著者
森 和俊 親泊 政一 原田 彰宏 南野 哲男
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

小胞体膜結合性転写因子ATF6は、小胞体ストレスを感知するとゴルジ装置へ移行し、プロテオリシスによる活性化を受ける。この小胞体ストレスの感知にATF6内腔領域のみが十分であることを証明した。ATF6αノックアウトマウスは正常に発育するが、腹腔に小胞体ストレス誘導剤を投与すると脂肪肝を形成して死亡する。その原因として、肝臓からの脂肪の放出を担う超低密度リポタンパク質形成に関与するApolipoprotein B-100の品質管理にATF6α非存在下では問題が生じることを突き止めた。
著者
雨宮 政
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.p273-277, 1985-12

Simple reaction times(SRTs) and choice reaction times(CRTs) for mentally retarded(MR) children and normal(N) children matched on MA were analyzed. The main results were as follows; 1)In SRT experiments, there were great RT differences between MR group and N group, but in CRT experiments, no significant CRT differences between them were noticed. 2)Between MR-C group, selected from MR group by the condition that the members were the same SRT level that N group members, and N group, no significant differences in CRTs were seen. It was inferred that MA 5-8 N children responded on the same way of MR children in CRT tasks that demanded higher mental activities.
著者
雨宮 政
出版者
The Japanese Association of Educational Psychology
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.273-277, 1985

本研究では, MAマッチされた精神遅滞児 (MR児) と普通児 (N児) を対象として, 彼らのSRT, CRTを分析した。<BR>その結果, 次のことが明らかになった。<BR>SRT事態ではMR群とN群との問に大きなRT差が示されたが, CRT事態では有意なRT差が認められなかった。SRTレベルが同一であるMR-C群とN群との間でもCRTの差が認められなかった。MA5-8歳レベルN児は, 高次の心理的操作の要求されるCRT事態でも, MR児と同じ反応とすることが明らかになった。そこで, N児は, MA7-8歳で何らかの心理活動の転換を迎えることが推測された。
著者
松下 晴彦
出版者
一般社団法人 日本教育学会
雑誌
教育学研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.86, no.2, pp.176-187, 2019

<p> 本稿では、まず翻訳概念の系譜学的、超越論的な観点から、現代文に特徴的な漢字仮名交じり文の淵源について、漢字仮名交用の創成過程、漢字訓読法とその批判としての国学の意義に論及し、次に翻訳がナショナリズムおよび国民語の創成の要件であることについて諸外国の事例とともに考察する。最後に、西田哲学の「無の場所」と時枝文法の「辞」の意義を確認し、日本の翻訳実践としての表記法と外来思想に対する日本的思想的態度との相関について考察する。</p>
著者
谷川 直
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.455-459, 1990-05-01

サマリー 頸動脈波,頸静脈波などの脈波は記録が容易であり,装置の手軽さなどから臨床的には十分に有用である.本稿では,この二つの脈波の記録法,波形の解釈と臨床的意義について述べる.頸動脈波は左心系の情報を表しており,大動脈弁狭窄症,特発性大動脈弁下狭窄症,心機能障害などの変化がわかり,また頸静脈波は右心系の変化についての把握が可能で,右房圧の上昇,右室の拡張期充満の状態の推測が可能である.
著者
李 多晛 澤田 陽一 中村 光 徳地 亮 藤本 憲正
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.421-427, 2013

普通名詞,固有名詞,動詞の3 種の言語流暢性課題を若年群と高齢群に実施し,品詞と加齢の影響を調べた。対象は健常の若年者(18 歳~ 23 歳)と高齢者(65 歳~ 79 歳),それぞれ35 名である。被検者には,60 秒間に以下の範疇に属する単語をできるだけ多く表出するよう求めた。(1)普通名詞:「動物」「野菜」,(2)固有名詞:「会社の名前」「有名人の名前」,(3)動詞:「人がすること」。その結果,高齢群は若年群に比べて,正反応数が有意に少なく,誤反応数が有意に多かった。動詞は普通名詞に比べて,正反応数が有意に少なかった。また,普通名詞,固有名詞に比べ動詞では,加齢による正反応数の減少と誤反応数の増加が有意であった。動詞において加齢による成績低下が強くみられたのは,高齢者における遂行機能の低下を反映したものだと考えた。
著者
Naoya KAKIUCHI Junya OCHIAI Masaki TAKEUCHI Hideji TANAKA
出版者
The Japan Society for Analytical Chemistry
雑誌
Analytical Sciences (ISSN:09106340)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.3-5, 2021-01-10 (Released:2021-01-10)
参考文献数
11
被引用文献数
2

We propose a novel concept for detecting color transition by the inner product (IP) of RGB unit vectors. A digital microscope-based detector and a Visual Basic program were developed in-house. The concept is applied to indicator-based flow titration. The IP is 1 or < 1 if the vector’s direction is the same or different, respectively. The IP’s change can be used as a criterion for the indicator’s color transition. The present IP-based approach is simple, economical, and versatile because it is applicable to any color transition without selecting an analytical wavelength.
著者
小池 正徳 嶋田 徹 雨宮 良幹
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.101-107, 1993
被引用文献数
21

バーティシリウム萎ちょう病に対するアルファルファの細胞レベルにおける反応を明らかにするため,抵抗性3個体(V-16,E-18,K-1それぞれ品種バータス,ヨーロッパ,キタワカバ由来),感受性3個体(V-6,E-8,T-3それぞれ品種バータス,ヨーロッパ,ソア由来)より誘導したカルスからプロトプラストを調製し,Verticillium albo-atrum培養濾液および菌体細胞壁成分に対する反応を調べた。菌培養濾液を透析により4つの画分(A:分子量3500以下,B:3500以上12-14,000以下,C:12-14,000以上50,000以下,D:50,000以上)に分画し,それぞれのプロトプラストに20%の濃度で処理し,12時間後に生存率を調査した。各画分ともプロトプラストの生存率は減少したが,画分Aに対して感受性個体のプロトプラストの生存率の減少が顕著であり,画分C,Dに対しては抵抗性個体のプロトプラストの生存率の減少が顕著であった。次にプロトプラストに菌体細胞壁成分を処理し,生存率を経時的に観察した。その結果,抵抗性個体のプロトプラストの生存率減少が感受性個体のそれらに比べ顕著であった。以上の結果から,Verticillium albo-atrum培養濾液を用いて細胞選抜を行う場合は,培養濾液全画分を選抜因子として用いるよりは,低分子画分(画分A)を分画して用いた方が効果的であることが予想される。また,培養濾液高分子画分(画分C,D)および菌体細胞壁成分に対するプロトプラストの反応率は抵抗性の指標として利用できることが示唆された。
著者
小粥 勇作 松村 嘉之 大谷 毅 高寺 政行 星野 雄介 保田 俊行 大倉 和博
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.58, no.7, pp.590-598, 2017

<p><tt>繊維・アパレル産業の企業間取引ネットワークにおいて,</tt>8 <tt>分野(総合アパレル,レディス,メンズ,デザイナー,ベビー・子供服,インナーウエア・靴下,スポーツウエア,ジーンズ・ユニフォーム)計</tt>1476 <tt>社について,複雑ネットワーク分析を実施した.全体</tt>1476 <tt>社についてと代表的な</tt>3 <tt>分野として,総合アパレル</tt>217 <tt>社,レディス</tt>603 <tt>社,メンズ</tt>202 <tt>社のそれぞれの取引関係数について,次数分布の両辺対数変換を施したところ,全体と</tt>3 <tt>分野それぞれにおいて,べき指数</tt> γ <tt>⋍</tt> -2 <tt>の自己相似的構造が確認された.また,全体と</tt>3 <tt>分野のそれぞれはネットワーク直径が</tt>6 <tt>次以下であるスモール・ワールド性も確認された.さらに,ネットワークの中心性に関する指標により,繊維・アパレル産業の多くの分野で,商社がネットワークの中心的な取引を展開していることが判明した.</tt></p>
著者
矢動丸 琴子 中村 勝 岩崎 寛
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.86-91, 2017 (Released:2018-03-15)
参考文献数
7
被引用文献数
2

近年,ストレスチェック制度が義務化され,職場におけるストレス対策が重要となってきている。その対策の1つとして,オフィス緑化が注目されている。そこで,本研究では,オフィス緑化が勤務者の心理に与える影響について,業種や職種の違いにより効果に差が見られるのか検証を試みた。その結果,業種や職種のみでは,効果に目立った差は見られなかったが,業種と職種を組み合わせた場合には一部で「仕事・職場に対する評価」や「気分・感情状態に対する評価」に異なる傾向が見られた。また,植物設置に対する反応も異なる傾向が見られた。その要因として,仕事内容に加え,植物に対する印象やストレスの種類等が考えられた。
著者
古屋 俊樹 木野 邦器
出版者
日本醸造協会
巻号頁・発行日
vol.113, no.2, pp.64-70, 2018 (Released:2018-05-28)
著者
堀内 孝
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.25, 2011

一般的に自分自身の名前に関する反応時間は短いことが知られている。本研究では,その処理の速さが自己名前の熟知性の高さに起因しているのか否かを検討した。具体的には,名前を繰り返し提示することによりその熟知性の高さを操作した。実験1では,自己名前と3人の他者(親友,男性有名人,女性有名人)の名前が設定され,4回の反復提示が行われた。1回目の反応時間は,自己<親友<男女有名人であった。これは従来の研究知見と一致するものであり,熟知性でも解釈可能な結果である。しかしながら,4回目では他者3名間の反応時間の差は消失したにもかかわらず,自己名前は他者3名の名前よりも反応時間が短かった。さらに,実験2では自己名前と親友の名前が設定され,30回の反復提示が行われたが,それでも,自己名前は親友の名前よりも反応時間が短かった。以上の結果は,自己名前に関する処理の速さは熟知性の高さでは説明できないことを示している。
著者
坂本 史衣
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.1-6, 2019-01-25 (Released:2019-07-25)
参考文献数
29
被引用文献数
1

カテーテル関連尿路感染(Catheter-associated urinary tract infections:CAUTI)は医療関連感染の10~20%を占める.近年,CAUTIの主要なリスク因子の一つとして,カテーテル留置期間の長期化が注目されており,専門組織が発行するCAUTI予防のためのガイドラインやガイダンスは,カテーテルの使用制限を含む多角的な取り組みを行うよう推奨している.本稿では米国医療研究・品質調査機構(Agency for Healthcare Research and Quality:AHRQ)が開発した包括的プログラムを参考にしながら,根拠に基づくCAUTI予防策について解説する.