著者
Masashi Tsuchida Takehiro Fukushima Shuhei Nasuda Ali Masoudi-Nejad Goro Ishikawa Toshiki Nakamura Takashi R. Endo
出版者
The Genetics Society of Japan
雑誌
Genes & Genetic Systems (ISSN:13417568)
巻号頁・発行日
vol.83, no.1, pp.43-53, 2008 (Released:2008-03-28)
参考文献数
41
被引用文献数
22 28

Rye chromosome 1R contains many agronomically useful genes. Physical dissection of chromosome 1R into segments would be useful in mapping 1R-specific DNA markers and in assembling DNA clones into contig maps. We applied the gametocidal system to produce rearranged 1R chromosomes of Imperial rye (1Ri) added to common wheat. We identified rearranged 1Ri chromosomes and established 55 1Ri dissection lines of common wheat carrying a single rearranged 1Ri chromosome. Fifty-two of the rearranged 1Ri chromosomes had single breakpoints and three had double breakpoints. The 58 breakpoints were distributed in the short arm excluding the satellite (12 breakpoints), in the satellite (4), in the long arm (28), and in the centromere (14). Out of the 55 lines, nine were homozygous for the rearranged 1Ri chromosomes, and the remaining lines were hemizygous. We developed 26 PCR-based EST markers that were specific to the 1Ri chromosome, and nine of them amplified 1Ri arm-specific PCR products without restriction-enzyme digestion. Using the nine EST markers and two previously reported 1R-specific markers, we characterized the 55 1Ri dissection lines, and also proved that we can select critical progeny plants carrying specific rearranged 1Ri chromosomes by PCR, without cytological screening, in 48 out of the 55 hemizygous dissection lines.
著者
福田 匡人 黄 宏軒 桑原 和宏 西田 豊明
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J103-D, no.3, pp.120-130, 2020-03-01

現在の教職課程では様々な学校問題に対応する指導力を養成するカリキュラムが組まれているが,実際の教育現場において指導力を養う機会は少ない.教育現場では実際の現場に近い環境下で訓練を行う環境が求められている.この問題を解決すべく我々は,教員志望者が生徒としてのCGキャラクタ(仮想生徒)とのインタラクションを通して,指導力を養う新たなプラットホームの構築を進めている.実際の授業現場に近い環境を再現するには,複数の仮想生徒が授業に応じて適切な振る舞いを実施し学級の雰囲気を表出することが求められる.一方でCGエージェントが雰囲気を表出可能な群行動の制御手法は未だない.そこで本研究では専門家の協力のもと実験を実施し,パラメータ化された雰囲気の生成モデルの構築手法について提案する.
著者
氏家 誠 袴田 航
出版者
日本獣医生命科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

小胞体αグルコシダーゼ阻害薬(AGI)は、宿主細胞のαグルコシダーゼの働きを抑制する事で糖蛋白質の合成を阻害する。このため、AGIは、コロナウイルス(CoV)を初めとするエンベロープウイルスに対して抗ウイルス活性を示す。我々は、これまでに、化合物ライブラリーからスクリーニングを行い、動物およびヒトCoVに対して強力な抗ウイルス活性を示す新規AGIを6種類同定した。AGIが示した抗CoV活性は、当初、構造蛋白質であるS糖蛋白質の合成阻害に起因すると考えられていた。ところが、AGIはCoVのS糖蛋白質だけではなく非糖蛋白質及びその転写活性をも選択的に阻害する事が示唆された。最終年度は、AGIが示したこの予想外の抗CoV機構の解明を試み以下の成果を得た。1)CoVは感染すると宿主細胞由来の脂質2重膜を変化させてDMVsと呼ばれる「CoV専用の複製工場」を形成する。このDMVs形成には、非構造蛋白質のNSP3、4及び6が関与する。NSP3及びNSP4は糖蛋白質であることから、AGIはこれら糖蛋白質に作用してDMVs形成を抑制すると仮定した。そこで、AGI存在及び非存在下、感染細胞のDMVs形成を観察したところ、AGI存在下ではDMVs形成が著しく抑制される事が分かった。2)次にAGI存在及び非存在下、NSP4糖蛋白質の合成量を比較したところ、AGI存在下ではNSP4合成が強く阻害される事が分かった。これらの結果から、AGIは非構造蛋白質のNSP4糖蛋白質の合成を阻害することでCoV専用の複製工場DMVs形成そのものの合成を抑制し、結果として、CoVの転写活性・翻訳活性を強力に阻害することで強い抗CoV活性を持つことが示唆された。今後は、AGIによる抗CoV機構のさらなる詳細な解析を行いたい。
著者
岡田 勇 山本 仁志 諏訪 博彦
出版者
創価大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

今年度(第二年度)は、初年度に行った理論研究で明らかとなった協力を維持しうる規範が、実際の人間の規範意識として受容されているのかどうかを実証的に検討した。具体的には前半(2018.4-9)において、実験システムの仕様設計・構築・実装(外注)を行い、後半(2018.10-3)において、実際に被験者実験を行い規範意識の測定を行う。実施機関は創価大学と立正大学であり、それぞれの大学において研究倫理委員会などに実施の申請を行い承認を求めた。実証研究では、本研究で独自に開発した専用の経済実験システムを用いて行った。このシステムでは理論研究で明らかになった点、すなわち、行為者を評価する際にどのような情報に注目するかを測定する必要がある。従来知られていた規範では、行為者を評価する際に、一次情報(当該行為者が過去どのような行為をしたか)にまず着目し必要に応じて二次情報(当該行為者の行為が誰に対してなされたのか)に着目するという形態が主流であった。しかし本研究の理論研究では二次情報にまず着目し次に一次情報に着目するような評価ルールをもつ規範を新たな発見することができたため、この点を識別することが実験の大きな目的となる。被験者実験ではまずは大学生をサンプルとして実施した。実験は予備実験で実施の段取りを確認したのちに本実験として7回実施し、140名余りのサンプルを確保できた。この分析の結果、確かに理論として発見された規範が人間にも観察されることが確認できた。この結果は直ちに論文化して発表した。第三年度では理論と実験結果を統合して新たな理論仮説と分析に挑戦する。
著者
清水 信宏 エフレム テレレ 岡崎 瑠美 三宅 理一
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.83, no.750, pp.1579-1589, 2018 (Released:2018-08-30)
参考文献数
22
被引用文献数
2

In this paper, “urban” formation manifested in Mekelle, the “palace city” developed since the late 19th century, is analyzed in relation to the traditional settlement techniques of the targeted region spanning from Tigray (northern Ethiopian region) to adjacent Eritrean highland. Through the analysis, it became clear that topography was the essential factor for settlement site selection, and that there was a preferable layout for these settlements in the targeted region. While Mekelle also basically applied similar techniques, several distinctions, such as existence of a strategic network of hillside and flatland settlements and formation of street concept, can be also found.
著者
青山 高 親川 拓也 村岡 直穂 飯田 圭
出版者
公益社団法人 日本栄養士会
雑誌
日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.135-142, 2020 (Released:2020-03-01)
参考文献数
28

本研究は1日推定食塩摂取量(随意尿)と食事習慣上の課題を用いて虚血性心疾患を有するがん患者の栄養指導の効果を判定した。対象は静岡がんセンター循環器内科において2018年4月から2019年3月までに塩分摂取過多が疑われる患者のうち初めて心臓カテーテル検査(CAG)を受け、次回診察日に栄養指導を実施できた18症例とした。栄養指導方法は塩分計量を用いず、食事習慣上に塩分が含まれている食品の使用頻度の改善を指導した。1日推定食塩摂取量と塩分コントロールの必要のある区分(食材、調理、食卓)の頻度を比較した。全18例(男性14例)の年齢は74才(50-85)であった。1日推定食塩摂取量が改善していたのは11例に見られ、非改善症例に比して塩分コントロールの必要のある区分のうち食材の頻度に相対的な減少が認められた(p <0.05)。両群のがん病期stageと消化器系の部位別に差は見られなかった(p =0.56、p =0.63)。がん患者における虚血性心疾患では塩分計量を用いない食事習慣上の栄養指導に効果を得られる可能性がある。本研究は、がん病期stage に隔たりなく治療に向きあおうとしている患者のモチベーションを管理栄養士の視点から支持する取り組みであり、1日推定食塩摂取量が食事習慣に内在している食材の塩分コントロールに照らした指導法により効果が得られる可能性を示した。
著者
小川 園子 Ogawa Sonoko
出版者
筑波大学
雑誌
筑波フォーラム (ISSN:03851850)
巻号頁・発行日
no.71, pp.121-125, 2005-11

自分では意識していないが、私の話は前置きなしに始まることが多いらしい。が、ここでは、本論のテーマにも直接関係する私の研究者としての略歴を中心に少々長い前置きを述べる。私の経歴は、①人間学類1期生として筑波大学に入学、 ...
著者
岸田 比呂志
出版者
日本建築学会
雑誌
建築雑誌 (ISSN:00038555)
巻号頁・発行日
no.1425, 1998-08-20
著者
明石 達生
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住宅総合研究財団研究論文集 (ISSN:18802702)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.33-43, 2010 (Released:2018-01-31)

人口減少下でも,都市は拡散を続ける。モータリゼーションが立地選択を平準化したからである。住宅需要が減っても,高層住宅の建築紛争は郊外・地方部へと拡がる。緩めに設定された容積率の規制値が,利益最大化を当然とする開発企業の達成目標値となるからである。 そうやって生じる都市空間の混乱と荒廃は,デュラビリティ(耐久性)という不動産の特性 によって長期に是正されず,時とともに助長される。だから,都市の空間形成の制御は人口減少時代であっても計画に基づく規制を手段とすることが不可欠 だ。しかし,「緩いが硬直的」なわが国の土地利用規制を「安定的だが柔軟」なものに変えるにはどうしたらよいか。この主題を考察する。
著者
南 幸太郎
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.111, no.8, pp.1543-1549, 2014-08-05 (Released:2014-08-05)
参考文献数
34

膵臓は異なる2種類の組織,すなわち内分泌組織と外分泌組織から構成されているが,発生上すべての細胞が共通の前駆細胞から分化する.膵臓の発生・分化は段階的に進み,最終的に膵臓ができあがるまで各段階で特徴的な形態を示すとともに転写因子の発現が緻密に制御されている.一般に最終分化を遂げた成体の細胞は,それ以上特性を変化させることがないと考えられてきたが,膵臓の細胞は変化しやすいことが知られ,内分泌細胞間での相互転換や,外分泌細胞から内分泌細胞への分化転換の証拠も見つかっている.膵臓,特に内分泌細胞の分化・再生の仕組みを理解することは,糖尿病の治療へも応用できる可能性を秘めている.