著者
木村 博
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.11-19, 1998-07-01 (Released:2010-03-12)
参考文献数
17

ラットにおけるあくび行動発現に対する甘麦大棗湯の作用に検討を加えた。コリンエステラーゼ阻害薬フィゾスチグミン0.05~0.1mg/kg, コリン性受容体作動薬ピロカルピン1~2mg/kgあるいはドパミン性受容体作動薬タリペキソール0.02mg/kgの皮下投与により, あくび行動が発現した。これらのあくび行動の発現は, 甘麦大棗湯250~1000mg/kgの経口投与によって用量に依存して抑制されたが, またアドレナリン性α-2受容体遮断薬のラウォルシン0.5mg/kg, ヨヒンビン2.5mg/kgあるいはムスカリン受容体遮断薬のスコポラミン0.5mg/kgの皮下投与によっても抑制された。今回の実験結果により, 甘麦大棗湯はあくび行動の発現に対して抑制作用を有し, この抑制には主経路のドパミン・コリン性神経の抑制ならびに中枢アドレナリン性神経を介する間接的な抑制機構の関与が考えられる。
著者
木村 博
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.53-57, 1997-07-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
15
被引用文献数
1

甘麦大棗湯が, ラットにおけるあくび行動の発現に対し影響を与えるか否かについて検討を加えた。ドパミンD-2受容体作動薬タリペキソール5~100μg/kgを皮下投与して直後より1時間のあくび行動を観察したところ, 25μg/kg投与群で最大のあくび行動の発現が見られた。ついで甘麦大棗湯の25~250mg/kgを経口摂取させ, その30分後にタリペキソールを最大効果が見られた用量で投与し, あくび行動誘発に対する効果を観察した。タリペキソール誘発あくび行動の発現は, 甘麦大棗湯の前投与により有意に抑制された。この結果より, 甘麦大棗湯は, 中枢性ドパミン性神経促進に基づくあくび行動の誘発に対して抑制作用を有することが示された。
著者
山田 均
出版者
[出版者不明]
巻号頁・発行日
2004

制度:新 ; 文部省報告番号:乙1917号 ; 学位の種類:博士(文学) ; 授与年月日:2005-01-18 ; 早大学位記番号:新3891
著者
須藤 竜大朗 河原 大 落合 陽 青木 謙治 稲山 正弘
出版者
一般社団法人 日本木材学会
雑誌
木材学会誌 (ISSN:00214795)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.128-139, 2020-07-25 (Released:2020-07-30)
参考文献数
14

釘接合部の耐力の推定式にはヨーロッパ型降伏理論(EYT)によるものと,釘の頭部径をパラメータにしたものがある。また降伏後の荷重の上昇について理論的に考察した例は少ない。本報ではMDFの釘接合部を対象に,降伏耐力と最大耐力の推定を試みた。釘頭がMDFに回転しながらめり込むことで発生するモーメントを考慮したEYT式を降伏耐力の推定に用いた。またロープ効果を考慮したビス接合部の最大耐力の推定式を本研究に適用した。その結果釘頭の回転めり込みモーメントを考慮しEYT式を改良することで推定精度の向上がみられた。またビス接合部の設計式でも釘接合部のロープ効果を推定できる可能性が示された。一方釘の塑性ヒンジより先の支圧耐力が降伏耐力の推定値と実験値の誤差へ影響している可能性が示唆された。また最大耐力時の釘引抜耐力を実際より低く,釘頭貫通力を実際より高く推定している可能性も見受けられた。
著者
森田 健 宮崎 良文
出版者
日本生理人類学会
雑誌
日本生理人類学会誌 (ISSN:13423215)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.31-33, 1998-02-25 (Released:2017-07-28)
参考文献数
13
被引用文献数
1

The authors compiled the definitions of health so far given by WHO and other organs and researchers, and reviewed the concept of health in terms of physiological anthropology. The authors reached the conclusion that health is a state brought about by favorable relation between the environment and humans, as well as a state in which each individual can manifest innate abilities sufficiently. A more healthy environment thus needs to be created.
著者
清行 緒方
出版者
日本医科大学医学会
雑誌
日本医科大学雑誌 (ISSN:00480444)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.17-26, 1987-02-15 (Released:2009-12-04)
参考文献数
30

A new unstable hemoglobin variant, Hb Sendagi (β42Phe→Val), was found in a Japanese male and his daughter both suffering from moderate hemolytic anemia. The structure of the variant was determined and the functional properties were studied. The results obtained are as follows.1) The variant was electrophoretically silent, but the abnormal β-chain was found to emerge ahead of the normal, 6-chain when the hemolysates from the patients were applied to a reverse-phase HPLC.2) The tryptic peptides were prepared with the variant β-chain enriched by isopropanol precipitation and column chromatography on CM-cellulose. The abnormal peptide, βTx-5, was separated by fingerprint mapping or by reverse-phase HPLC of the tryptic peptides.3) Sequence analyses of the abnormal peptide revealed that the phenylalanine in position 42 (CD1) of the β-chain was replaced by valine. The variant was named as Hb Sendagi according to the place where it was discovered.4) Hb Sendagi showed a decreased stability upon heat denaturation and isopropanol precipitation tests, and was oxidized faster than Hb A by atmospheric oxygen in the presence and absence of sodium benzoate.5) The oxygen equilibrium curves of the hemolysates from the propositus also indicated that Hb Sendagi had a lowered oxygen affinity and a normal response to 2, 3-diphosphoglycerate.
著者
中村 佳子 田原 英一 三潴 忠道 木村 豪雄
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.669-674, 2011 (Released:2011-12-27)
参考文献数
21

漢方治療が奏効した再燃性胆管炎の1例を報告した。症例は31歳,女性。先天性胆管拡張症にて肝部分切除と胆管空腸吻合手術を受けたが,29歳頃から頻回に胆管炎を繰り返し,抗生剤による治療を受けていた。患者は挙児希望で,抗生剤の使用量を減らす為に漢方治療を希望し,当科を受診した。茵蔯蒿湯を基本処方とし大柴胡湯などで随証治療を行い,抗生剤の使用量を顕著に減量でき,妊娠出産に到った。妊娠中の経過は良好であった。胆道再建術後の再燃性胆管炎に対し,漢方治療は試みられてよいと考えられた。
著者
藤原 浩幸 得田 修 渡邉 啓二 大野 友則
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集C編 (ISSN:18848354)
巻号頁・発行日
vol.79, no.807, pp.4153-4163, 2013 (Released:2013-11-25)
参考文献数
6
被引用文献数
1 1

Armored fighting vehicles with Mine Resistant Ambush Protection (MRAP) designed to counter Improvised Explosive Devices (IEDs) have attracted special interest recently. This paper describes dynamic response of a shock absorption structure to blast load. Mathematical models have been developed to predict the effects of blast load on seat-passenger systems. A blast test using scale models was performed to evaluate the blast forces acting on the vehicle and the human body. By comparing the results of mathematical models with the results of the blast test, a simple vehicle acceleration model was derived. As a result, mathematical models were improved and come to attain higher accuracy.
出版者
映画世界社
巻号頁・発行日
1951
著者
大川原 舞 山口 裕之 上田 幹也 前田 高宏
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.195-199, 2018 (Released:2018-05-25)
参考文献数
8

症例1 は39 歳男性,作業中に突然の後頸部痛で発症した右椎骨動脈解離.約1 カ月間で疼痛・解離ともに軽快したが,6 カ月後に再度後頭部痛があり右椎骨動脈解離部が紡錘状に拡張しており,急激に増大していくため破裂予防のために親動脈閉塞術を行った.症例2 は48 歳男性.突然発症の左耳の奥の痛みあり,左椎骨動脈に紡錘状拡張が認められ解離性動脈瘤と診断し降圧治療を行った.1 度は疼痛が改善したが,左耳の奥の痛みが8 カ月にわたり断続的に繰り返され,徐々に動脈瘤の増大が認められたためステント併用動脈瘤塞栓術を行った.椎骨動脈解離に伴う疼痛が慢性期にも持続する場合は解離性動脈瘤の増大を示唆している可能性があり,厳重な経過観察を要すると思われた.
著者
阿部 広明 嶋田 透 三田 和英
出版者
東京農工大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2005

カイコの性染色体型は雄はZZ,雌はZWで、W染色体が1本でもあれば、その個体(細胞)は雌になる。カイコのW染色体上に存在していると考えられる雌決定遺伝子(Fem)をクローニングすることを目的とし、W染色体の分子生物学的ならびに遺伝学的解析を行った。W染色体は遺伝的組み換えを起こさないため、これまでに得られている分子マーカーのマッピングは不可能であった。しかしW染色体に放射線を照射して作製したW染色体の変異体は、いろいろな程度で欠落が生じていることが明らかとなり、deletionマッピングが可能となった。これらの変異体を利用したマッピングにより、雌決定遺伝子はW染色体の中央付近に座位していると考えられた。また、雌の繭だけ色が黄色くなる「限性黄色繭W染色体」では、通常のW染色体で12個あるDNAマーカーのうち、わずか1個(W-Rikishi RAPD)を保有するだけであった。すなわち計算上ではW染色体が1/12の長さにまで削られていると考えられる。このマーカーを出発点として、BACライブラリーよりW染色体特異的クローンを得てDNA塩基配列の解析を行った。その配列の特徴は、これまでに得られているW染色体の塩基配列と同様に、レトロトランスポゾンが複雑に入り込んだ「入れ子」構造であり、解析そのものが大変困難である。しかしごく最近、カイコ(雄を使用)の大規模ゲノム解析が行われ、レトロトランスポゾンの詳しいデータも得られるようになった。これらのデータを使用することにより、以前よりW染色体の解析は効率的に行えるようになった。現在までのところ、雌決定遺伝子と考えられる塩基配列の特定には至っていないが、その存在領域を確実に絞り込むことには成功し、現在も絞り込まれた領域を解析している。
著者
下間 一頼
出版者
真宗連合学会
雑誌
眞宗研究 (ISSN:02880911)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.201-213, 2006-01
著者
森田 茂紀
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.554-557, 2000-12-05 (Released:2008-02-14)
参考文献数
46
著者
杉山 幹雄
出版者
日本海水学会
雑誌
日本塩学会誌 (ISSN:03695646)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.128-136, 1961

(1) 各種無機塩類の単独飽和溶液の組成および蒸気圧に関する既存のデータについて調査した結果, 一般的な関係が存在することを知り, この知見に基ずいて混合飽和溶液の組成と蒸気圧に関する数ケの仮定を立てて検討した. 実験は湿度を測定する間接的な方法であり, 簡便な装置を考案して用いた. 実験誤差は全データについて±2%以内である.<BR>(2) 各種無機塩類の単独飽和溶液における蒸気圧降下ΔPn (mmHg, 脚符号nは塩の種類を示す. 以下同様) とイオン濃度ZnCn (Cnはモル濃度mol/1,000 molH<SUB>2</SUB>O, Znは1分子当りのイオン数) の間には温度をt (℃) とすると, 多少の例外はあるが次の関係がある.<BR>ΔPn=b・10<SUP>a<I>Z</I></SUP><SUB><I>n</I></SUB>σ<SUB><I>n</I></SUB><BR>a=-0.0000320t+0.00565<BR>b=0.0130・10<SUP>0.00734<I>t</I></SUP>・Ps<BR>ただし, Psはt℃における飽和蒸気圧 (mmHg) である.<BR>(3) 無機塩類の混合飽和溶液の蒸気圧降下についてはダルトンの分圧の法則に類似した理論が成立する. すなわち, 蒸気圧降下ΔP (mmHg) は各塩の蒸気圧に関する分降下ΔP'n (mmHg) の和に等しく, 式で表わすと<BR>ΔP=ΣΔP'n<BR>である. ただし, 上式において<BR>ΔP'n=C'n・ΔNn<BR>であつて, C'nは混合飽和溶液中における各塩のモル濃度であり, ΔNnは各塩の蒸気圧に関する分子降下であつて下式により求められる.<BR>ΔNn=ΔPn/Cn<BR>ΔPnのtに対する変化は前述のとおりであるから, ΔNn, ΔP'n, ΔPのtに対する変化も全く同様である.<BR>(4) 食塩その他の無機塩類の結晶において不純分がその吸放湿性におよぼす影響は, 従来定性的にばくぜんと表わされていたにすぎないが, これを各塩の蒸気圧に関する分子降下という形で定量的に表現することができた. 希薄な水溶液においては蒸気圧降下は溶質の種類に関係なく濃度により定まるが, 飽和溶液においては各塩に特有な蒸気圧降下作用, すなわち分子降下がある. これはイオンの水和現象に関する考察により解釈することができる.<BR>(5) 食塩の表面は食塩を液底体の一部とする食塩と不純分との混合飽和溶液の薄膜で覆われていると見なされるので, 本報の理論により食塩表面の呈する蒸気圧, 吸放湿速度等は不純分組成と水分から求められ, また外囲の湿度変化に応じた食塩の溶解析出量および吸放湿量等を不純分組成から算出することもできる.<BR>本報の理論は食塩以外の無機塩類の結晶に対しても適用できることは明らかである. 本報の理論による固結現象の定量的解析は続報において行なう予定である.

1 0 0 0 OA 砂に書く

著者
与謝野晶子 著
出版者
アルス
巻号頁・発行日
1925
著者
原 哲也 穐山 大治 戸坂 真也 趙 成三 澄川 耕二
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.24, no.9, pp.531-534, 2004 (Released:2005-05-27)
参考文献数
9

術野の消毒に用いた10%ポビドンヨードによる接触性皮膚炎に対する損害賠償調停申立事件を経験した. 全身麻酔下の手術のために術野を10%ポビドンヨードで消毒し, 拭き取りは行わずに手術を開始した. 終刀後, 右鼠径部に線状小発赤を発見した. 発赤部に対し治療を行うも, 瘢痕を形成し固定した. 退院後, 国と主治医を相手に右鼠径部の病変に対する損害賠償が請求され, 調停の結果, 賠償金の支払いにより和解した. 液状のポビドンヨードとの長時間接触により接触性皮膚炎をきたす可能性がある. 比較的まれな合併症であっても医事紛争に至る例もあり, 日常的な医療行為にも細心の注意が必要である.