著者
伊熊 健一郎 須野 成夫 長谷川 昭子 香山 浩二 礒島 晋三
出版者
日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.167-172, 1989

頚管粘液のヒト精子受精能に及ぼす影響について, 透明帯除去ハムスター卵を用いたin vitro受精系で精子の頚管粘液内通過の意義を検討した。方法は, 精液滴と培養液滴との間に頚管粘液を充填した毛細管を連結し, 移行精子が目的濃度に達すると毛細管をはずし, 培養液滴内に透明帯除去ハムスター卵を加えて培養を行った。対照としては, 培養液で3回洗浄した精子を頚管粘液内通過精子と同濃度に調整して, 同条件下で比較検討をした。1. 頚管粘液内を通過し培養液滴に移行する精子の数は2~3時間でピークに達し, 運動率は100%であった。2. 頚管粘液内通過精子は対照群と同程度の受精率を示し, 精子濃度は対照と同様に0.6×10^6/ml以上必要であった。3. 頚管粘液内通過精子はすでに4~6時間で17~42%の受精率を示したが, 対照では6時間後までは0%で8時間後に受精を開始した。4. 培養液中に精漿成分が加わると受精率は低下した。5. 鶏卵白内通過精子は, 頚管粘液内通過精子とほぼ同率の55%の受精率を示したが, 培養液内通過精子は0%であった。これらの結果より, 精子の頚管粘液内通過の意義としては, 受精能をマスクしている精漿成分から精子を隔離し, 精子の受精能獲得時間を短縮すると共に, 運動精子の選択と精子輸送の調節にも関与しているものと考えられる

1 0 0 0 OA 3.狂牛病

著者
吉良 潤一
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.86, no.11, pp.2028-2032, 1997-11-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
8

狂牛病は正しくは牛海綿状脳症bovine spongiform encephalopathy (BSE)といい,プリオン病の一型である. 1985年以降英国で多発し, 14万頭を超えるBSEがみつかっている.これは英国では羊にスクレーピーというプリオン病が以前から蔓延しているが,その羊の内臓や脳,骨などを蛋白性飼料として牛に用いたため,スクレーピーが種の壁を超えて牛に伝播したと考えられている.しかも, 1994年以降英国では10例を超える若年発症のCreutzfeldt-Jakob病(CJD)患者がみつかっている.これらの患者は10~30歳代の発症で通常より経過が長く,脳波上も病理学的所見も孤発性のCJDとは異なっており,新変異型CJDと呼ばれている.食物連鎖を通じてBSEがヒトに伝播し新変異型CJDとなった可能性が示唆されている.
著者
前田 安美 馬場 望 西村 泰志
出版者
日本コンクリート工学協会
雑誌
コンクリート工学年次論文報告集 (ISSN:13404741)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.1147-1152, 2000-06-01
参考文献数
2

本研究は,はり貫通形式RCS接合部に関して,鉄骨フランジ上下面に形成される水平圧縮束によってなされる内部パネルから外部パネルへの応力伝達の効果を実験的に検討した。その結果,E-FBPは水平圧縮束を形成させる働きを有し,水平圧縮束に作用する力は鉄骨フランジ上下面に集中的に配置されたせん断補強筋の引張力によって外部パネルに伝達され,その引張力は外部パネルにアーチ機構を形成するのに大きく寄与することが示された。
著者
七邊 信重
出版者
社会・経済システム学会
雑誌
社会・経済システム (ISSN:09135472)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.77-84, 2016-10-25 (Released:2020-10-09)
参考文献数
12

Level-5 which was a small game development company in Fukuoka at first has developed big hits one after another and expanded its market share in the mature console game industry. In this paper, by analyzing its management strategies and resources as functions of its success in the oligopolistic mature industry, I examine the effective means for small and medium-sized companies to survive and grow in mature industry.
著者
藤本 万里子 松田 亘 満永 拓邦
雑誌
デジタルプラクティス (ISSN:21884390)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.381-402, 2019-01-15

Struts 2はWebアプリケーションのフレームワークであり,多数のWebサイトや製品で用いられている.しかしながら,近年,Struts 2の脆弱性が立て続けに発見されており,国内においてもStuts2の脆弱性に起因する情報漏えい被害事例が後を絶たない.Struts 2の脆弱性を悪用する攻撃は,脆弱性情報が公開されてから攻撃が開始されるまでの期間が短く,被害が発生する前に開発者がセキュリティパッチを配布し,運用者がパッチを適用することが難しい状況にある.そのような背景から,Webアプリケーションに対する攻撃への技術的な対策として,シグネチャベースのWeb Application Firewall(WAF)やフィルターが用いられる.しかしながら,これらはあらかじめ定義したシグネチャに基づいて特徴的なリクエストを遮断するものであり,Webアプリケーションの内容やユーザが送信するリクエストの特徴によっては,誤検知が発生する可能性がある.そこで本稿では,リクエストに含まれる文字列に対してディープラーニングの処理を適用し,特徴的なリクエストを検知することにより,正規のリクエストと攻撃リクエストを見分け,さらに攻撃リクエストを遮断する手法を提案する.
著者
清水 貴夫 中尾 世治 伊東 未来 小林 広英 亀井 哲也
出版者
日本アフリカ学会
雑誌
アフリカ研究 (ISSN:00654140)
巻号頁・発行日
vol.2016, no.90, pp.97-107, 2016-12-31 (Released:2017-12-31)
参考文献数
21

報告1 フォーラムの趣旨とカッセーナの屋敷地の構造 清水貴夫/報告2 村長の屋敷の不均衡な変容 中尾世治/報告3 家屋の装飾と住まいかたの変遷 伊東未来/報告4 伝統住居の在来建築技術とその継承 小林広英/コメント 亀井哲也
著者
前野 昌弘
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.25-28, 2021

<p>Android タブレットを受講者に貸し出し<b>,</b>自由に物理シミュレーションで遊ばせる授業の効用について述べる。動くアニメーションにより理解が広がることも大事であるが<b>,</b>学生・生徒が自分で動かして何かを発見するという時間が作ると<b>,</b>学生に主体的に問題を発見させることができて大きな効果を生む。</p>
著者
上原 明 直井 岳人 飯島 祥二 伊良皆 啓
出版者
日本観光研究学会
雑誌
観光研究 (ISSN:13420208)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.5-18, 2021

本研究は観光目的地の認知される店舗の評価と観光者の購買行動との関係性に関するモデルを検証することを目的する。調査では沖縄県那覇市国際通り周辺に訪れている観光者を対象に調査票を同封した返信用封筒を配布した(配布:2000 部、回収:445 部、有効回答数:334 部)。その結果、店舗の全体評価である「活気のある沖縄的地元感」と普段の観光旅行で買物を楽しむ特性である「SET」が、土産物購買に関わるポジティブな感情である「PA」を媒介変数とし、土産物購買に関する促された感情である「URGE」と「再購入意向」へ影響を与えている可能性が示され、その中でも、「活気のある沖縄的地元感」の影響が強いことが示された。
著者
清水 寛太 山田 義智 古賀 志門 平野 修也
出版者
一般社団法人 セメント協会
雑誌
セメント・コンクリート論文集 (ISSN:09163182)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.265-272, 2021

<p>本研究は高流動コンクリートのスランプフロー試験を対象として、機械学習の一種であるランダムフォレストによりフレッシュ性状(スランプフロー値、500mmフロー到達時間、空気量等)の推定を試みた。ここでの学習は、使用材料、混和剤の成分、調合、練混ぜ条件、経過時間などの特徴量(説明変数)を60項目からスタートして、その重要度を評価した。その結果、重要度の高い10項目の特徴量(説明変数)でフレッシュ性状の各値が推定できることを示した。また、推定したスランプフロー値、500mmフロー到達時間より既往の研究成果を基にレオロジー定数を推定し、目視材料分離判定や数値解析による高流動コンクリートの充填シミュレーションに用いることが期待できる。</p>
著者
野中 潔 目黒 貴史 石田 征男 山田 義智
出版者
一般社団法人 セメント協会
雑誌
セメント・コンクリート論文集 (ISSN:09163182)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.258-264, 2021

<p>本研究では高流動・中流動コンクリートについて、従来目視で行われる材料分離の判定をコンクリートのスランプフローの挙動と関連付け、レオロジー定数である塑性粘度、降伏値および観察状況を説明変数とし、ロジスティック回帰分析により予測する取組みを行った。p値や調整済みオッズ比の指標から全ての説明変数が材料分離判定に影響していると統計的に判定され、得られた回帰モデルで実験データの最大90.7%において材料分離の有無を正しく予測できた。また、目的に応じてより安全側の判定を行うことも可能であった。本研究の結果においては、一般的に中流動コンクリートに分類されるスランプフロー径550mm以下のコンクリートでは材料分離はほぼ起こらないと予測された。</p>
著者
鈴木良平
雑誌
日整会誌
巻号頁・発行日
vol.61, pp.75-86, 1987
被引用文献数
12
著者
和田 英太郎
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.259-268, 2009 (Released:2017-04-20)
参考文献数
65
被引用文献数
6

近年、生態学に二つの手法が導入され新しい地平を切り開いている。一つは種レベルのDNA解析で進化系統を解析する分子生物学的方法となっている。他は安定同位体精密測定法で生態系の物質循環の特長やその物質の起源・生成経路・食物網の構造を知る有力な化学的方法を提供する。この手法はここ10年我が国の生態学の分野において急速に広まった。ここではこの手法の近過去史の概要、この手法の現状での評価、生物圏における炭素・窒素同位体比分布則の骨格、食物網解析の問題点、環境科学への応用、今後の展望についてまとめた。
著者
戸部 良一
出版者
吉川弘文館
雑誌
日本歴史 (ISSN:03869164)
巻号頁・発行日
no.595, pp.112-114, 1997-12
著者
竹村 裕夫 大井 一成 佐藤 逸三 斎藤 喜久雄
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.33, no.7, pp.542-547, 1979-07-01 (Released:2011-03-14)
参考文献数
10

512 (V) × 340 (H) 画素CCD2個と色スプライプフィルターを組合せた2板式カラーカメラを開発, 比較的少ない画素数のCCDを用いて実用レベルに近い画像を得ることに成功した.またフレーム転送方式CCDの画素構成を解析, 混色と解像度の点で, このカラー撮像方式が有利なことを明らかにした.