著者
潮村 公弘 佐藤 誠
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.141-152, 1994

本研究の目的は, 恋愛状況下の異性二者間における相互的な認知の成立機制を探究することであった。測定手法は, 好意的同性二者間でのパーソナリティ認知における相互認知を検討した今川・岩渕 (1981) の手法に依拠した。<BR>被験者は以下の6つの認知過程ごとに, 自己概念を操作的, 客観的に捉えるために開発された47項目から成るSelf-Differential Scale (大学生用) (長島・藤原・原野・斎藤・堀 (1967)) に対して評定を行なった。1) 現実自己像, 2) 他者像, 3) 相手の自己像についての推測, 4) 相手の他者像についての推測, 5) 理想自己像, 6) 理想異性像の6つの認知過程 (認知像) である。なお, 6) の過程は本研究において, 異性間の問題を対象にした場合の独自性を捕捉することを目的に, 新たに取り入れた過程であった。<BR>本研究でのデータには, 相互的な認知を取り扱うための適切な方法としてペア・データが用いられた。それゆえ自己評定の前述の6過程, 他者評定の6過程 (すなわち1) 他者の現実自己像, 2) 他者の他者像, 3) 他者の, 相手の自己像についての推測, 4) 他者の, 相手の他者像についての推測, 5) 他者の理想自己像, 6) 他者の理想の異性像) の12過程の各々2つを組み合わせた認知過程対の類似性が検討された。<BR>まず認知過程対の類似度の検討より, 理想自己像 (5, 5) と理想異性像 (6, 6) の類似, 現実自己像1 (1) と相手の他者像についての推測4 (4) の類似, および他者像2 (2) と相手の自己像についての推測3 (3) の類似, 以上の3つの認知過程対の類似が, 相互的認知の成立に重要な役割を果たしていることがわかった。<BR>さらに上記の分析では検討できなかった, 理想自己像と理想異性像の両者が相互的認知に対して, いかなる規定関係にあるのかについて偏相関係数を用いて検討した。まず, 各々で統制した場合の偏相関係数を算出した。その結果, 理想自己像は自己に関する認知に影響を与える一方, 他者に対する認知には効果を有していないこと。それに対し, 理想異性像は他者に対する認知に影響を与える一方, 自己に対する認知には効果を有していないことが見い出された。さらに, 理想自己像同士の類似の影響を検討するために, 両者の理想自己像を同時に統制した場合の偏相関係数を算出した。その結果, 両者の斉合的な認知の成立, および他者についての認知と自分の理想異性像の類似は, 理想自己像同士の類似とは独立に存在していることが示された。
著者
野坂 千秋 星川 恵里 久保田 浩二 小川 宣子 渡邊 乾二
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.2-9, 2001-02-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
10
被引用文献数
2

The texture and taste of Vichyssoise soup cooked by a professional chef (VP) and that produced by a food manufacturer (VM) were compared by examming their physical properties in order to investigate the optimum cooking conditions for making desirable Vichyssoise soup.In comparison with VM, VP was lower in apparent viscosity, larger in potato-cell size, and higher in the ratio of particle volume. Micro-structural observations showed that the starch particles in VP were retained in the potato cells, whereas those in VM had leaked from the cells due to severe cell damage.It was found that soup like the VP sample could be obtained by a straining the potatoes at 90°C through a sieve of 250μmin mesh size-which minimized damage to the potato cells by and made a product lower in viscosity and higher in particle volume than the VM sample.A sensory test was carried out on two products made by different processing techniques. The mixing method was found to damage the cells more and spoil the texture of the potatoes. The straining method with a sieve, however, gave favorable results, producing a soup that was less viscous, and that retained the potato particles, while still being smooth in the mouth.
著者
古俣 大介
出版者
日本リアルオプション学会
雑誌
リアルオプションと戦略
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.26-32, 2018

「才能を持つ埋もれたアマチュアフォトグラファー」を支援したいという想いから、2005年8月に創業。誰もが参加できるフラットな投稿スタイルで、高品質・低価格な写真・イラスト・動画のストック素材をインターネット上で売買できるデジタル素材のマーケットプレイス「PIXTA」(ピクスタ)を開設しました。PIXTAは現在日本最大級のサイトとなり、アジア数か国にも展開、2015年に東証マザーズに上場しました。 また2016年には出張撮影マッチングサービス「fotowa」(フォトワ)を開始。従来の写真館サービスにあった、不透明な料金設定、画一的な写真、データ納品不可というユーザーの不満をWebプラットフォームで解消し、好きな場所・日時に好きなフォトグラファーを呼べる仕組みを構築しました。
著者
Alexander I. KUZMENKO Etsuo NIKI Noriko NOGUCHI
出版者
Japan Oil Chemists' Society
雑誌
Journal of Oleo Science (ISSN:13458957)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.497-506, 2001 (Released:2009-07-28)
参考文献数
21
被引用文献数
7 13

The antioxidizig action of 20-hydroxyecdysone was investigated in several systems in vitro. Changes in the parameters of chemiluminescence in the presence of 20-hydroxyecdysone were found in rat liver mitochondrial fractions. The effect of 20-hydroxyecdysone on methyl linoleate micelles free radical oxidation was studied. The rate of oxygen uptake in methyl linoleate micelles was found to be smaller when 20-hydroxyecdysone was present than at its absence. The action of 20-hydroxyecdysone in the liposomal membranes oxidation was investigated be means of α-tocopherol consumption. A lower rate of α-tocopherol consumption in the oxidation of liposomal membranes was found when 20-hydroxyecdysone was present.   The effect of cholesterol on free radical formation in liposomal membranes was investigated. The rate of free-radical formation was smaller when cholesterol was present in the membrane than in membranes free of cholesterol. The α-tocopherol antioxidant effect in the membrane was also lower when cholesterol was present. We show here for the first time that 20-hydroxyecdysone has an antioxidant action in combination with α-tocopherol in membranes with cholesterol overload. Kinetic measurements were revealed the 20-hydroxyecdysone antioxidant effect on free radical reactions in membranes.
著者
鈴木 凌斗 村上 弘晃 西山 勇毅 川原 圭博 瀬崎 薫
雑誌
研究報告モバイルコンピューティングと新社会システム(MBL) (ISSN:21888817)
巻号頁・発行日
vol.2021-MBL-100, no.22, pp.1-6, 2021-08-26

屋内での滞在情報を正確に把握することで,混雑度の推定や集客情報,人流の把握など,様々なサービスを提供できる.Bluetooth ビーコンや WiFi の信号強度を用いた滞在場所推定手法では,低コストに滞在推定システムを導入できる.しかしながら,受信信号強度の不安定さや隣接した部屋から漏れる信号などが原因となり,単純な信号強度のみを用いた判定では,受信環境によっては滞在場所の誤判定が頻繁に発生する.本稿では,部屋ごとの滞在時間特性の違いを考慮に入れることにより誤判定を抑制する手法を提案する.提案手法では,部屋ごとの滞在時間の分布をワイブル分布にフィッティングし,生存時間解析を適用することによりユーザの状態を推定する.信号強度の強弱のみに基づく既存手法との比較のため,正解ラベル付きのデータを収集し評価実験を行った.
著者
磯田良 著
出版者
三省堂書店
巻号頁・発行日
vol.西洋之部, 1913
著者
松尾 博
出版者
滋賀大学経済学会
雑誌
彦根論叢 (ISSN:03875989)
巻号頁・発行日
no.233, pp.92-94, 1985-08
著者
松尾 菜々 異島 優 池田 真由美 安藤 英紀 清水 太郎 石田 竜弘
雑誌
日本薬学会第141年会(広島)
巻号頁・発行日
2021-02-01

【背景・目的】活性イオウ分子種(RSS)は、チオール基やジスルフィド結合にS原子がさらに付加した分子であり、S原子放出能や高い抗酸化作用を有する。近年、過剰なS原子のがん細胞内への導入は、還元ストレスを与え、効率的に細胞死を誘導することが期待されているものの、既存のRSSは生体内での血中滞留性やがん細胞指向性に乏しいことが知られている。そこで、ヒト血清アルブミン(HSA)を過イオウ化させたPoly-Persulfide-HSAの作製を試みた。HSAは、高い血中滞留性とがん細胞指向性を有しており、生体内でRSSとして機能する報告もあることからキャリアとして有益と考えた。本研究では、作製したPoly-Persulfide-HSAの還元ストレスによる抗腫瘍効果を評価した。【方法】HSAにIminothiolaneを反応させ、Lys残基にSH基を導入した後、そのSH基をIsoamyl nitriteでS-ニトロソ化し、Na2S4と反応させることでPoly-Persulfide-HSAを作製した。In vitroの検討において、マウス結腸がん細胞Colon26細胞を用いて、Poly-Persulfide-HSAの細胞内取り込み及び細胞生存率を評価した。In vivoでは、Colon26担がんマウスを作成し、Poly-Persulfide-HSAを静脈内投与した際の抗腫瘍効果を評価した。【結果・考察】Poly-Persulfide-HSAはHSA 1分子あたり約7分子のS原子が付加していた。Poly-Persulfide-HSA処理Colon26細胞において、高い細胞毒性が見られ、その効果には活性イオウの取り込みが関与することが示唆された。In vivoの実験より、顕著な腫瘍体積増加の抑制が認められた。これらより、Poly-Persulfide-HSAは、がん細胞内にS原子を送達することで還元ストレスを惹起し、細胞死を誘導したと考えられる。以上より、作製したPoly-Persulfide-HSAは、還元ストレス誘導型抗がん剤として有用であると示唆された。
著者
後藤 昭博 伊ケ崎 文和 河村 光隆
出版者
日本海水学会
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.272-274, 1990 (Released:2013-02-19)
参考文献数
5

結晶状塩化ナトリウム超微粒子の調製方法として, 希薄塩化ナトリウム水溶液の超音波噴霧乾燥による方法をとりあげ, 生成超微粒子の形状および微粒子生成の限界点等について検討した結果, 以下の知見を得た,1) 噴霧量に対して, 乾燥速度を考慮した十分な量の乾燥空気が混合されなければ, ち密な結晶状超微粒子は得られない.2) 生成超微粒子濃度を高めるための方法として, 乾燥空気温度を高くし過ぎると, 中空状の粒子となる場合があり注意が必要である.3) 生成超微粒子径を小さくする方法として, より希薄な水溶液を噴霧する方法があるが, 約1ppm程度より薄くなると超微粒子が生成しなくなり, 限界がある.4) 噴霧粒子径を小さくできれば, 生成超微粒子の粒子径を小さくすることが可能である.
著者
兼宗 進
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 通信ソサイエティマガジン (ISSN:21860661)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.92-99, 2019-09-01 (Released:2019-09-01)
参考文献数
22
被引用文献数
1

2020 年度から始まる新しい教育課程では,小学校から高等学校までの12 年間の教育課程の中で,プログラミングを教科に位置付けた情報教育が行われる予定である.小学校ではプログラミングを体験し,中学校では計測・制御と双方向コンテンツのプログラミングを学び,高等学校ではアルゴリズムを含めたプログラミングを学ぶ.本稿では,有識者会議等の議論で得た知見を含め,学校教育におけるプログラミング教育を概観し,筆者が進めているプログラミング教育の研究を紹介する.
著者
松田 圭二 岩堀 恵祐
出版者
日本水処理生物学会
雑誌
日本水処理生物学会誌 (ISSN:09106758)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.19-29, 2016 (Released:2018-03-10)
参考文献数
15
被引用文献数
1 2

し尿、浄化槽汚泥の性状は、し尿処理プラントの建設や運転管理における重要なファクターである。しかし、近年の性状実態を包括的に捉えた報告はみられず、適切な頻度の分析作業も困難な状況と推察される。本研究では、し尿、浄化槽汚泥に関する標準的な性状の抽出と分析作業の効率化を目的として、アンケート調査で得られた性状データ(検討項目:BOD、COD、SS、T-N、T-P、塩化物イオン)をもとに、し尿・浄化槽汚泥の性状に関する解析と検討を行った。性状データの分布は、いずれの検討項目も、正規または対数正規による非超過確率分布によく適合しており、解析で得られた非超過確率値が、し尿、浄化槽汚泥の性状設定で利用可能と判断された。また、検討項目間の相関関係から、比較的簡単に分析できるCODあるいはSSのいずれかと塩化物イオンの濃度を測定することで、他の検討項目の濃度も把握できることが示唆された。