著者
中山 友瑛 片山 正純
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, 2019

<p>身体意識の成立には,意図した運動,運動指令の遠心性コピーから予測した運動,感覚情報のそれぞれの比較が重要である.この観点から,身体所有感の成立に必要となる最小限の身体の視覚情報を明らかにするために,仮想空間内に手の指先・関節位置に点を表示する光点提示および骨格提示に対する身体意識(運動主体感と身体所有感)を調査した.各提示条件において手指の運動課題を3セット繰り返し,セット毎に身体意識のアンケート調査を行った.この結果,運動主体感は両条件における全てのセットで高い評定値となった.一方,身体所有感を評定値の高いグループと低いグループに分けて評価した結果,高いグループにおいて骨格条件では全てのセットで高い評定値となった.しかし,光点条件ではセット毎に評定値が徐々に高くなり,第3セット後には骨格条件と同程度に高くなった.以上より,手の光点提示に対しても身体所有感が成立することを明らかにした.</p>
著者
Otani Yul
出版者
University of Tokyo(東京大学)
巻号頁・発行日
2017

審査委員会委員 : (主査)東京大学教授 河東 泰之, 東京大学准教授 緒方 芳子, 東京大学准教授 木田 良才, 東京大学准教授 加藤 晃史, 東京大学准教授 白石 潤一
著者
菊地 武道 秋田 信也 中沢 克江
出版者
千葉県体育学会
雑誌
千葉体育学研究 = Chiba Journal of Physical Education (ISSN:09138137)
巻号頁・発行日
no.8, pp.9-16, 1986-01-31

[研究目的] スポーツの競技力を向上させる要因としては、体カ・技術および戦術などがあげられる。テニスは、その中でも技術の占める割合が多い種目と考えられる。しかし、技術を発揮したり、技術習得の激しい練習に耐えるには、桔礎体力が必要であり、そのヒさらに種目特有の専門的体力も必要である。この様な事から大学テニス部員がテニスの競技力向上を図るため、基礎体力は勿諭のこと、テニスに必要な専門的体力を作り、その向上をも併せ図る事は意味のある事である。テニスプレイヤーの体力的特色は、庭球協会のデ杯選手の体力測定報告によれば心肺機能、反応時間および利き手の握力に優れている。一方パワーや柔軟性の能力に欠けていると言っている。テニスの試合形態は、今でこそタイブレイクで試合の決着をつけるようになった。しかし、3セットや5セットマッチと試合は長い時間を要する事から、テニスフレイヤーが全身持久性の能力に優れている事は理解できよう。また、反応時間については、黒田らがミュンヘンオリンピック日本代表選手の全身反応時間は、365.59msecであると言っている。これに比較してデ杯選手は296.94msecと他のスポーツ種目の選手よりも速く、テニスプレイヤーの体力資質として反応時間にも優れているものと推察できる。現在は、ハードコートのサーフェイスが多くなったこと、それにも増して技術的な進歩によりプレースメントよりもハードヒットする打法が主流を占め無酸索的パワーの要素、すなわち力強く、しかも速い動きが必要となってきた。さらに激しい動きの中においてボールを打つためには、その動きを一瞬静止させ、身体のバランスをとることが打球時の動作の中でより必要となってくる。本研究は、テニスプレイヤーの体力的特徴を知り競技力向上の指針を得るとともに、体力的特徴である反応時間およびプレー自体から判断して速い動きの中での身体のバランスも必要と考え、そのための指標となる緩衝性能力がテニスの練習をおこなうことによりどの様に変化するか、その推移からテニスプレイヤーの体力的特徴を併せ考察するものである。
著者
岩城 隆久 嘉戸 直樹 伊藤 正憲 藤原 聡 鈴木 俊明
出版者
社団法人 日本理学療法士協会近畿ブロック
雑誌
近畿理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.4, 2008

【目的】運動学習は、結果の知識(KR)によって学習効果に影響することが報告されている。我々は第43回日本理学療法学術大会で、運動学習の練習終了後のテストにおいて、2試行に1回の言語的KR付与の練習が学習効果を認めることを報告した。今回、この先行研究の結果より練習中の学習戦略について検討した。<BR>【方法】対象は本研究の参加に同意を得た健常人23名(男性16名、女性7名、年齢25.3±2.1歳)とした。本研究では握力学習を試行した。被験者は、利き手最大握力の50_%_握力を目標値とした。KRは目標値の上下2_%_誤差範囲を正答KRとし、その範囲内の試行で「正答」、正答KRより低い値は「下」、高い値は「上」という言語的KRを用いた。全学習試行にKRを付与する群(100_%_KR)、2試行に1回KRを付与する群(50_%_KR)、3試行に1回KRを付与する群(33_%_KR)、KRを付与しない群(0_%_KR)に被験者を無作為抽出した。実験は学習前試行、学習試行、学習後試行の順で行った。学習試行では、群分けのKR付与頻度に応じて10試行を1セットとし計3セット実施した。測定はデジタル握力計GRIP-D(竹井機器工業株式会社)を使用し、文部科学省の体力測定における握力測定法に準じて実施した。学習試行中の目標値と実測値のずれとしてRoot Mean Squared Error(RMSE)を算出した。RMSEが目標値に対するパーセンテージとなるようNormalize Root Mean Squared Error(NRMSE)への正規化を行い、学習試行の各セットにおいて群間比較した。<BR>【結果】各セットのNRMSEは次の結果を示した。第1セットは0%KR(31.6±18.6)に対して100%KR(10.6±2.6)は低下を認めた(p<0.05)。第2セットは0_%_KR(33.2±7.4)に対し100_%_KR(9.3±3.4)、50_%_KR(10.1±2.7)、33_%_KR(10.1±3.0)は低下を認めた(p<0.01)。第3セットは0_%_KR(29.1±9.2)に対し100_%_KR(7.5±4.2)、50_%_KR(12.6±6.9)、33_%_KR(10.6±1.9)は低下を認めた(p<0.01)。<BR>【考察】言語的KR付与の頻度は、学習戦略に影響を与えることを示唆した。学習初期は内的基準の修正にKRが使用され、試行回数が増加するにつれて、内部モデルの強化のためにKRが有効的に使用される。しかし、100%KRのようにKRが高頻度であるとKRに依存的になり、学習において重要とされる内部モデルの強化は乏しくなると考える。Salmoniらのガイダンス仮説やSwinnenの内部フィードバックへの注意と学習の関係からも同様のことが示されている。<BR>【まとめ】言語的KRの頻度は学習過程に影響し、付与頻度による戦略の違いが運動学習に影響を及ぼすことが示された。
著者
対馬 俊之
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.126, 2015

環境に配慮した伐採をめざす保残伐施業では単木的もしくは群状に保残木を配置するが、そのことが作業効率の低下やコストのかかり増しにつながる可能性がある。保残方法の違いと木材生産性およびコストとの関係を検討するため、実証試験地で行われた伐出作業の作業能率調査を行った。伐採箇所は北海道有林空知管理区のトドマツ人工林であり、3回繰り返しの第1セット林分である。単木保残(小量、中量、大量)と群状保残、皆伐区の5実験区で、事業体作成の作業日報とビデオ撮影による時間分析によって生産性を把握した。第1セットでは2つの企業が実験区を分担し、両者の作業システムはチェーンソー伐倒、グラップル木寄せ、ハーベスタ造材、フォワーダ集材、グラップル巻立てと同様だが、木寄せ時の全木材の配置方法、1日あたり投入される労働量が異なっていた。ここでは生産性を主に報告する。
著者
奥山 哲 福田 正雄
出版者
茨城県病害虫研究会
雑誌
茨城県病害虫研究会報 (ISSN:03862739)
巻号頁・発行日
no.10, pp.17-19, 1970-07

葉面浸漬の3処理を通じて,フミン,コロマイトの2種乳剤はCMVの病斑形成を顕著に阻害した。また,接種後の両処理では,デプシー,カスミンの乳剤等に病斑形成促進作用がみられた。一般にこの葉面浸漬における結果は,既報の混合接種のそれとは必ずしも一致しないものである。これは両検定における供試葉の状態,薬液の検定葉等に対する接触様式,あるいは,その濃度などの相違に基くと推測される。一方,土壌灌注試験においては,ニツソール乳剤が一応の阻害作用を示したにとどまり,他の供試農薬には,ほとんど有意な影響がみられなかつた。このような土壌灌注における作用の一般的低下は,薬液の土壌吸着,分解,根よりの吸収,移行等に関連していると思われる。
著者
横井豊治
雑誌
病理と臨床
巻号頁・発行日
vol.17, pp.154-160, 1999
被引用文献数
4
著者
深谷 富夫 小林 次郎
出版者
北日本病害虫研究会
雑誌
北日本病害虫研究会報 (ISSN:0368623X)
巻号頁・発行日
vol.1982, no.33, pp.25-28, 1982

秋田県では1978年に48%のKSM耐性菌株率が認められ、翌1979年からカスミン剤の使用を規制した。その結果1981年には明らかな耐性菌株率の減少が認められ本剤の使用を完全に中止した場合1年間で前年の0.6~0.4倍に減少した。隣接した市町村間でも耐性菌株率やその減少速度に著しい相違が認れられたことから規制がよく守られていない向もあると考えられたが、また耐性菌株率に対する薬剤の影響は、その地域の農薬の使用状況に応じて限られた範囲に起っているものと考えられた。
著者
木本 好信 大島 幸雄
出版者
法政大学史学会
雑誌
法政史学 (ISSN:03868893)
巻号頁・発行日
no.75, pp.45-68, 2011-03
著者
木本 好信 大島 幸雄
出版者
法政大学史学会
雑誌
法政史学 (ISSN:03868893)
巻号頁・発行日
no.74, pp.48-73, 2010-09
著者
半沢 伸治 梶 和彦
出版者
北日本病害虫研究会
雑誌
北日本病害虫研究会報 (ISSN:0368623X)
巻号頁・発行日
vol.1991, no.42, pp.27-30, 1991

人工接種の種子を用いて苗腐敗症の育苗箱内での発生状況と二次感染による発病を調査した。また, 発病苗を本田に移植し, その生育状況を調査した。苗腐敗は接種種子を中心に発生し, 次第に周縁の苗に拡大してすり鉢状の発生となった。発生程度は伝染源の量に比例して激しくなった。重症の発病苗は, 大部分が本田移植後まもなく枯死あるいは消失し, 軽症の発病苗も枯死する割合が高かった。また, 発病苗を移植前にカスミン製剤に浸漬したが, 治療効果は認められなかった。
著者
吉井 健一郎 志和地 弘信 入江 憲治 豊原 秀和
出版者
日本熱帯農業学会
雑誌
熱帯農業研究 (ISSN:18828434)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.81-87, 2012

インディカイネのプカールンドゥール品種はカンボジアのバッタンバン州の主力品種であるが,直播き栽培において播種後に水田が湛水すると苗立ちが悪くなることが知られている.これまでの研究において,プカールンドゥール品種の苗立ち不良は第一義的に溶存酸素量の不足によって起きていると考えられたことから,溶存酸素量と苗立ちとの関係について調べた.水だけを入れたポットに種子を播くと播種数が多くなるほど溶存酸素量が低下し,苗立ちが見られなくなった.しかし,ポットに空気を供給すると,苗立ち不良になる播種数のポットの苗立ちは改善した.そこで,溶存酸素量とプカールンドゥール品種の生長との関係を調べたところ,鞘葉は溶存酸素量にかかわらず伸長するが,溶存酸素量が2 mgl<sup>-1</sup>以下では本葉と根の伸長が阻害された.これらのことから,プカールンドゥール品種の苗立ちに必要な溶存酸素量は3 mgl<sup>-1</sup>以上と考えられた.水田土壌の溶存酸素の低下には土壌中の微生物が関与していると考えられている.そこで,種子をコサイドおよびカスミンボルドー剤で処理をして湛水した水田土壌中に播種したところ,いずれのボルドー剤処理においても苗立ちが改善した.ボルドー剤処理は水田土壌表面水中の溶存酸素量と水田土壌中の酸化還元電位の低下を抑制したことから,土壌中の微生物の活動を抑えたものと考えられた.ボルドー剤による種子処理は直播栽培による苗立ち不良の改善に期待される.