著者
小山 彩圭 串田 修 赤松 利恵 村山 伸子
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.79, no.4, pp.212-218, 2021-08-01 (Released:2021-10-02)
参考文献数
11

【目的】健康日本21(第二次)で推進している「食品中の食塩や脂肪の低減に取り組む食品企業及び飲食店の登録数の増加」では,登録の具体的な基準は問われないため,実態は明らかでない。飲食店等を対象とした食環境整備制度の実施割合と店舗の登録基準を全国の自治体単位で調査し,栄養素等の基準の組合せと量的基準を把握した。【方法】対象は全国の都道府県,保健所設置市及び特別区の計154自治体。2019年10月,各自治体のサイトから飲食店等を対象とした食環境整備制度をウェブ検索し,設定する登録基準を情報/食物へのアクセスに二分した。食物へのアクセスに関する栄養素等の基準の組合せパターンを分類し,量的基準の有無を確認した。【結果】飲食店等を対象とした食環境整備制度は対象自治体の約8割で実施が確認された。制度が確認された自治体のうち,登録基準として情報/食物へのアクセスがある自治体は各々8割以上であった。食物へのアクセスは「野菜たっぷり」9割,「食塩控えめ」8割の順に多く,「野菜たっぷり」と「食塩控えめ」の組合せは29件確認された。量的基準を必須としている割合は「野菜たっぷり」「カルシウムたっぷり」「鉄たっぷり」が過半数であった。【結論】食物へのアクセスの登録項目は「野菜たっぷり」と「食塩控えめ」が多かった。基準の組合せを設定する自治体は限られており,「食塩控えめ」の量的基準の必須割合も約3割と低かった。
著者
河嵜 唯衣 赤松 利恵 酒井 雅司 藤原 恵子 玉浦 有紀
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.79, no.4, pp.175-184, 2021-08-01 (Released:2021-10-02)
参考文献数
29

【目的】高齢の入院患者等の栄養管理に関する看護・介護職員の態度尺度(The Staff Attitudes to Nutritional Nursing Geriatric Care Scale: SANN-G)の日本語版を作成し,妥当性・信頼性を評価すること。【方法】日本語に翻訳したSANN-G18項目を用いて,自記式質問紙調査を実施し,都内の病院及び介護老人保健施設に勤務する看護師・看護助手及び介護士計493名が回答した。1か月後,回答者のうち108名を対象に再調査を実施した。構成概念妥当性,基準関連妥当性,内部一貫性及び再現信頼性を検討した。【結果】490名を解析対象とした(適格率99.4%)。探索的因子分析の結果,2因子10項目が得られ,確証的因子分析の適合度指標も良好な値が得られた。10項目のクロンバックαは0.733であり,初回調査と再調査の合計得点の相関係数は,ρ=0.628(p<0.001)だった。基準関連妥当性の検討では,栄養管理の知識,栄養管理より優先される業務負荷及び入院患者等の栄養管理に関する情報共有との相関係数は,それぞれρ=-0.021(p=0.639),0.158(p<0.001),0.176(p<0.001)だった。【結論】SANN-G日本語版は,原版の因子構造とは異なっていたものの,妥当性・信頼性が確認された。
著者
川上 貴代 岸本 (重信) 妙子 平松 智子 佐藤 ゆかり 田淵 真愉美 我如古 菜月 吉本 優子 久野 一恵 沖田 千代
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.79, no.4, pp.196-203, 2021-08-01 (Released:2021-10-02)
参考文献数
20

【目的】様々な文化・宗教背景をもつ対象への栄養支援活動や対応のための知識習得や態度をもつことは重要である。本研究では管理栄養士養成課程学生での国際活動への志向の把握と管理栄養士のコンピテンシーとの関連により,国際活動への志向が高い学生の特徴を検討した。【方法】関東・関西・中国・九州の5大学の管理栄養士養成課程学生489名を対象に自記式質問調査票を配布し,399名から有効回答を得た(有効回答率81.6%)。国際活動への志向は10項目4段階で測定し,下位の因子合計得点を算出して用いた。コンピテンシー得点,国際交流経験等との関連を検討した。【結果】国際活動への志向について探索的因子分析を行ったところ,7項目2因子が抽出され因子寄与率は62.3%となり,「基本的知識への志向」と「実践への志向」と命名した。同じ学習段階である3年生を対象にクラスター解析を行ったところ,国際活動への志向は4つのクラスターに類型され,2つの因子得点の高低により特徴を示した。基本的知識への志向および専門実践への志向のいずれも高い群では他の群よりコンピテンシー得点,外国語の学習意欲や外国人への態度は有意に高値だった。【結論】国際活動に関する知識および実践への志向得点の高い管理栄養士養成課程の3年生は,コンピテンシー得点も高く国際交流経験や外国人に接する態度も肯定的であった。
著者
中島 正明 Masaaki Nakashima
出版者
安田女子大学
雑誌
安田女子大學紀要 = Journal of Yasuda Women's University (ISSN:02896494)
巻号頁・発行日
no.47, pp.103-117, 2019

今日、ますますその度合いを深めていく高度情報通信ネットワーク社会の中で、学校教育におけるICT(情報活用能力)に大きな期待が寄せられている。それと同時に、スマホ依存症など青少年を取り巻く問題状況が指摘されている。一方、すでに教育界では30年以上にわたってNIEが実践されてきた。ところが、その取り組みは記事の読み比べにとどまり、今ひとつ利用の仕方に広がりを感じられない。さらに、今日的な教育課題としてESDという新たな国際的・地球規模での実践が指摘されている。生活全般に渡ってグローバル化が進みつつある現代および将来において喫緊の教育課題として、それを避けて通ることはできない。そこで、ESD、ICT、NIEという3つの要素をリンクさせた新しい教育実践を構想し、新学習指導要領の実施に向けてNIEの新しい在り方・教育方法としての有効性と可能性を検証した。 特に、全教科でNIEを活用できることを実証することによって、教員養成課程におけるICT教育の在り方を見直すことを提示したい。
著者
田中 由美子
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.58, 2015

<b>【背景と目的】</b><br><br>2005年、OECDが『DeSeCo』プロジェクトの中で提案した3つのキーコンピテンシーにより、日本の教育政策における学力の捉え方に変容が見られたといわれる。これは、今日的な教育目標とされる能力概念を示しており、社会で必要とされ、これからの社会で生きる子どもたちに身につけさせたい能力である。<br><br>一方、社会問題と捉えられる状況の渦中にいる子どもたちには、その状況から救済する視点での教育も考えなければならない。例えば、ネット・スマホ依存症、貧困などである。これらに陥らない予防策を学校教育の内容に導入することは、人生をよりよく生きていくために必要である。<br><br>ところで、家庭科教育での目標・学びと、今日的な教育目標は重なる部分が多い。言い換えれば、家庭科での学びを有意義なものにすることで、社会で生きるために必要な能力の多くを培えるということである。そこで、本研究の目的は、今日的な教育目標と、社会問題の予防策という両面からアプローチした教育内容・教材を提案することとした。<br><br><b>【方法】</b><br><br>1.OECD(2005) DeSeCoから、キーコンピテンシーのカテゴリー及び下位カテゴリーの抽出<br><br>2.青少年のインターネット利用環境(状況)実態調査及び、ネット・スマホ依存症に関する先行研究から、その原因の抽出<br><br>3.貧困の連鎖を回避する要因の抽出<br><br>4.2.3.を予防するための手法として認知行動療法等からの知見を援用し、予防に留まらずキーコンピテンシー育成を目指した教育内容・教材の考案<b></b><br><br><b>【結果】</b><br><br>青少年のインターネット利用環境(状況)実態調査より「規則正しい生活がなされていない」という実態が窺えた。 また、先行研究として、日本の大学生のインターネット依存傾向測定尺度作成を試みた鄭は、ネット依存傾向の問題点を分類すると①「欲求抑制・自制心の欠如」、②「時間管理能力の不足」、③「コミュニケーションスキルの不足」の3点とみなすことができる。<br><br>これらを解消する手法として「認知行動療法」を援用することを考えた。その手法の中での「気づき」をきっかけに「発見」「思考」「実践」「省察」「修正」と発展的拡張を可能にし、より良い成長、自己実現が可能になる。<br><br>また、適切で有意義な社会生活を送るには、自己のありのままの感情や欲求を自制(コントロール)することが必要であり、その第一歩は、それらを客観的にとらえ、望ましい状況・感情と比較・意識(モニター)することを要する。この一連の思考様式は、メタ認知である。<br><br> ネット・スマホ依存症、及び貧困の連鎖を予防するだけでなく、生活上の思考様式・行動様式をより自律性の高いものとするため、それを身につけた人材育成を目指した教育内容・教材に取り入れることを考え、下記項目を設定した。<br><br>1.生活時間を記録し、振り返り、気づき・満足度を記入する。<br><br>2.上記1.に改善点・向上点(できるようになったこと)も記入させ、自己効力感向上とモチベーション保持を行う。<br><br>3.やらなければならないことをリストアップし、優先順位を決め、時間を逆算し、予定を立てるスキルを身につけさせる。<br><br>4.予定を立てる際、上手くできたとき、できなかった時をイメージするトレーニングを行い、悪循環を自分で断ち切れる自己管理能力を身につけさせる。<br><br>5.他者とのコミュニケーションを行う際、ストレスを感じにくくするための主張行動スキルを身につけさせる。<br><br>今後は、本研究において作成した教材を教育現場において実践し、教育効果の測定を行う。<br><br>
著者
新垣 友子 島袋 純 あらかき ともこ しまぶくろ じゅん Arakaki Tomoko Shimabukuro Jun 沖縄キリスト教学院大学人文学部英語コミュニケーション学科准教授・言語学 琉球大学教育学部教授・政治学
出版者
沖縄キリスト教学院大学
雑誌
沖縄キリスト教学院大学論集 = Okinawa Christian University Review (ISSN:13498479)
巻号頁・発行日
no.13, pp.37-46, 2017-02-10

2009年、琉球諸語は危機言語としてユネスコに認定されたが、それ以来、復興のための言語計画はどのように展開されてきたのであろうか。琉球諸語の維持・継承に関する有効な対策を講じない限り、2050年には消滅するといわれているが、この件に関する行政の取り組みは、有効とは言い難い。本稿では、行政の取り組みを検証するとともに、国連やその他の国際機関がどのように「言語権」という概念を明文化してきたか軌跡を概観しながら、行政の取り組みがいかに遅れているか、また国として、いかにその概念の発展と逆行する見解を示しているかをみていく。
著者
山西 倫太郎 板東 紀子 木本 真順美
出版者
徳島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

我々は、これまでにマウスに高ビタミンEとともにβ-カロテンを摂取させた場合には、抗原斐与により誘導されるIgE抗体の産生が低下し、そして1型ヘルパーT細胞活性が亢進していることを報告している。本研究では、β-カロテンカ晩疫系に対してこのような影響を及ぼすメカニズムを解析することを目的とした。そこで、まずβ-カロテンを摂取したマウスの脾細胞およびそこに含まれる抗原提示細胞を実験材料に種々の検討を行った。また、マウスマクロファージ培養細胞RAW264を用いて、培地にβ-カロテンを添加することにより、β-カロテンの作月のより詳細な分析を行った。β-カロテンを摂取したマウスでは、β-カロテン投与量に応じて脾細胞のβ-カロテン蓄積量が増加し、それに呼応してグルタチオン量が亢進していることを竜出した。その際、グルタチオン合成酵素mRNA量が増加していることも突き止めた。さらに、脾臓細胞のプラスチック付着画分(抗原提示細胞リッチ画分)において、抗原呈示に関与するシステインーカテプシンの活性が亢進していることが判明した。培養細胞実験系では、細胞へのβ・カロテンの蓄積後、細胞膜の脂質過酸化が起こり、その後グルタチオン量の増加が生じるという時間的関係性が明らかとなった。以上より、β-カロテンはそのredox activityにより田胞内のグルタチオン合成を亢進させ、それに由来する還元性に基いて抗原呈示を活性化させるというメカニズムが強く示唆された。今回の研究によって、β-カロテンの免疫調節における作用機序が明らかとなったわけであるが、それにより、どのような場合に、β-カロテンの摂取による効果的な免疫賦活が見込めるのかを判断することができるようになる。この成果は、健康増進の観点からβ-カロテンやそれを含む緑黄色野菜・果物の効果的な摂取を企図する場合に、役に立っ知見であると見込まれる。
著者
牧内 義信 佐藤 幸也
出版者
関東学院大学理工学部建築・環境学部教養学会
雑誌
科学/人間 (ISSN:02885387)
巻号頁・発行日
no.50, pp.73-136, 2021-03

新学習指導要領による高等学校教育の本格実施が迫っている。改訂された学習指導要領は、新教育基本法と関連する法律等の整備を踏まえた上で、従来の教育改革の流れを汲みながら、より一層学校教育のカリキュラム編成や教育方法等まで踏み込んだ内容となっている。思想と手法は新自由主義によるものと言えるが、日本社会が構造的に抱える緊急的課題に応えかついわゆる"Society 5.0"なども意識した学校の在り方、教授方法の改善等まで細かに論じたものとなっている。そうした改善、改革には一定の説得性はあるものの、実際の現場に対してはより一層負担を強いるものとなっていることも無視してはならない。「ブラック」職業とまで揶揄されるようになった教職は、その尊厳性や専門性などが毀損されている。ここでは、保護者などが持つ教育政策への不満などが国家、政府ではなく直接的に教育委員会や学校の教職員に向けられることも珍しくなく、本来であれば教育の専門家である教職員と保護者、地域の関係者などが児童生徒を核にして公教育のよりよい実践を目指して連携・協力し合う関係が築かれることが望ましいにもかかわらず、児童生徒も含めてそれらの関係性は分断されている実態がある。マスコミなどで取り上げられるような一部では成立しているように見えるものの、臨教審以来の新自由主義と市場化が進められた結果(地方自治の基盤劣化も含め)、識者の間では「公教育の崩壊」という言葉さえ聞かれるようになった。生徒と教師の学びの共同体である学校、授業の改善にほとんどの教職員は誠実に取り組もうとしているが、やればやるほど心身にダメージを蓄積することや生徒(子どもたち)の「学びからの逃走」、健全に成長発達することの危機の諸相は深刻になっている。その一つとして懸念されているのが現場の実態を無視したICTの推進である。久里浜にある国立の医療・教育機関の医師などは新たな病理としての「スマホ依存症」などITの普及に伴うリスクに警鐘を鳴らしているが、欧米各国でもこの問題は切実なものとして受け止められている。ドイツや北欧などで自然体験を豊富にそろえた教育プログラム(例えば森の中の学校園やシュタイナースクールなど)、イギリスで行われたスマホを捨て野に出ようというようなルソーの思想的、方法的流れを汲むような教育実践、教育ファーム(近年ではCity Farmという名称が使われるようになった)での学びは、人間性を呼び起こす、日本的な言い方をすれば「健全育成」が図られている。蛇足かも知れないが、平成以降の学習指導要領では「体験」学習の重要性が繰り返し述べられている。しかし、そのための条件整備はあまり進められておらず、豊かな自然体験に預かれるのはどちらかと言えば富裕層の児童生徒であり、体験学習においても格差が拡大している。現代の社会的病理の蔓延と将来的リスクの増大などはSDGsの重要な学習課題でもあり、それらは学校の教職員だけでは到底対応しきれない問題である。そこで、各教育委員会や高等学校では従来の理科教育の在り方を見直し、サイエンスとして学ぶこと、サイエンスとしての学びが未来の社会を担う公民・市民(国民)として「生きて働く」学力形成を目指す方向に行きつつある。大学入試に大きな影響を受けるが、高大連携や中学高校との一貫した自然科学の教育の内容と方法、それを具体的に実践する「授業」の場をどのように構築していけばいいのか模索している。本研究では、上記のことを意識しつつ、これまで高等学校教育について検討、考察してきたこと等を活かしながら、新学習指導要領の趣旨を踏まえ、課題解決に向かう学力と生きる力の形成を目指す高等学校理科の教育指導計画、授業改善の具体を示すものである。
著者
遠近道印//作,菱河吉兵衛<菱川師宣> //画
出版者
板木屋七郎兵衛
巻号頁・発行日
1690

折本5帖 表紙 28×16.5cm(全長3610cm)
著者
Osamu SAKAI Shoji OGINO Toshihiro TSUKUI Masaya IGASE Takuya MIZUNO
出版者
JAPANESE SOCIETY OF VETERINARY SCIENCE
雑誌
Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
pp.21-0326, (Released:2021-08-19)
被引用文献数
2

Chimeric antigen receptor (CAR) CAR-T cell therapy targeting CD20 can be a novel adoptive cell therapy for canine patients with B-cell malignancy. After injection of the CAR-T cells in vivo, monitoring circulating CAR-T cells is essential to prove in vivo persistence of CAR-T cells. In this study, we developed a novel monoclonal antibody against canine CD20 CAR, whose single-chain variable fragment was derived from the our previously reported anti-canine CD20 therapeutic antibody. Furthermore, we proved that this monoclonal antibody can detect therapeutic anti-canine CD20 chimeric antibody in the serum from healthy beagle dogs injected with the therapeutic antibody for safety study. This monoclonal antibody is a useful tool for monitoring both canine CD20-CAR-T cells and anti-canine CD20 therapeutic antibody for canine lymphoma.
著者
西本 昌弘
出版者
関西大学東西学術研究所
雑誌
関西大学東西学術研究所紀要 (ISSN:02878151)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.A1-A23, 2005-04-01

The original Portraits of the Five Patriarchs of the Shingon Buddhism that Kukai brought back from Tang have been handed down in Toji Temple. With the portraits of Ryumo and Ryuchi newly added in Japan in the 12th year of Konin (821), the portraits of the seven patriarchs were completed. It is generally believed that the inscriptions on the seven portraits were handwritten by Kukai, but there were some doubts about it in the old days. In this paper, based on the study of the historical research works, we support the opinion that the biographies on the four patriarchs (Ryumo, Ryuchi, Zenmui, and Ichigyo) out of the seven were not written by Kukai. On the other hand, in the collection of Kukai's letters, 'the Koya Collection of Letters', is the letter concerning the restoration of the Portraits of the Five Patriarchs. The letter addressed to the Left Chief of the Guards (Fujiwara no Fuyutsugu) is the one. It has been believed that the letter was written around the 6th year of Konin (815), but based on our study, it has been made clear that it was written around the 12th year of Konin. In this letter, Kukai requested Emperor Saga to restore the Portraits of the Five Patriarchs, and at the same time, he requested the emperor to write the biographies on the Portraits of the Five Patriarchs following the historical fact about the Emperor of Tang Dynasty. It is highly possible that the Emperor wrote them to reply to Kukai's request. So it can be considered that the inscriptions on the fourpatriarchs, in a different handwriting from Kukai's, should have been written by Emperor Saga.
著者
市川 千恵子
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

「堕ちた女」の感傷的な表象や、慈善活動の救いの対象としての受動的な存在としてではなく、自律した生を模索する下層階級女性の姿を、マーガレット・ハークネス(1854-1923)の著作を中心に考察した。ハークネスの語りには、下層階級女性を物語の声の主体としながらも、中流階級的なまなざしが介在する。その一方で、労働者階級女性の経済的脆弱さ、政治的声の獲得の困難さを提示する際には中流階級的価値観に対する批判と抵抗を潜ませる。自らの権利の模索としてのストライキへの参加に、慈善活動における階級差を基盤とした女性の関係とは異なり、労働者階級女性の連帯の萌芽と、彼女たちの政治的覚醒のあり様を見出すことができた。

1 0 0 0 日野町誌

出版者
日野町
巻号頁・発行日
1955