著者
高橋 潔
出版者
経営行動科学学会
雑誌
経営行動科学 (ISSN:09145206)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.67-85, 2001-01-31 (Released:2011-01-27)
参考文献数
63

This study examines convergent and discriminant validity of the 360 degree feedback systems in which managerial behavior and performance are evaluated by multiple raters including bosses, peers, subordinates, and self. Multitraitmultirater (MTMR) correlation matrix was constructed from the data of 177 Japanese managers and 1, 187 coworkers. The matrix was investigated by zero-order correlations and confirmatory factor analyses (CFA). Results of correlation analyses found that 1) in any domain of managerial behavior (traits), ratings within the same rater were correlated highly, proving that discriminant validity was low; and that 2) ratings of the same trait provided by different raters were not associated highly, suggesting that convergent validity is questioned. Confirmatory factor analyses found that among three models, i.e., rater model, trait model, and rater-trait combined model, the combined model fit best, suggesting that both rater effect and trait effect were interwoven in the actual ratings of the 360 degree feedback.
著者
山下 典孝
出版者
日本保険学会
雑誌
保険学雑誌 (ISSN:03872939)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.618, pp.618_1-618_15, 2012-09-30 (Released:2014-05-08)
参考文献数
6

本稿は,酒気帯び免責条項の適用を巡り異なった解釈をとった大阪地判平成21年5月18日判時2085号152頁と東京地判平成23年3月16日自保ジャーナル1851号110頁,金判1377号49頁とを素材として,酒気帯び免責条項に関する法的問題を検討するものである。酒気帯び免責条項を置き,飲酒運転を抑止するために,一律に免責を認めることは合理的根拠を持ち得ることである。様々な方向から,飲酒運転を撲滅することの一環として,酒気帯び免責条項が置かれているとする考え方も十分に妥当性を有するものと考え,私見の立場は,酒気帯び免責条項については,制限的解釈をすべきではないと考える。
著者
川上 善久 大山 拓人 高木 誠司 大慈弥 裕之
出版者
一般社団法人 日本創傷外科学会
雑誌
創傷 (ISSN:1884880X)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.55-64, 2016 (Released:2016-04-01)
参考文献数
20

植皮術は比較的簡便に,さまざまな創を閉創することが可能な優れた手術である。近年,陰圧閉鎖療法 ( NPWT ),塩基性線維芽細胞増殖因子 ( bFGF ) といった新しい創傷治癒を促進させる機器や薬剤が開発されており,従来の適応をこえて植皮術を安全に行うことが可能となった。それらの有用性を確認する目的で,当科における 214 例の植皮術について検討した。術前に NPWT や bFGF を使用したかどうか,また,植皮片の固定に NPWT を使用したかどうかにつき,植皮の生着率を比較した。術前の wound bed preparation については,NPWT と bFGF を併用した群において有意に植皮の生着率が高かった。また,植皮片の固定を NPWT で行った群は,それ以外の群に比較して植皮の生着率が有意に高かった。しかし,NPWT や bFGF は創傷を万能に治癒させる機器・薬剤ではないため,適応を正確に判断することが重要である。
著者
松本 真一
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 令和元年度大会(札幌)学術講演論文集 第5巻 熱負荷・外皮性能・シミュレーション 編 (ISSN:18803806)
巻号頁・発行日
pp.97-100, 2019 (Released:2020-10-31)

This paper describes calculation procedure of the solar declination and the equation of time which are fundamental data for building/equipment/component energy calculation and design. In this paper, calculation procedure of the modified method is explained concisely and its calculation accuracy is discussed.
著者
土井 光則 岩城 久弥 柴田 尚明 加藤 正哉
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.522-526, 2019-06-30 (Released:2019-06-30)
参考文献数
3

和歌山県立医科大学附属病院では2003年1月からドクターヘリを運行しており,一般的な救急医薬品のみを携行し,現場で処置を行った後に医療機関へ搬送していた。しかし出動先で,迅速な気管挿管や救急処置を要する場合,麻薬や筋弛緩薬の投与ができればより効率的な救急診療が可能であるとのフライトドクターの要望により,救急担当薬剤師という立場でこれらの薬剤の管理方法や運用方法を考えた。薬剤の特性に基づいて携帯ケースを用意したり,持ち出し管理表を作成するなど,救急医療の現場において救急に特化した薬剤師が関与することで,救急医療の質の向上につながったと考える。
著者
加藤,菜美絵
出版者
日本社会情報学会
雑誌
日本社会情報学会学会誌
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, 2009-09-30

本研究は,企業内SNS導入の有効性を明らかにすることを目的とする。具体的には,有効性を問題解決に着目し,組織の意思決定モデルであるサイモン-松田モデルとゴミ箱モデルに基づき,問題解決の過程と構造の面から明らかにすることにより,企業内SNSが企業の問題解決において果たす役割を考察する。まず,企業内SNSの利用に関する文献の調査に基づき,調査仮説を設定する。そして,調査仮説の検証および企業内SNSの有効性をより明確にするために,企業への構造化インタビュー調査と質問紙調査を行う。その結果,企業内SNSが,導入以前は関与することのなかった多様な参加者の気軽な情報発信や議論を可能にすること,個々が抱える既存の問題と多様な参加者により提示される有効な情報を結びつけること,選択肢の候補を得る洞察段階や解決策を得る選択段階において効果があり素早い問題解決を可能にすることを確認している。さらに,日記機能やQ&A機能,コミュニティ機能といった気軽な情報発信をサポートする機能が,「この場で相談してみよう」と思わせる親和の整った場を構築することに役立っていることを確認している。
著者
中川 陽介 内山 英昭 長原 一 谷口 倫一郎
雑誌
研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:21888701)
巻号頁・発行日
vol.2015-CVIM-197, no.20, pp.1-6, 2015-05-11

3 次元点群間の位置合わせは,点群内の点数が増加するほど計算コストが増加するため,3 次元点群を均一リサンプリングやランダムリサンプリングによって間引くことにより,位置合わせの高速化が行われてきた.しかし,リサンプリングによって点を削減した場合,疎な 3 次元点群となるため,位置合わせの精度が低下する.本稿では,3 次元形状を保ちつつ点を削減するために,3 次元点群の局所特徴に基づいてリサンプリングする手法を提案する.リサンプリング処理を高速化するために,3 次元点群から推定される法線と 2 次元距離画像の勾配の関係に着目した.距離画像の勾配は 2 次元画像処理によって高速に算出されるため,各点の法線を距離画像の勾配によって表現することで,距離画像から高速な法線推定を行うことが可能である.その後,3 次元形状が特徴的な領域であるほど点を残すように 3 次元点群を間引いてリサンプリングを行う.実験では,位置合わせの精度と処理時間に関する比較評価を行い,提案手法の有効性を示した.
著者
上垣 豊
出版者
史学研究会 (京都大学文学部内)
雑誌
史林 (ISSN:03869369)
巻号頁・発行日
vol.78, no.4, pp.p612-648, 1995-07

最近の研究によれば、一九世紀もなお、フランス貴族は財産を保持し、根強い社会的な影響力を維持し、革命後の社会にも適応能力を示したとされる。本稿ではこのような研究動向を踏まえつつ、一九世紀における貴族と国家の関係を論じた。そのなかでも七月革命による貴族制度の実質的解体に注目し、近世貴族制の特徴である「公式のエリート」としての貴族の属性がこれ以後失われることを強調した。また帝政と復古王政の「新旧エリート」の融合政策は旧貴族内部で進んでいた統合の動きと矛盾していたことを明らかにし、さらに七月革命後顕著となる「偽貴族」現象を貴族の国家からの自立との関連で論じた。ただし、名門、あるいは富裕な貴族は立身出世し、国家の要職につくことを望み、富裕でない貴族に関しては副収入源として官職に頼らざるをえなかった。貴族の近代国家への統合はむしろこうした形で進んだのであろう。
著者
熊澤 貴之
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.89, 2013 (Released:2013-06-20)

保全地区で定められる保全再生計画の策定と運用方法についてヒアリング調査を行った結果,監視官などの専門家によるアドバスを基に各委員会での協議や市民からの公開意見調査に基づいて,決定していく協議システムが実施されていた.また保全再生計画に示された内容に再生・修復する過程で,劣化の激しい部分については,どのように具現化するか,特に監視官などの専門家との協議の中で決定するプロセスが取り入れられていた.次に,建築ファサードの構成部位について色彩の実測調査を実施した結果,基調色としてはYR系の色相が8割程度使われていることが確認され,木材や土壁,石材,煉瓦などの天然の材料が使われていた.これは,保全再生計画で述べられている内容が着実にデザインとして具現化されており,保全再生計画が高いレベルで実現されていることが確認された.さらに運用においても事業者や市民に十分に浸透していることが考えられた.以上から,保全再生計画を基本としながら,再生や修復を担当する建築家,監視官,自治体が専門知識に基づくアドバイスを市民に行い,周辺環境と調和した街並みに向け,利害関係者が協議するシステムが効果的に運用されていた.