著者
鈴木 治 井上 幹夫
出版者
一般社団法人日本PDA製薬学会
雑誌
日本PDA学術誌 GMPとバリデーション (ISSN:13444891)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.34-39, 2000

&nbsp;&nbsp;The previous study has shown that stainless steel surfaces on piping could greatly be subject to rouging during the operation of high-purity water systems (Suzuki O <i>et al.</i>: Pharm Tech <b>22</b>: 66-82, 1998). The follow-up study has hereupon been carried on to fed out what will potentially develop into such rouging on stainless steel, because the fouling-like rouging has always been an anxious matter to pharmaceutical engineers. The name of rouging is now given to a corrosive discoloration developed with various contaminants in the high-purity water treatment process, which will also occur in WFI (Water for Injection) systems or pure steam generators. Stainless steel elbow-piping sections, which surfaces were finished at such a high mill finish as mechanical polish and electropolish, were exposed to pure steam generated at 2 kg/cm<sup>2</sup>-g. The steam was also fed into the near-horizontal piping section not stagnant with distillate and the intentionally arranged section stagnant with distillate for 30 days. The inner surface after pure steam fed was visually inspected and analyzed by a physical technique of Auger electron spectroscopy so that rouging discoloration was detected to be mostly due to its surface oxidization of stainless steel. The oxidization is divided into two groups: namely, (1) reddish discoloration results from the vapor attack, and (2) blackish discoloration comes from long contact with condensate on stainless steel surfaces. The latter discoloration is further divided into two types in the chemical respect; namely, with carbon and without carbon. Although these kinds of discoloration may provide no deterioration for water quality because of very low solubility of metal oxides, a further study of this rouging mechanism should be made to acquire clear grounds for the final conclusion.<br>
著者
フンク カロリン
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2014, 2014

観光者が様々な観光形態を求めることになり、「新しい観光」と言われる現象を生み出している。その中でアート・ツーリズムが今後の経済活動に重要な役割を果たすとされている創造的階層の旅行形態として(竹田・陳2012:78)、または地域住民の積極的な関わりを可能とする地域活性化手段として(Klien 2010: 519)期待されている。 現在日本で最もアート・ツーリズムの取り組みとして注目を浴びているのは香川県直島町とその周辺で開かれる瀬戸内国際芸術祭である。そこで本研究は直島におけるアート・ツーリズムに注目し、観光者と観光産業関係者の特徴と彼らが抱く直島に対する考えを調べる。また、訪れている観光者は、普段どの程度アートに関心を持っているのか、一般観光者層と異なるのか、アート・ツーリズムは観光産業にどのような効果をもたらしたのか明らかにする。 &nbsp; 2.研究対象と方法 直島町は1917年に三菱鉱業(現在の三菱マテリアル)の精錬所を誘致し、鉱業の島として繁栄してきたが、銅市場の変化も影響し、精錬場の労働者数とともに直島の人口も1970年代から減少しはじめた。1970年から教育文化施設を島の中心部に集め、「文化ゾーン」を作り出した。1985年、当時の町長と当時の福武書店(現在ベネッセ・コーポレーション)社長の合意に基づいて、島の南部エリアを中心に総合的な観光開発が始まった。直島国際キャンプ場、ホテルと美術館を合体したベネッセハウス、本村地区で展開された家プロジェクト、地中美術館、犬島アートプロジェクトなど、アートを用いて25年をかけた文化・リゾートエリアが直島に誕生し、プロジェクトはその周辺の島にも広がった。その結果、島は現在、北部の産業エリア、中心部の生活・教育エリア、南部の文化・リゾートエリアに別れている。 現地調査は2012年11月24-25日に観光者、観光産業施設、住民という3つのグループを対象にアンケートを実施した。回答者数は観光者255人、観光産業施設40ヶ所、住民34人であったが、この報告では観光者と観光産業のみ取り上げる。 &nbsp; 3.調査結果 アンケート調査で把握した限り、直島を訪れる観光者は旅行全体や普段の生活でもアートに強い関心を持つ人、アートとともに自然を楽しむ人、訪れた相手とゆっくり島を歩き回りたい人など様々であり、性別や年齢層による差もみられる。したがって他の観光地とは全く異なる客層を引きつけているというよりは、客層が拡大し、多様化しているといえよう。 観光産業については地中美術館の開館とそれに伴う観光者数の増加が影響し、2004年以降に島外からの若い人々が移住し、観光産業、特に宿泊施設に取り組む傾向が強まった。しかし、観光者向けのサービス、特に外国人旅行者に対する情報提供などはまだ限られている。外国人の増加に対してもそれほど積極的ではない観光産業従事者が多く、国際観光地としての成長はこれからの課題である。施設管理、サービス、値段がともに高水準であるベネッセの施設に比べると、その他の観光産業は小規模で、個人的で、施設の水準があまり高くなく、そのギャップは大きい。また、彼等はアートに強い関心を持つ、または積極的にアートプロジェクトに関わるようなことがあまりなく、「アート」に対する思いよりも、「島」へのこだわりや、自立して事業を行いたい志向が強いようにみえる。観光産業の成長はアート・ツーリズムの魅力の効果というよりも、アート・ツーリズムを通じて観光地として成功した効果によるところが強いといえる。 Klien, S. (2010): Contemporary art and regional revitalisation: selected artworks in the Echigo-Tsumari Art Triennial 2000&ndash;6. Japan Forum 22/3-4, 513&ndash;543 竹田茂生,陳那森 (2012) :観光アートの現状と展望. 関西国際大学紀要, 13, 77-90
出版者
日経BP社
雑誌
日経アーキテクチュア (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.777, pp.32-41, 2004-08-23

中美術館」という名前を聞いて、洞くつのような薄暗い空間を想像していた。だが、それは見事に裏切られた。確かに通路や前室など、暗い部分は極端に暗い。しかし、主要な展示空間には大胆に自然光を採り入れ、動線上のポイントとなる部分には二つの大きな中庭を設けている。全体の印象は、むしろ多くの"閉じた地上美術館"よりも明るい。
著者
ジョージ プラット アブラハム
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 (ISSN:09150900)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.67-93, 2007-09-28

宮沢賢治は、詩人・童話作家として世界中に知られるようになった。岩手県出身の賢治の作品に岩手県もなければ、日本もなく、「宇宙」だけがあるとよく言われる。まさにその通りである。彼のどの作品の中にも、彼独自の人生観、世界観及び宗教観が貫いていて、一種の普遍性が顕現していることは、一目瞭然である。彼の優れた想像力、超人的な能力、そして一般常識の領域を超えた彼の感受性は、日本文学史上、前例のない一連の文学作品を生み出した。賢治の文学作品に顕現されている「インド・仏教的思想」、つまり生き物への慈悲と同情、不殺生と非暴力主義、輪廻転生、自己犠牲の精神及び菜食主義などの観念はどんなものか、インド人の観点から調べ、解釈するとともの賢治思想の東洋的特性を強調することが、本稿のねらいである。
著者
三沢 彰 高倉 博史
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.127-132, 1989-03-30 (Released:2011-07-19)
参考文献数
5
被引用文献数
3 5

街路灯付近の落葉樹の葉は, 光の影響により秋遅くまで落葉しない傾向が見られる。しかし, その影響がどの程度のものかについて科学的に研究された例はない。そこで, 著者らは東京都内の代表的な7種の街路樹を対象に観測路線を設け調査を行った。また, 実験的にもその裏ずけを行った。その結果, 照明の落葉に及ぼす影響は樹種によって異なること, 照明の強く当たるところだけが落葉しない, などのことが明らかとなった。
著者
桾沢 栄一
出版者
埼玉女子短期大学
雑誌
埼玉女子短期大学研究紀要 = Bulletin of Saitama Women's Junior College (ISSN:09157484)
巻号頁・発行日
no.7, pp.31-61, 1996-03

On this essay, I research Laski's concepts of "the revolution by consent" and "the planned democracy" in 1940's, that is fourth stage of his political thought. These concepts are contrived in his considering of Russian-Marxisum and Fascism. And I want to make reference to his ideas of liberty and equality in connection with those concepts. In conclusion, I would trace what Laski investigated continuously and wanted to realize in British politics during the war and after the war.
著者
桾沢 栄一
出版者
埼玉女子短期大学
雑誌
埼玉女子短期大学研究紀要 = Bulletin of Saitama Women's Junior College (ISSN:09157484)
巻号頁・発行日
no.9, pp.11-38, 1998-03

On this essay, I research Mosley's political group of 'Union Movement'. First I consider a social background of this group being. Next I consider contents of this group's actions. Especialy about the political line of it, events of racial discrimination, some reasons of its failure. And I consider the other groups around 'Union Movement'. Finally I make it clear that Mosley's political thought being characterised has limits its possibility.
著者
豊留 孝仁
出版者
日本医真菌学会
雑誌
Medical Mycology Journal (ISSN:21856486)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.J149-J154, 2016 (Released:2016-11-29)
参考文献数
40
被引用文献数
1 2

アスペルギルス症は深在性真菌感染症の重要な位置を占めている.アスペルギルス症の原因真菌はAspergillus fumigatusが最も重要であるが,そのほかにもAspergillus flavusやAspergillus niger, Aspergillus terreusなども重要な原因菌種である.また,近年になって隠蔽種と呼ばれる各Aspergillus sectionの代表的な種に非常によく似た菌種の存在が認識され,一部のアスペルギルス症の原因となっていることも分かってきた.最近の研究で,それらの菌種間では抗真菌薬に対する感受性や二次代謝産物の産生プロファイル (エクソメタボローム) が異なることも明らかとなってきた.一方,治療中のA. fumigatusアゾール耐性化や近年の欧州を中心とした環境中アゾール耐性A. fumigatusの出現も報告され,これら菌種を正確に同定し,加えて感受性を評価することの重要性が高まってきている.本総説ではA. fumigatusを含めたアスペルギルス症原因菌種,特に隠蔽種について触れ,エクソメタボローム解析を利用した同定の可能性を述べる.加えて,A. fumigatusアゾール系抗真菌薬耐性について最近の報告を交えて概説したい.