著者
樋口 広思
雑誌
宮城教育大学紀要
巻号頁・発行日
vol.55, pp.251-256, 2021-01-29

This study examines and considers suicide prevention in school. When considering suicide prevention, it is important that suicidal ideation is properly evaluated. However, the evaluation of suicidal ideation is often a direct evaluation. Therefore, it is often difficult to implement at school. Therefore, we examined whether individual differences between BIS and BAS based on Gray's temperament model could indirectly evaluate suicidal ideation. As a result, those with high suicidal ideation also had significantly higher BIS scores. This suggests that the BIS score can be used to indirectly estimate suicidal ideation.
著者
王 暁峰
出版者
関西学院大学
雑誌
産学が連携した研究開発成果の展開 研究成果展開事業 地域事業 地域イノベーション創出総合支援事業 シーズ発掘試験
巻号頁・発行日
2007

太陽光発電の普及を実現するため、色素増感太陽電池(DSSC)が低コスト、高効率の太陽電池として期待されている。かかるDSSCにおける究極の低コスト化のための増感色素として、天然のワカメの中にたくさん存在するクロロフィルcの応用を目指す。クロロフィルcを用いたDSSCの効率は、世界で一番高い効率ルテニウム色素N719系の効率11%の約5分の2であるが、そのコストは約10分の1となる。本試験では、クロロフィルcの効率向上を中心に、安定性の改良、太陽電池としての最適化を行う。
著者
長谷川 達人 近藤 和真
雑誌
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) (ISSN:21888698)
巻号頁・発行日
vol.2021-UBI-71, no.25, pp.1-9, 2021-08-26

センサを用いた人間行動認識において深層学習を用いた手法が数多く提案されている.中でも,深層学習とアンサンブル学習を併用する手法は強力な成果を発揮している.一方,アンサンブル学習を行うにはデータの分割や複数モデルを学習するなどの様々な手続きを要し,手間と計算コストがかかる.本研究では,行動認識を対象に深層学習のアンサンブル手法を解析することを通じて,単一モデルを End-to-End で訓練するだけでアンサンブルモデルと同等の推定精度を実現する手法の実現可能性を考察する.
著者
樺島 榮一郎
出版者
日本社会情報学会
雑誌
日本社会情報学会学会誌 (ISSN:13440896)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.5-16, 2007-09

本論文は,放送用番組の二次利用,特にインターネット配信の著作権許諸問題を論じる。多くの場合,放送番組の権利者は放送事業者だが,番組で使われた脚本や音楽,実演等は,それぞれ著作権者が権利を持ちつづける。放送事業者が放送用に番組を製作する場合は,これらクラシカル・オーサーの権利の制限という優遇措置と,著作権等管理事業者との年間包括契約により,逐一許諾は必要ない。番組を放送以外で二次利用する場合,改めて各権利者の許諾が必要となるが,製作時に交渉を行っておらず,使用料規定もなく,著作物特定,権利者捜索,個別交渉が必要になる。これが,番組の二次利用を妨げる原因である。放送事業者優遇の法理を考察すると,業務実態反映論は,番組制作会社等,放送事業者以外も番組制作が可能であることから,成立しない。公共的役割論も,ユニバーサルサービスの費用を権利処理費用の低減で賄うという,論理が成立しえない。新しい法理は,多様なメディアで放送用著作物を利用しやすくすること,すなわち著作物のユビキタス化が適切である。そのために,裁定制度の努力義務を,著作権等管理事業者のデータベースの検索のみにし,補償金も著作権等管理事業者に委託している権利者の受取額と同額とする。これにより,集中管理へのインセンティブが働くと同時に,利用者は,アウトサイダーの権利も集中管理委託の権利と同等に扱うことができる。
著者
江見 美子 鵜殿 俊史 小林 久雄 早坂 郁夫
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement 第20回日本霊長類学会大会
巻号頁・発行日
pp.131, 2004 (Released:2005-06-30)

【目的】チンパンジーはヒト蟯虫(Enterobius vermicularis)の寄生により、下痢や嘔吐、食欲不振などを起こし、時に肝臓などへの迷入により死に至る場合がある。また蟯虫の雌は産卵時期になると、寄生部位である盲腸から肛門に移動し産卵を行う。この時の掻痒感のため、蟯虫寄生は肛門いじりや各種肛門疾患の原因になると考えられている。しかしチンパンジーにおける蟯虫駆除は 1) 糞便いじりによる再感染率が非常に高い、 2) 投与が容易で蟯虫に対し高い駆除効果が期待できる駆虫薬がない、など非常に難しく、チンパンジー飼育施設にとって長年解決できずにいる問題となっている。そこで、ブタの回虫・鞭虫駆虫薬として既に使用されているフェンベンダゾール (Fenbendazole) のチンパンジーにおける蟯虫駆虫効果について調べ、清浄化を図った。【方法】 (1) 駆虫効果判定の為、蟯虫寄生が確認されたチンパンジー8頭にフェンベンダゾール10mg/kgを2週間隔で2回投与し、排虫の確認と、1、2、4、8、12、16週後に検便を行った。 (2) 蟯虫清浄化を目的として、チンパンジー80頭にフェンベンダゾール10mg/kgを5~11回投与し、2~7カ月おきに検便を行った。【結果】 (1) 8頭とも多数の排虫が確認され、その後12週まで蟯虫は検出されなかった。 (2) 投与前は30.2%だった蟯虫の検便陽性率が、投与開始から9ヶ月後および12カ月後には0%となった。しかし、16カ月後の検便で1頭から蟯虫が検出された。【考察】これらの結果から、フェンベンダゾールはチンパンジーの蟯虫に対し高い駆虫効果を発揮することが確認された。しかし初回投与の16カ月後に1頭から蟯虫が検出されたことから清浄化には至らず、環境中の虫卵から再感染した、あるいは駆虫しきれずに腸管内に残っていたことが考えられた。今後は投与間隔の再検討が必要である。
著者
八木 久美子
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.78, no.2, pp.541-564, 2004-09-30 (Released:2017-07-14)

イスラムと西洋近代という二分法が浸透するなかで、近代におけるイスラムはイスラム教徒のアイデンティティの要となりながら、それと同時に西洋近代の価値に支配された世界の歪みを正す宗教として、人類全体に向けた普遍的な役割を期待されてもいる。本論では、アラブ・イスラム世界の作家に焦点をあて、彼らが作品のなかで、「アメリカ」に代表される他者の価値に挑戦するものとしてイスラムをどのように描いたかを追う。彼らには現実のアメリカを描こうという意図はなく、宗教不在の社会の記号として「アメリカ」を否定し、公的な宗教の存在を必要不可欠と訴える。そして、そのような役割を果たすことができる宗教の典型としてイスラムを捉える。ただしその際、彼らの言うイスラムとは、宗教者によって支配される体系ではなく、信仰に基づいて生きる普通の人々がともに生きる人々とのつながりのなかで感じとり、蓄積してきた生活規範や倫理観であり、そうしたイスラムこそが、近代の普遍的な要請に応えられるとされている点が重要である。
著者
岩宮 眞一郎 関 学 吉川 景子 高田 正幸
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.292-299, 2003
被引用文献数
2

テレビ番組や映画などで, ある映像シーンから別の映像シーンへ場面を転換するとき, 様々な切り替えパターンが用いられる. 本研究では, 効果音が各種の切り替えパターンの印象に与える影響を, 印象評定実験によって明らかにした. 一般に,「明るい」印象の連続的なスケール状の効果音が, 各種の切り替えパターンと調和する. とりわけ, 上昇系列の音列と拡大系の切り替えパターン, 下降系列の音列と縮小系の切り替えパターンの調和度が高い. 本研究で認められた音と映像の調和感は, 音と映像の変化パターンの一致に基づく構造的調和によるものと考えられる. さらに, 音と映像の調和度が高い視聴覚刺激は映像作品としての評価も高い. これは, 音と映像が一体となって互いの効果を高め合う協合現象によるものと考えられる. 音と映像の構造的な変化パターンの一致が調和感をもたらし, 視聴覚情報が一体のものとして理解されることで, 評価が高まるのであろう.
出版者
日経BP
雑誌
日経ビジネス = Nikkei business (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.2095, pp.44-48, 2021-06-14

今年4月のある晩、ミャンマーの首都ネピドーに住むミン・ナイン・ウー氏(仮名)はテレビのニュースにくぎ付けになった。自分の名前と顔写真が映し出され、軍事政権が指名手配したと報じていたからだ。 2月1日のクーデターで全権を掌握したミャンマー国軍は…
著者
佐々木 系 長谷川 功 八谷 三和
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.83, no.6, pp.1005-1007, 2017 (Released:2017-12-22)
参考文献数
22

2016年8月30日,台風に伴う河川増水により,岩手県の某河川沿いにある養魚場が冠水し,ギンザケ当歳魚(0+)(推定50万個体)が逸出した。このため,種間関係(競争・交雑等)を通じた生物多様性への影響が懸念され,駆除等の対策を要する。そこで,対策を講ずる基礎的知見を収集するために,ギンザケ逸出後の河川で魚類相調査を行った。ギンザケの生息個体数は6,387個体と推定され,逸出から100日後では逸出時の1.3%に減少していたが,在来種と同所的に存在し,0+で成熟する雄個体がいることが明らかになった。
著者
木下 瑞夫 田雜 隆昌 牧村 和彦 浅野 光行
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.625, pp.161-170, 1999

本研究は, 活性化が喫緊の課題となっている都心地区における歩行者回遊行動を把握するための新たな調査手法を提案し, その有用性を明らかにするものである. まず, 5種類の調査手法について, データ収集の信頼性や実態調査の難易等の観点から総合的に比較検討して, 現地配布・郵送回収による都心地区交通結節点を起終点とする歩行経路地図上記入方式が最も適していることを明らかにした. つづいて, この実態調査手法を用いて歩行者回遊行動調査を地方中核都市で実施し当該都市のパーソントリップ調査と比較した結果, 回遊トリップ数, 回遊距離, 回遊経路などの把握状況において手法の有用性を確認した. また, 来街手段別歩行回遊状況, 商業施設間の回游実態, モールや地下道利用実態など, 都心の歩行空間整備計画の指汁となるデータが効率的に収集できることが確認できた.
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンストラクション (ISSN:09153470)
巻号頁・発行日
no.362, pp.12-13, 2004-10-22

分割すると8日間で合計72時間かかる舗装の打ち換え工事を,15時間に集中。通行止めの時間を大幅に短縮した——。国土交通省東京国道事務所が「銀座ワンナイトリフレッシュ工事」と名付けたこの工事は,2004年9月18日の午後9時から翌19日の正午までの間で施工した。 対象となったのは東京都中央区の銀座4丁目交差点から新橋交差点にかけての区間。
著者
北村 咲子 武智 健一 安平 あゆみ 藤岡 志帆 浪口 孝治 萬家 俊博
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.37, no.7, pp.743-747, 2017-11-15 (Released:2018-01-24)
参考文献数
15
被引用文献数
2 2

ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術(RALRP)では,気腹と急峻な頭低位を要するため術中に眼圧が上昇する.このため,緑内障患者に対するRALRP適応の可否には議論がある.当院では緑内障患者でも,眼科医の術前診察により初期緑内障と診断されればRALRPを適応している.今回5例の緑内障併存RALRP症例に対し,麻酔中の眼圧を測定したところ非緑内障患者と術中の眼圧変化に差はなく,術後明らかな視機能障害を認めなかった.緑内障併存患者のRALRP症例の周術期管理に関し報告する.
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.928, pp.60-62, 1998-02-16

「アトランタ夏季五輪の輸送システムには問題があった。長野では万全を期す」。1996年夏、アトランタ五輪を視察した長野冬季五輪組織委員会(NAOC)の小林実事務総長は帰国直後の記者会見でこう述べた。 アトランタ五輪では、選手や報道陣を大会会場に運ぶはずのバスが時間通りに来ず競技開始に遅れる、といった事態が続出。