著者
前田 富士男
出版者
美学会
雑誌
美学 (ISSN:05200962)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, 1972

Die Kunsttheorien und Werke von Klee wahrend der Bauhaus-Zeit zeigen uns, dass der Begriff der Gliederung in seinem bildnerischen Denken eine grosse Rolle gespielt hat. Bei Klee bedeutete die Gliederung ursprunglich einen Prozess der Schaffung, der durch die Zusammensetzung der formalen Elemente Einzelheiten zu einem Ganzen werden liess. Der Kunstler hat diesen Prozess als die Synthese einer dividuellen und individuellen Gliederung begriffen. Doch befindet sich die dividuelle Gliederung, die einen mathematischen, konstruktiven Charakter hat, in dem Urzustand des Schaffungs prozesses und wird auf dem Weg des Arbeitsprozesses zur lebendigen, individuellen Gliederung erhoben. Dieser Gliederungsbegriff ermoglicht, dass Klee den schopferischen Weg begreift als den werdenden Prozess, die Beseelung der mathematischen Grundform, das Fortschreiten vom Statischen zum Dynamischen. Aber die Notwendigkeit der Kompositionsweise beruht nicht nur auf der inneren Notwendigkeit des Malers, sondern auch in der Resonanz der Gesetzmassigkeit schaffender Naturkraft. Der Verfasser stellte durch die Analyse von zwei Gemalden, "Scheidung abends" und "Wachstum der Nachtpflanzen", diesen Gliederungsbegriff als die Eigenschaft der Formensprache von Klee dar.
著者
中市 真理子 廣田 栄子 綿貫 敬介 成沢 良幸
出版者
日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.209-215, 2014

要旨: 本研究では, 全国の乳幼児補聴器適合施設に対し, 補聴器装用・機能の状況と, 補聴器選択に関して調査した。乳幼児に適合されている補聴器型は, 耳かけ型が最も多く, ベビー型の使用数は低かった。乳幼児の補聴器機能では, ボリューム固定, ハウリング抑制, 雑音低減, ワイヤレス, 指向性の順で使用されていた。常用や装用を妨げる原因にハウリング, 補聴器を嫌がる, 耳から外れやすいがあり, 補聴器の故障原因は, 汗が多かった。乳幼児の補聴器選択において, 経済的負担軽減 (障害者自立支援法: 現障害者総合支援法対応), 耳介にあった形状, ハウリング抑制機能, 装着のしやすさ, 防水性能が重視されていることが確認された。補聴器適合担当者は, 補聴器の日常使用の利便性の向上と, 発達への対応における保護者負担の軽減への要望が高かった。また, 早期難聴診断や補聴・支援に関する社会啓発と, 診断機関と療育・教育機関の情報共有の指摘も高かった。
著者
LI Tsung-Han WANG Yuqing
出版者
Meteorological Society of Japan
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
pp.2021-028, (Released:2021-01-15)
被引用文献数
9

In Part I of this series of studies, we demonstrated that the intensification rate of a numerically simulated tropical cyclone (TC) during the primary intensification stage is insensitive to surface drag coefficient. This leads to the question of what is the role of the boundary layer in determining the TC intensification rate given sea surface temperature and favorable environmental conditions. This part attempts to answer this question based on both a boundary layer model and a full-physics model as used in Part I. Results from a boundary layer model suggest that TCs with a smaller radius of maximum wind (RMW) or of lesser strength (i.e., more rapid radial decay of tangential wind outside the RMW) can induce stronger boundary-layer inflow and stronger upward motion at the top of the boundary layer. This leads to stronger condensational heating inside the RMW with higher inertial stability, and thus favorable for higher intensification rate. Results from full-physics model simulations show that the TC vortex initially with a smaller RMW or of lesser strength has a shorter initial spinup stage due to faster moistening of the inner core and intensifies more rapidly during the primary intensification stage. This is because the positive indirect effect of boundary layer dynamics depends strongly on vortex structure but the dissipation effect of surface friction depends little on vortex structure. As a result, the intensification rate of the simulated TC is very sensitive to the initial TC structure.
著者
LI Tsung-Han WANG Yuqing
出版者
Meteorological Society of Japan
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
pp.2021-027, (Released:2021-01-15)
被引用文献数
11

This study examines the role of boundary layer dynamics in tropical cyclone (TC) intensification by numerical simulations. The hypothesis is that although surface friction has a negative effect on TC intensification because of frictional dissipation (direct effect), it contributes positively to TC intensification by determining the amplitude and radial location of eyewall updrafts/convection (indirect effect). Results from a boundary layer model show that TCs with larger surface drag coefficient (CD) can induce stronger and more inwardly penetrated boundary-layer inflow and upward motion at the top of the boundary layer. This can lead to stronger and more inwardly located condensational heating inside the radius of maximum wind with higher inertial stability, and is favorable for more rapid intensification. Results from full-physics model simulations using the TC Model version 4 (TCM4) demonstrate that the intensification rate of a TC during the primary intensification stage is insensitive to CD if CD is changed in a reasonable range. This is because the increased/reduced positive contribution by the indirect effect of surface friction to TC intensification due to increased/reduced CD is roughly offset by the increased/reduced negative (direct) dissipation effect due to surface friction. However, greater surface friction can significantly shorten the initial spin-up period through stronger frictional moisture convergence and Ekman pumping and thus faster moistening of the inner core column of the TC vortex, but would lead to a weaker storm in the mature stage.
著者
山田 景子 津島 ひろ江
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.11-25, 2013

昭和54年の養護学校義務制度の開始により,重度障害のある児童生徒等の就学が可能となったが,医療的ケアを行う者は,学校に同伴する保護者であった.しかし,保護者負担の軽減や児童生徒等の 教育的ニーズにこたえる形で,各学校に配置された看護師や研修を受けた教員等へとケアを行う者が 推移していった.平成23年6月に出された「介護保険等の一部を改正する法律による社会福祉士及び 介護福祉士法の一部改正」により,特別支援学校において,教員等が医療的ケアを実施することが制 度上可能になった.本研究では,医療的ケアや医療的ケアを行う者についての法制度に係わる背景及 び変遷について述べ,教員等と看護師,養護教諭の職務に係わる課題を考察した.1特定行為を行う教員等が,教員の養成段階で医療的ケアの知識を得ておくことで,医療的ケアの 理解につながる.2看護師は,医療的ケアを行う者であり,教員等の指導者でもある.学校と病院と の看護の相違に戸惑うことがあり,学校における看護やその在り方について研修が必要である.3医 療的ケアに係わる校内体制のキーパーソンとなる養護教諭は,養護教諭の養成段階で医療的ケアに関 する知識や技術を取得しておくことが求められている.さらに,学校内外の連絡調整や医療的ケア校 内委員会等のコーディネーターとしての能力育成が課題である.
著者
澤田 壮弘 上野 健一
出版者
Meteorological Society of Japan
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.99, no.2, pp.473-496, 2021 (Released:2021-04-22)
参考文献数
65
被引用文献数
6

気象庁137地点の2日積算降水量を使い,2014―2019年寒候期における多降水事例を選出した。全球降水観測(GPM)主衛星に搭載された二周波降水レーダー(DPR)のプロダクツおよびヨーロッパ中期予報センター再解析データを使用した流跡線解析により、閉塞過程の温帯低気圧構造が多降水を引き起こす仕組みを解析した。多降水についての上位の事例のほとんどは温帯低気圧により発生し、その多くが成熟段階であった。上位50事例の中から、3つの南岸低気圧を抽出し、メソスケールの降水系と気流系の関係を集中的に診断した。多降水が発生した観測地点における時間降水量変化は、基本的にウォームコンベアーベルト(WCB)、コールドコンベアーベルト(CCB)、ドライイントルージョン(DI)の組み合わせの影響を受けていた。低気圧中心の東側に広がる層状降水域はCCB上の下層WCBと上層WCBから構成され、低気圧中心付近の対流性降水域はWCB上に上層からのDIを伴い、線状降水帯の形成とともに地上で強い降水強度をもたらした。対流性の降水活動は、停滞性の層状降水域上空に上層WCBとして湿潤な大気を移流させる働きを担った。さらに、DPRプロダクツは、低気圧中心の後面に延びる雲域(クラウドヘッド)での背の高い層状降水、中層(地上付近)での潜熱開放(吸収)、及び低気圧の発達を可能にするCCBに沿った渦位増加を確認した。
著者
瀬戸 心太 井口 俊夫 Robert MENEGHINI 阿波加 純 久保田 拓志 正木 岳志 高橋 暢宏
出版者
Meteorological Society of Japan
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.99, no.2, pp.205-237, 2021 (Released:2021-04-19)
参考文献数
50
被引用文献数
51

全球降水観測(GPM)計画主衛星搭載二周波降水レーダ(DPR)の降水強度推定アルゴリズムを開発した。DPRは、Ku帯レーダ(KuPR; 13.6GHz)およびKa帯レーダ(KaPR; 35.5GHz)から構成される。KuPRアルゴリズムは、熱帯降雨観測衛星(TRMM)搭載の降雨レーダ(PR)のアルゴリズムと同様であるが、降水強度Rと質量重み付き平均粒径Dmの関係(R-Dm関係)を、減衰係数kと有効レーダ反射因子Zeの関係(k-Ze関係)の代わりに使用している。R-Dm関係は、KaPRアルゴリズムおよび二周波アルゴリズムにも使用できる。一周波アルゴリズムおよび二周波アルゴリズムともに、R-Dm関係の修正係数εに暫定値を仮定した前進法によりプロファイルを推定し、その結果を評価して最適なεを選択する。二周波アルゴリズムの利点は、εの決定のために二周波表面参照法およびZfKa法(KaPRの減衰補正反射強度Zfを用いる手法)を用いること、およびKuPRまたはKaPRの観測を選択的に利用できることである。また本論文では、R-Dm関係と散乱テーブルの導出およびビーム内非一様性補正手法を詳細に説明している。さらに、アルゴリズムの出力結果を統計的に解析し、各アルゴリズムの特性を示している。
著者
石川 保之 田坂 康之 川野 通夫 本庄 巖
出版者
一般社団法人 日本口蓋裂学会
雑誌
日本口蓋裂学会雑誌 (ISSN:03865185)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.199-205, 1986-12-26 (Released:2013-02-19)
参考文献数
14

口蓋裂例における鼻副鼻腔疾患の実態を調べるため, 口蓋裂患者101例を対象として, 前鼻鏡, レントゲン撮影(単純, 断層), 鼻腔通気度, 嗅裂内視鏡等の諸検査を行い, さらに, 鼻疾患と中耳の関係をみるために, 耳鏡検査, 標準純音聴力検査, インピーダンスオージオメトリーも行ったところ以下の結果を得た.1)唇顎口蓋裂は鼻中隔蛮曲症, 下甲介肥大を高率に伴う.2)口蓋裂患者は副鼻腔炎を高率に伴い, これは中耳疾患の病因の一つである可能性がある.3)副鼻腔炎の頻度は口蓋裂の裂型や鼻中隔蛮曲の有無とは相関がない.4)口蓋裂に高率に伴う副鼻腔炎, 鼻中隔蛮曲, 下甲介肥大は口蓋裂患者の鼻腔抵抗を高めている.5)口蓋裂患者の嗅覚障害は軽度で, この主因は副鼻腔炎による嗅裂の閉塞にあると思われる.
著者
原 二郎
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.39, 2003-10-30

白内障術後眼内炎の発症抑制に関与する因子として,睫毛切除,抗菌薬投与,灌流液への抗菌薬添加などを文献的(1966~2000年の英文での論文88編)に考察し,イソジンによる術前洗眼のみが眼内炎の発症抑制に有効であったと2002年Ciullaらは報告している1)。 イソジン(ポビドンヨードpovidone-iodine,PVP-I:polyvinyl pyrrolidone iodine)液の眼科での使用を歴史的にみれば,1959年神谷ら2)が,治療(投薬用)には64倍希釈液,洗眼(処置用)には16倍希釈液を用いて,流行性角結膜炎を含めた急性結膜炎(約200例)の治療を行い,副作用や刺激作用はなく結膜炎の治療に有効であったと報告している。1981年中谷3),眼科手術領域でのイソジンによる消毒効果と家兎での眼障害を検討し,結膜囊消毒には8倍希釈液の使用を勧めている。
著者
清水 淳
出版者
メディカル・サイエンス・インターナショナル
巻号頁・発行日
pp.438-445, 2017-05-01

オフポンプ冠動脈バイパス術(OPCAB)の術中管理では,グラフト採取中に輸液により前負荷を維持し,吻合開始後は血管収縮薬を使用して血圧を維持するといった方法が一般的であろう。榊原記念病院(以下,当院)でも2005年当時は,収縮期圧80mmHgを目標にし,吻合開始までに3000mL程度の輸液を行い,吻合開始後はノルアドレナリンの持続投与で管理を行っていた。その後,ノルアドレナリンからフェニレフリンへの変更(ノルアドレナリンによるβ刺激作用が吻合の妨げとなる症例があるため),吻合開始までの輸液量の低減(メモ1)などを行うとともに,目標血圧を徐々に低下させ,現在の収縮期圧60mmHgを目標とする管理に至った。 近年OPCABでは,グラフト吻合のクオリティが低くなる可能性が指摘されている1)。この問題に対して,吻合のクオリティ維持を目指した管理が当院の現在のスタイルといえるかもしれない。一般的とはいい難い部分もあるが,筆者らが現在のやり方に至った経緯と管理上のtipsを紹介する。
著者
善明 宣夫
出版者
関西学院大学
雑誌
教職教育研究 (ISSN:1345577X)
巻号頁・発行日
no.7, pp.47-54, 2002-03

本研究は,権威主義者やドグマティストにみられる自己認知および他者認知のあり方について検討することを目的として実施された。自己認知に関しては,現実自己ばかりでなく嫌悪自己と理想自己という2つの側面を加えるとともに,他者認知に関しては嫌悪他者という評価対象を設定した。結果として,ドグマティズム高・低群間で現実自己のとらえ方に違いはみられなかったが,嫌悪自己と理想自己では向性因子と強靱性因子において有意差がみられ,高ドグマティズム群は低ドグマティズム群にくらべ,嫌悪をする自分はより内向的で,弱々しく意欲に欠けているが,こうありたい,あるいはこうあらねばならない理想の自分ではより外向的で,強靱で意欲的でありたいと望んでいた。また,嫌悪他者に関しては向性因子,情緒安定性因子と過敏性因子において有意差がみられ,高ドグマティズム群は低ドグマティズム群にくらべ,嫌悪する他者をより内向的で,情緒的に不安定で,過敏であると評価しており,権威主義者やドグマティストの特徴とされる他者への不寛容さの一端が示された。さらに,理想自己と現実自己および嫌悪自己と現実自己間のDスコアに関して,高ドグマティズム群は低ドグマティズム群にくらべ,いずれにおいても不一致度がより大きいという結果から,ドグマティズム傾向の強い青年はプラス・マイナスの両極に振れやすい不安定な自己像を持つことが示唆された。こうした,高ドグマティズム群にみられる向性と強靱性の否定的,肯定的自己間での対極的な認知,他者評価の厳しさ,両極に振れやすい不安定な自己像といった特徴は,ドグマティストの中心的信念に関するRokeachの仮説を裏づけるものと考えられる。