著者
渡辺 雄二郎 鈴木 憲子 山田 裕久 藤永 薫 小松 優
出版者
日本イオン交換学会
雑誌
日本イオン交換学会誌 (ISSN:0915860X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.75-81, 2013 (Released:2013-09-20)
参考文献数
15
被引用文献数
2 3

福島第一原子力発電所の事故により,環境中に放出された放射性セシウムは多くの生態系に深刻な影響をもたらしている。この放射性セシウムの回収及び固定化材としてゼオライトが注目されている。我々はイオン交換法によって様々なカチオン種を含む各種ゼオライトを作製した。本研究では,これらのゼオライトのセシウムイオン吸着挙動及び,800℃~1200℃ で焼成後のゼオライトからの溶出挙動を純水と 0.6 M 塩化ナトリウム水溶液中で検討した。
著者
富安 郁子 浦上 智子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.28, no.7, pp.451-457, 1977

極度に加熱した油とその揮発生成物中に毒性物質が存在するという最近の報告より, 揮発生成物の分析によって天ぷら油の安全使用の指標を得ることができるか試みた.<BR>大豆油を継続的に180℃で30時間加熱し, その間にじゃがいも, 鶏肉, 豆腐, 鯨肉, 鯖, ピーマンと水を添加した綿球 (対照) をおのおののたねものからでる水分量を一定になるように調節しながらフライした.このように調整した試料油の揮発物を直接に二硫化炭素中へ導く窒素気流で蒸留し, その濃縮物をガスクロマトグラフィー (GC) とガスクロトグラフィー-質量分析計 (GC-MS) で分析した.<BR>GCによるピーク数および相対的量には試料油間にはっきりした違いはなかった.低沸点部ではアルカナール, カプロン酸1-オクテン-3-オールが, 高沸点部ではデカナール, デカジエナール, 7-フェニールヘプタノイック酸が検出された.7-フェニールヘプタノイック酸は毒性があると考えられる.<BR>加熱時間が増加するに従い低沸点部は減少し高沸点部は増加の傾向を示した.<BR>揮発物のTLC分析 (ベンゼン, ヘキサン, 酢酸, 70 : 30 : 2) の結果3つのスポットを得たが, <I>Rf</I>値0.4のスポットは上に述べたフェニール化合物を含み278nmに強い吸収を示すことがわかった.
著者
郡田 美樹 河辺 達也 長浜 源壮 森田 日出男 大林 晃 渡辺 裕季子 奥田 和子
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.91-97, 1990
被引用文献数
3

炊飯米フレーバーに対するみりんの調理効果を調べるため,改造電気釜を用いて炊飯米のヘッドスペースガスを回収し,機器分析を行った.その結果若干の知見を得,原因について検討した. <BR>(1) フレーバー成分吸着剤Tenax TAを用いたフレーバー回収には循環系の装置が開放系に比べて回収率が高く,値の変動が小さかったので適していた.エタノールの添加は回収率等に影響を与えなかった. <BR>(2) 炊飯米フレーバーをTenaxで回収し, GCで130余りのピークを検出した.主要なピークのうち約40を同定した.成分別ではアルカナール,アルコール,アルケナール,直鎖ケトンの順に多かった.特にn-ヘキサナールの含量が高かった. <BR>(3) みりん添加炊飯米を同様にして分析すると,添加前に比ベガスクロマトグラム上のピーク面積の減少が認められた.減少率の大きかったアルカナールの中でもn-ヘキサナールの減少率が最も高く,筆者らが官能検査でヌカ臭の減少を認めた結果と一致した.またみりん添加により新しく検出された成分は無かった. <BR>(4) みりん添加によるアルカナール等揮発性カルボニル化合物の減少は,みりん成分と米成分間のアミノ=カルボニル反応又はその中間生成物の作用,及びみりん中のα-ジカルボニル類の作用が考えられた.また,みりん添加による炊飯米の物性変化が反応系に影響を及ぼすことが示唆された.
著者
森 光國
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.22, no.6, pp.259-264, 1975

トマトジュース缶詰の品質指標を選定するため,全カルボニル化合物について分離・同定した。また揮発性カルボニル化合物についてもガスクロマトグラフで測定した。その結果大要次のことが明らかになった。<BR>(1) 主要なカルボニル化合物として3-デオキシグルコソン,3-デオキシペントソン,HMFおよびフルフラールが分離同定された。<BR>(2) これら主要カルボニル化合物のうち,量的に多いのは3-デオキシグルコソンおよびフルフラールで,HMFは高温下に貯蔵した場合にのみ多量に生成した。これに対し,フルフラールは室温下でも明らかに生成した。<BR>(3) いっぽう揮発性カルボニル化合物としては9成分のn-アルカナール類,3成分のn-メチルアルキルケトン類およびフルフラールが検出され,このうち貯蔵によりけん著に増加するのはフルフラールであった。<BR>(4) 以上のことからトマトジュース缶詰の品質指標をカルボニル化合物からみた場合にはフルフラールが適当と思われる。
著者
古川 靖 岩切 三雄
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1973, no.4, pp.758-761, 1973

cis-4-デセン酸,cis-4-ドデセン醸およびcis-4-テトラデセン酸をWittig反応を用い,[3-(メトキシカルボニル)プロピル]トリフェニルホスホニウム=ヨージドをジメチルホルムアミド中ナトリウムメトキシドと作用させて得たホスホランに,対応するアルカナール(炭素数6,8,10)を縮合させて得たメチルエステル類をケン化して合成した。<BR>合成した酢酸のメチルエステルをアセトン中過マンガン酸カリウムで酸化すると,二塩基酸としてコハク酸,一塩基酸としておもに各アルケン酸に対応するヘキサン酸オクタソ酸およびデカン酸を得ることから二重結合は4-位にあることを確めた。またNMRスペクトルは4,65~4.70を中心とする多重線と7.63~7.72に見かけ上の二重線が認められることからも4-位に二重結合のあることを裏づけた。IRスペクトルは965cm<sup>-1</sup>付近にトランス体の特性吸収がなく,3010cm<sup>-1</sup>の吸収と720cm<sup>-1</sup>を中心とする幅広い吸収があることから,シス体であることを確認した.<BR>さらにこれらのcis-4-アルケン酸類とそのメチルエステルの定数を測定し,結晶性誘導体としてP-プロモフェナシルエステルとP-フェニルフェナシルエステルの2種をつくり,さきに報告したシロダモの種子油中から分離した同炭素数のcis-4-アルケン酸類と,それらの誘導体の定数との比較を行った.
著者
小田 晃規 伊藤 聡信 辻本 篤 グエン チュン・タン 黒田 重靖
出版者
基礎有機化学会(基礎有機化学連合討論会)
雑誌
基礎有機化学討論会要旨集(基礎有機化学連合討論会予稿集)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.142-142, 2007

ピロリジンと2当量のアルデヒドを加熱・加圧下反応させることで1,3-ジアルキルピロールが簡便に合成できることを見出した。ベンズアルデヒド類およびalpha位にアルキル置換されたアルカナールを用いた反応では中ないし高程度の収率でピロール生成物が得られる。合成した1,3-ジアルキルピロールとTCNEとの反応を検討したところ二種類のトリシアノビニルエチレン置換体が生成物として得られ, 各種スペクトデータならびにX線結晶構造解析からそれらの生成物の構造を確認し、be-ta位置換生成物を主に与えることが判明した。これらの結果ならびに反応機構についての考察について発表する。
著者
土田 孝 藤崎 治男 巻渕 正治 新舎 博 長坂 勇二 彦坂 周男
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.644, pp.13-23, 2000-03-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
9
被引用文献数
4 4

本文は東京国際空港の外周護岸の嵩上げ工事において, 既設の護岸に作用する土圧を軽減するため, シールド工事による発生土を原料土とした気泡混合処理土と発泡ビーズ混合処理土を裏込め材として使用した工事に関して報告するものである. 実施工における品質管理試験の結果, 軽量混合処理土は, 原料土の土質の変化, プラント性能等によって品質にばらつきが生じるが, 今回の事例では品質管理値の範囲内での製造と打設が可能であった. また, 施工後に地盤としての特性を調べるためボーリングコアの一軸圧縮試験と3種類の原位置試験を行った結果, 軽量混合処理土による地盤は空港外周道路の路床として妥当な地盤特性を有することが確認された.
著者
Mitchell Don 森 正人
出版者
大阪市立大学都市研究プラザ
雑誌
空間・社会・地理思想 = Space, society and geographical thought (ISSN:13423282)
巻号頁・発行日
no.7, pp.118-137, 2002

「新しい文化地理学」における「文化」の再概念化は, 諸過程や政治, そして社会生活の他の「諸領域」との相互関係へと関心を転換させる上で重要であるとしてきた。しかしこの再概念化は理論的または経験的な進歩を引き起こしたけれども, 文化地理学は「文化」を物象化し続けているし, それに存在論的なまたは説明的な地位を与えている。本稿において私は, そのような物象化が誤った考えであり, また文化地理学は「新しい文化地理学」に従っているためにその論理的な帰結を(存在論的な)ものとして文化は存在しえないという認識へといたらせることでより良きものとなるであろうことについて議論する。その代わりに私は, 文化という観念(もしくはイデオロギー)の唯物論的な展開に焦点を当てて議論をおこなう。.......
著者
辻 道夫 久米 雅 芳田 哲也
出版者
日本生気象学会
雑誌
日本生気象学会雑誌 (ISSN:03891313)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.127-139, 2015

湿球黒球温度(Wet Bulb Globe Temperature, WBGT)28℃以上の輻射環境下において,四肢部露出の有無が運動時の温熱ストレスに与える影響を明らかにすることを目的として 7 名の被験者を対象に実験を実施した.輻射環境はスポットライト 2 基を用いて WBGT 28.3±0.1℃を設定し,着衣は長袖・長ズボン(L 条件)と袖なし・半ズボン(S 条件)の 2 条件で最大酸素摂取量の 20% と 50% 負荷の自転車漕ぎ運動を 20 分間,5 分間の休息を挟んで 3 回実施した.その結果,20% 時および 50% 時における食道温,平均皮膚温(Tsk),平均体温,衣服内温度・湿度,総発汗量,および運動後半の温冷感と主観的運動強度は着衣条件による顕著な差異は認められなかった.しかし,L 条件における Tsk の安静時からの上昇度(ΔTsk)や上腕,前腕,下腿の皮膚温は S 条件に比べて両運動時共に有意に低く,さらに 20% 時の心拍数は,L 条件が S 条件よりも有意に低くかった.したがって,WBGT 28℃以上の輻射環境下における中程度運動時の温熱ストレスは四肢部露出の有無による顕著な差異は認められないが,軽運動時には四肢を衣服で覆うことにより皮膚温や心拍数の上昇を抑制し,温熱ストレスを軽減できる可能性が示された.
著者
都築 (早川) 和代 磯田 憲生 梁瀬 度子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.537-544, 1991

気温と着衣が運動時の人体に及ぼす影響を明らかにするために, 相対湿度50%, 気流0.2m/sec以下とし, 着衣を裸体 (ビキニタイプの水着着用), 半袖Tシャツ・短パン着用, 長袖・長ズボン着用の3種類とし, 気温条件を裸体20~30℃, 半袖20~27.5℃, 長袖15~25℃に設定した環境下で, 被験者に30分間の安静および自転車エルゴメーターによる40分間, 0.5kp, 50rpmの軽い運動を負荷する実験を行い, 次の点を明らかにした.<BR>(1) 平均皮膚温は, 気温が高くなるほど, 着衣が増えるほど高くなる.体重減少量は安静時は気温や着衣にかかわらず, ほぼ同じであるが, 運動時では安静時よりも多く, 半袖で多くなる傾向が認められた.<BR>(2) 温冷感申告は, 気温が高くなるほど, 着衣が増えるほど暑い側申告となる.温熱的中性申告は安静時では, 裸体気温26℃, 半袖24.5℃, 長袖21.5℃で得られ, 運動時では裸体21.5℃, 半袖20.5℃, 長袖18.5℃で得られた.<BR>(3) 着衣量について, 文献からの算出を試みた.衣服表面温度, 皮膚温などの実測値から算出する着衣量と温熱的中性気温との関係が他の着衣量算出式との関係に比べて, clo値の定義式に近い傾きになった.スポーツウエアなどのゆとり量が多い衣服や運動時についての着衣量の算出には, 詳細な検討が必要であると考えられる.
著者
黒羽 雅子
出版者
千葉経済大学
雑誌
千葉経済論叢 = CHIBA KEIZAI RONSO (ISSN:21876320)
巻号頁・発行日
no.64, pp.99-118, 2021-06-01

本稿は「Federal Reserve Committee on Branch, Group and Chain Banking」が作成を指示した「Bank Suspensions since January 1, 1921」という調査のネブラスカ州法銀行を対象とした部分の原資料を読み解く試みである。ネブラスカ州では1911年に預金者保証制度が開始され1930年まで続いた。本調査は、同州の預金保証制度下で営業停止(または支払い停止、suspended)となった州法銀行332行を対象にしたもので、営業停止時および整理の経過などが個別の銀行ごとに記録されている。本稿では、この資料の内容について、解説と若干の分析を加えた。
著者
長保 美也 三野 たまき
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.64, 2012

<b>【目的】</b>肥満は成人病などの様々な病気の原因とされている。これを予防し健康的な生活を送るためには,食生活に留意すると共に,運動習慣を身につけ,体脂肪を適量に保つ必要がある。誰もが無理なく行える有酸素運動下において,体脂肪が燃焼しやすい条件を探ることを目的とした。 <b>【実験方法】</b>被験者は20~22歳の成人女子11名であった。彼女らに測定前夜7時間の睡眠をとらせ,測定2時間前までに規定食を摂食させた。人工気象室(環境温度24.5&plusmn;0.3℃,相対湿度50&plusmn;0.5%)に入室後,有酸素運動の範囲内で,自転車エルコ゛メーターによる運動負荷を30分間与えた。<b>実験Ⅰ:</b>ある被験者の夏・冬季の呼吸代謝をそれぞれ月経2サイクルにわたって測定した。 <b>実験Ⅱ</b>(冬季に実施):全被験者それぞれの月経周期の位相の①低温期と②高温期に半袖・半パンで数段階に運動負荷を変えた時,③半袖・半パン,④長袖・長ズボン・帽子・ネックウオーマーを着用し,かつ,休憩を交えて10Wの運動負荷の時,4条件下で呼吸代謝を測定した。得られたRQから,消費エネルキ゛ー(kcal/min)とその由来〔糖・脂肪(g/min)〕を算出した。【<b>結果・考察</b>】<b>結果Ⅰ:</b>有酸素運動下における消費エネルキ゛ー量は有意に夏>冬,脂肪量は有意に夏>冬であったことから,夏の方が脂肪は多く燃焼することがわかった。また脂肪量は夏季では高温期>低温期であるが,冬季では低温期>高温期となり,冬季は夏季に比べて,また冬季の高温期に特に脂肪が消費されにくくなることが示唆された。<b>結果Ⅱ</b>:消費エネルキ゛ー量は有意に①>③・④,②>③・④,④>③であった。糖・脂肪の消費量は有意に①>③・④,②>③であった。脂肪消費量と心拍との関係についても述べる予定である。
著者
中西 宏至
出版者
公益社団法人 日本船舶海洋工学会
雑誌
Techno marine 日本造船学会誌 (ISSN:09168699)
巻号頁・発行日
vol.873, pp.330-332, 2003

本船は,主に日本の冬季にあたる11月より3月まで,豪州,北米より,食料米を輸送しています。今航海,豪州にて約10,000トンを積み,日本へ輸送する航海に従事しました。本船のD/Wは約24,000トンですが,豪州米を輸送するには,温度管理が出来るHOLDを有することになっている為,積載できる数量が限られてきます。その航海毎に数量は違いますが,平均して10,000トン程度積載し,日本各港(京浜,関西,九州)へ輸送します。荷姿には,ばら,Bag物と様々なものがありますが,豪州米に関しては,30kg袋入りの米49袋を大きなBagに入れるSling Bagと,米1トンを大きなBagに直接入れるFle-Con Bagによって積み込まれ,運ばれてきます。以前は,Sling Bagにて運ばれていましたが,今年度より一部Fle-Con Bagにて運ばれるようになりました。米は,他の穀物と違い,この状態のままで,直接口にしますので,異物混入,発汗による濡れ損を防ぐべく非常に神経を使う貨物です。その為には,入念なる準備が必要となります。