著者
加門 隆
出版者
Japan Thermosetting Plastics Industry Association
雑誌
熱硬化性樹脂 (ISSN:03884384)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.1-9, 1989

高融点の粉体であるジアミノマレオニトリル (DAMN), そのN-アルキル誘導体およびその, schiff baseをエポキシ樹脂の潜在性硬化剤として検討した。<BR>これらの硬化剤をエポキシ樹脂に分散すると約2ケ月のポットライフがあり, 150℃以上に加熱すると円滑に硬化して, 良い硬化物が得られた。<BR>DAMNとそのN-アルキル誘導体では, エポキシ基1molに対して1/8molから1/3molまで配合量を変化させた硬化物のガラス転移温度 (Tg) と橋架け密度 (ρ<SUB> (E′) </SUB>) の最大は約1/6molのとき得られ, それぞれの硬化剤のアミン活性水素の数から予想される配合量とは異なるものであった。<BR>DAMNのSchiff baseによる硬化物は予想に反し, Tgが200℃と非常に高く, ρ<SUB> (E′) </SUB> も大きかった。しかし, ρ<SUB> (E′) </SUB> の最大値が得られる配合量は1/5molのときで, Tgの最高は1/4molの配合物で, 特異な結果であった。<BR>以上の結果のように, これらの硬化物の物性は一般のエポキシ樹脂の硬化物とは異なっているため, 硬化物の構造を解明することができなかった。
著者
Cajayon Leticia Piornato 三浦 弘之 三上 正幸
出版者
帯広畜産大学
雑誌
帯広畜産大学学術研究報告. 第I部 (ISSN:0470925X)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.35-45, 1986-11-30

ブロック状牛肉の深部に対するPseudomonas fragiとProteus vulgarisの影響について2℃で0,3,7および14日間貯蔵した時の変化を5回繰り返して調らべた。微生物学的分析の結果,P. fragiはPr. vulgarisよりも早く増殖した。P. fragi接種区のpH上昇は急速に起ったが,Pr. vulgaris接種区は緩慢に上昇した。揮発性塩基態窒素とアミノ態窒素の量的な変化は,P. fragiがPr. vulgarisよりもタンパク分解が大きいことを示した。非接種の対照区は貯蔵期間の終りの時期にわずかに増加した。SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動像の見かけ上の変化は,7日目におけるマイナーバンドの消失からP. fragi接種区はPr. vulgaris接種区よりも,タンパク質分解活性が少し大きいことを示した。走査型電子顕微鏡の結果から,筋線維に対する作用は,P. fragiを接種した試料が,Pr. vulgarisを接種した試料よりも腐敗の進行により崩壊が著しかった。筋原線維レベルでの観察の結果から,主要なタンパク質でないタンパク質画分の分解が起っているものと思われ,そのことは,SDSポリアクルアミドゲル電気泳動による結果からも支持された。
著者
リベラ W.C.D. 三浦 弘之 三上 正幸
出版者
帯広畜産大学
雑誌
帯広畜産大学学術研究報告. 第I部 (ISSN:0470925X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.207-216, 1981-11-15

Pseudomonas fragiは,冷却冷蔵された食肉中に占められる主要な微生物相の一つであることはよく知られている。塩類可溶性のタンパクの著しい減少は,Pseudomonas fragiを接種した鶏の筋肉のWeber-Edsall溶液抽出物の電気泳動図から明らかになった。即ち,Weber-Edsall溶液で抽出した鶏の筋肉に,Pseudomonas fragiを接種すると5℃で14日間経過した時に,タンパクの泳動バンドの性状と数に大きな変化がみられた。しかし,2日目までの性状や数にあまり大きな変化がなかったのではないかと思われた。スラブ電気泳動パターンによれば,塩類可溶性タンパクの分解はすでに5日間保蔵したあとにはっきりと起った。余分なバンドがMプロテインのところに現われ,7日後には非常にはっきりとしたバンドになった。そうして,ほとんどの泳動バンドは,14日目になると微生物のタンパク分解力によって消失した。このPseudomonas fragiの菌体外酵素は,鶏の筋肉のWeber-Edsall溶液抽出物に対して5℃で検討された。Pseudomonas fragiの菌体外酵素はセファデックスG-100のカラムクロマトグラフィにより精製された。その結果,タンパク分解活性をもつ2つのピーク(BおよびC)が観察された。これらの酵素画分の塩可溶性タンパクに対する崩壊のパターンは,対照の試料と同様に電気泳動的に研究された。ミオシンヘビーチェーンは,酵素画分Bによって小さなバンドが退行し,酵素画分Cでは完全に消失した。
著者
中村健二監修
出版者
主婦の友社
巻号頁・発行日
2010
著者
小野 庄士
出版者
日本蘚苔類学会
雑誌
日本蘚苔類学会会報 (ISSN:02850869)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.16-17, 1977-08-10
著者
楢崎 康二 渡辺 敦史 冨田 啓治 佐々木 義則 白石 進
出版者
日本林學會
雑誌
日本林學會誌 = Journal of the Japanese Forestry Society (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.78, no.2, pp.157-161, 1996-05-16
参考文献数
19
被引用文献数
3

ヒノキとサワラの自然雑種であるヒノキ精英樹の富士2号と, ヒノキおよびサワラの園芸品種を対象として, 核ゲノムのRAPD分析と葉緑体ゲノムのSSCP分析を行った。富士2号のRAPD分析の結果, ヒノキおよびサワラに種特異的なPCR産物(バンド)がともに検出され, このクローンは両樹種間の雑種であることがDNAレベルでも確認された。さらに, 葉緑体ゲノムのSSCP分析の結果, 富士2号の葉緑体ゲノムはヒノキ型を示し, この自然雑種は花粉親をヒノキ, 母親をサワラとする交配組合せによってできたことが明らかとなり, 両樹種間の交雑育種における新しい知見が得られた。また, ヒノキとサワラの園芸品種(5品種)の分析の結果, それぞれの種に特異的なバンドが出現し, これらがヒノキもしくはサワラの突然変異体であることが確認された。以上の結果から, RAPD分析やSSCP分析によって得られるDNA分子マーカーは, 種間雑種における親の交配組合せの決定および突然変異体の由来を調べる上で有用であることが明らかとなった。
著者
Ng Peter K.L. 武田 正倫
出版者
国立科学博物館
雑誌
Bulletin of the National Science Museum. Series A, Zoology (ISSN:03852423)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.149-166, 1992-12

Freshwater crabs of the family Potamidae (sensu NG, 1988) from the Philippines are studied on the basis of collections in the National Science Museum, Tokyo, and the National Museum of the Philippines. Three new genera, Ovitamon, Insulamon and Mindoron, are established, and five new species (O. arcanum, O. tomaculum, Insulamon unicorn, Mindoron pala, Isolapotamon spatha) are described. A key to the Philippine potamid genera is given.
著者
Ng Peter K.L. 武田 正倫
出版者
国立科学博物館
雑誌
Bulletin of the National Science Museum. Series A, Zoology (ISSN:03852423)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.161-172, 1994-12

The Madagascan freshwater crab genus, Madagapotamon BOTT, 1965,of the family Potamonautidae, is redefined and restricted to only one species, M. humberti BOTT, 1965. A new genus, Skelosophusa, is established for Madagapotamon gollhardi BOTT, 1965,and two new species, Skelosophusa eumeces and S. prolixa, are described. The genus is characterized by the shape of the male abdomen, form of the anterolateral margin and shape of the carapace.
著者
Nguyen Viet Xuan 吉野 煕道 田原 誠
出版者
日本育種学会
雑誌
Breeding science (ISSN:13447610)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.273-280, 1998-09-01
被引用文献数
1

サトイモ(Colocasia esculenta (L.) Schott)の系統進化を解明するため,アイソザイムによる分析を試みることとし,その最初の研究として,アルコールデヒドロゲナーゼ,エステラーゼ,ロイシンアミノペプチダーゼおよびホスホグルコムターゼの4種の酵素について,アイソザイムの多型並びにこれを支配する遺伝子座と対立遺伝子を調査した。材料としては,交雑と種子繁殖が可能なネパール及びタイ原産の2倍体8系統とこれらを自殖または交配して得た後代系統を用いた。葉身から抽出した試料を,ポリアクリルアミトゲルを用いて電気泳動後,活性染色した.得られた酵素泳動像から,各酵素のアイソザイムについて,これを支配する遺伝子座と対立遺伝子を推定し,後代における分離を検定することによって,アロザイム,遺伝子座および対立遺伝子を同定した。その結果,4つの酵素について,複数の対立遺伝子が存在する9遺伝子座を確認した。また,これら9座が支配する酵素のうち,4座については単量体であり,アルコールデヒドロゲナーゼ,エステラーゼの2つの座については,二量体であることが分かった。サトイモの栽培種の多くは3倍体であり,その起源は,2倍体の非還元分裂配偶子と正常配偶子の受精によるものとされている。後代検定による関連遺伝子の同定が可能な2倍体を材料に,さらに他の酵素のアイソザイムを調査することにより,サトイモ全般にわたる遺伝変異,遺伝的な関係や系統進化の解明に貴重な情報をもたらすことが期待される。
著者
岩井 経男
出版者
日本西洋古典学会
雑誌
西洋古典學研究 (ISSN:04479114)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.58-70, 1985-03-29

E. T.サノレモンの『共和政期ローマの植民市建設』は,共和政ローマが,いつ,どこに,どんな目的で植民市を建設していったかを詳細に検討し概観した,この分野ではほとんど唯一の貫重な労作である.彼はそこで,ローマ植民市建設の第一義的目的は,イタリア支配とローマ防衛の戦略のため,と主張している.そして,前133年に始まるグラックスの改革になってはしめて性格を変え,経済的社会的意図の下に建設されることになった,と言う.一般に,ローマの植民市建設は軍事的意義とといこ社会経済的側面もあわせもつと理解されるが,軍事面を一貫して強調する彼の説は極端と思われ,その結果,グラックス以前の植民の社会政栄的考察が欠落し,グラックスが突然出現することになろう.しかし,ウェーバーが『ローマ農業史』で行っている問題設定が示すように,またサルモン自身認めるように,ローマの植民政策は植民市建設deductio coloniaeと,都市建設をともなわない個人的土地分配adsignatio viritimからなっていた.伝える史料が少ないこともあり,個人的土地分配は本格的に論じられていない.そこで以下においては,ローマの固有領域の飛躍的拡大をもたらしたウェイイの併合からグラックスの改革前までの植民政策を,主として社会政策的観点から,個人的土地分配政策を含んで再構成し,検討してみることにする.方法としては,我々が今問題としている時期を便宜的に前268年(ラテン植民市アリーミヌムAriminum建設)を境に二つに分け,前期と後期を対比させて述べることにしたい.というのは,後に述べることになるが,筆者は前三世紀前半を境としてローマの植民政策が大きく転換すると考えるからである.
著者
朝比奈 泰彦
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
藥學雜誌 (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
no.328, pp.626-643, 1909-06-26

著者ハ本邦産延胡索科ノ一植物こまくさノ成分ヲ檢シ其ノ中ヨリ二種ノ植物鹽基ト一種ノ黄色無窒素結晶體ヲ抽出セリ植物鹽基ノ一ツハProsopinナルコトヲ證シ他ノ一ハ新シキ物質ニシテ著者ハコレヲDicentrinト命名シ其ノ集成ヲC_<20>H_<21>NO_4ト定メ各種ノ誘導體ヲ製シテコレヲ確證セリ、黄色結晶體ハC_<16>H_<12>O_7ナル集成ヲ有シ「ベルキン氏ノ「イソラムネチン」ト同一物ナルガ如シト
著者
館脇 操
出版者
日本生態学会
雑誌
植物生態学会報
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.17-21, 1951-06-30