著者
野口 裕司 金子 直之
出版者
日本救急医学会関東地方会
雑誌
日本救急医学会関東地方会雑誌 (ISSN:0287301X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.234-237, 2019

<p>はじめに : 除草剤であるパラコート (PQ) は, かつて自殺企図や殺人目的の使用が社会問題になり, 本邦では1999年に生産が中止された。しかし古くから所持している人は少なくなく, また現在もPQ・ジクワット合剤 (PGL) が販売されている。今回我々は3年間で3例の自殺企図を経験した。症例1 : 53歳男性。PGLを飲用し6病日に受診。急性腎不全と肺線維化を認め持続的血液濾過透析 (CHDF) を導入。9病日にCHDFは離脱したが肺線維症が増悪し17病日に死亡。症例2 : 86歳男性。青い液体を吐いて痙攣しているのを家人が発見。救急隊接触時に心肺停止状態。警察の調査でPGLが発見され自殺と断定。症例3 : 78歳男性。自室で苦しんでいるところを家人が発見。救急隊がPGLを発見し搬送。来院時ショック状態で6時間後に死亡。おわりに : 現在市販のPGLの致死率は依然高く, 諸外国では既に厳重に規制されており, 本邦においてもより厳重な行政介入が望まれる。</p>
著者
本庄 武
出版者
日本犯罪社会学会
雑誌
犯罪社会学研究 (ISSN:0386460X)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.33-49, 2017 (Released:2018-10-31)

少年の刑事責任の低減を示す脳科学の知見は,アメリカの判例に積極的に取り入れられ,少年に対 する死刑の廃止や仮釈放のない終身刑の大幅な制限をもたらしている.この背景には,法学者と科学 者の活発な共同研究,大規模な共同研究を支援する体制,経験科学の知見を司法に導入することに対 する裁判所の寛容な姿勢があると考えられる.脳科学の知見は,現在各州で少年に対する厳罰化を抑 制する立法を後押ししており,将来的に,少年に対する刑事処分全体ひいては少年司法全体の改革を もたらす可能性がある.脳科学は,少年司法の基盤をパレンス・パトリエに基づく慈悲の精神から, 意思決定能力の未成熟さという科学的な知見に移行させ,少年犯罪者を成人から区別して取り扱うと いう発想を強固にする.重大犯罪においても,少年の刑事責任の低減に見合った処分のあり方が求め られる.現在までのところ,脳科学は青年期に関する発達心理学の知見を補強するという慎重な用い られ方をしており,その限りで弊害は乏しい.日本の少年司法も脳科学の知見を取り入れるべきであ ろう.
著者
室田 誠逸 森田 育男
出版者
一般社団法人 日本動脈硬化学会
雑誌
動脈硬化 (ISSN:03862682)
巻号頁・発行日
vol.16, no.7, pp.925-928, 1988-12-01 (Released:2011-09-21)
参考文献数
2

For the simple examination of the change in vascular permeability response of endothelial cells to various stimuli, we attempted to establish an in vitro experimental model using Boyden's chamber. This chamber has both upper and lower compartments with a partition filter between them. We succeeded in obtaining a monolayer of vascular endothelial cells on the surface of the filter by using a gelatin coated nucleopore filter. Both upper and lower compartments were filled with culture medium. When bovine serum albumin was added only to the upper compartment, the albumin was time-dependently leaked from the upper compartment to the lower compartment though the pores of the filter. The leakage was inhibited greatly when the surface of the filter was covered with entothelial cells.By monitoring the amount of albumin leaked into the lower compartment after the addition of various stimuli, such as histamine, serotonin, bradykinin, PAF (Platelet activating factor) etc., to the upper compartment, we could judge which stimulus could better influence vascular permeability. PAF was found to be the most active stimulus in increasing vascular permeability.During the course of the investigation, we found that such substances as having cytotoxic activity, i.e., lipid peroxides, antiserum in the presence of the complement etc., could also increase vascular permeability. Therefore, by measuring cell viability at the same time, this model can be used as an in vitro assay system for measuring vascular endothelial cell injury. This model may also be a useful in vitro assay system for the evaluation of cytoprotective drugs. By using this system we found that 15-HPETE (15-hydroxyeicosatetraenoic acid), one of the lipoxygenase metabolites of arachidonic acid, has a strong cytolitic activity on vascular endothelial cells and that MCI-186 (3-methyl-1-phenyl-2-pyrazolin-5-one) could prevent the cells from such injury.
著者
山田 健太郎 成冨 博章
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.90, no.4, pp.607-612, 2001-04-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
6

コハク酸スマトリプタンはセロトニン受容体の選択的なアゴニストで, 1990年代から海外で広く使用されるようになった片頭痛治療薬である.我が国では2000年1月から皮下注用製剤の使用が認可されている.本剤は,前駆症状期,前兆期に投与して頭痛発現を阻止しようとする従来の治療薬とは大きく異なり,頭痛増強期に投与して強力な頭痛抑制効果が得られる.作用機序に関する研究は片頭痛の病態解明に大きく貢献している.
著者
上野 昌之
出版者
埼玉学園大学
雑誌
埼玉学園大学紀要. 人間学部篇 (ISSN:13470515)
巻号頁・発行日
no.12, pp.231-243, 2012-12

消滅の危機に瀕する言語といわれるアイヌ語は、近年アイヌ復興の動きの中でニーズも増えてはおり、学習者も増加はしている。しかし、アイヌ語の復興再生を想定した時、残念ながら現状では目に見えた成果が上がっているとは言い難い。 そこで本論では、アイヌ民族の人々にとってアイヌ語とはどのような意味をもつ言語であるのかという視点から、彼らのアイヌ語への意識を探るとともに、近年の北海道の動向を踏まえて、アイヌ語学習の可能性を求めていくことにする。そこではアイヌ語を民族言語としてのみ考えるのではなく、日本の文化的財産としてとらえる多文化教育的な視点も考慮していく。そして、アイヌ語を日本における先住民族の言語としてとらえたとき、どのように位置づけ発展させていったらよいのか、近年採択された先住民族の権利に関する国際連合宣言を踏まえて、先住民族の言語権という視点からも考察していきたい。
著者
佐藤 宏昭 中村 一 本庄 巖 藤田 明彦 高橋 晴雄 林 正彦
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.81, no.9, pp.1383-1387, 1988-09-01 (Released:2011-11-04)
参考文献数
10
被引用文献数
2 7

The clinical usefulness of Tsumura-Saireito, which was judged by tympanoaudiometric tests, was compared with that of cepharanthin in 64 ears of 42 children with otitis media with effusion. The trial was a randomized controlled study.The efficacy rate for the 32 ears treated with Tsumura-Saireito was 43.8% and that for the 32 ears treated with Cepharanthin was 18.8%; the difference was significant (p<0.05). No side effects were observed in either group.These results indicate that Tsumura-Saireito is more effective in children with otitis media with effusion than Cepharanthin.
著者
高下 裕章 芦 寿一郎 朴 進午 宮川 歩夢 矢部 優
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2020
巻号頁・発行日
2020-03-13

浅部プレート境界断層領域は防災上重要な研究の新領域として注目されている。プレート沈み込み帯では、沈み込みに伴いプレート境界面が固着している領域で歪が蓄積され、それが一気にずれて歪を解放、境界面が滑ることで地震が発生する。そのため、固着が強い地震発生帯と呼ばれる深部領域が、沈み込み帯の中では主な研究対象であった。一方、固着が弱く非地震性の定常すべり領域と考えられてきた浅部領域は、歪を多く蓄積せず、巨大なすべりを一度に開放することがないとされてきたため、これまで注目される機会が少なかった。2011年の東北地方太平洋沖地震では、海溝軸付近で最大約60 mの巨大な変位が地震時に発生したことが明らかになり、浅部プレート境界断層の破壊に関する初の観測事例となった。この破壊によって、巨大な津波が東北地方沿岸部の広い地域に甚大な被害をもたらされた。科学掘削の結果から浅部領域における断層部は摩擦の低い物質で構成されていることが明らかになったが、それがその領域だけなのか、もしくは日本海溝全体が同様の特徴を持つのかはわかっていないそこで本研究では、浅部プレート境界断層の摩擦係数の詳細な分布を明らかにし、上記の課題を解決するために、まず既存の研究手法Critical taper model (CTM)を改善し、新たな解析手法を開発した。CTMは沈み込み帯のウェッジにおいて力学的な条件を説明するのに重要な手法であり、ウェッジ形状を示す斜面傾斜角αとデコルマ傾斜角βから、プレート境界断層の摩擦係数を計算することができる。ただし、摩擦係数分布を得て、沈み込み帯の力学条件を議論するには、βの値の取り扱いについて大きな注意が必要であった。ベータは基本的に反射法地震探査断面から得るものであるが、その深度処理がβの値に大きな影響を与えることから数kmのオーダーであればPSDMのように高精度な深度処理が行われたものを、より広範囲を対象とした場合は屈折法を組み合わせ正確な速度構造を得たものでなければ、比較という点で信頼性を保つことが難しかった。本研究では、CTMを精査したところ、βがプレート境界断層の摩擦係数の算出にほとんど影響を与えないことが明らかになった。つまり、摩擦は斜面傾斜角αのパラメータのみで計算できることが明らかになった。αはグローバルに存在する水深測量データからも得ることができる。本手法を改めて日本海溝で得られている水深測量データに適用し、浅部プレート境界断層における高密度な摩擦分布を適用したところ、2011年東北沖地震の地震時すべり分布が低摩擦セグメントに対応することを示した。つまり、地震時の滑りが浅部プレート境界断層の浅い部分に伝播した際に、低摩擦領域にそのすべりを拡大し、巨大な津波につながった可能性を考えた。また、現在グローバルに摩擦分布を算出する手法を開発しており、その一部を紹介する。
著者
辻 啓介 市川 富夫 田辺 伸和 阿部 士郎 樽井 庄一 中川 靖枝
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.66, no.8, pp.1241-1246, 1992-08-01 (Released:2008-11-21)
参考文献数
19
被引用文献数
29 34

食塩を1%含む半合成飼料に黄麹または紅麹を添加し,高血圧自然発症ラット(SHR)に3週間与え, SHRの血圧とミネラル代謝に及ぼす影響を検討した. 第1の実験では,1%塩化ナトリウム含有飼料に麹を10%添加した.その結果,黄麹群,紅麹群ともに血圧降下作用が認められ,とくに紅麹群では29mmHgもの低下がみられた.市販の固形飼料に切り替えた後,1週間後でも紅麹群では対照群に比べ有意に低い値であった.血圧に関与するミネラルの出納にはあまり変化はみられなかった.また,血漿のコレステロール,中性脂肪,グルコースレベルについてもほとんど変化はなかった. 第2の実験では,黄麹を5%,紅麹を5%または3%に減少して効果を判定したが,SHRの急激な血圧上昇がとくに紅麹で顕著に抑制された.血漿中のNa量,K量,Na/K比を調べたが,それらの注目すべき変動は認められなかった. 以上のことより,麹,とくに紅麹は,すぐれた血圧降下作用があり,その作用機序は,ミネラル代謝の変動によるものではないことが明らかになった.
著者
安藤 靖彦
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.34, no.11, pp.1-11, 1985-11-10 (Released:2017-08-01)

萩原朔太郎の創作した詩群「青猫以後」は詩集に準じて扱われるべき独自性をもっている。「青猫以後」は前後二期に分けて取扱える。そして、前後二期のそれぞれが、ヴィジョンを意識した作品を軸に構成されている。そのヴィジョンは作者が幼年時代に見たパノラマ館の風景に示唆されて構想されたものである。その幻想風景を虚無的な作者の現実意識によって反転させ、作品化したところに「青猫以後」の独自な世界が成立した。特に、その現実意識は、後期に至って、一人称「わたし」「おれ」が作中に示されることで露骨になっている。
著者
池島 徳大
出版者
奈良教育大学大学院教育学研究科専門職課程教職開発専攻
雑誌
奈良教育大学教職大学院研究紀要「学校教育実践研究」 (ISSN:18836585)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.25-37, 2009-03-31

本研究においては、解決が困難とされるいじめ問題について、学校教育臨床*1の視点から、いじめへの介入視点を提示することにある。具体的には、いじめの語源及び文部省(文科省)がかつて提示したいじめの定義等を見直したうえで、いじめによって受ける心的外傷を学校教育臨床の視点から整理し、いじめの介入視点を提示するものである。いじめの不可視性、いじめ確定の困難性から、いじめがもたらす心的外傷による影響は非常に高く、その回復の過程に「安心」「表現」「絆」の3段階が必要であることが、諸家の研究から示唆された。
著者
蒋 博文
出版者
日本情報経営学会
雑誌
日本情報経営学会誌 (ISSN:18822614)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.110-124, 2018 (Released:2020-07-13)

So far, few study discusses the difference among the concepts of “user Co-Creation field,” which leads to a concepts confusion. We are motivated to deeply discussed the concepts of this field (e.g., Peer Production, Prosumer,, Collective Intelligence, etc.). In detail, we categorize the concepts in four types from the usage perspective. We then explain the backgrounds and the contexts of concepts in order to clarify their relationships. Besides, we investigate the negative outcomes bear from the concepts confusion and provide some suggestions for the future study. This study adds to the literature by showing an alternative way to clarify the concepts of “user Co-Creation field”.

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出版者
情報局
巻号頁・発行日
no.82, 1939-09

1 0 0 0 OA 日本大辞書

著者
山田美妙 編
出版者
日本大辞書発行所
巻号頁・発行日
vol.第1巻 あ, 1893

1 0 0 0 OA 小波洋行土産

著者
巌谷小波 著
出版者
博文館
巻号頁・発行日
vol.下巻, 1903