著者
西澤 正己 孫 媛
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.121-126, 2018

<p>我々はこれまで大学に関連したプレスリリースを調査しており、それが近年大幅に増加し、それに対応して新聞への掲載も増加していることがわかってきた。また、これまでに2012年の大学関連機関から発行されたプレスリリースの元になった学術論文のDOIを特定し、オルトメトリック指標を得ている。ここでは、さらに2013年、2014年のデータを加えて分析を行うが、ここではSTAP細胞に関する過熱報道があり分析に影響を及ぼしている。これらの影響を考慮し、プレスリリースされた原論文のオルトメトリックス指標、新聞掲載状況との関係等について年次変化を含め、分析、考察を行う。</p>

1 0 0 0 OA ヒスタミン

著者
里見 正隆
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.8, pp.366, 2010-08-15 (Released:2010-10-02)
参考文献数
2
被引用文献数
2

ヒスタミンは分子式C5H9N3,分子量111.14の活性アミンで,アミノ酸であるヒスチジンの脱炭酸反応で誘導される.無色,無臭で一般的な加熱調理では分解しない.人体では肥満細胞のほか,好塩基球やECL細胞(enterochromaffin-like cell)がヒスタミン産生細胞として知られている.血圧降下,血管透過性亢進,平滑筋収縮,血管拡張,腺分泌促進などの薬理作用があり,アレルギー反応や炎症の発現に介在物質として働く.生体内で普段は細胞内の顆粒に貯蔵されており,細胞表面の抗体に抗原が結合するなどの外部刺激により細胞外へ一過的に放出される.また,マクロファージ等の細胞ではヒスチジン脱炭酸酵素(HDC)により産生されたヒスタミンを顆粒に貯蔵せず,持続的に放出することが知られている.食品中に蓄積されたヒスタミンを摂取すると,アレルギー様症状を呈するためアレルギー様食中毒と呼ばれている.1. アレルギー様食中毒アレルギー様食中毒の原因となるヒスタミンは,食品中のヒスチジンが,微生物により変換されて生じるもので,食品のなかでもサバやマグロなど,ヒスチジンを大量に含む赤身魚は原因食品となることが多い.原因物質を許容量以上食べると症状が出る食物アレルギーと異なり,アレルギー様食中毒は,魚介類が新鮮でヒスタミンが大量に含まれていなければ食中毒は起こらない.水産物のヒスタミン生成の原因となるのは主に腸内細菌,海洋細菌および乳酸菌で,鮮魚の場合は主に腸内細菌および海洋細菌,発酵食品の場合は乳酸菌による蓄積事例が報告されている.水産物のヒスタミン量についてCODEXをはじめ各機関で規制値を設けているが,我国では規制値を設定していない.毎年,学校給食等で20件程度の食中毒事例が報告され,患者数は500名程度,死亡例は報告されていない.原因食品として赤身魚加工品が多いとされている1) .2. ヒスタミン生成菌ヒスタミン生成菌はヒスチジン脱炭酸酵素(EC.4.1.1.22)を有し,低pHストレスに応答してヒスタミンを生成すると考えられている.2種類のアイソザイムが知られており,補酵素にピリドキサル五リン酸(PLP)を要求するPLP依存型酵素と,活性中心がピルボイル基であるピルボイル酵素に分けられる.PLP依存型HDCはグラム陰性菌の他,哺乳類の肝臓等に存在し,ピルボイル型HDCはグラム陽性細菌にのみ存在する.(1) PLP依存型HDC分子量約170kDa,四量体で,補酵素としてPLPを要求する.Morganella morganiiを含む腸内細菌群や海洋性のPhotobacterium damselaeおよびP. phosphoreum等のグラム陰性菌が保有する2) .本酵素を有する細菌は鮮魚や加工水産物のヒスタミン蓄積の原因菌と考えられている.海洋由来のヒスタミン生成菌には好冷性のものも存在するため,冷蔵保存中でもヒスタミンが蓄積することがあり,注意が必要である.酵素および細菌ともに加熱により失活または,死滅する.(2) ピルボイル型HDC分子量約200kDa, α, βサブユニットで構成されるヘテロ六量体で,翻訳後一本のペプチド鎖がα, βサブユニットに切断され,αサブユニットにピルビン酸から誘導されるピルボイル基を修飾後,成熟酵素として機能すると考えられている.本酵素はLactobacillus属やOenococcus oenii等の乳酸菌,Staphylococcus sp., およびClostridium perfringensのようなグラム陽性菌に存在し,チーズ,ワイン等の農産発酵食品の製造において問題となる.水産発酵食品では好塩性乳酸菌Tetragenococcus spp. がヒスタミン生成菌として分離されている.鮮魚では温度管理が悪いと筋肉組織が速やかに崩壊し,体表や腸内の細菌が侵入する.通常は腐敗菌もヒスタミン生成菌とともに侵入して腐敗臭を発するため,ヒスタミンの蓄積が起こるより早く食用に適さないと判断できるが,ヒスタミン生成菌のみが増殖できる特殊な環境が揃うと,官能的に可食と判断できてもヒスタミンを大量に蓄積している状態になり,食中毒を引き起こすと考えられている.ヒスタミン蓄積の予防は通常の食中毒防止の3原則と同様,「つけない」,「増やさない」「やっつける」を実践することが大事である.
著者
東 登志夫 鶴崎 俊哉 船瀬 広三 沖田 実 岩永 竜一郎 野口 義夫
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.121-125, 2004 (Released:2004-06-12)
参考文献数
20
被引用文献数
2 3

等尺性収縮時における肘関節角度が肘関節屈筋群の疲労度合いと筋出力に及ぼす影響について検討した。被験者は,健常成人9名とし,被験者全員に対してインフォームド・コンセントを得た。被験者には座位をとらせ,肩関節は0度とし,肩関節,骨盤及び大腿部をベルトにて固定した。肘関節の肢位は,肘屈曲30, 60, 90, 120度の4条件に設定した。実験は,まず最大随意収縮時(maximum voluntary contraction;MVC)の筋出力値を筋力測定装置を用いて計測した。次に被験者に視覚的フィードバックを行いながら,等尺性収縮にて各条件の50%MVCを60秒間以上保持させ,上腕二頭筋と腕橈骨筋から表面筋電図を計測した。筋疲労の指標には,表面筋電図の自己回帰パワースペクトル解析による周波数中央値を用いた。周波数中央値は,60秒間のデータを10秒ごとの6区間にわけ,それぞれの区間における周波数中央値を算出した。その結果,1)最大筋出力が得られたのは,90度であった,2)周波数中央値は,時間経過とともに減少し,その減少度合いは肘関節の屈曲角度が大きくなる程大きい傾向にあった。これらの結果より,最大筋出力が得られる肘関節角度と疲労しにくい角度は異なることが示唆された。従ってセラピストが,運動肢位を決定する際には,その点を十分考慮する必要があると思われる。
著者
後藤 明美 松田 修三 小沢 和浩 坂本 憲昭 但馬 文昭 宮武 直樹
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第29回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.182, 2013 (Released:2015-01-24)

イチョウの黄葉は,秋の気温低下とともに進んでいくが,気温環境が黄葉の仕方にどのように影響を与えているかに関する定量的な分析は十分なされていない.本研究は、気候指標としてイチョウの黄葉を利用して気温環境を定量化し、都市の小気候区や微気候区の気温環境を把握することである.そのため東京都の多摩ニュータウン通りを観測のモデル地区として定め,毎年観測を行っている.2010年,2011年の観測データをもとに提案した黄葉の進行モデルは2012年についてもよい一致が見られた.このモデル式をもとに黄葉の進行の速さと黄葉期間の関係および黄葉の進行と気温との関係について前回の報告でおこなった.ここではイチョウの黄葉の様子を気候指標としてさらに明確なものにするために,観測地域におけるイチョウ周辺の建物や道路などの熱分布をサーモトレーサにより測定し,イチョウの黄葉と周辺の熱環境との関係について調べたので報告する.
著者
南陀楼綾繁 [ほか] 著
出版者
創元社
巻号頁・発行日
2020
著者
大島 章一
出版者
海上保安庁
雑誌
水路部研究報告 (ISSN:03733602)
巻号頁・発行日
no.22, pp.p41-73, 1987-03
被引用文献数
1
著者
平野 桃子 柳与 志夫 東 由美子 数藤 雅彦
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.115-118, 2019-03-15 (Released:2019-06-01)
参考文献数
2

紙でのみ発行されていた過去の新聞記事のデジタル化とその活用策を検討することを目的に、2017年に地方紙デジタル化の状況を把握するためのアンケート調査を行なった。本発表では、上記の調査結果から浮き彫りになった課題・問題点を、(1)法制度的・倫理的、(2)社会的、(3)技術的、(4)経済的・制度的課題の4項目に整理し、各項目について、過去及び現在のデジタル化記事を今後活用していくための課題抽出を行なった。
著者
馬場 真紀子
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.113, pp.2048, 2019-11-30 (Released:2019-12-24)

東京海洋大学附属図書館における, アーカイブズ宇田道隆文庫の保存整理の取り組みを紹介する。宇田道隆は, 元東京水産大学教授であり海洋学者である。アーカイブズ宇田道隆文庫は, 宇田が遺した研究資料・記録類の集合体とそのデジタルアーカイブの双方を指し, 研究業績集であるとともに一研究者の特殊コレクションであるといえる。資料類保存の経緯についてまとめ, 特徴ある資料の紹介, 整理方法, デジタル化・公開, 活用事例を紹介し, 今後の課題について述べる。
著者
岩田 久 松山 幸弘 加藤 文彦 千葉 一裕
出版者
金原出版
巻号頁・発行日
pp.269-282, 2019-03-01

要旨:椎間板ヘルニアは椎間板中の髄核が線維輪を穿破し脊髄などの神経を圧迫し,下肢痛,腰痛を発症する疾患である。その治療において,保存療法として,非ステロイド性消炎鎮痛剤,ステロイドなどの薬物療法,理学療法,硬膜外仙骨ブロック,神経根ブロック,運動療法などで効果がみられないとき,コンドリアーゼ(C-ABC)化学的髄核融解術(chemonucleolysis)が,手術的治療に至る前の最後の手段として考えられる。このC-ABCは50年前,Proteus vulgarisを培養,その菌体成分から抽出・精製し,そしてFlavobacterium heparinum由来のC-AC酵素とともに駆使しコンドロイチン硫酸異性体の分析に使用した。その過程でコンドロイチン硫酸-デルマタン硫酸ハイブリッド構造の存在を半月板軟骨内に発見した。この酵素が種々の動物実験,臨床治験を通し,腰椎椎間板ヘルニア治療のための椎間板注射剤として純国産で,世界で初めて開発され,今回日本で認可が得られた。C-ABC,C-ACを用いた種々軟骨,尿などのコンドロイチン硫酸異性体の特徴,C-ABCの臨床応用に向けての基礎的研究,使用方法,適応,今後の展望について検討した。
著者
岡本 洋子 吉田 惠子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.97-102, 2014

味の感じ方に及ぼす温度の影響を調べることを目的に,甘味料および市販甘味飲料を用いて官能評価法によって甘味強度を測定した。甘味料として,スクロース,D-グルコース,D-フルクトース,D-マルトース,エリスリトール,キシリトール,D-ソルビトール,マルチトールの8種類,市販甘味飲料としては11種類を用いた。実験参加者は年齢18~20歳の健康な女子学生27名である。検査の液温は,7&deg;C,25&deg;C(基準),43&deg;Cとした。8種甘味料のうちD-フルクトースおよびキシリトールについては,温度による甘味強度の変化がみられたが,それ以外の甘味料は温度による呈味性の変化はみられなかった。一方,市販甘味飲料については,7&deg;Cでは25&deg;Cに比べ甘味強度が弱く,43&deg;Cでは25&deg;Cに比べ甘味強度が強い飲料が多かった。また,甘味料群では,甘味強度について温度要因の統計的な主効果に有意性はなかったが,市販甘味飲料群では,その効果に有意性がみられた。市販飲料に含まれる甘味料以外の成分について,呈味性に及ぼす影響を検討する必要が示唆された。
著者
梅垣 佑介 木村 真人
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.83, no.5, pp.430-439, 2012 (Released:2013-03-01)
参考文献数
37
被引用文献数
9 6

The present study investigated the effect of optimistic bias on help-seeking intentions and behaviors in relation to health care professionals and nonprofessionals for depressive symptoms. In addition, the study tested the hypothesis that seeking help from professionals poses a greater threat for self-esteem than from non-professionals. A questionnaire survey (N = 462) using clinical vignettes was conducted with university students. The results suggested that optimistic bias had an impact on help-seeking intentions and behaviors directed towards both health care professionals and nonprofessionals. There seemed to be a relatively stronger threat to self-esteem in help-seeking involving nonprofessionals and a weaker threat in help-seeking involving professionals, contrary to previous studies. The results were explained by the threat to self-esteem and equity theories. Understanding the rationale of optimistic bias and symptom recognition in the help-seeking process may provide relevant information to bridge the service gap in the treatment of depression.
著者
鉾館 陸 浦田 真由 遠藤 守 安田 孝美 毛利 勝廣
雑誌
第79回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, no.1, pp.959-960, 2017-03-16

博物館ではさまざまなデータの一般公開を行っているが、実際に効果的な活用がされている例は少ない。天文分野の教育においては実際の星空を見ることが重視されており、これを目的としたデータの活用が求められている。 そこで本研究では名古屋市科学館が運用する星空ライブカメラによって撮影された写真を利用し、ユーザーに星の見えやすさをリアルタイムに通知するシステムを開発した。このシステムでは星がみえやすいかどうかを機械学習によって得られた識別器で検知し、星が見えやすい状態の時に星空観測を勧める通知を行う。この通知はユーザーが外に出て星空を観測すること目的としており、その有効性を確認するために実証実験を行った。
著者
高槻 泰郎
出版者
社会経済史学会
雑誌
社会経済史学 (ISSN:00380113)
巻号頁・発行日
vol.74, no.4, pp.325-344, 2008-11-25 (Released:2017-07-22)
被引用文献数
1

我が国において,いつ,いかにして市場経済は勃興し,興隆したのか。この日本経済史上,極めて重要な課題に対して,本稿は,大坂の堂島米会所を対象として米価形成の効率性を検証することにより,一次的な接近を試みるものである。近世期における市場経済の展開を,領主米市場の分析を通じて明らかにしたのが宮本又郎である。宮本による研究は,領主米市場において価格機構が存在していたことを数量的に明らかにしたという点で,研究史上の画期をなすものであったが,価格機構の核心たる,価格形成の効率性に関して検証を加えたものではなかった。そこで本稿では,堂島米会所を対象として,情報をどれだけ適確に反映して価格形成が行われていたかを表す,情報効率性という尺度を用いて効率性を評価した。分析に際しては,一次史料から新たに復元された日次の米価系列を用いた。その結果,堂島米会所においては,18世紀末から幕末にかけて,情報を適確に反映していたという意味で,効率的な価格形成が行われていたことが明らかとなった。