著者
大峰 光博
出版者
名桜大学総合研究所
巻号頁・発行日
no.28, pp.127-132,

本研究では,指導者の支配欲という観点に着目して,指導者がなぜ,体罰をふるうのかを考察した。エーリッヒ・フロムの権威論を参考とし,特に,サディズムに関するフロムの所論を援用した。フロムはサディズム的傾向として,他人を絶対的に支配して搾取し,自己に依存させて道具とする点をあげていた。本研究では,運動部活動の指導者を取り巻く苛酷な勤務環境が,指導者によるサディズム的傾向の合理化を促進する点が示された。サディズム的傾向は,孤立した個人が独り立ちできない無能力と,孤独を克服するために共棲的関係を求める要求とから生じるとフロムは指摘していた。サディズム的傾向を持つ指導者は,強者であることの意識を持つために生徒の自由と独立を阻止し,支配しようとする。体罰は生徒を支配するための有効な手段となる。運動部活動における指導者のサディズム的傾向は,独り立ちできない無能力と,孤独を克服するために生徒と共棲的関係を求める要求から生じている点が示唆された。さらには,「権威主義的性格」を持つ部員から軽蔑・憎悪の対象となることを避けるために,体罰をふるうことによって指導者が権威を強化しようとする点が示された。
著者
伊豫田 潤子 野口 駿
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.169-175, 1973-06-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
12

The “nuts” in this paper is not necessarily strictly classified botanically but includes the nuts as ordinarily used, and distinguished from the “seeds” and “fruits.” The fatty acid compositions of oils obtained from various familiar nuts, seeds and fruits by means of gas-liquid chromatography were comparatively investigated. In general, major components of the nut oil were oleic, linolic and palmitic acids. The ratio of oleic to linolric acid content of any nut oil was higher than that of seed oils.Further it has been observed that pine seed oil contains an unidentified fatty acid in amounts of about 15% or more. The mass spectrometrical work to date has identified the acid to an isomer of linolenic acid, γ-linolenic acid (6, 9, 12-octadecatrienoic acid).
著者
松井 健人
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.65, no.5, pp.63-72, 2016

<p>重明親王の日記『吏部王記』と大江匡房の言談集『江談』を用いて考察すると、橘成季による説話集『古今著聞集』における、第三話の「邪気」・第四五話の「火雷天神」・第五九三話の「衣冠着たる鬼」の正体は、すべて菅原道真であることが分かる。巻を越えたこれら一連の説話は連関しており、繋ぎ合せると、一〇世紀に重明親王の付近で語られていたであろう、失われた天神譚の記録として復元できると結論付けた。</p>
著者
廣部 祥子 岡田 直貴 中川 晋作
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.52, no.11, pp.1030-1034, 2016

皮膚の表皮や真皮には免疫担当細胞が多数存在しており、これらの細胞にワクチン抗原を送達することができれば、高いワクチン効果が期待できる。近年、痛みを伴うことなく皮膚に貼るだけでワクチンを接種できるマイクロニードルを用いた経皮ワクチン製剤が、従来の注射ワクチン製剤と比較して、有効性だけでなく迅速大規模接種や開発途上国へのワクチン普及において優位性をもつことから注目されている。
出版者
東京国立博物館
巻号頁・発行日
vol.昭和39年度, 1965
著者
近藤 民雄 大賀 祥治
出版者
[九州大學農學部附属演習林]
巻号頁・発行日
no.83, pp.97-113, 2002 (Released:2014-07-18)

優良形質木の大量増殖に最もかなった増殖方法として,通常さし木あるいは取り木が取り上げられる。クローン増殖がうまくいくかどうかは,多くの場合さし木あるいは取り木での発根の善し悪しで決められてしまう。このときにみられる不定根形成の原動力は,もともと無傷の個体で作動している内生オーキシン固有の発根制御作用と考えられる。従ってさし穂のホルモン処理は,極性移動する内生オーキシンが持つ本来の器官形成能に対する強化助長の処理とみなすことができる。オーキシン処理およびオーキシン以外のホルモンによる処理について概説すると共に,オーキシン処理の際発根部位にあたる,さし穂の基部でどのような生理的反応が進み,あるいは増幅されているか,主として発生上の対応と生化学的反応とに分けて紹介した。さし穂のオーキシン処理は従来含浸とか,塗沫といった一段の処理として取り扱われているが,むしろ誘導処理と始動処理とからなる二段の処理として取り扱うのが適当と判断された。つまり根の原基発生への誘導処理と,それに続く原基発達への始動処理とからなる二段処理として取り扱うのが,処理の実際面からも,また発根の仕組を理解する上からも妥当と考えられた。また内生オーキシンには発根について,促進と制御という2つの相反する作用の内生が予想され,誘導期には前者が,始動期には後者の軽減除去がそれぞれ優先することで発根促進がもたらされると理解される。
著者
岡田 直貴
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, pp.923-924, 2017

注射型ワクチンは接種に医療従事者を必要とし、製剤の輸送・保管に一貫した低温温度管理の整備が求められる。そのため、開発途上国などの地域にワクチンが浸透しにくく、感染症パンデミックやバイオテロリズム発生時における迅速大規模接種も困難とされる。本発表では、簡便性と低侵襲性を併せもった新規ワクチン剤形として注目されている「マイクロニードル技術を活用した経皮ワクチン製剤 (貼るワクチン)」の開発状況を紹介する。
著者
金田一 春彦
出版者
日本言語学会
雑誌
言語研究 (ISSN:00243914)
巻号頁・発行日
vol.1950, no.15, pp.48-63, 1950
著者
井上 貴支 杉野 周 諸江 ボウォン
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.44, 2007

ネットカフェ難民や漫画喫茶難民などと言われ、住所を持たない者が多くなり社会問題になっている。一方で、首都圏では「ゲストハウス」と呼ばれるものが増えてきている。一戸の集合住宅の間取りを二~三人でシェアし、相場の賃料よりも安く借りることができる賃貸スペースである。このスペースに彼らが利用し始めている。貸主は、同居して住居費負担を減らすこともできるし、オーナーとして賃貸事業で利益を得ることができる。借主は、安価で快適な住居と住所を持つことができる。この「ゲストハウス」は、かなり古くて安い集合住宅を改装して活用することが良い。少ない投資で済むことも魅力の一つという訳である。本稿では、この社会問題の一つの解決策としての「ゲストハウス」ビジネスの展開法を考察する。