著者
今安 聰 打越 文雄 斉藤 義幸 山下 正朋 杉並 孝二
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.213-218, 1986 (Released:2009-02-18)
参考文献数
11

(1) 粉砕白米を用いて行う製麹では,引き込み時の水分を粒状の場合より少し高目の35~36%ぐらいにする必要がある. (2) 粉砕白米で作った麹は酵素力価が高くなり,麹歩合をその分だけ少なくすることができる. (3) 生の白米の場合でも粒状麹に比較して粉砕状麹のほうが菌体量ならびに各酵素力価ともに高い数値を示した. (4) 粉砕白米を用いて行う製麹では,麹の菌体量,各酵素活性の米の品種間における差がなくなるので,硬い米でも良質の麹が作りえた. (5) 粉砕状麹は粒状麹に比較して膠中でよく溶けた. (6) 麹を粉砕白米で作ることにより,粕歩合が約4%低くなり,さらに掛米,麹とも粉砕状にし,膠初期の汲水歩合等を勘案して醗酵させれば,粕歩合が約10%低くなって酒化率も43l/t前後向上するということがわかった.
著者
小林 伸二 雲居 秀城 宮下 修 赤尾 幸治 黒澤 つかさ 熊谷 修平 雨宮 雷太 西村 陽介
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.C0323, 2007

【はじめに】<BR>人間は重力下で姿勢を維持し、安定した動作を遂行するために身体各分節を力学的、機能解剖学的に制御している。これらのバランスが崩れ、ある局所に歪みが生じた場合、病態が発生するといわれる。整形外科疾患理学療法の臨床においては、局所の評価や治療のみではなく、姿勢や動作にアウトカムを設定し、それらを調節することで症状が軽減する症例を経験できることがある。<BR>【目的】<BR>重力下で姿勢を安定させることは、身体各固有受容器からの探索情報を処理、統合した結果である。間違った情報入力の有無を確認し補正するために、臨床において立位や坐位姿勢を観察、評価する場面は多い。しかし、その情報を単なる逃避や関節可動域制限、筋力低下として単純に捉えてしまうことが往々にして行われている。今回われわれは、立位と坐位の重心位置が、既往歴や、日常生活時の特徴的な姿勢(以下日常姿勢)にどのような関係があるか、また左右差についてはどうか、を調査し、これらが姿勢制御に及ぼす影響について検討を行なった。<BR>【対象および方法】<BR>対象は、関節の変形や拘縮が認められず、重心に変化を及ぼすような疾患をもたない当院外来患者、入院患者および職員、31例(男性16例、女性15例)平均年齢47.4歳であった。重心位置の測定は、重心動揺計(MEDICAPTEURS社製 Win-pod)を用い、前方注視で30秒間の静止端坐位と静止立位にて行い、同時に後方からデジタルカメラで撮影を行った。これを、個人の既往歴、日常姿勢と比較検討した。<BR>【結果】<BR>既往歴については、症例ごとに関連がある傾向はあったが、局所の評価や三次元的な姿勢、動作分析を必要とし、全体として明らかな関連性を見ることはできなかった。坐位では、日常姿勢と坐位重心で明らかに同一方向にあったものが20名(64.5%)であり、左右での同一性が認められ、立位では8名(25.8%)であった。重心位置の左右差は左に優位であり、立位23名(74.2%)、坐位23名(74.2%)であった。また、坐位重心での左右の偏りが、体重換算し10%以上のものは15例であり、そのうち立位では重心位置が10%以内に入ったものは13例(86.7%)であった。<BR>【考察】<BR>理学療法によって日常の姿勢をより良い方向へ変化させ、疼痛の除去や予防が可能となる。これには日常生活における習慣が大きく関与しており、特に坐位では重心位置との関係に強い傾向が認められた。重心位置は坐位、立位ともに左側が優位であった。また、坐位で偏りが強いものも立位では補正されている傾向が強く、足、膝、股関節における姿勢制御の重要性が示唆された。今後、前後や回旋との関連性、身体各部位との影響、また疾患や症状別の違いなどもより詳しく調査、検討していきたい。<BR>
著者
近畿大学 民俗学研究所 胡桃沢 勘司 網 伸也 藤井 弘章 渡辺 良正
出版者
近畿大学民俗学研究所
雑誌
民俗文化 No.29 (2017. 10) (ISSN:09162461)
巻号頁・発行日
no.29, 2017-10-31

〈目次・その他 (29: 2017)〉 表紙・口絵写真--和歌山県の民俗
著者
金 炫禛 伊勢 紀 増澤 直 福田 正浩 小川 博 安藤 元一
出版者
日本湿地学会
雑誌
湿地研究 (ISSN:21854238)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.17-27, 2019 (Released:2019-06-21)
参考文献数
49

希少動物の保全計画を策定するには広域における生息環境の情報が求められることから,地理情報システム(GIS)を用いて日本の環境におけるカワウソの生息可能性を探った.韓国におけるカワウソの痕跡に基づいた生息地情報をもとに日本の環境における本種の生息適地を類推することを目的に,韓国全域におけるポテンシャル・ハビタット・マップを作成した.日本においても広い範囲でカワウソの生息適地が抽出され,その環境は韓国のカワウソの糞がよく見つかる環境に似ていた.本研究の結果からは,日本にも韓国のカワウソの生息地と類似した環境があることが明らかになったため,日本における現在の環境でカワウソは生息できると考えられる.
著者
小竹 武 松本 優里香 塚本 あゆみ 井上 知美 石渡 俊二 草薙 みか 坂野 千賀 大里 恭章 伊藤 吉將 長井 紀章
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.11, pp.786-792, 2015-11-10 (Released:2016-11-10)
参考文献数
6

We investigated whether the component in cataplasm transmitted into hemorrhoid ointment in the combined storage of hemorrhoid ointment and non-steroidal anti-inflammatory drugs (NSAIDs) cataplasm. The NSAIDs cataplasm was used as a commercially available methyl salicylate (MS reishippu “TAIHO”, MS cataplasm) and indomethacin (Catlep®, IMC cataplasm) cataplasm. In addition, the hemorrhoid ointment was in a polyethylene container with (Neriproct® ointment, DFV-L ointment) or without aluminum laminate (Posterisan® forte, HC ointment). As for the methyl salicylate, 5.68 mg / pieces in HC ointment were detected at 40 weeks of combined storage with MS cataplasm. The methyl salicylate concentration in DFV-L ointment was lower than that in HC ointment under the same conditions. On the other hand, no contamination of indomethacin in HC and DFV-L ointment was observed in the combined storage with IMC cataplasm. These results show that the methyl salicylate in cataplasm passed the polyethylene container, and provide significant information on the risk of contamination by the combined storage of cataplasm and hemorrhoid ointment.
著者
鈴木 法臣 守本 倫子 五島 史行
出版者
一般社団法人 日本めまい平衡医学会
雑誌
Equilibrium Research (ISSN:03855716)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.89-93, 2015-04-30 (Released:2015-06-01)
参考文献数
9

Pediatric subjects with vertigo are rare in Japan. Benign paroxysmal vertigo (BPV) is a frequent disease similar to orthostatic hypotension. We report herein on a case of BPV in which psychological dizziness had previously been diagnosed. A 5-year-old girl visited our hospital complaining of repeated attacks of vertigo for 3 years. She had intermittent strabismus, and the result of her stabilometry showed functional symptoms, so the doctor who had treated her previously at the age of 4 diagnosed psychological dizziness with visual influence, and observation was started. Her symptoms persisted for 12 months however, and she visited our hospital. Her equilibrium and neurological status were examined. And we asked her family about the situation at the time of attack in detail. Based on the interview, we discovered that she felt fear at the time of attacks, and her family had a history of migraines. Based on our finding, we diagnosed her as having BPV. Vestibular rehabilitation on its own effected a cure. History taking is so important in the diagnosis of BPV, so that we may fully understand the diagnostic criteria prior to examination of pediatric subjects with vertigo.

1 0 0 0 OA 子規遺稿

著者
正岡子規 著
出版者
俳書堂
巻号頁・発行日
vol.第3編 子規小説集, 1909
著者
三浦 雄一郎 福島 秀晃 森原 徹 鈴木 俊明
出版者
日本腰痛学会
雑誌
日本腰痛学会雑誌 (ISSN:13459074)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.122-128, 2008 (Released:2008-12-22)
参考文献数
6
被引用文献数
2 1

腰椎椎間板ヘルニアと診断された慢性腰痛症患者2名に対し,歩行時における体幹筋の筋活動について表面筋電図を測定し,健常群と比較,検討した.症例Aでは内腹斜筋の筋活動は歩行周期を通して平坦化していた.また,腰背筋筋活動パターンは立脚期中期,遊脚期にも筋活動が増加し,多相性を呈した.常時腰背筋の筋緊張を高めることが脊柱可動性低下の一要因であると考えられた.症例Bにおける歩行時の腰背筋筋活動パターンは左側多裂筋,最長筋,腸肋筋ともに多相性パタ-ンを呈した.運動療法後は最長筋,腸肋筋,多裂筋ともに健常群のパターンに類似したが,多裂筋は立脚期中期および遊脚期中期の筋活動増大が残存した.ラセーグ徴候陽性,SLR角に変化を認めなかったことからブレーキング作用が生じたと考えられる.慢性腰痛症患者に対して表面筋電図を用いて問題点を明確にすることが運動療法の内容,治療効果判定を判断するために重要であると考える.
著者
吉田 昌弘 吉田 真 盛 智子
出版者
北翔大学
雑誌
北翔大学生涯スポーツ学部研究紀要 = Bulletin of Hokusho University School of Lifelong Sport (ISSN:18849563)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.63-69, 2011

一般的にコアと呼ばれている腹横筋,内・外腹斜筋などの腹筋群は,収縮により腹圧を高める機能を有することから,スポーツ動作における体幹の安定性に関して重要な役割を担っていると言われている。コアの機能が重要視される一方で,これらの機能を定量的に評価する手法は十分に確立されていない。本研究では,コアの機能を定量的に評価する手法を確立することを目的に,腹部引き込み動作であるDrawin による腹横筋および内・外腹斜筋の筋厚変化を超音波画像診断装置を用いて調べた。男子大学生48名を対象に,安静時およびDrawin における内・外腹斜筋の筋厚を超音波画像上で計測した結果,腹横筋と内腹斜筋では,安静時と比較してDrawin 時に有意な筋厚の増大が認められた。本研究結果から,腹横筋と内腹斜筋は腹圧を高める動作であるDrawin において形態が変化し,この形態変化は超音波画像上で筋厚を計測することにより定量的な評価ができることが示唆された。
著者
櫻井 利佳
出版者
東洋大学東洋学研究所
雑誌
東洋学研究 (ISSN:02889560)
巻号頁・発行日
no.47, pp.55-72, 2010
著者
山内 翔太 矢嶋 巌
出版者
水資源・環境学会
雑誌
水資源・環境研究 (ISSN:09138277)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.1-6, 2013 (Released:2013-11-01)
参考文献数
18
被引用文献数
2 1

日本最大の広さを有する琵琶湖を事例に、釣りや駆除事業との関係性から、琵琶湖における外来魚問題と地域社会のあり方について、地域住民と釣り人への聞き取りをもとに考察し、琵琶湖を健全な状態へ近づけるための方策について考えた。琵琶湖で外来魚の根絶は不可能と考えられるが、数を抑制するためにも外来魚駆除を継続し、再び在来種が生息できるようにするための環境保全活動を行うことが重要である。また、釣り人の協力を促すには、外来魚回収いけすの増設や、新たなルール作りが有効であると考えられる。外来魚駆除の取り組みが、今後も地域住民とかかわる形で継続的に行われれば、身近な存在である琵琶湖の自然環境と生態系を地域資産と捉えることができ、琵琶湖からの水辺離れを食い止め、生態系や水辺環境が豊かであった琵琶湖の元の状態に近づけることが可能である。
著者
今村 洋一
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.43.3, pp.193-198, 2008-10-25 (Released:2017-01-01)
参考文献数
7

本研究では、『旧軍港市国有財産処理審議会決定事項総覧』を用い、旧軍港市である横須賀、呉、佐世保、舞鶴における、1950~1976年度までの旧軍用地の転用実態を明らかにしている。旧軍港市4都市では、旧軍用地を如何に活用するかが都市づくりの大きなテーマとなっていた。4都市で合計1,784haという大量の旧軍用地が、工場、公園、学校、水道、公営住宅などへと転用されることとなった。処分上の特徴としては、1970年代前半まで継続的に旧軍用地の転用がなされていたこと、旧軍用地の利用者は民間が過半を占めたこと、旧軍用地の処分方法として民間には譲渡が、公共団体には譲与が実施されたこと、従前用途を継承した旧軍用地の転用が見られたことが挙げられる。
著者
織田 慎一郎 高島 健太郎 西本 一志
出版者
情報処理学会
雑誌
インタラクション2019論文集
巻号頁・発行日
vol.3P-72, pp.954-957, 2019-02-27

多様な人材間でのコラボレーションを促すため,マッチング,交流イベントの開催やコワーキングスペースなどの場所作りが積極的に行われている.しかし,初対面の者同士でコミュニケーションを開始,継続することは容易ではなく,効果的な自己開示が求められる.本研究では,これまで検討がされていなかった,嫌いなものや苦手なものといったネガティブな情報に着目し,その共有によるコミュニケーションの触発効果について調査する.予備実験の結果,シングルケースではあるが,ネガティブ情報の提示により,コミュニケーションが開始されることが確認された.また,ポジティブ情報と比べ,ネガティブ情報では好き/嫌いの程度と理由の個人差を意識せず済むという意見が得られた.