が非常に多かったことが特徴であると考えられる.また,多くの河川では,土砂崩れにより河川に流れ込んだ土砂が河道を埋塞したことにより,流路の変更,川幅拡幅が生じ,洪水流のみでは,被害の出なかったと考えられる場所にも被害が拡大したと考えられる.</p>
著者
安部 修仁
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1361, pp.68-71, 2006-10-09

2年7カ月ぶり、9月18日から期間限定で販売を再開した牛丼の価格は並盛380円です。販売直前まで誰にも明かしませんでしたが、今年の春には決めていました。販売停止までは280円だった商品を、なぜ380円にしたのか。今回のテーマは商品の値付け、プライシングです。 まず、会社のポジション、商品のポジションを的確に見定めなければなりません。
著者
桜井 健夫
出版者
東京経済大学現代法学会
雑誌
現代法学 : 東京経済大学現代法学会誌 (ISSN:13459821)
巻号頁・発行日
no.30, pp.241-295, 2016-02

日本における仕組商品の規制について、米国、EU、英国の規制と比較して検討する。米国では、仕組商品などの複雑な金融商品の普及を受けて、FINRAが、業者の商品熟知義務を含めた合理的根拠適合性(商品適合性)を適合性原則に追加し(2012年)、SECが、業者に対し発行者評価額の開示を粘り強く要請して(2012年〜2013 年)、2013 年以降、仕組商品の目論見書の表紙に発行者評価額を記載させている。このような対応にもかかわらず、その後、仕組商品の販売高がさらに増加しているので、2015 年になって、SEC は、投資者に対し発行者評価額が目論見書に開示されているので注目するよう広報し、業界に対しては顧客が構造やリスクを理解しないまま取得している現状に疑問を投げかけている。EUでは、IOSCOの報告書「複雑な金融商品の販売に関する適合性要件」、「リテール向け仕組商品に対する規制」(いずれも2013 年)を踏まえたESMA の仕組商品意見書(2014 年)が出され、引き続きMiFID II、MiFIR が制定された(2014年)。仕組商品関係では、組成段階での商品適合性、コスト開示義務、不合理な商品等に対する規制当局による販売停止権限などが規定されている。英国では、2012 年にFSA が仕組債の最終ガイダンスを公表し、2013 年には、FSA を引き継いだFCA が、仕組商品を勧誘する場合の注意点を業界に通知した。それでも、仕組預金等の販売が増加しているので、FCA は、2014 年には仕組預金等に関する定性的調査を外注し、2015 年には仕組預金に関する行動経済学的調査を行った。これらの調査により、消費者は仕組預金のリターンを過大評価すること、そのため、定期預金の方が有利であっても仕組預金を選ぶ傾向があることが裏付けられた。この過大評価による選択ミスは、リターン見込みの数値的開示等の定量的開示をすれば多少改善するものの、限界がある。2015 年、FCA は業界に対して、リターン見込み・元本欠損リスクの程度の数値的開示を求め、組成販売しようとする仕組商品が合理的な価値を持つことを証明することを求めている。日本では、金融庁が2010 年にデリバティブに関する監督指針の一部を仕組債にも適用することとし、2011 年には日本証券業協会が合理的根拠適合性を導入した。2012年には金融庁が通貨選択型投信に関する監督指針を改正し、2013年には日本証券業協会が自主規制規則に高齢者への勧誘に関する条項を追加した。2015年、金融庁は手数料透明性の向上を平成27年度行政方針に記載した。
著者
何 夢夢 高松 一哉 岸 邦宏 山中 康裕
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.631-636, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
17

日本は少子高齢化社会を迎えており、中山間地域の公共交通機関空白地域において、運転せざるを得ない高齢者人数がだんだん増えていく。3年毎に全国の自治体は、介護保険事業計画を策定する際に、65歳以上の高齢者を対象とした「介護予防・日常生活圏域ニーズ調査」を実施している。本研究は、このニーズ調査が高齢者の運転状況に関する情報を提供する可能性を示した。ひとつは、ロジスティック回帰分析をもちいて、機能的健康状態等から運転しないと推定される運転している高齢者(注視運転者と呼ぶ)をスクリーングとして見出せることである。もう一つは、注視運転者の多くが「運転も同乗もする」ことに注目して、機能的健康状態の低下ともなう、(1)自ら運転するが同乗しない、(2)自ら運転もするが同乗もする、(3)運転しないが同乗する、(4)運転も同乗もしないという順序(移動者弱者指標と呼ぶ)を確認した。
著者
紺山 和一
出版者
金原出版
雑誌
眼科 (ISSN:00164488)
巻号頁・発行日
vol.9, no.10, pp.752-757, 1967-10