著者
福田 稔 Minoru FUKUDA
雑誌
宮崎公立大学人文学部紀要 = Bulletin of Miyazaki Municipal University Faculty of Humanities
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.185-196, 2017-03-10

『中学校学習指導要領解説 外国語編』における辞書指導に関する記述によると、英語学習において辞書は不可欠であり、3年間を通して常に英語学習のために使用することが求められている。しかし、3社の中学校英語教科書における辞書指導の記述を調べてみると、教科書によって大きな違いがあることが分かる。また、大学生への辞書使用に関するアンケート調査から、英語の辞書の使い方を知りたいと感じている割合が多いことが判明した。共通した問題として、辞書使用に関する学びの場が不足していることが挙げられる。この問題を解消するために、本稿ではICTを利用した辞書活用のための補助教材の提供を提案する。
著者
佐子田 嘉明 後藤 尚也 石橋 晃
出版者
養賢堂
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.369-375, 2011 (Released:2012-12-03)
著者
中村 容子
出版者
Japan Association on Geographical Space
雑誌
地理空間 = Geographical space (ISSN:18829872)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.221-232, 2016

本稿は,NHK大河ドラマを活用した観光振興について,大河ドラマ「功名が辻」(2006)と「龍馬伝」(2010)で舞台となった高知市を取り上げ,行政や関連団体の取り組みの違いが観光客誘致にどのように影響したかを明らかにした。この二つの大河ドラマは,誘客数と自治体の取り組みに違いが表れた。2006年は,土佐藩主の山内一豊を活用し観光振興を行ったが,観光客の増加は一時的なもので継続性はなかった。一方,2010年の坂本龍馬を活用した観光振興では放映前年から観光客数が増加し,放映後も観光客が漸増した。歴史上の人物である坂本龍馬を継続活用した自治体による観光振興は,観光客の継続的な誘致という点では,高知市の観光客誘致に一定の効果があったといえる。
著者
青本 和彦
出版者
一般社団法人 日本数学会
雑誌
数学 (ISSN:0039470X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.350-364, 1997-10-30 (Released:2008-12-25)
参考文献数
19
著者
安里 瞳 伊澤 雅子
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.191-210, 2020

<p>沖縄島において,外来食肉目による在来種への捕食圧が野生生物保全の上で深刻な問題となっているが,食性分析において,捕食されているトガリネズミ科動物(以下,トガリネズミ類)およびネズミ科動物(以下,ネズミ類)の種同定は,同定検索情報の不足などにより現状では困難であった.そこで,沖縄島での外来食肉目の食性分析への応用を想定し,沖縄島に生息するトガリネズミ類とネズミ類の毛の形態による種判別法の確立を試みた.沖縄島に生息するトガリネズミ科2種(ワタセジネズミ<i>Crocidura watasei</i>,ジャコウネズミ<i>Suncus murinus</i>),ネズミ科4種(オキナワハツカネズミ<i>Mus caroli</i>,ケナガネズミ<i>Diplothrix legata</i>,オキナワトゲネズミ<i>Tokudaia muenninki</i>,クマネズミ<i>Rattus rattus</i>)の保護毛と下毛を対象に,毛長や最大幅,髄質幅の計測と外部形態や鱗片,髄質の観察を行った.さらに,捕食種の毛の混入も想定し,イヌ<i>Canis lupus familiaris</i>とイエネコ<i>Felis catus</i>の毛も同様の方法で観察を行った.</p><p>その結果,保護毛は,トガリネズミ類とオキナワハツカネズミでは直毛の1種類のみ,その他の3種では直毛に加えさらに1種類の毛が確認された.下毛は,調査した6種の小型哺乳類について1種類の毛のみから成り,種間で形態に違いはみられなかった.6種に共通した直毛の保護毛では,毛長が種ごと,個体ごとの平均値10 mmを境に2分できた.また,鱗片と髄質の構造からも類別が可能であった.ネズミ科3種でのみ確認された1種類の保護毛は,毛長では3種間で,最大幅ではオキナワトゲネズミのみ他種間との値に重なりがなく類別可能であった.さらにケナガネズミとオキナワトゲネズミでは,先端付近で髄質が分岐することでクマネズミから類別され,毛根部から毛幹部への移行部の形態の違いからこの2種も類別が可能であった.これらの特性からトガリネズミ科とネズミ科の6種について毛の形態による検索表を作成した.イヌとイエネコの毛については,鱗片と髄質の構造がトガリネズミ類やネズミ類とは異なる形態を有していたため,グルーミング等で捕食種の毛が糞に混入していても類別が可能であると考えられる.</p><p>本研究の対象種については保護毛で種間に明瞭な違いがみられたことから,食性分析において正確に種判別を行うためには保護毛を用いる必要がある.また,複数の毛を用いることで判別の精度が上がる.今回の保護毛の計測結果や鱗片と髄質の観察結果のうちどれか一つだけを用いて種の識別を行うことは困難であったが,これらを総合的に評価すれば科あるいは種までの同定が可能である.</p>
著者
山下 弘高
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.56, no.8, pp.783, 2020

生物は進化の過程において数々の食糧難に直面し,それを克服するために糖や脂肪などのエネルギー源を無駄なく再利用するシステムを獲得してきたが,飢餓状態での生体防御,特に免疫システムの役割については未知の部分が多く残る.本稿では,飢餓状態を模したカロリー制限マウスにおいて,メモリーT細胞が脾臓などの二次リンパ組織から骨髄へ移動し,エネルギーの消費を抑えつつ,病原体への感染に備えた状態になることを明らかにしたCollinsらの論文を紹介する.<br>なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.<br>1) Collins N. <i>et</i> <i>al</i>., <i>Cell</i>, <b>178</b>, 1088-1101(2019).<br>2) Han S. J. <i>et</i> <i>al</i>., <i>Immunity</i>, <b>47</b>, 1154-1168(2017).<br>3) Maurya R <i>et</i> <i>al</i>., <i>Front</i>. <i>Immunol</i>., <b>9</b>, 2741(2018).
著者
八木橋 勉 渡久山 尚子 石原 鈴也 宮本 麻子 関 伸一 齋藤 和彦 中谷 友樹 小高 信彦 久高 将洋 久高 奈津子 大城 勝吉 中田 勝士 高嶋 敦史 東 竜一郎 城間 篤
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.131, 2020

<p>ヤンバルクイナは沖縄島北部のやんばる地域のみに分布しており、環境省のレッドリストで絶滅危惧IA類(CR)に分類されている。森林面積や外来種とヤンバルクイナの繁殖分布の関係を明らかにするため、沖縄島北部でプレイバック法による調査を2007年から2016年の繁殖期に3年ごとに4回実施し、確認個体数を応答変数とするGAMMによる統計解析を行った。その結果、ヤンバルクイナは、マングースが少ない場所ほど多い、広葉樹林面積が大きい場所ほど多い、畑地草地面積が大きい場所ほど多い、2007年と比較して近年確認個体数が増加している、という統計的に有意な関係がみられた。また、確認地点数も増加していた。これらの結果から、地上性のヤンバルクイナは、外来種であるマングースの影響を強く受けているが、マングース防除事業の効果により、近年分布が回復していると考えられた。ヤンバルクイナは広葉樹林面積が大きい場所で多いことから、近年大面積伐採が減少していることも分布回復に有利に働いていると考えられた。同時に畑地草地面積が大きい場所で多いことから、林内だけでなく、林冠ギャップ、林縁や草地なども生息環境として重要である可能性が考えられた。</p>
著者
吉田 安規良 吉田 はるか
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.3-30, 2020

<p>平成時代の理科を教える教師教育を振り返り,その中で得た気づきを新しい―令和―時代の理科教育の創造へとつなげる一助とするために,本報では,日本理科教育学会の学術雑誌『日本理科教育学会研究紀要』・『理科教育学研究』で"平成"時代に報告された理科を教える教師教育に関する研究を整理した。その結果,理科を教える教師教育に関する研究報告は,発行年別に見ると,1997(平成9)年,1998(平成10)年,1999(平成11)年以外で,巻別に見ると,第38巻,第39巻,第41巻以外に,総計111編掲載されていた。この111編は,①日本理科教育学会教育課程委員会報告(5編),②教員志望学生の現状に関する調査研究(28編),③現職教員の現状や要望,授業の実態を把握する調査研究(39編),④教員志望学生を対象とした理論的,実践的研究(20編),⑤現職教員を対象とした理論的,実践的研究(8編),⑥諸外国の教師教育に関する研究(8編),⑦その他(3編)に大別された。そのほとんどが,教職志向の学生と現職教員に関する事例的な報告であり,理科を教える教師教育者の専門性開発を扱ったものやコア・サイエンス・ティーチャーに関するものは無かった。対象校種は小学校に関するものが多く,科目内容的には天文学に関するものが地学で目立った。平成時代の日本理科教育学会における理科を教える教師教育に関する研究成果には,様々な背景をもった理科を教える教員志望学生や現職教員に対する教育や自らの経験だけに依拠しない形で対応できる理科を教える教師教育者の専門性開発に繋がる,令和時代の理科を教える教師教育の礎となるものが数多くあり,その深化と発展,さらには社会への提案と還元が期待される。</p>
著者
阿部 真 阿部 篤志 齋藤 和彦 高嶋 敦史 高橋 與明 宮本 麻子 小高 信彦
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.131, 2020

<p>大型の着生ラン、オキナワセッコク(<i>Dendrobium okinawense</i> Hatusima et Ida)は、沖縄島北部やんばる地域を代表する固有種のひとつである。戦後の森林伐採や乱獲のために激減したとされ、環境省と沖縄県が絶滅危惧種(それぞれIB類、IA類)に指定する。本研究は、本種野生株の分布情報から、その適切な保護・回復のために有効な森林管理を検討する。これまでに本種が成熟林に依存すること、着生木(ホスト)樹種の選好性があること、また、2018年までに整備された国立公園の保護区域が現生する株の多くをカバーすることを明らかにした。本報告では、探査を重ね400近くになった着生木の情報から、本種の生育に求められる環境条件を、林齢や地形について絞り込む。伐採や盗掘のリスクを抑えつつ適切な林分や配置を誘導することにより、本種の分布について効果的な回復が期待できる。研究は(独)環境再生保全機構の環境研究総合推進費(課題番号4-1503及び4-1804)の支援を受けた。また、環境省の調査資料(やんばる地域希少植物生育状況調査、平27~28)の提供を受けた。</p>
著者
亀山 統一 森田 琴美
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.131, 2020

<p>琉球列島のデイゴ<i>Erythrina variegata</i>は葉や若枝に侵入害虫デイゴヒメコバチの激しい加害を受けているが、被害木の一部に急速な枯死にいたる個体が存在する。この枯死被害は、<i>Fusarium solani</i> species complex (以下FSSC)に属する菌類を主因とすることが、演者を含む共同研究により明らかにされている。FSSCは沖縄島の複数地点と石垣島のデイゴ罹病木から分離され、琉球列島の広域に分布しているものと推測された。本研究では、沖縄島、宮古島、伊良部島、石垣島においてデイゴの枝枯・胴枯病徴の患部を採取して菌類を分離し、形態及び分子分類により種を推定した。いずれの島でもFSSCが分離された。患部から高率で分離されたFSSCおよび別種の菌株について、接種試験を試みた。デイゴヒメコバチが侵入している琉球諸島においても入手容易な材料として、デイゴの葉柄への接種を試みた。付傷接種によりFSSCおよび別種の菌株の多くが病原性を示した。葉柄への接種試験の手法としての有効性をまず確認した。その上で、菌株間での病原性の強弱等に着目して検討を加えるとともに、温度条件など成木での病徴進展に関与している可能性のある因子についても検討を加えた。</p>