著者
Shiho HIRAIZUMI Naoto SHIOMI Tadashi ECHIGO Hideki OKA Akihiko HINO Mineko BABA Masahito HITOSUGI
出版者
The Japan Neurosurgical Society
雑誌
Neurologia medico-chirurgica (ISSN:04708105)
巻号頁・発行日
pp.oa.2020-0030, (Released:2020-06-22)
参考文献数
34
被引用文献数
8

The factors influencing the outcomes of mild/moderate acute subdural hematoma (ASDH) are still unclear. Retrospective analyses were performed to identify such factors. The medical records of all patients who were admitted to Saiseikai Shiga Hospital with mild (Glasgow Coma Scale [GCS] score of 14–15) or moderate (GCS score of 9–13) ASDH between April 2008 and March 2017 were reviewed. Comparisons between the patients who exhibited favorable and poor outcomes were performed. Then, independent factors that contributed to poor outcomes were identified via logistic regression analyses. A total of 266 patients with a mean age of 70.2 were included in this study. The most common concomitant injuries were subarachnoid hemorrhages (SAHs; 56.8%). The patients’ Injury Severity Scores (ISS) ranged from 16 to 75 (median: 21). The 66 moderate ASDH patients exhibited significantly higher frequencies of surgery and mortality (24.2% and 13.6%, respectively) than the 200 mild ASDH patients (8.0% and 4.5%, respectively). The factors associated with poor outcomes were age (odds ratio [OR]: 1.06) and the ISS (OR: 1.24) in the mild ASDH patients, and older age (OR: 1.09) and the higher ISS (OR: 1.15) in the moderate group, too.
著者
箕輪 和行 岡田 和樹
出版者
一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
雑誌
日本口腔腫瘍学会誌 (ISSN:09155988)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.256-263, 2016-12-15 (Released:2016-12-29)
参考文献数
7
被引用文献数
3

エナメル上皮腫は一般的に顎骨内に発生するため,視診,触診による評価は難しく,画像診断の役割は大きい。エナメル上皮腫の診療ガイドラインにおいてエナメル上皮腫の診断に有用な画像検査は,検討の結果,口内法エックス線撮影,パノラマエックス線撮影,CTおよびMRIの全てとなったが,各診断モダリティーの特性を活かした診断を行うことが重要となる。エナメル上皮腫との鑑別が画像上,特に必要な疾患は,頻度を考慮し,角化囊胞性歯原性腫瘍,含歯性囊胞,歯根囊胞となった。エナメル上皮腫の画像所見と予後に関する報告は少ないが,単房性のエナメル上皮腫に比べ多房性のエナメル上皮腫の再発率が高いとの報告がみられ,また,良性エナメル上皮腫から悪性転化が存在する場合は予後不良であった。転移性(悪性)エナメル上皮腫は,臨床的に転移を呈するが,良性のエナメル上皮腫と同様の画像所見を示した。エナメル上皮癌は,境界不明瞭,骨破壊および周囲組織への浸潤など悪性を示唆する画像所見を呈した。
著者
誉田 貴子 友田 尋子 坂 なつこ 玉上 麻美
出版者
大阪市立大学
雑誌
大阪市立大学看護短期大学部紀要 (ISSN:13447688)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.27-35, 2001

夫婦や恋人など、親密な関係にあるパートナーからの暴力をドメスティック・バイオレンス(以下DVとする)という。この暴力は、被害者が直接受ける場合と第三者に向けられた暴力を被害者が目撃する間接的な暴力も指している。つまり、暴力による被害はDV被害者に限らず、DV家庭で育つ子どもにもあると考えられている。今回、DV被害者を対象に被害の実態と子どもへの影響について調査した結果、DV被害者は、暴力を継続的に受け、不安感や緊張感の中で生活を送っていることがわかった。そして、暴力の存在する家庭で暴力現場を目撃し、また実際に暴力がふるわれる家庭で生活する子どもも被害者と同様に心身に影響を受けていたことがわかった。
著者
勝亦 麻子 Asako KATSUMATA
出版者
淑徳大学短期大学部紀要委員会
雑誌
淑徳大学短期大学部研究紀要 = Shukutoku University Junior College bulletin (ISSN:21887438)
巻号頁・発行日
no.63, pp.77-87, 2021

本研究は、DV被害者の気持ちや生活の変化、被害年数が経過したDVの問題解決の難しさ、および将来加害者に介護が必要になった時の気持ちを明らかにすることによって、長期化したDVの解決方法およびDV被害が高齢期まで継続することを防ぐ方法を探ることを目的とした。調査の方法は、まずDV被害者支援に関する研修会および、被害者向けの心の回復を目指す講座の参加者にアンケート調査を行い、その際インタビュー調査の協力も可能であると記載があり、同意が得られたDV被害者15名に2010年9月から11月にインタビュー調査を行った。その結果、被害が長期化すると、子どもとの関係が悪化したり、加害者への情や家族のしがらみなどが増えて別れにくくなることが明らかになった。また将来の介護問題を避けるために離婚した人がいる一方、加害者が要介護になったらDVの復讐をする可能性も示唆された。DVが長期化した場合の家庭生活の変化や、家族構成員へ及ぼす悪影響等を総合的に、しかもできるだけ早いうちにDV被害者に客観的に把握させて自立を促したり、大事な人間関係のつながりをサポートしたり、喪失感を癒す支援も必要ではないかと考える。
著者
辻 ゆき子 千里金蘭大学 生活科学部 児童教育学科
巻号頁・発行日
vol.17, pp.29-40,

本学は保育者養成校として、学生自身の心の豊かさや感性の育成を重要視して保育内容(表現)の授業の中で様々な体験学習を計画・実施している。そのような折、2019年末からの新型コロナウィルス感染症拡大の波の中で対面での様々な演習を行うことが難しくなり、今年度はリモートでの演習を実施することとなった。そこで、例年は対面で実施していた演習をリモートで行うことで、学生の気付きや学びにどのような影響があるのかを検証することとした。結果的には、課題の内容を全く同様にはできずに結果に違いは見られ、ポイントを絞った細やかな観察は難しかった部分はあったが、2020年度は各自が好きな時間に自身の身近な場所で実施したことで、時間的にも余裕があり、自身の生活圏の自然により関心をもつことができ、課題以外の事柄にも幅広く目を向け、これまでとは違った気付きや考察が多く見られる結果となった。
著者
戸田山 和久
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 37 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.112-113, 2013-09-06 (Released:2018-05-16)

本発表では、若手科学者および科学コミュニケーターを対象とした、市民向け科学コミュニケーション研修プログラムにおいて、適切な比喩の使用方法を考えるためのワークの実施結果をもとに、市民向け科学コミュニケーションにおける比喩の使用の適切さは何で評価するべきかという問題について考察する。発表者のこれまでの実践から得られた示唆は、どのような比喩を使うべきかは、「わかりやすさ」にばかり注目すべきではなく、コミュニケーション活動が置かれた文脈を十分に考慮して決定されねばならないということである。
著者
三宅 裕司 橋本 茂 網田 克明
出版者
森林林業研究所
雑誌
徳島県立農林水産総合技術センター森林林業研究所研究報告 (ISSN:13473778)
巻号頁・発行日
no.2, pp.17-24, 2003-03
被引用文献数
1

大正5年~8年にかけて建設された吉野川水系の飯尾川第一樋門の改築に伴い、掘り起こされた基礎マツ杭について、その劣化状況と強度について、新材マツ杭との比較を行なった。その結果、樋門基礎マツ杭は80年以上の経年経過にもかかわらず、新材マツ杭と比較しても劣化度の違いや強度差がほとんど認められず、木材が長期に耐用する素材であることがあらためて確認された。