著者
森川 信之 神野 達夫 成田 章 藤原 広行 福島 美光
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.14-26, 2003
被引用文献数
4

異常震域が現れる、やや深発地震を対象とした地震動の最大振幅の予測を経験的手法によって行う上で、距離減衰式に対して補正係数を導入することを提案する。ここでは、東北日本 (東北及び北海道地方) を対象として、司・翠川 (1999) による最大加速度、最大速度の距離減衰式を基準に、(1) 太平洋側と日本海側の地震動強さの違いに対応する係数、(2) 遠方の地域まで地震波があまり減衰せずに伝わることに対応する係数、の二種類の補正係数を求めた。これらは、いずれもプレート沈み込み帯における特異な減衰 (Q) 構造に起因する伝播経路特性の地域性を補正するものである。ここで求めた新たな補正係数を適用することにより、やや深発地震を対象とした経験的手法による地震動予測において、非常に広域にわたって最大加速度及び最大速度の予測値の精度が大幅に向上する。
著者
田守 伸一郎 平野 貴識
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会北陸支部研究報告集 (ISSN:03859622)
巻号頁・発行日
no.49, pp.75-78, 2006-07-09

本研究では、3次元差分法を用いて諏訪盆地における震動シミュレーションをおこない、1次元波動論による速度振幅の最大値と3次元差分法による速度振幅の最大値を比較することにより、諏訪盆地の不整形性が与える影響についての検討をおこなうことを目的としている。3次元差分法により、盆地端部においてエッジ効果がみられることや、波の到来方向による異常震域が地盤の不整形性により説明できた。

1 0 0 0 OA 売茶翁研究

著者
馬 叢慧
出版者
Nagasaki University (長崎大学)
巻号頁・発行日
2015-03-20

長崎大学学位論文 学位記番号:博(水・環)甲第9号 学位授与年月日:平成27年3月20日
著者
瀬戸 宏
出版者
摂南大学外国語学部「摂大人文科学」編集委員会
雑誌
摂大人文科学 = The Setsudai review of humanities and social sciences (ISSN:13419315)
巻号頁・発行日
no.24, pp.31-44, 2017-01

中国国家話劇院が二〇一二年にロンドンで初演した『リチャード三世』(王暁鷹演出)は、ロンドンオリンピック芸術活動の一環として企画された、ロンドン・グローブ座で三七の言語によって三七のシェイクスピア作品を上演するシェイクスピア演劇祭参加作品である。大胆に中国伝統演劇の技巧と中国文化要素を運用した上演であり、大きな成功を収め、その後も二〇一六年に至るまで再演が続いている。本論文は、まず中国での『リチャード三世』受容史を概観した後、中国国家話劇院版『リチャード三世』の上演の特徴、とりわけ演出家がどのように中国伝統演劇の技巧と中国文化要素を運用したかに重点を置いて分析したものであり、大量の伝統演劇技巧が用いられているものの、その本質は話劇(現代演劇)であることを明らかにした。また、話劇(現代演劇)が伝統演劇の技巧を用いてシェイクスピア劇を上演することと、伝統演劇がシェイクスピア劇を上演することの相違を、解明した。
著者
白井 智裕 竹内 幸子 福田 憲子 加藤 宗規
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.213-217, 2015 (Released:2015-06-24)
参考文献数
21
被引用文献数
1 2

〔目的〕大腿骨近位部骨折症例に対し,術後1週の歩行能力から退院時歩行能力を予測できる因子について検討した.〔対象〕大腿骨近位部骨折症例119例とした.〔方法〕術後1週の歩行能力から3群に分類し,退院時歩行能力の到達確率を算出した.また年齢や認知症などを加えた予測式を検討した.〔結果〕退院時に杖歩行獲得する確率は,術後1週の歩行能力が平行棒以下では24.2%,歩行器では86.7%,杖歩行以上では100%であった.また,多変量解析により,術後1週の歩行能力が平行棒以下群では年齢,手術までの日数,受傷前barthel index,歩行器群では年齢,認知症が採択された.〔結語〕術後1週歩行能力は大腿骨近位部骨折症例の予後予測をする上での指標となる.
著者
斎藤 健 薄井 紀子 土橋 史明 牧 信子 浅井 治 矢野 真吾 加藤 明徳 渡辺 浩 香取 美津冶 長峰 守 荻原 朝彦 山崎 博之 小林 直 田嶋 尚子 倉石 安庸
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.39, no.7, pp.481-486, 1998-07-30
参考文献数
17
被引用文献数
2

成人急性骨髄性白血病(AML)においてCD7が予後因子となり得るかを評価する目的で,CD7陽性(+) AMLとCD7陰性(-) AMLの治療成績の比較検討を行いその意義について検討した。対象症例は1989年9月より1996年1月までの6年4カ月の間に,当科に入院した15&sim;65歳の<i>de novo</i> AML症例63例である。63例中表面マーカー検索材料中の芽球が70%以下の9例,早期死亡例(1カ月以内)2例を除外した52例が評価可能症例であった。FAB分類ではM1: 10例,M2: 16例,M3: 11例,M4: 8例,M5: 5例,M6: 2例であった。評価可能症例中CD7+AML症例は10例で,FAB分類ではM1: 3例,M2: 6例,M3: 1例であった。CD7-症例42例中CRは33例(CR率:78.6%),無再発生存率は22.1%, 4年生存率は35.4%であったのに対し,CD7+例10例のCR率は60%(6例),無再発生存率は53.3%, 4年生存率は44.4%であった。CD7+AMLとCD7-AMLの間で性別,血液学的所見,肝脾腫,リンパ節腫大,中枢神経系浸潤の有無,CR率,4年無再発生存率に有意差を認めなかった。CD7陽性は単独では予後因子となり得ないと考えられた。
著者
宇津 徳治
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大学地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.p551-561, 1987-03
被引用文献数
2

日本のマントル最上部地震(深さ40~80km程度,ただし異常震域が現れる東日本の太平洋岸沖合の地震や北海道太平洋沿岸の地震を除く)に対する震度I(気象庁震度階級),震央距離Δ(km),マグニチュードM(気象庁方式)の標準的関係を表す実験式を132個の地震(M : 5~7)の震度データを用いて求めた.I-Δの平均回帰直線I=I100-b(Δ-100)の定数を,次の式でMと結んだものを提出する.I100=1.5M-6.1 b=0.0523-0.0063Mこれらの式によりあるM,Δに対する震度を求めたとき,得られた値の小数点以下を四捨五入したものが整数値で表される通常の震度になる.
著者
藤田,經信
出版者
東京動物學會
雑誌
動物学雑誌
巻号頁・発行日
vol.4, no.47, 1892-09-15
著者
渡 正伸 熊谷 元
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.91, 2006

<B><緒言></B>近年、日本はたばこ規制枠組条約を批准し、たばこ規制に対して国際レベルの行動が求められるようになった。喫煙の有害性が認められるようになり、禁煙運動も社会的に大きな流れとなっている。しかしながら我が国においてはタバコ産業の大株主は財務省であり、厚生労働省もたばこが有害と知りながらも縦割り行政の弊害のためか抜本的なたばこ対策が実施しにくい状況と言える。近年、男性の喫煙率が低下する一方で、若い女性における喫煙率が増加している。若い女性、つまり子どもを持つ母親の世代での喫煙率が増加していることは、喫煙行動が子どもにとって身近な事柄となっていることが推察され憂慮すべき状況といえる。このような状況下に置かれた子ども達にたばこの有害性を教えていくことは最重要課題の一つと考えられる。国、政府がたばこの有害性を知りながらも現状維持のたばこ政策を行うかぎり、国民、子どもは被害者でありつづけることになる。人々の健康を守ることは医師の使命の一つであることを考えると、たばこの有害性をまずは医師が率先して訴えなくてはならない。日々の診療をするにとどまらず、もっと積極的に疾病予防の見地に立って第一次予防に目をむけるべきである。<BR><B><方法></B>呼吸器疾患をはじめ循環器疾患など多くの疾病に喫煙の有害性が大きく関与している。喫煙患者の禁煙指導が必要な反面、健康者に対する禁煙教育、さらには防煙教育が重要と考えた。即ち、未だたばこを吸ったことのない小学生時代に喫煙の有害性を知っておくことが重要であり喫煙防止効果も期待できると考えた。最初は校医をしている知り合いの医師をとおして小学校に喫煙防止授業の提案を行った。快諾を得た後、小学6年生に喫煙の有害性について授業を実施した。その後は市の教育課長に依頼し市全域の小学校に働きかけをしてもらい、喫煙防止授業を実施するよう小学校に呼びかけた。授業は院内の診療業務の合間に予定して実施し、診療に重大な支障が生じないよう配慮した。<BR><B><結果、考察></B>2002年度から小学校を中心に喫煙防止教室を行ってきた。2002?2005年度で5、6、9、11校と授業を実施してきた。徐々に開催校は増加している。今後さらに喫煙防止授業を希望する学校が増加した場合、個人ではマンパワー不足となる可能性がある。対策としては協力者を募るか、地区医師会や校医の協力が必要となる可能性もある。若い女性、即ち小学生の子どもを持つような女性の喫煙率が増加している現在、喫煙に対する正しい評価と判断を下すためには、正しい知識を小学生のうちに身に付けてもらうことが重要である。そのためには我々医師が喫煙の有害性を具体的に教えていく必要があると考えられる。喫煙防止授業の活動がどれ程の成果をあげるかは未知であるが医師の大きな役割と考えている
著者
鵜海 敦士 嶺井 大輝 成田 正斗 渡辺 法和 酒川 雄右 竹内 景子 水田 賢司 石垣 崇 真能 敬弘 宇野 晶洋 柴田 幸助
出版者
動物臨床医学会
雑誌
動物臨床医学 (ISSN:13446991)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.14-19, 2020

<p>食後の神経症状を主訴とした,5カ月齢の雄の柴犬が血液検査にてPSSを疑われたため紹介来院した。CT検査を実施したところ,胸腔内の臓器は正常位だったが,腹腔内すべての臓器の左右逆位を認め,さらに,PSSと後大静脈欠損奇静脈連結および脾臓の形態異常も確認された。内臓錯位と後大静脈欠損奇静脈連結を伴うPSSと診断し,短絡血管の段階的な結紮術を実施した。術後,臨床症状や血液検査所見は改善し,術後19カ月経った現在も経過は良好である。犬において,内臓錯位と後大静脈欠損奇静脈連結を伴うPSSを外科的に治療した稀な報告である。</p>
著者
竹中 郁夫
出版者
日経BP社
雑誌
日経メディカル (ISSN:03851699)
巻号頁・発行日
vol.34, no.11, pp.173-175, 2005-11

■相談メモ 近いうちに医療訴訟の被告側証人として法廷に立つ予定なのですが、ある知り合いの医師は、患者側の弁護士から厳しい尋問をされ、ずいぶんつらい思いをしたと言っていました。私も弁護士からどのような追及をされるのか不安です。心の準備として、何か注意すべきポイントがあれば、教えてください。
著者
深沢 祥代
出版者
文化女子大学
雑誌
文化女子大学紀要. 服装学・造形学研究 (ISSN:13461869)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.95-108, 2009-01-31

現在,ファッションは人々の生活の中に根づき,短期間で変化する流行と共に,常に新しさが求められるものであり,一つのビジネスとしても確立されている。今日,世界のファッション・ビジネスが大きく発展している背景には,これまで数多くの歴史を築き上げてきたパリ・モードが深く関係している。それは,華々しくファッションが登場した17 世紀以降のフランスの絵画や, 芸術分野からも見て取れる。さらに, 19 世紀のパリでは, 国の主要な産業となっていた仕立業や手工業が目覚ましい発展を遂げ,モードの中心として確立された。この時代には,これまでのオートクチュール産業の他に,既製服産業が登場し,職人の技術向上を目的とした教育の重要性も高まる。そして,モード産業がパリの主要な産業として位置づけられていく中で,多くのデザイナーが登場し,彼らの功績もまた,今日に通じる偉業となっている。また,多様化する現代において,ファッションはアクセサリーや香水など広範囲に及び,それらはモード産業の主力的な部門になっていることから,現状について論述していく。
著者
大野 忠夫
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.1, 2017

2016年7月1日,筆者は知り合いの医師から「オプジーボは,処方医師に専門医資格を求められるなど,未だ使用にハードルが高い薬であるため,自由診療であっても,あるいは自由診療だからこそ,今回の適用外使用は見合わせよう,ということになりました.」というメールを受け取った.直前の6月4日にシカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(American Society of Clinical Oncology:ASCO)では(ASCOの間はがんにかかるな,という冗談があるほど,全米のがん治療医が参加する主要学会),オプジーボのような抗体医薬によるがん免疫療法は,もはや臨床現場でも選択肢の1つとして当たり前の治療法になっており,既に話題のピークを過ぎていた.本抗体の劇的な効果がもともとは国内(京都大学)で発見されたにもかかわらず,がん治療の臨床現場レベルになると,我が国は遅れをとってしまっている.既に,「抗PD-1抗体(ペムブロリズマブ)がPD-L1高発現の進行性非小細胞肺がん患者に対するファーストライン治療として,無増悪生存期間および全生存期間において化学療法に対する優越性を示す」(2016年6月28日,https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/release/16/06/28/02114/)という現実が目の前に来ているのだが・・・.<br>日本でもまもなく,「ファーストラインでがん免疫療法を行う」という意味を,医師は患者に説明しなければならなくなるであろう.しかし周知のように,がん免疫療法は手術・放射線・抗がん剤に継ぐ第4の治療法と期待されながら,実際には大学病院も含めて国内のごく普通の臨床現場では,未だに「まだ分からない治療法」なのである.<br>すなわち,国内で承認済みの免疫チェックポイント阻害剤にとどまらず,身体に広く影響が及ぶがん免疫療法の真の意義については,我が国ではごく一部の専門医を除けば,臨床現場におけるほとんどのがん治療医がまだ理解していないのである.まして,医師の処方せんをチェックする薬剤師ではどうかと言えば,(少なくとも本稿執筆時点では)全員素人だと言われても仕方がない状況なのではないか.<br>がん化学療法とがん免疫療法の関係で言えば,「まず抗がん剤治療ありき」から,「最初からがん免疫療法を実施する(これまでの抗がん剤治療に先んじて)」へ,優先順位が逆転するという,いまや常識のコペルニクス的大転換の時代に入っているのである.また,我が国では高齢化に伴ってがん患者は増える一方であり,既に年間37万人ものがん死者がいる.だからこそ,猛烈なスピードで進化しつつあるがん治療法(特にがん免疫療法)について,ファルマシアの読者にはぜひ勉強してもらいたいと願っている.<br>少しでも勉強すれば,誰でもがん治療の臨床現場で最先端の知識を身につけられるのである.時代に置いてけぼりにされるより,はるかに面白いのではなかろうか.