著者
竹本 常松 高木 信也 中島 正 在原 重信 小池 一弘
出版者
天然有機化合物討論会
雑誌
天然有機化合物討論会講演要旨集
巻号頁・発行日
no.16, pp.256-263, 1972-10-01

A colorless needle crystalline, mp 187-188°(decomp.), C_5H_7O_5N_3 was isolated from Quisqualis Fructus (seeds of Quisqualis indica, and Q. indica var. villosa, Combretaceae), a popular ascaricidal crude drug in China and Japan. The compound was considered to be an unknown acidic amino acid and an active principle. So it was named quisqualic acid after the genus name Quisqualis. The chemical structure of quisqualic acid was consedered to be N^2-L-alanyl-3,5-dioxo-1,2,4-oxadiazolidine(Ia) or N^4-L-alanyl-3,5-dioxo-1,2,4-oxadiazolidine (Ib) on the basis of chemical and spectral data. Therefore Ia and Ib were synthesized by routes shown in the chart 2 and 3, respectively. Ib did not agree with quisqualic acid but Ia was identified with the authentic sample. Thus, the structure of quisqualic acid was confirmed to be N^2-L-alanyl-3,5-dioxo-1,2,4-oxadiazolidine satisfactorily. Quisqualic acid is the first instance of natural compound containing 1,2,4-oxadiazolidine ring.
著者
大塚 俊之 根本 正之
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.107-114, 1997-08-30
被引用文献数
1

畜産や農業に伴う土壌の富栄養化が耕地水系に沿って分布する河川周辺雑草群落に及ぼす影響を明らかにすることを目的として, 茨城県新治郡の帆崎川において雑草群落の構造と土壌環境の調査を行なった。スギ植林地に近い上流部では土壌中の窒素および炭素含量は少なく, 植生はメヒシバやイヌタデなどの雑草が優占するものの, ツリフネソウなどの野草的な種も多く含んでおり多様性が高いことが特徴であった。これに対して水田地帯を流れる中流部では土壌中の窒素および炭素舎量は上流部の5倍以上あり, 好窒素的な一年草のミゾソバやカナムグラが寡占して多様性の低い群落が形成されていた。また下流部では護岸工事がなされており, 攪乱の強い中洲ではクサヨシが1種優占群落を形成していた。中流部付近にはシロザが純群落を作る豚糞堆積場があり, この土壌は中流部のさらに2倍程度の窒素と炭素を含み, C/N比が低かった。これらのことから豚糞堆積場からの有機物や水田に施用された化学肥料が, 降雨時に流出して土壌が富栄養化し中流部の群落の多様性を低下させたものと考えられた。従来から良く知られている都市河川と同じように, 農村地域集水域の河川植生の動態も農業や畜産の集約化に伴う人為的な影響を強く受けていることが示唆された。
著者
小島 健
出版者
立正大学
雑誌
経済学季報 (ISSN:02883457)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.45-77, 2007-03

今から半世紀前の1957年3月25日に欧州経済共同体(EEC)を設立する条約(ローマ条約)がフランス,ドイツ,イタリア,ベルギー,オランダおよびルクセンブルクの6ヵ国によって調印された.EECは,今日27ヵ国の加盟国を有する欧州連合(EU)の母体であるが,1973年にイギリスを始め3ヵ国が新規に加盟するまで欧州大陸の一部に限定された共同体に過ぎなかった.EECの設立に関しては,これまでも政治,経済,法律など様々な分野で研究が行われてきた.しかし,それらの研究のほとんどは,フランスやドイツなど大国の対応に限定されており,小国に関する研究は僅かであった.ところが,本稿で明らかにするようにEECの設立においては小国同盟であるベネルクス同盟が主導的役割を果たした.ベネルクスは,ベルギー,オランダおよびルクセンブルクとの間でEECに遡る事10年前の1948年に関税同盟を発足させ,さらに1950年代半ばになると事実上の経済同盟へと発展した.ベネルクスはEECのマスター・プランを提供した面も持つ.そこで,本稿では,ベネルクス経済同盟とEEC設立との関係を中心に,EEC設立の経緯を考察することにより,欧州統合における小国の役割およびベネルクス経済の実態について接近する.
著者
中畝 みのり
出版者
広島修道大学
雑誌
広島修大論集. 人文編 (ISSN:03875873)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.109-129, 2005-09-30
著者
奥谷 喬司 後藤 芳央
出版者
日本貝類学会
雑誌
貝類学雑誌Venus : the Japanese journal of malacology (ISSN:00423580)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.305-311, 1983-12-31

北アメリカ大陸南東岸フロリダから, カリブ海, アンチルス列島を経て, 南米北東岸に分布するアダンソンオキナエビスガイEntemnotrochus adansonianaのうち, 隔絶した孤島バーミュダ沖から産出する個体群を別亜種と認めたのでここに記載する。新亜種バーミューダオキナエビスガイE. adansoniana bermudensisの多くの形態的特徴は基本亜種のそれと共通しているが, 次の諸点で区別し得る。(1)殻頂角が小さく(63°), 基本亜種のように螺塔は凸状の概形を示さず, 尖る。(2)切込みが短かく, 基本亜種では150°以上に及ぶが130°程度である。(3)殻の表面は基本亜種のように光沢がない。(4)調査標本は殻高55.5mm(完模式標本)ぐらいであるが, 軟体部が保存されていないのでこれで成熟個体か否か判断は出来ない。
著者
森岡 弘之 茂田 良光
出版者
国立科学博物館
雑誌
Bulletin of the National Science Museum. Series A, Zoology (ISSN:03852423)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.37-43, 1993-03
被引用文献数
1

The generic allocation of the Japanese Marsh Warbler Megalurus pryeri is discussed. The genus Megalurus is probably a polyphyletic group. The type species of the genus is M. palustris, which is a different bird from M. pryeri in many respects. We suggest that pryeri be placed in the genus Locustella until its relationships with other sylviine species are better known.
著者
庄司 昌彦
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 = The journal of Information Science and Technology Association (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.65, no.12, pp.496-502, 2015

近年,公共財としてのデータを増やして幅広い活用を促す「オープンデータ」に関する政策と運動が世界的に広がり続けている。本稿ではまず,オープンデータとは何かという定義やそれを裏付けるための利用規約をめぐる議論を紹介する。そして,オープンデータに関する国際組織の動向や国内外の政府・自治体の政策動向,企業・市民社会組織における利活用の具体的事例を紹介する。最後に,インターネットの普及とともに広がってきた「オープンな文化」の社会的・文化的な意味などを述べ,オープンデータをめぐる議論をもっと社会的な文脈で捉えていく必要性があると指摘する。
著者
HINO Haruko KASAI Shinomi HATTORI Naoko KENJO Kazutoshi
雑誌
Journal of dermatology (ISSN:03852407)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.163-165, 2000-03-01
参考文献数
8
被引用文献数
1
著者
李 暁博 Xiaobo LI
出版者
創価大学日本語日本文学会
雑誌
日本語日本文学 (ISSN:09171762)
巻号頁・発行日
no.26, pp.55-72, 2016-03-20

本稿は、「自己」を、他人との対話の中で構築され、可変し、交渉されるものだと捉える上で、筆者が中国で行った構成主義的日本語の授業を履修した一人の大学生の自己変容のストーリーを叙述し、バフチンの「対話」という視点から分析を試みた。本研究の意味は、人間の自己変容のプロセスを「対話」の視点から解釈する可能性を提示したのみならず、教師は本当の意味の「学びの共同体」に学生たちを参加させれば、学生たちの変容が驚くほどに起きるという可能性を見せてくれたところにもあろう。対話
著者
梶田 真
出版者
地理科学学会
雑誌
地理科学 (ISSN:02864886)
巻号頁・発行日
vol.74, no.4, pp.201-217, 2019-12-28 (Released:2020-04-01)
参考文献数
29
被引用文献数
3

山村における全日制普通高校の設置は,地域子弟の高校皆進学化の実現において重要な役割を果たした。本稿では,岩泉高校小川校を事例として,全日制転換後,子弟の進学行動がどのように変化していったのかを考察した。小川校の全日制転換は,小川地区の子弟の高校進学の道を大きく広げたが,少子化による地元子弟数の減少に加え,小川校以外の高校に進学する傾向が強まっていったことにより,小川校の生徒数は急減し,真っ先に廃校となった。地元での教育機会の創出を地域の発展に結びつけていくことができない点は多くの山村にとって困難な課題であり続けている。