著者
鈴木 あかね
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネスassocie (ISSN:13472844)
巻号頁・発行日
vol.9, no.16, pp.38-41, 2010-10-05

『ハリー・ポッター』シリーズの作者、J・K・ローリングは生活保護を受けるシングルマザーだった。子どもをあやしながら書いた『ハリポタ』がついには全世界で数兆円を越える巨大産業になった。これで一体、何人の雇用が生まれたことか! 生活保護万歳! いやいやホント、人にはどんな才能が潜んでいるかわからない。
著者
伊澤 雅子
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳動物学雑誌: The Journal of the Mammalogical Society of Japan (ISSN:05460670)
巻号頁・発行日
vol.9, no.5, pp.219-228, 1983

ノネコの日周活動を知るため, 福岡県の離島, 相の島において, ラジオ・トラッキング法と直接観察法を用いた調査を行なった。発情したオスを除いて, ノネコは1日のうちの大部分を休息に費やした。高いアクティビティーは日没時と日の出時項にみられ, この薄明薄暮型のパターンは, 個体間でも, 季節的にもかわることはなかった。また, ノネコは, 夏にはより夜行性, 冬にはより昼行性の活動を行ない, この変化は気温と強い関係をもっていた。すなわち, 気温が高くなるにつれて, 活動時間は昼間から夜間へと移っていた。また, 雨や発情期もネコの活動に影響を与えていた。ノネコのアクティビティーのこれらの特徴とそれに影響する要因を, 他の食肉目と比較して議論した。
著者
井保 和也
出版者
Japanese Association for the Contemporary and Applied Philosophy (JACAP)
雑誌
Contemporary and Applied Philosophy (ISSN:18834329)
巻号頁・発行日
no.11, pp.1-22, 2020-01-31

Suppose Ann, who is a colleague of Beth, was thirty minutes late for an important meeting. And suppose, on the next day, Beth was also ten minutes late for her appointment with Ann, and Ann blamed Beth for that. If you had been in the position of Beth then, you would have said, "You are hypocritical. Who are you to blame me for that?" This is because you have a widely shared intuition that some agent R has the standing to blame some other agent S for doing some wrong action φ only if R is not hypocritical with respect to φ. In philosophy of blame, this is called nonhypocrisy condition. My aim in this paper is to explain why nonhypocrisy condition seems to be plausible. (Note that I don't mean to justify it.) This paper is divided into four sections. In section 1, I explain the nature of blame briefly. In section 2, I strictly define hypocrisy that is involved in nonhypocrisy condition. In section 3, first, I see three important features of hypocritical blame, referring to Fritz and Miller. Next, I survey and criticize three theories of hypocritical blame that have been offered so far: inconsistency theory, equality-violating theory, and right-forfeiting theory. I think all of them have a defect respectively. The first one and the second one cannot properly explain one of the three important features of hypocritical blame. And, in order to support the third one, we have to bite bullets. In section 4, I offer a new theory of the nature of blame, looking-down theory, according to which, in many cases, when we blame others, we look down on them in some aretaic aspect. I conclude that we should appeal to this nature of blame to successfully explain why nonhypocrisy condition seems to be plausible.
著者
荒川 吉孝
出版者
舞鶴工業高等専門学校
雑誌
舞鶴工業高等専門学校紀要 (ISSN:02863839)
巻号頁・発行日
no.40, pp.118-123, 2005-03

以下は、スコットランド王ジェィムス六世(1603年以降、英国王ジェイムス一世)の『悪魔学』(1597年エディンバラ刊)を翻訳し註釈を施したものである。この本は三巻から成り、フィロマテスとエピステモンの対話の形を取っている。ここでは第二巻の最初の三章を取り上げる。第一章では、妖術と降霊術が憂鬱と想像力の産物にすぎないとする意見に反駁する。第二章は、降霊術や妖術といった言葉の語源と定義を扱い、魔女の入門と見習いに話題が及ぶ。第三章では、魔女の行為を、「自分自身に関するもの」と「他人に向けられたもの」に分け、魔女の集会と儀式、特に悪魔の礼拝に言及する。
著者
辻本 直秀 阿部 浩明 大鹿糠 徹 神 将文
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11443, (Released:2018-10-04)
参考文献数
14
被引用文献数
3

【目的】拡散テンソル画像所見で皮質脊髄路(以下,CST)が描出されず,一方で皮質網様体路(以下,CRT)の残存が確認された脳卒中重度片麻痺者の歩行再建に向けた理学療法経過について報告する。【対象】動静脈奇形破裂による脳出血発症から約1 ヵ月後に当院へ入院された10 歳代後半の男性であった。麻痺側立脚相における下肢支持性はきわめて乏しく歩行に全介助を要した。【方法】CST の損傷程度から運動機能の予後は不良であると予測されたが,CRT が残存しており,麻痺側下肢近位筋の回復を予測し,歩行再建できる可能性が高いと判断し,長下肢装具を使用した2 動作前型歩行練習を積極的に試みた。【結果】発症から約4 ヵ月後,遠位筋の回復は不良であったが近位筋優位の運動機能の回復が得られ歩行能力が改善した。【結論】重度片麻痺者の歩行練習に際し,CST の損傷の評価のみならずCRT の損傷も評価することでより効果的な治療が提供できる可能性がある。
著者
新井田 清信 高澤 栄一
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.113, no.Supplement, pp.S167-S184, 2007 (Released:2009-01-27)
参考文献数
52
被引用文献数
1 5

幌満かんらん岩体は,日高山脈の南端部に露出する8×10kmの大きな岩体で,新鮮なかんらん岩からなる造山帯レルゾライト岩体として良く知られている.岩体内部には顕著な層状構造が認められ,ダナイト・ハルツバージャイト・スピネルレルゾライト・斜長石レルゾライト・輝岩および少量の苦鉄質岩からなる.岩体は,これら全ての岩石タイプが成層して層厚3,000mに達する複合岩体を構成し,全体的に滑らかに湾曲したスラブ状の形態を示す.ここでは,幌満かんらん岩体の層状構造に焦点をあてて全ての岩石タイプとその産状を観察し,上部マントルでつくられた層状構造の起源を考察する.
著者
井原 今朝男
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.148, pp.249-268, 2008-12-25

近年、神社史研究が活発化しつつあるが、その分析対象となる多くの神社史料がもつ歴史的特徴や問題点について留意されることが少ない。そこで神社史料についての資料学的検討を行った。第一は、現存する神社や現任の神官層の保管下にある神社史料群はむしろ限定された文書群にすぎず、むしろより多くの関係史料群が社家文書として個人所蔵に帰しており散逸の危機に直面し、史料群の全体像はなお不明の状態のものが多いといわなければならない。社家文書の群としての全体的構造を理解することは、神社資料に対する史料批判を厳密にするうえで必要不可欠な作業である。第二に、個別神社史料群は、明治の廃仏毀釈によって仏事関係史料群が流出し、史料群の構成は大改変を受けている。そのため、現存史料群から描く神社史像は歴史実態から乖離してしまうという問題に直面することになる。改めて、廃仏毀釈の実態解明や旧聖教類の所在についての史料調査が重要な課題になっている。第三は、現存する神社史料群は、とくに近世・近代の神官層による神道書や縁起の編纂・改変という諸問題を抱えている。しかし、それらの解明は今後の課題であり、史料学的な問題点として論じられていない。神道史というものが近世国学や近代国家神道によって、「近代日本的な偏見」を受けていることが指摘されてきた。近世・近代の国家神道の下で神道書や神社史料がどのようなイデオロギー的変容を遂げたのかをあきらかにすることは、神社史料研究の一研究分野としなければならない。こうした神社史料ももつ諸問題や特質をトータルとして論じる多面的な資料学的研究が必要になっている。
著者
大阪府公文書館
出版者
大阪府
巻号頁・発行日
vol.平成20年, no.(41), 2008-03-01
著者
林 明子
出版者
一般社団法人日本教育学会
雑誌
教育學研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.13-24, 2012-03-30

本稿の目的は、経済的に不利な状況におかれている家庭の子どもたちが日常生活と進路選択をどのように経験しているのかを解明し、なぜ彼/彼女らが相対的に低位の進路にたどり着くのかに迫ることにある。ライフストーリーに着目し分析をおこなったところ、子どもたちは家庭の困難により学校では周辺的な位置におかれる一方で、家庭がよりどころとなり「家庭への準拠」を強めていた。その帰結として、子どもたちは低位の進路を選択することになったのである。
出版者
巻号頁・発行日
vol.[1],
著者
関口 武
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.11-22, 1964-02-29 (Released:2009-11-12)
参考文献数
2
被引用文献数
1
著者
尾川 満宏
出版者
日本教育社会学会
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.88, pp.251-271, 2011-06-10 (Released:2014-06-03)
参考文献数
18
被引用文献数
2

本稿は,ある高卒就職者たちの〈語り〉をもとに,地方の若者による労働世界の再構築過程を,ローカルな社会状況と彼らの労働経験との相互作用として考察した。 従来,調査協力者の「地元」における男性労働は建設業・製造業を中心とし,なかでも建設業は職人世界を形成してきた。調査協力者は不明確な進路意識のもとで高校を卒業し,建設現場で接した「職人天下の物語」や「ボス」をもとに彼らの《職人》像を構成し,職業人としてのアイデンティティを構築しようとした。 しかし,地元建設業を囲繞する環境は近年厳しさを増し,零細企業から仕事を奪っている。そうした地元建設業界の構造を理解するなかで,調査協力者たちは《職人》の物語に「終わり」を悟っていった。その後,彼らは工場労働に生活安定の場を求めてゆくが,学歴や年齢で序列化され,高度に分業化された工場労働のシステムは,目指すべき明確な労働者像を彼らに与えない。ところが彼らは,工場労働を《職人》世界の基準を用いて語ることで異化=再構築し,再び職業人としてのアイデンティティを語る文脈を自ら用意していたのである。 地域的な労働世界を再生産する文化のダイナミクスは地方にいまなお残存している。地方の若者が抱えるローカルな課題へ注目することは,もっぱら大都市のフリーター・無業者問題を論じてきた「学校から職業への移行」研究に,新たな地平をひらくと思われる。
著者
筒井 智樹 為栗 健 井口 正人
出版者
特定非営利活動法人 日本火山学会
雑誌
火山 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.71-81, 2021-06-30 (Released:2021-07-27)
参考文献数
24

A seismic reflector at 13.6 km beneath western Aira Caldera, northmost part of Kagoshima Bay, Kyushu, Japan is discussed through later phase analysis of controlled source seismograms obtained in the experiment in 2008. A prominent seismic later phase appears at 8.3 s in travel time on the seismograms in northeastern Sakurajima Volcano for ray paths across western Aira Caldera in the seismic experiment in 2008. Back-azimuth of the later phase orientates center of western Aira Caldera and apparent velocity of 3.7 km/s is measured in the seismic array at northern Sakurajima Volcano. The later phase is inferred as P-SV converted reflection at 13.6 km depth from its travel time and a corresponding reflector located in the east off Osakigahana point, western part of Aira Caldera. Negative impedance contrast at the reflector is inferred from negative polarity of the onset of the later phase. Some clear later phases after S arrival, which appears in seismograms of natural earthquakes through trans-caldera ray paths, can be explained as SS reflection at the reflector. The reflector inferred as top surface of a possible magma reservoir of Aira Caldera, from its negative polarity and its location at depth of the west of known pressure source from preceding geodetic surveys.
著者
齋藤 玲子
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.115, no.7, pp.663-670, 2012 (Released:2012-09-06)
参考文献数
37
被引用文献数
1

インフルエンザは冬期に流行する急性ウイルス性疾患である. 日本では5種類の薬剤が使用可能である. M2阻害剤のアマンタジンはA型インフルエンザのみに効果を示し, 耐性が出現しやすいことで知られる. ノイラミニダーゼ阻害剤はA型, B型インフルエンザに有効である. 本邦ではオセルタミビル, ザナミビル, ペラミビル, ラニナミビルの4剤が使用可能である. ペラミビル, ラニナミビルは新規薬剤でほぼ日本のみで使われている. 数年前にオセルタミビル耐性A/H1N1 (季節性) が流行したが, 新型インフルエンザA/H1N1 pdm09の出現により駆逐され, 現在インフルエンザはNA阻害剤の4剤すべてに感受性である. 一般的に耐性インフルエンザ株が検出されても, 健常人であればそれ自体で重症化したり経過が遷延するものではなく, 通常のインフルエンザと同様に治癒していく.本稿では, 日本で使用される抗インフルエンザ剤の種類と特徴, 薬剤耐性の機序について述べる.
著者
森本,猛夫
出版者
造船協會
雑誌
造船協會會報
巻号頁・発行日
no.59, 1937-02-20

The antarctic whaling tanker, "Nisshin Maru" (22, 000 tons deadweight) was successfully built on 28th Sept. '36 by the Kawasaki Dockyard Co., Ltd., Kobe, in the record of only 216 days from laying down of the keel to the delivery to Messrs. Taiyohogei Kabushiki Kaisha. The vessel is the largest tanker of its kind ever built in Japan, and the following dates indicate the extraordinary speedy program at which she was built in such a short period.[table]There were many difficulties which they had to overcome, such as : difficult construction on an ordinary building slip not well arranged with up-to-date crane equipments, unusual short time limit of construction, and hardship of prompt collection of materials, etc. They laid down therefore a strict schedule so as not to delay the delivery and by good luck, it was faithfully obeyed by the men of all departments of the Dockyard Co. Combined with the mutual co-operation of all men and proper supply of all necessary materials, the schedule was very satisfactorily carried out in good order. On the other hand, special attention was also paid to the working hours as well as labour shifts so that the workmen should not be overworked either mentally or physically. Thus their earnest efforts have at last produced good results with such an epochmaking record of speely ship building which has never been experienced in the world. In addition, this vessel adopted the "Isherwood Bracketless system, " the simplicity of which has proved a good effect upon such a quick work as "Nisshin Maru." The principal dimensions are as follows : [table]
著者
近藤 武 矢崎 武 奥寺 元
出版者
一般社団法人 日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.45-51, 1973 (Released:2010-10-27)
参考文献数
9
被引用文献数
2

日本の代表的産地の緑茶について, その浸出液中フッ素濃度を測定した結果, 一般的に高級茶 (玉露) に高濃度のフッ素を認め, さらに1回目の浸出で比較的多量のフッ素が浸出され2回目以後は少ない傾向がみられた。これらはお茶のおいしさを決める一つの科学的方法となるかもしれない。日本人のお茶からの平均的フッ素摂取量は0.48~0.97mg/日と計算され, 1日の食品よりのフッ素摂取の主要な部分を占るものと考えられた。成人男子について飲用実験を行つたところ, 緑茶浸出液中のフッ素の吸収はNaF溶液にくらべ遅れるが, 排泄は比較的速かに行なわれる傾向が認められ, NaFと緑茶中のフッ素との代謝のちがいを思わせた。また, この実験中, 尿中に排泄されるフッ素量について検討したところ, 尿中フッ素濃度 (ppm) は採尿量, 採尿時間により変動が大きいために, 尿中フッ素の測定と評価は一定時間内の蓄尿中のフッ素量 (μg) をもつて行なわれるべきものと考えられた。
著者
大橋 恵 山口 勧
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.71-81, 2005 (Released:2005-08-26)
参考文献数
30

日本人には自分を「ふつう」よりも「ふつう」であると知覚する傾向がある(Ohashi & Yamaguchi, 2004)。このように自分の「ふつうさ」を過大視することから,日本では人を形容する言葉としての「ふつう」に望ましい意味が付与されていると考えられる。本研究は,「ふつうであること」は好意及び望ましい特性と結びついてとらえられているという仮説を立てた。大学生150名及び社会人61名にある一定の条件にあった人物を想起させ,その印象を測定する方法で,「ふつうの人」は,「ふつうではない人」よりも好かれていると知覚されていることを示した。さらに,「ふつうの人」の印象は「良い意味でふつうの人」の印象に近く,「ふつうではない人」の印象は「悪い意味でふつうではない人」に近いか(大学生)「良い意味でふつうではない人」よりも悪かった(社会人)。固有文化心理学の立場から理論的な考察を行った。