著者
鶴谷 千春
出版者
The Japan Second Language Association
雑誌
Second Language (ISSN:1347278X)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.27-47, 2004-05-01 (Released:2012-09-24)
参考文献数
34

本研究は日本語の第一、第二言語習得過程において、母語の音韻構造がどう作用するかを拗音の習得に焦点をあて、考察するものである。日本語には拗音と呼ばれる口蓋化子音があるが、それを含む特殊モーラは、日本語がモーラ言語であるという制約のため、CVモーラと同じ時間長であることが要求される。しかし、英語を母語とする日本語学習者は、子音、母音の時間長の誤りに加え、口蓋化子音を類似の子音連続 “Cj” とみなし、その典型的な誤用である母音の挿入を行う例がよく見うけられる。 “Cj” 内の/j/が音韻的に子音と母音のどちらに属するかは、日本語また英語においても議論が揺れており、両言語話者の拗音習得のストラテジーはその解明の一端をになうものと考えられる。“Cj” と口蓋化子音の音声学的な類似性を考慮して、子音連続の習得過程を参考に考察をすすめた。一般的に幼児は子音連続の発音のむずかしさを子音の一つを省略することによって避ける傾向がある。幼児が子音連続を簡略化する方法は様々な観点から考えられているが、ソノリティ (聞こえ度) が最もよく言及される要因だと言える。音節の初めでは、子音から母音への聞こえ度の上昇が最も高くなるように子音の省略が行われることから、 “Cj” の簡略化及びその他の誤りのパターンを音韻的構造と関係づけ、観察した。結果は第一言語学習者 (日本人幼児) と第二言語学習者 (英語話者) の拗音の習得過程に明らかな相違が見られた。モーラ時間の制約のため、日本人幼児は母音挿入を行わないが、英語話者には母音挿入をはじめとするモーラ時間をこえた間違いがみられた。さらに、省略する子音の選択にも違いが見られ、両言語における/j/の音韻的位置を示唆する結果が得られた。また、日本人幼児は、拗音の発音にたけているという概念 (幼児語) は、破擦音/t∫/, 摩擦音/∫/の早期習得に負うものが多いことがわかった。
著者
簗瀬 範彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D2(土木史) (ISSN:21856532)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.53-65, 2014 (Released:2014-11-20)
参考文献数
81

我が国の代表的な都市計画ツールである土地区画整理の起源は1899年制定の「耕地整理法」から始まり,関東大震災と戦災の復興事業の経験を踏まえ,現行の「土地区画整理法」として完成を見た.その後の現場での技術的な工夫の積み上げや1975年制定の「大都市地域における住宅及び住宅地の供給に関する特別措置法」の諸規定を踏まえ,1995年制定の「被災市街地復興特別措置法」として,災害復興への制度的な対応能力を発展させて来た.本研究は土地区画整理制度の骨格をなす「換地処分」を中心に制度の形成過程を体系的に整理,考察したものである. また,制度前史として,江戸期の慣行が耕地整理法に与えた影響,先行法とされる「土地区画改良ニ係ル件」の再評価,法令用語の定着過程等において,従来の見解に幾つかの修正を求めることができたものと考える.

1 0 0 0 OA 10. 録画機器

著者
佐藤 文彦
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン (ISSN:18849644)
巻号頁・発行日
vol.14, no.6, pp.274-278, 1960-06-01 (Released:2011-08-17)
参考文献数
32
著者
中田 久保 手口 宏子 識名 顕司 穂坂 賢
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.86, no.2, pp.133-136, 1991-02-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

Aroma compounds in Awamori (one of Japanese traditional distilled spirits produced in Okinawa district) were analyzed and compared on samples distilled in 1989 and ones distilled in 1960-4965. In 12 samples distilled in 1989, the ratio of i-amyl alcohol/i-butyl alcohol (A/B) was lower than 1.99 (average 1.92) for 6 samples, and higher than 2.01 (average 2.62) for other samples. The latter group contained large amounts (average 6.17 ppm) of i-amyl acetate. These differences were largely accounted for by difference in fermentation temperaure of Awamori mashes. In samples distilled in 1960-1965 and stored in glass bottles, the A/B ratio was higher than 2.01 (average 2.25). But the concentration of i-amyl acetate was low (average 2.42 ppm) in these Awamori. These differences were considered to be due to the difference in Awamori yeast used in 1989 and 1969-1965.
著者
登藤 直弥
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学年報 (ISSN:04529650)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.119-130, 2019-03-30 (Released:2019-09-09)
参考文献数
70
被引用文献数
2

本稿ではまず,この1年間に『教育心理学研究』で発表された29編の論文を対象に,利用された研究法について概観して,『教育心理学研究』に掲載された研究の典型を導き出した。次に,これを踏まえたうえで,これらの研究で実施された測定・評価についても概観し,『教育心理学年報』の「測定・評価・研究法」部門の論文においてなされた提言がそれらに活かされているとは必ずしもいえないことを明らかにした。加えて,日本教育心理学会第60回総会において「測定・評価・研究法」部門の研究として発表されたものに関しても,測定・評価・研究法という観点から現状を概観し,その特徴について,『教育心理学研究』に掲載された論文との違いを明らかにした。最後に,これらの検証結果をふまえて,日本の教育心理学の研究実践に,今後,測定・評価・研究法に関する提言を取り入れていくための方策について,筆者なりの提言を行った。
著者
田口 誠一
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.66, no.6, pp.292-295, 2018-06-20 (Released:2019-06-01)
参考文献数
16
被引用文献数
1

高校の化学実験で電池作成を行うことは多い。電池とは酸化還元反応を利用し電気エネルギーを取り出す装置であり,高校の授業では酸化・還元の授業の延長線上で実験を行うことが考えられる。本稿では,電池作成の歴史や高校でよく行う電池の実験について記述し,授業や実験時の工夫や注意点を中心に説明する。また発展的な内容についても触れたい。高校でよく行う実験については,ダニエル電池やボルタ電池,鉛蓄電池,マンガン乾電池の作成時の工夫や注意点について触れる。発展的な内容については,燃料電池やリチウムイオン電池などについて触れる。
著者
玉木 雅子 鵜飼 光子 村田 容常 本間 清一
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.10, pp.670-678, 2002-10-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
24
被引用文献数
2 2

北海道産タマネギ6種について,貯蔵による品種特性の変化を調べた.(1) 貯蔵中にいずれの品種でも固形分,糖度,平均一球重の変動が認められたが,「蘭太郎」,「さらり」では貯蔵による変動が少なかった.これら2種はピルビン酸生成量あるいはその貯蔵中の増加量が少なく,従来のF1種とは異なる性質を示した.最多に栽培されている「スーパー北もみじ」は,冷蔵貯蔵前の11月はピルビン酸生成量,硬度ともに低値を示したが,12月以降は両者とも急激に上昇した.(2) ほとんど全てのタマネギは,長期保存中もソテー加工に適する固形分量およびパウダー加工に適する還元糖量を示した.(3) タマネギの硬度を品種間で比較したが,測定時期(貯蔵期間)により変動し,品種による硬さの位置づけはできなかった.(4) 鱗茎部分の色彩および遊離糖の組成は貯蔵により変動し,その傾向は淡路産タマネギと類似していた.本研究を行うにあたり,北海道産タマネギの品種についてご指導いただいた北海道立北見農業試験場場長宮浦邦晃氏,ならびに試料タマネギの栽培,採取および選定にご協力いただいた同試験場園芸科科長田中静行氏に深く感謝の意を表します.
著者
坂本 光太
出版者
国立音楽大学大学院
雑誌
音楽研究 : 大学院研究年報 = Ongaku Kenkyu : Journal of Graduate School, Kunitachi College of Music (ISSN:02894807)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.177-193, 2019-03-29

ヴィンコ・グロボカール Vinko Globokar(b.1934)はフランス生まれのスロベニア人作曲家、トロンボーン奏者、即興演奏家である。彼の代表作と目される事も多い金管楽器ソロ作品、《レス・アス・エクス・アンス・ピレ Res/As/Ex/Ins-pirer》(1973)は、「身体性」というイメージで漠然と語られこそすれ、今まで詳細に分析・検討されることはほとんどなかった。本稿は、グロボカールの作曲の師であり、《セクエンツァ第5番 Sequenza V》(1966)を共同で作ったルチアーノ・ベリオ Luciano Berio(1925-2003)の影響を指摘しながらこの楽曲の作品を詳細に分析し、その数的な構造性と美学を明らかにすることを目的とする。まずグロボカールと、ベリオの《セクエンツァ第5番》の関係について触れた後に、その影響を踏まえながら、6つの観点(1.特殊奏法の使用法と2.楽曲を構成する10のセクションの「小節」数の枠組み、3.奏法のモード的な配置方法、4.音列、5.ダイナミクス、6.音声学的な要素)から、それぞれの数的な構造性を分析した。その結果、《レス・アス・エクス・アンス・ピレ》においてグロボカールは、ベリオの《セクエンツァ第5番》から、音声学的要素、音色の拡大(種々の特殊奏法の使用)、身体性の導入などの点において大いに影響を受けながらも、それらを徹底的に拡大し、さらに体系化・組織化したこと、そしてその体系化・組織化には、意図的とも言える欠落を伴っているということが明らかになった。ベリオの楽曲では数回用いられるに過ぎなかった吸気による奏法を、楽曲の根幹に関わるコンセプトとして用い、演奏者に限界までの身体的負担を強いる事によって、楽曲を、演奏そのものが崩壊していくというプロセスに変えてしまったことは、Beck(2014)やグリフィス(1981)も指摘しているように、この楽曲に独自の意味を持たせている。すなわち、「演奏者の身体と楽器は、正確に音を出すための装置である」という規範を反転させ、生身の人間の身体が関わる時の、システムの否応なしの崩壊を現出しているのである。そして、楽曲中の各パラメーターに現れる数的な構造の中の意図された欠落は、自壊に至る身体のプロセスと共に、「完全な数的構造」=「体系化・組織化」という規範から、音楽そして身体の逸脱(解放)を重要な美的契機として呈示している。
著者
大谷 敏嘉 笠原 督 内潟 安子
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.12, pp.900-906, 2014-12-30 (Released:2015-01-14)
参考文献数
11

わが国の「リリーインスリン50年賞」は,2003年の第1回表彰開始以来2013年までに66名が受賞している.これら66名のうち東京女子医科大学糖尿病センターの受診患者は16名(24 %)(1型13名,2型2名,その他1名)であった.1型糖尿病患者13名の1983年から2013年のHbA1c平均値は8.4 %,高血圧の合併は10名(77 %),脂質異常症5名(38 %)であった.網膜症については網膜症なしが2名(15 %),過去に9名(69 %)に光凝固が施行されていたが,現在は増殖網膜症を一人も認めなかった.腎症は2期4名(31 %),3期2名(15 %)であったが,腎不全期の患者はいなかった.大血管症は4名(31 %)に脳血管障害,1名(8 %)に冠動脈疾患を認めた.極めて不十分なインスリン治療環境を乗り越え,糖尿病および糖尿病以外の多彩な疾患を有しながら,インスリン治療生活を送ってきたことが判明した.

1 0 0 0 OA 吉田松陰全集

著者
吉田松陰 著
出版者
岩波書店
巻号頁・発行日
vol.第5巻, 1936