著者
本田 代志子
出版者
広島芸術学会
雑誌
藝術研究 (ISSN:09149872)
巻号頁・発行日
no.32, pp.1-17, 2019-08-01

本研究はJSPS科研費JP18K0062の助成を受けたものです。
著者
河村 代志也 藤原 修一郎 秋山 剛
出版者
一般社団法人 日本総合病院精神医学会
雑誌
総合病院精神医学 (ISSN:09155872)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.152-159, 2011-04-15 (Released:2015-04-02)
参考文献数
12

1995年1月17日の都市直下型地震による阪神大震災,および,2011年3月11日の太平洋沖地震とその大津波による東日本大震災において,震災1カ月の時点(ハネムーン期)に,神戸市および石巻市・東松島市で精神医療支援を行った。また,東日本大震災によって原発事故も抱えた福島県において,災害半年以後(幻滅期への移行期)に継続的な精神医療支援を行った。これらの経験を通して,阪神と東日本の両震災がもたらした影響の異同,東日本大震災における支援時期の違い,原発事故の影響について報告した。震災1カ月の支援対象は,ほとんどが了解可能な一過性の不安恐怖や不眠の反応を起こした被災者であった。感情は抑制されていたが不安定化することがあった。一部に軽躁傾向を示す被災者もいた。震災半年以後は,不安抑うつ症状のために精神科を受診する被災者が増える傾向にあった。被災地では放射能汚染不安を示す者がかえって少なかった。
著者
松山 周一
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2021年度日本地理学会秋季学術大会
巻号頁・発行日
pp.59, 2021 (Released:2021-09-27)

本発表では、地理学において既往の研究でコンテンツ内に描かれる場所をどのように特定しようとしてきたのかということについて、それを前提として作品に場所の表象を施していると考えられる、聖地巡礼ないしコンテンツツーリズムで取り扱われる作品に当てはめながら検討することを目的とする。地理学では、映画をはじめとしたメディアコンテンツの世界を地図化する試みがなされてきたが、いずれの事例においても課題を有している状態にある。この問題点は場所の特定が作品内において確実にできない作品で検討していることが原因であるとも考えられる。そのため、作品内における場所の特定が前提となる日本のマンガ・アニメにおける聖地巡礼ないしコンテンツツーリズムで取り扱われる作品を検討することによって課題を克服できる可能性を有していると考えられる。
著者
小泉 佑介
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2021年度日本地理学会秋季学術大会
巻号頁・発行日
pp.99, 2021 (Released:2021-09-27)

グローバル化の進展と共に環境問題の規定要因が多様化・複雑化する中で,地理学においてもその解明に向けた実証的・理論的研究が積み重ねられている。特に2000年代以降の新たな動きとして,ポリティカル・エコロジー論の研究動向をまとめた小泉・祖田(2021)によると,環境問題に関わる国家や国際機関,NGOなどの多様なアクターが複雑に絡み合う状況を,地理学のスケール概念から捉えなおすアプローチが注目を集めている。本発表は小泉・祖田(2021)の議論を踏まえた上で,環境ガバナンス論におけるスケール概念の適応可能性に言及した研究に焦点を絞り,その研究レビューを通じて今後の展開可能性を検討する。 地理学では,場所,空間,領域(性)といったタームに加えて,スケールも重要な鍵概念の1つである。とりわけ1980年代以降のスケールに関する議論では,スケールを社会的・政治的なプロセスを経て生産・構築されるものとして捉え,そこでのアクター間関係の相互作用を分析の主軸に据えてきた(Smith 1984)。これに対し,2000年代には地理学におけるスケールの議論が認識論的な方向に傾斜していることへの批判が高まり,Marston(2005)による「スケールなき人文地理学(Human Geography without Scale)」という問題提起が,地理学全体を巻き込む一大スケール論争を引き起こした。これら一連の論争は,2000年代後半には決着をみないままに収束していったが,スケールの理論化および実証研究への応用を目指す研究は,2010年代以降も絶えず継続しており,本発表が対象とする環境ガバナンス論にも大きな影響を与えることとなった。 批判地理学や政治地理学を中心とするスケールの議論は,一方でグローバル化が進展し,他方でローカル・アクターの役割が強化されるといった多層的なスケール関係の再編プロセスにおける政治力学に注目してきた(Brenner 2004)。これに対し,環境ガバナンスを議論する際には,地表面上に存在する山,川,海,植生,あるいは人間活動をいかに統合的な観点から管理するのかが問題となるため,スケールの社会的・政治的側面だけでなく,生物物理学的(biophysical)な要素を考察の対象に含める必要がある(McCarthy 2005)。 こうした問題意識の下で,近年の地理学ではいくつかの興味深い研究が蓄積されている。例えば,Holifield(2020)によると,水資源管理において,一般的には流域(watershed)といった広域的なスケールが好ましいとされる一方,現場のローカルな組織にとっては川沿い(bank to bank)といった目の届く範囲でのスケールが現実的であるため,環境ガバナンスのスケール設定には社会的・政治的意図が先行する場合が多いことが指摘されている。このように,自然科学的観点からの「理想的な」スケールと社会学的なプロセスを経て「生産された」スケールとの間には,常にミスマッチが生じるため,今後はこうした問題の解決に向けて,地理学と生態学等との統合的研究が求められるといえよう。
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネスassocie (ISSN:13472844)
巻号頁・発行日
vol.7, no.20, pp.34-36, 2008-09-16

理由もないのに、気分が落ち込む、やる気が出ない、体がだるいなどと感じる日はないだろうか。そんな時は「脳内のセロトニン不足を疑ってみよう」と東邦大学医学部教授の有田秀穂さんは言う。 セロトニンは、脳内に張り巡らされたセロトニン神経から分泌される神経伝達物質。有田さんによれば「オーケストラに例えるなら、セロトニンは指揮者のようなもの。
著者
Muhammad Sohaib Asghar Farah Yasmin Muhammad Junaid Tahir Saira Anwar Rabail Yaseen Zohaib Yousaf
出版者
National Institute of Infectious Diseases, Japanese Journal of Infectious Diseases Editorial Committee
雑誌
Japanese Journal of Infectious Diseases (ISSN:13446304)
巻号頁・発行日
pp.JJID.2021.076, (Released:2021-09-30)
参考文献数
15
被引用文献数
1

Increased gallbladder wall thickening (GBWT) is one manifestation of increased capillary permeability caused by severe dengue. This study was carried out to link the severity of GBWT with the bleeding risk and the need for transfusion. It was conducted retrospectively including all the patients with a diagnosis of dengue infection either via Dengue nonstructural protein-1 (NS-1) antigen or IgM antibody. Pearson's correlation, linear regression and receiver operating characteristic (ROC) curves were used for predictive analysis of GBWT with event of bleeding and need for transfusion of platelets during the hospital stay. A total of 177 participants met the inclusion criteria with a mean age of 33.17 ± 13.63 years. Mean GBWT was found to be 0.37 ± 0.15 cm, with 46.3% of patients had a thickness greater than 0.30 cm. A total of 16 patients were documented with bleeding events out of which 7.3% had minor bleeding and 1.7% had a major bleeding event. Linear regression analysis showed increased GBWT was found associated with decreased platelet count on admission (p=0.002) and lowest platelet counts (p=0.004). GBWT was found predictive of bleeding event and transfusion of platelets at higher sensitivity and specificity than platelet count on admission and lowest platelet counts.
著者
向山 恭一
出版者
新潟国際情報大学国際学部
雑誌
新潟国際情報大学 国際学部 紀要 (ISSN:21895864)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.27-42, 2021-04-01

移民社会の到来とともに増大する多様性に、福祉国家を支える国民的連帯は応答することができるのか。政治学者のキース・バンティングとウィル・キムリッカは編著書『コミットメントが課す試練』(オックスフォード大学出版局、2017 年)の「序論:多様な社会における連帯の政治的源泉」のなかで、正しい社会において連帯が必要とされる倫理的理由、多様性と連帯(移民と市民)が敵対関係に置かれる言説的付置状況、そして増大する多様性のもとで包摂的連帯を実現するための政治的視座を規範的=経験的に論じることで、この問いに肯定的に答えている。新自由主義とポピュリズムに挟撃された福祉国家を守るためには、なによりも連帯の共同体であるネーションを再帰的に想像しなおさなければならない。本稿の目的は、こうしたバンティングとキムリッカの議論を手がかりに、現代の移民/多文化社会において包摂的連帯にもとづく福祉国家を構想するための倫理的=政治的な見取り図を提示することである。
著者
鈴木 元彦
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.123, no.7, pp.553-556, 2020-07-20 (Released:2020-08-06)
参考文献数
8

嗅覚障害は日常生活での危険を生じさせたり, 良いにおいを感じる幸せを消失させたりして, Quality of life に強く影響する疾患である. また, 耳鼻咽喉科外来においても嗅覚障害を主訴に受診する患者は少なくなく, 臨床上重要な疾患である. しかし, 嗅覚障害のメカニズムに関してはいまだに分かっていないことも多く, 診断法や治療法についても施設によってさまざまである. そしてこういった事情を克服するといった理由も含め, 近年嗅覚障害診療ガイドラインが日本鼻科学会より発刊された. また嗅覚障害に対する発症機序の解明や新規治療法の開発といった目的にて, 嗅覚障害に関する研究も進んでいる. 以上を踏まえ, 本稿では嗅覚障害診療ガイドラインと嗅覚障害に対する最近の研究と知見について概説する.
著者
小松 志朗
出版者
日本公共政策学会
雑誌
公共政策研究 (ISSN:21865868)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.98-108, 2020-12-10 (Released:2021-10-02)
参考文献数
33

本稿の目的は,COVID-19の事例を通じて国際政治の視点から有効な感染症対策のあり方を探ることである。特に注目するのが,アメリカ,WHO,中国の関係である。アメリカとWHOは渡航制限をめぐって対立していた。対立が激化したのはそもそも渡航制限の効果に関して政治と科学が対立しているところに,WHOの指導力の弱さ,米中対立という要因が重なった結果である。米中対立に目を向ければ,それが民主主義と権威主義という異なる政治体制間の競争でもある点が,感染症対策との関連で重要になる。国内対策はしばしば個人の自由や権利を制限する「強い措置」を含むことから,民主主義国にとっては強い措置が果たして採用すべき有効な対策なのかどうかが難しい問題となる。しかし,いくつかの研究が示唆するように,「強い措置=有効な対策」の等式が常に成り立つわけではない。感染症対策の強制性と有効性は別物であり,概念上はいったん区別するべきだろう。以上の分析を踏まえると,国際政治の文脈で,有効な感染症対策を実現するために求められるのは,次の2点である。政治と科学の連携を促すためにWHOの機能・権限を強化すること,そして「強い措置=有効な対策」という等式を前提にせず科学の判断に耳を傾けることである。いま国際社会が必要としているのは,強い措置よりもまずは強いWHOである。
著者
後藤 雄二
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
no.85, pp.39-45, 2001-03-30

日本の都市システムは戦後の高度成長期に完成されたとされるが,その特性を理解するためには歴史的要因についても分析する必要がある。都市システムには国家的・地域的・日常的という地域スケ-ルを異にする階層性が存在する。本稿では戦前の東北地方について,地域的・日常的都市システムを分析することを目的とする。戦前の東北地方では,国家的都市システムに組み入れられた仙台,および,県庁都市,工業都市の成長がみられるが,昭和55年の境域についてみると港湾都市と小規模都市の成長が顕著で,これらにより都市規模の差異が縮小し,戦前に都市システム形成の萌芽がみられたことを示す。また,日常的都市システムについてみると,農村地域の中心都市での中心性が高く,地域的要因が強く作用しているといる。
著者
Puttre Michael
出版者
日経サイエンス
雑誌
日経サイエンス (ISSN:0917009X)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.64-71, 2003-04

2001年11月のある寒い夜,第389遠征戦闘飛行隊指揮官の空軍中佐ローヘッド(Tom Lawhead)はF-16戦闘爆撃機のコックピットから下を見つめていた。地上ではアフガニスタンの反タリバン兵1000人と米軍特殊部隊がカンダハル空港に進軍中だ。

1 0 0 0 Phallus-Kultus

出版者
澤田四郎作
巻号頁・発行日
1924
著者
小木曽 加奈 金子 昌二
出版者
長野県短期大学
雑誌
長野県短期大学紀要 = Journal of Nagano Prefectural College (ISSN:02861178)
巻号頁・発行日
vol.69, pp.13-19, 2015-02

Recently, damage to agriculture and forestry businesses due to wild birds and beasts is a serious situation in the mid-mountain areas such as Nagano Prefecture. Every year approximately 20 billion yen of loss occurs in Japan. Management of wild birds and beasts based on scientific data is necessary. Recently, wild animals are being examined as a promising resource for local development. In this study, we compared the smell of venison and beef to consider how venison compared to edible meat. Next, we considered whether the smell was improved by immersing venison in some seasonings. Sensory evaluation of grilled venison and beef resulted in the venison having a strong raw and bloody odor. As a result of smell component analysis, the main cause of the smell was 2,3-butanedione (diacetyl) and hexanal. As a result of having inspected the venison meat immersed in various seasonings, milk was shown to prevent the most smells. As results, we were able to elucidate a part of the cause of the unpleasant odor of the venison and we were able to prevent unpleasant odor of the venison with milk.
著者
柴山 明寛
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2016年度日本地理学会秋季学術大会
巻号頁・発行日
pp.100115, 2016 (Released:2016-11-09)

2011年3月11日発生した東日本大震災で得られた知見や経験を,後世に語り継ぐことで,今後の防災・減災対応・対策を向上させ,今後発生する大規模自然災害の被害軽減に繋がることは明白である.しかしながら,未曾有の大災害となった東日本大震災では,直接的な被害だけでも東日本全域に拡がり,間接被害を含めると日本のみならず全世界規模に影響を与え,本震災で得られた災害に対する知見や経験は膨大である.この膨大の知見や経験を収集し,後世へ残すことが重要な課題となる.そして,単純に震災の知見や経験を記録して残すだけなく,震災記録を教訓として解釈し,被災地の復旧・復興および今後の防災・減災活動に利活用することが重要となる.そこで,東日本大震災の発生直後から数多く団体が震災記録の収集を開始し,震災から5年が経過した現在では,数十の団体が震災記録をWeb上で公開を行っている.その中のひとつの機関として,著者が行っている東北大学の東日本大震災アーカイブプロジェクト「みちのく震録伝」も含まれている. 本稿では,東日本大震災が発生してから5年が経過した現在までの様々な機関・団体が構築した震災アーカイブの動向や特徴について述べた.次に,東日本大震災アーカイブプロジェクト「みちのく震録伝」の概要及び活動状況に着いて述べた.最後に,震災アーカイブの問題点として,震災記録の整理方法及び位置情報を含むメタデータの重要性について述べた.
著者
長沼 洋一 長沼 葉月 名城 健二 牧野 晶哲 米村 美奈
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、障害学生修学支援も含めたキャンパスソーシャルワーカー(以下CSW)の活用実態を明らかにすると共に、管理者の効果評価とCSW自身の活動評価を組み合わせ、実践の評価を行うことを目的とした。CSWの配置は3年前と比べてほぼ倍増していたが障害学生修学支援コーディネーターへの有資格者の活用はまだ少なかった。CSWはプランニングやモニタリング、個別支援に業務時間を割いている時には管理者の高い効果を得ていた。また学外機関との連携に積極的なCSWは管理者から多くの側面で効果を評価されていた。

1 0 0 0 OA 坊つちやん

著者
夏目漱石 著
出版者
岩波書店
巻号頁・発行日
1939