著者
佐藤 丈晴 荒川 雅生 中山 弘隆 鉄賀 博己 古川 浩平
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.707, pp.153-163, 2002

降雨によるがけ崩れ発生予測としてがけ崩れ発生限界雨量線 (CL) の設定手法が提案されている. しかしながら, 従来のがけ崩れ発生限界雨量線はほとんどが線形で示されており複雑な自然現象を再現しているとは言い難い. またその的中精度が低い問題がある. そこで本研究では, 従来のがけ崩れ発生限界雨量線の問題を解決するために, 包絡分析法 (DEA) を応用して警戒避難基準雨量の設定を試みた. 本手法では降雨データの分布のみから, 最適な警戒避難基準雨量の設定ができる. そして, がけ崩れの予測に関する検討を行い従来のがけ崩れ発生限界雨量線と比較して精度の向上を確認した. さらに警戒基準雨量, 避難基準雨量の設定を試み, 従来手法との比較を行いその有用性を検証した.
著者
蔭山 芳明
出版者
社団法人 日本印刷学会
雑誌
日本印刷学会誌 (ISSN:09143319)
巻号頁・発行日
vol.44, no.5, pp.275-278, 2007 (Released:2011-10-15)
被引用文献数
1

Fujitsu has launched world first film based color e-paper in 2005 and has been continuing improvement especially on its size, resolution and optical characteristic. In this issue, we would like to introduce principle of cholesteric liquid crystal e-paper, feature of 8-inche and 12-inche panels, and the device which we adapted our e-paper panel.
著者
川嶋 尚正 Moyer Jack T.
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.260-266, 1982

琉球列島の石垣島, 沖縄本島より得られたスズメダイ科魚類の2種<I>Pristotis jerdoni, Pomacentrus vaiuli</I>を記載した.<BR><I>Pristotis jerdoni</I>は日本からの初報告となるので, オキスズメダイの和名を提唱する.本種のペルシア湾, 南シナ海, 本邦近海の標本を比較すると, 幾つかの比較長に僅かな地域差が見られた.一方コハクスズメダイ (新称) <I>Pomacentrus vaiuli</I>の中部太平洋からの報告のうちマーシャル諸島以北からの報告は, 近年三宅島からなされたものだけであるが, 本邦産のものについての詳しい記載はなされていなかった.本種は琉球列島ではかなり普通に見られたが, 本報が初記録である.三宅島ではまれであった.しかし三宅島での越冬と産卵が確認されているので, 本種の分布の北限は三宅島近海である.
著者
鈴木 博人 加藤 亘 島村 誠 畑村 真一 野村 真奈美 日置江 桂
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.353-365, 2009-05-31
被引用文献数
1

本研究では,列車運転規制に利用することを目的に,日本海沿岸部における冬期(11月から3月)の寒冷前線に伴う突風に対して,レーダーエコーデータを用いた突風警戒基準を開発した.突風を発生させる可能性のある親雲の検出基準は,1km格子のレーダーエコーデータにおいて,80mm/h以上のエコー強度が10格子以上存在し,なおかつそれらの格子における最大のエコー頂高度が6km以上の場合とした.この基準を用いることで,2005年冬期から2008年冬期までの4冬期において,日本海及びオホーツク海の沿岸部で発生した人的被害を伴う全突風3事例を検出できる.また,人的被害のなかった事例を含めた全突風7事例のうち,4事例を検出できる.本研究で定めた突風検出基準を用いて,次のような列車運転規制方法を考案した.突風検出基準を超過するレーダーエコーが現れた場合には,その地点の北から南東までの方角において約38km以内の範囲を突風の警戒範囲とする.鉄道の線路がその警戒範囲内に含まれる場合には,その区間における列車の運行を停止する列車運転規制を実施することにした.この方法を羽越本線新津・酒田間及び白新線新潟・新発田間に適用したところ,これらの路線が突風の警戒範囲に含まれる時間及び回数は,4冬期の平均で1年あたり150分及び4.0回であることが分かった.この検証結果に基づき,上記区間において本研究で開発した列車運転規制の試行を2008年1月28日から開始した.
著者
手塚 悦子 西村 修 小林 啓子 大森 正司
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 59回大会(2007年)
巻号頁・発行日
pp.297, 2007 (Released:2008-02-26)

【目的】東南アジアでは、バナナの葉は食品の包装や保存等へ用いられ、生活の場面で有効に用いられている。ここでは、大量に廃棄されているバナナの葉をバイオマスの一環として捉え、その有効利用や食品の保存という観点からバナナの葉に含まれている抗菌性物質に着目し、その分離、同定と有効性を明らかとしたので報告する。 【方法】(1)試料は、フィリピン産の乾燥バナナの葉(Musa acuminata)3kgを用いて粉砕後、沸騰水中で抽出、ろ過したものを試料液として以下の実験に供した。(2)バナナの葉の香気成分(SPME法)、有機酸およびアミノ酸(HPLC法)、抗酸化性(DPPHラジカル補足活性)を測定した。(3)抗菌性試験では、試料液をヘキサンで脱脂後、酢酸エチル分画し、ペーパーディスク法により、Escherichia coli K12 Staphylococcus aureusNBRC 14462による抗菌活性を検討した。(4)(3)で得られた酢酸エチル分画液を用い、TLC、シリカゲルカラムクロマトグラフィ、による分離を検討し、GCMS、HPLC、NMRにより同定と確認を試みた。 【結果】(1)バナナの葉の香気成分は、6-Methyl–5-Hepten-2-one等が多く、有機酸は、シュウ酸、リンゴ酸等が見出された。(2)バナナの葉抽出液のpHを異にして抗菌活性を検討したところ、抗菌性物質は、柳田らの報告しているように酸性で酢酸エチルに転溶することを確認した。(3)GCMS、HPLC、NMRにより酸性物質の同定を試みたところ、ケイヒ酸と安息香酸であることを確認した。(4)15種の菌株について抗菌性を測定したところ、グラム陽性菌株に対して、より大きい抗菌性を示していることがわかった。
著者
人見 佳枝
出版者
近畿大学臨床心理センター
雑誌
近畿大学臨床心理センター紀要 = Bulletin of center for clinical psychology Kinki University
巻号頁・発行日
no.3, pp.49-59, 2010-10-01

[要約] 切腹は日本人が普遍的に心に抱いてきた、名誉を重んじる自死の象徴である。これは「死によって自己の最終責任を果たす」という日本人に共通の民俗のもとになったとされている。その象徴的な意味とその変遷について、主に千葉徳爾氏の著書を引用しつつ、腹部刺創による自殺企図患者について検討を行い、その共通点について論じた。腹部刺創における自殺企図患者においては、相手の目の前で企図する、企図後の精神科的援助を拒否することに特徴があり、これらは男性に顕著であった。これらは切腹が本来もっていた「誠意を示す」「分かってもらう」といった意味合いと共通点を示す一方、彼らなりの「男とはこうあるべき」という、いわゆるmachismoとの関連も伺われた。切腹と現代の腹部刺創を単純に比較することはもちろんできないが、民俗学的な見地からながめた場合、切腹の象徴的な意味は自殺企図全体に通底していており、腹部刺創も例外ではないものの、日本人の切腹に対して持つイメージが変わっていくにつれて減少していくのではないかと推察される。