著者
上田 早苗
出版者
史学研究会 (京都大学文学部内)
雑誌
史林 (ISSN:03869369)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.p329-349, 1979-05

個人情報保護のため削除部分あり「夫耕婦績」は、太古以来の社会通念であって、とくに儒家独自の思想と言う訳ではなかった。しかし、漢代に至り、儒家の進出とともに、この「夫耕婦績」の理念が押し進められ、社会の末端にまで浸透するようになる。「夫耕婦績」の通念を儀式化したのが、文帝の治世より始まる「藉田親桑」の儀礼である。皇帝が籍田の儀礼を、皇后が親桑の儀礼を執行し、天下の夫婦男女に対して労働の在り方を示そうとしたのである。つまり、家族内部では、性別による分業がおこなわれ、男が耕作を、女が採桑、養蚕、紡績、機織及び裁縫など一連の仕事を分担する。漢代にあっては、女性労働にもとづく布帛の類が正規の課税として徴収されたり、あるいは布帛を以って租税に代えたとする事例は見当らない。魏晋以降の税制は、この「男耕女績」をふまえて成立しており、理念としては夫 (男) から租を、婦 (女) からは調を徴収することを意味し、夫婦の労働によって完結する。The idea of 'fukêng-fuchi' 夫耕婦績 was a very old one and did not belong exclusively to the Confucian school. But in the Han period, with the rise of Confucian school, that ideology penetrated every section of society. And the ceremony of 'chieh t'ien-ch'ing sang' 藉田親桑, which made it an established manner, was initiated in the reign of Emperor Wên 文帝. That is, both emperor and empress set an example of the way of labor by themselves. Since then, as sexual division of labor was established, man began to take the part of cultivation and woman of picking mulbery leaves, silkworm-raising, silk-reeling, weaving and sewing. Though we cannot find the case in which the silk produced by woman was collected as regular tax, the tax systems after the Wei-Chin 魏晋 periods were based on the 'fukêng-fuchi' idea, which means that tsu 租 was assigned to man and tiao 調 to woman.
著者
寺岡 祥子 吉田 佳代 坂梨 京子 田島 朝信
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学医学部保健学科紀要 (ISSN:18807151)
巻号頁・発行日
no.3, pp.67-70, 2007

入院してきた産婦に対して、入院時診察として内診が施行される。この内診により、子宮口の開大度が調べられ、分娩進行状況が評価される。一般的に、分娩所要時間の予測には、子宮口開大度と分娩所要時間との関係を示したフリードマン曲線が用いられるが、ビショップスコアは頸管開大度のみでなく、展退度、児頭位置、頸部硬度、および子宮口位置の評価が可能であるので、これらの指標を用いて分娩所要時間を予測することがより適切のように考えられる。このビショップスコアが分娩所要時間の予測の指標になり得るか否かについて今回検討した。
著者
簗田 満 ディーン グリサダ チムディ ウイロンロン 松永 勝彦
出版者
The Society of Sea Water Science, Japan
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.390-393, 2000

函館近郊を流れる3河川の表面水を採水し, フルポ酸激 (FA-Fe) と全溶存鉄 (TD-Fe) を吸光光度法に よって測定した.森林で覆われた山間部を流れる宿野辺川の上流におけるFA-Feは0.2μM程度と極めて低濃度であったが, 森林地帯の平地ではその濃度は一ケタ高濃度になった. この河川に流入する小さな小川のフルポ酸-鉄濃度が高いことに起因していると考えられる.他の2河川の下流におけるその濃度は宿野辺川の下流の濃度とほぼ一致していた. 宿野辺川, 久根別川, 大野川におけるFA-Fe/TD-Fe比はそれぞれ82±8, 83±2, 84±2%であり, TD-Feの大部分はFA-Feであることを示唆している.<BR>なお, 本研究はソルト・サイエンス研究財団のプロジェクト研究「沿岸海水環境の変化と生態系への影響いただいた東京農業大学名誉教授杉二郎先生に心から謝意を表します.
著者
上野 貴大 高橋 幸司 座間 拓弥 荻野 雅史 鈴木 英二(MD) 原 和彦
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.48100317, 2013 (Released:2013-06-20)

【はじめに、目的】大腿骨近位部骨折患者における回復期に生じる疼痛に、筋痛が存在する。過去の報告において、筋痛は代償運動による筋の過負荷が原因とされており、その動作を繰り返すことで慢性痛への移行が危惧されている。しかし、いずれの報告も経験則として述べられるに留まっており、代償運動とその際の筋活動を運動力学的・筋電図学的側面から分析し、筋痛発生原因を示した報告はない。そこで、本研究では立ち上がり動作を運動力学的・筋電図学的に分析し、筋痛の原因となる代償運動とその際の筋活動を明らかにすることで筋痛発生原因を検討した。【方法】対象は当院へ入院された大腿骨近位部骨折患者の中から、除外対象を除いた19名であった。除外対象は認知機能低下を認めた例(MMSE<19pt)、過去に動作能力に大きな影響及ぼす程度の重篤な既往を有する例とした。対象に対し基本特性の調査として、性・年齢・診断名・術式を調査した。発症から2~3週の間に、対象の立ち上がり動作(下腿長の120%の高さに設定した椅子からの支持物を用いない立ち上がり)に対し、三次元動作計測及び筋電図計測を同期計測した。身体運動計測には三次元動作解析装置VICON MX(Oxfordmetrics社製)と床反力計(Kistler社製)を用いた。標点位置は左右の肩峰、股関節、膝関節、外果、第5中足骨の計10点とした。得られたデータは、解析ソフト(Vicon Body Builder)を用いて解析した。解析データは力学データの体重による正規化、時間軸100%正規化を実施した後、床反力鉛直成分、関節運動角度、関節運動モーメントを抽出した。筋電図計測は、筋電計WEB-5000(日本光電社製)を用い、被検筋は左右の大殿筋、外側広筋、大腿二頭筋の計6筋とした。筋電図波形の解析は、解析ソフト(scilab)を用いButterworth filter(10Hz-400Hz)で波形処理し、全波整流の後、筋活動積分値(IEMG)を抽出した。IEMGについて、正規化のために計測した体重の2%の重錘を用いた等尺性収縮時のIEMGで除し、%IEMGを算出した。筋痛の程度・部位の評価は、動作計測時に視覚的アナログスケール(VAS)を用い実施した。術部や骨折部以外に認め、筋の走行に沿った圧痛を伴う痛みを筋痛と規定し、筋痛の有無により筋痛あり群・筋痛なし群へ分類した。調査及び分析結果について、群間で比較検討を実施した。比較検討には、結果の尺度に応じてMann-WhitneyのU検定・χ²独立性の検定のいずれかを用い、有意水準5%とした。【倫理的配慮、説明と同意】対象者には、研究の主旨等について説明を行い、書面にて同意を得た。本研究は当院及び研究協力機関における倫理委員会の承認を得ている。【結果】筋痛あり群と筋痛なし群は、それぞれ11例(男性4例、女性7例、平均年齢75.1±15.2歳)、8例(男性1例、女性7例、平均年齢70.8±9.8歳)であった。筋痛あり群においては大腿四頭筋8例、ハムストリングス3例にVAS3.2の筋痛を有していた。診断名は、筋痛あり群で大腿骨転子部骨折6例、大腿骨頸部骨折5例、筋痛なし群で大腿骨転子部骨折6例、大腿骨頸部骨折2例であり、各群の特性には有意差を認めなかった。床反力鉛直成分(健側比)では、群間に有意差を認めなかった。関節運動範囲では、筋痛あり群の患側股関節運動範囲が有意に小さかった。関節運動モーメント積分値では、筋痛あり群の膝関節伸展運動モーメント積分値が有意に大きかった。患側股関節伸展運動モーメントを100%とした場合の患側膝関節伸展運動モーメントの割合は、筋痛あり群で有意に大きかった。筋痛あり群の筋活動量(健側比)は、筋痛あり群の外側広筋で有意に大きかった。【考察】荷重量の側面では、両群共に健側下肢で大きく健側下肢に依存した動作様式を取っていた。よって、健側での代償運動は筋痛発生に関与しないことが示唆された。関節運動範囲・関節運動モーメントにおける分析結果を解釈すると、筋痛あり群では、患側股関節運動範囲の低下により患側股関節伸展運動モーメントは低下し、代償的に患側膝関節伸展運動モーメントの増大を認めることが示された。これに筋電図分析結果を加味すると患側膝関節伸展運動モーメントを生成するため、患側膝関節伸展筋の活動増大を生じていることが考えられた。これは筋痛発生筋と一致し、患側股関節への負荷を膝関節が代償する代償運動が筋痛発生原因となっていることが示唆された。【理学療法学研究としての意義】大腿骨近位部骨折患者において慢性痛の原因となる筋痛について、その発生メカ二ズムを客観的データから示せたことは意義のあるものと考える。
著者
高橋 弘紀 茂木 巖
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

高品質・高機能材料を得るための1つの方法として,磁場・磁気力場を利用した材料プロセスの研究を行った.その手段として磁場中で同時に3方向から観察可能な加熱装置を開発し,いくつかの有機結晶に対して磁場中溶融凝固過程のその場観察を行った.その結果,尿素の凝固過程においては,過冷却状態から瞬時に凝固するのを観察し,取り出した容器内では針状結晶が生成する位置に磁気力による違いがあることを見出した.
著者
古松 弥生 岡田 宣子 松山 容子 有馬 澄子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.40, no.10, pp.919-925, 1989 (Released:2010-03-10)
参考文献数
7
被引用文献数
2

成人女子の体幹の形状特性を, 年齢的変化に着目しながら類型的に把握することを目的としている。工技院の体格調査資料 (484名) を用いて主成分分析を行うことにより, 主成分を代表する計測項目を選定し, クラスター分析を行い体型の類型化を試みた.1) 得られた主成分 (Table1) は第1主成分としてはサイズファクター, 第2主成分としては体幹部の厚みに対する肩部の幅のプロポーション, 第3主成分としては体幹の丈と肩部の幅のプロポーション, 第4主成分としては肩部の傾斜度, 第5主成分としては体幹上部の丈と下部の丈とのプロポーションと解釈された.形態特徴を表すこれらの主成分は年齢が加わってもあまり変化しない.しかし, 主成分へのかかわりは年齢により相違すると考えられる.2) 計測項目・示数項目の検討から, 体幹の厚みを表す腰部や胸部の矢状径, および体幹の太さを表す胸囲・胴囲などの周径項目は, 加齢とともに増加傾向を示し, 体幹の厚み・太さが著しく増加し, 腰囲/胴囲・腹囲/胴囲などの年齢的変化 (Fig.1, Table4) から, ずん胴型へ移行していることが確認された.3) 体幹の形状の情報を表す主成分に強いかかわりをもつ項目として, 胸囲・背肩幅・背丈・B.N.P.-W.L.・W.L-座面・肩傾斜の6項目を選定し, クラスター分析により体型の類型化を行った.その結果12個のクラスターが得られ, 年齢グループ別の分析でもほぼ同様なクラスターが得られた (Fig.2, Fig.4) ことから, クラスターそれぞれは体型の個体差を表す類型であると判断される.一方, 各クラスターの身体部位の計測値 (Table5) や出現率 (Fig.3) には年齢の影響がみられた.これらは, 成人期においては体型の個体的特徴は年齢を越えて持続すること, しかし年齢の影響は同一類型でも具体的なサイズや寸法を変化させ, さらに各類型の出現頻度の変化を引き起こしていることを明示するものである.
著者
Okumura Chiharu Hirayama Takuro Kakogawa Masayoshi Asakawa M
出版者
日本獣医寄生虫学会
雑誌
獣医寄生虫学会誌 = Japanese journal of veterinary parasitology (ISSN:1347961X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.13-15, 2014-06

On January 2013, a female red-billed hornbill, Tockus erythrorhvnchus. kept in Jurong Bird Park, Singapore, was admitted with severe dyspnea with high pitch sound. It vomited reddish fluid and was recumbent. It stood up for a few minutes after oxygenation, but became unresponsive again and died shortly after. At necropsy, many trematodes were collected from the air-sacs, lungs and trachea. Based on their morphology, the trematodes were identified as Szidatitrema sp. (Cyclocoelidae). This is the first record of a cyclocoelid species from the red-billed hornbill. Taking the life cycle of the family Cyclocoelidae into consideration, the case might have swallowed a certain snail with the metacercaria of the trematode. There has been no report on the pathological effect to the host bird by the trematode, but the severe respiratory symptom found in the present case might be provoked by the trematode. 2013年1月、シンガポールのジュロン鳥類公園で飼育するアカハシコサイチョウ(Tockus erythrorhynchus)が著しい呼吸促迫ならびに赤色液状物吐出を主徴とした呼吸器症状を呈して斃死した。この個体の気嚢および肺・気管からCyclocoelidae科吸虫が発見された。Szidatitrema属と同定されたが、種同定は良好な標本の再採集の機会を待ちたい。本科吸虫の生活史の特色として、中間宿主となる貝内にメタセルカリア寄生も起こることが知られていることから、そのような貝類摂取による感染が推測される。この鳥種からCyclocoelidae科吸虫が発見されたのは初めてであった。少数寄生では宿主に与える影響は小さいと考えられるが、今回の症例は呼吸困難な状態で斃死し、剖検で呼吸器系に多数虫体が確認されていたことから、死因の一部となっていたことが考えられた。
著者
盛合 真央
出版者
福岡教育大学大学院教育学研究科教職実践専攻(教職大学院)
雑誌
福岡教育大学大学院教育学研究科教職実践専攻(教職大学院)年報 = Bulletin of University of Teacher Education Fukuoka Graduate School of Education Division of Professional Practice in Education (ISSN:21860351)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.155-163, 2021

本研究では,児童の聴くことの課題を踏まえ,能動的に聴く力を育成するために,聴くことの階梯とそれに基づく実践が必要と考えた。そこで,児童が「自身の聴き方」を自覚し,新たな聴き方を他者と共に探究しながら獲得することにつながる階梯と具体事例について追究した。その過程で,児童は「自身の聴き方」に対して無自覚であることや,自身の考えを伝えることに意識が集中し,「他者の聴き方」の特性を見出すことに意識が向かないことが分かった。今後,客観的に他者の聴き方を捉える手がかりを児童と共有する学習やツールの開発,教師が意図的に児童の聴く姿を価値づけることが必要である。また,本研究で導出した「児童の聴き方自覚を促すチェックリスト」の児童の自己評価を基に,児童個別の聴き方カルテを作成し,児童一人一人の聴く実態に応じた教育実践につなげていきたい。
著者
松永 勝彦 チムディ ウイロンロン ディーン グリサダ スワンゲアンシィ ジュンプル 戸屋 健治
出版者
The Society of Sea Water Science, Japan
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.373-376, 1999

湾内に生育する7種類のマングロブ樹木の葉ならびにマングロプ底泥のC, N含有量ならびにδ<SUP>13</SUP>C値を測定した. 枯れ葉のCIN比は103±20で, 底泥のその比15.2±1.4と大巾に異なっていた. 一方, 枯れ葉ならびに底泥のδ<SUP>13</SUP>C値はそれぞれ-30.2±1.3,-26.3±1.0‰であった. 底泥の値は数編ポジティブであるが, 底泥中でバクテリアによるフラクショネションによるもので, 底泥の有機物質起源は落下した葉と推定される. エビの養殖地の排水はキャネルを通して湾内に流入しているが, キャネルの底泥のδ<SUP>13</SUP>C値は-26.4±1.0‰でマングロブ底泥のそれと極めて近似していることから, エビの餌 (δ<SUP>13</SUP>C=-22.5±0.4‰) による影響はほとんど受けていないと推定される.

1 0 0 0 考史遊記

著者
桑原隲蔵 著
出版者
弘文堂
巻号頁・発行日
1942

1 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1931年05月30日, 1931-05-30

1 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1900年12月05日, 1900-12-05

1 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1909年04月12日, 1909-04-12

1 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1909年04月10日, 1909-04-10

1 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1911年02月04日, 1911-02-04

1 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1907年04月02日, 1907-04-02