著者
劉 書彦
出版者
国際アジア文化学会
雑誌
アジア文化研究 (ISSN:13405411)
巻号頁・発行日
vol.16, no.16, pp.105-118, 2009

The foundation and development of the faculty of Literature and Politics Taihoku Imperial University is different from the Faculty of Law and Literature Keijo Imperial University due to the "Policy of Southern Progress" under the Japanese colonial period. It was a complicated process to set up the Department of Law and Literature Keijo Imperial University and the Department of the Faculty of law and political Taihoku Imperial University. By comparing with the system of Keijo Imperial University, this study shows that Governor-General of Taiwan had not been given the absolute power to make decisions. It is also shows how the imperial Japan set the lessons in the colonies to advance empire culture against Asian and the South Seas countries.
著者
李 暁辰
出版者
関西大学大学院東アジア文化研究科
雑誌
文化交渉 : Journal of the Graduate School of East Asian Cultures : 東アジア文化研究科院生論集 (ISSN:21874395)
巻号頁・発行日
no.2, pp.185-201, 2013-12-01

Keijō Imperial University was Japan's sixth imperial university and first imperial university to be built outside Japan proper. In 1928 Taipei Imperial University opened with two faculties, the faculty of literature and politics and the faculty of agriculture and science. In this paper I analyze modern Sinology at Keijō Imperial University in Seoul, Korea, and Taihoku Imperial University in Taipei, Taiwan during the Japanese colonial era. First I describe the mission, ideology, and roles of the first presidents of both imperial universities. Next I elucidate the characteristics that distinguish the organization of these imperial universities between 1872 and 1879 from other imperial universities. Finally, I discuss the professors who were in charge of courses on Chinese philosophy at both universities, including the structure of the courses and the human network involved. Using this approach of tracing the flow of modern academic knowledge of Chinese philosophy, I will follow the trends from the imperial universities of Japan to those of Korea and Taiwan.東アジアの思想と構造
著者
雨宮 隆
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.17, pp.89-91, 2013-04-25

2次元平面に分散させた酵母細胞の解糖反応を調べることで,クオラムセンシングに関して新しい知見を得ることができた。すなわち,酵母細胞は空間的な不均一性をもって,同期的振動反応を起こす。特に,孤立した細胞の振動反応は極めて弱く,定常的な解糖反応に近い。細胞がクラスター化した集団においては,同期の程度が極めて高い。さらに,同期現象を通して,個々の細胞は,振動反応をある一定の周期へと収斂させる。酵母の解糖系における細胞密度依存性の協同現象であるクオラムセンシングの生物学的な意義についても議論する。
著者
飯塚,幸三
出版者
日本計量史学会
雑誌
計量史研究
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, 2003-12-27

A historical review of the achievements of the CIPM (Comite International des Poids et Mesures) during the period of 1989 to 2001, when the author was in the Committee, is presented. After introducing the framework and the structure of the Metre Convention, recent changes of the activity and the role of the CIPM and its Consultative Committees are explained together with their backgroud. The movement towards the establishment of the global traceability of measurement standards, especially the agreement for Mutual Recognition Arrangement of Metrological Standards and of Calibration and Measurement Certificates, is looked back in detail, referring to the cooperation of the CIPM with other International Organizations including the regional metrology organizations. The past and present management (the structure, budget, personel etc.) of the BIPM (Bureau International des poids et Mesures) is presented. In the end, the role of Japan in the activity of the Metre Convention for the development of the metrological standards and its global traceability in future is suggested.
著者
濱崎 伸一郎 岸本 真弓 坂田 宏志
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.65-71, 2007 (Released:2007-08-21)
参考文献数
11
被引用文献数
10

ニホンジカの管理に必要な密度指標として, 区画法と糞塊密度法, および目撃効率の整合性を調べ, モニタリング指標としての妥当性を検証した. これらの調査は, 福井県, 滋賀県, 京都府, 兵庫県, 徳島県などのニホンジカ特定鳥獣管理計画策定前調査および策定後のモニタリングで採用されている. 区画法による面積あたりのカウント数と糞塊密度, および糞塊密度と目撃効率には有意な正の相関があった. これまでのところ, 十分な調査努力をしている地域では, 両指標の年推移も非常によく一致しており, いずれも密度変化の動向を適切に反映していると考えられた. 目撃効率の活用においては, 狩猟者から寄せられる報告数 (出猟人日数) の確保や, 積雪が目撃数におよぼす影響などを明らかにすることが課題である. また, 糞塊密度調査では, 平均気温の差による糞塊消失率の変化などが結果を左右することが懸念される. 精度の高い確実な調査法がない現状では, 複数の指標から密度変化の動向を評価することが重要である.
著者
岩森 光 中村 仁美 吉田 晶樹 柳 竜之介
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.62, 2015

若い玄武岩質溶岩組成の大規模データベースを構築し、多変量統計解析により独立な組成空間基底ベクトルの抽出と化学的解釈を行った。その結果、マントルは、「Dupal anomaly」のような南北分割ではなく、「日付変更線付近を境とする東西半球構造」を持つことが分かった。また、この構造は、2.5~9億年前の間、東半球に分布していた複数の超大陸に向かっての沈み込みと親水成分の集中に関連すること、およびマントル東西半球構造が内核の地震波速度構造と酷似し、マントルの長波長対流パターン・温度分布が、核にまで影響を及ぼしている可能性があることが分かった。大陸の離合集散を含むマントル対流モデルは、大陸集合時の「沈み込み帯のかき集め」が、超大陸下に効率的な親水成分集中と冷却をもたらすことを示している。東半球に濃集する親水成分は、地球ニュートリノの偏在をもたらす可能性があり、これは日本とイタリアの検出器を用いて検証可能である。
著者
吉田 晶樹
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.121, no.12, pp.429-445, 2015
被引用文献数
2

プレートテクトニクス理論確立後の1970年代半ばに,プレートに働くさまざまな力が分類され,それらの大きさについて定量的な議論が行われるようになった.この研究はプレート運動を球面上の剛体的な回転運動として扱うことで可能であり,地表のテクトニックな情報のみを用いた理論解析の結果,スラブ引っ張り力がプレート運動の主要な原動力の候補とされてきた.しかし実際のプレートは有限の粘性率を持つので,完全な剛体運動をするのではなく,内部変形をしながら運動しているはずである.最近のマントル対流の数値シミュレーション結果や大規模地下構造探査による地震学的証拠から,プレート直下のマントルの流れが生み出すマントル曳力もプレート運動や大陸移動の主要な原動力となり得ることが明らかになってきた.その場合,プレート運動や大陸移動の原動力として,スラブ引っ張り力とマントル曳力のどちらが大きいのかという新たな難題が生まれる.
著者
IIZUKA Michiko HOLLANDERS Hugo
出版者
GRIPS Policy Research Center
雑誌
GRIPS Discussion Papers
巻号頁・発行日
vol.19-29, 2020-01

It has been widely recognized that innovation is an important driver of economic growth. Many Low- and Middle-Income Countries (LMICs) have adopted innovation indicators to monitor innovation performance and to evaluate the impact of innovation policies. This paper argues that innovation indicators should be customized to the different socio-economic structures of LMICs. For this, the definition of innovation needs to be relevant to the multitude of innovation actors and processes in LMICs. LMICs also need to build competences not only in the construction of innovation indicators within their statistical systems, but also in the use of these indicators by among others policy makers. Especially as the fourth edition of the Oslo Manual (OM 2018) has broadened the scope of “innovation”, opening up policy space for LMICs to accommodate the diversity in their national systems of innovation and to develop accompanying innovation indicators.
著者
宮崎 清 青木 弘行 田中 みなみ
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.1989, no.72, pp.67-74, 1989-03-31 (Released:2017-07-25)

本小論は、「伝統的工芸品・椀の意匠に関する研究(1)」に続いて、日本における椀の発生と歴史的発展過程に注目し、室町時代までの椀の造形的展開について、遺跡資料および絵画史料を手がかりとして、観察と解析を行ったものである。その結果、筆者は次の諸点を明らかにした。(1)日本における漆塗椀の原型は縄文時代に誕生し、弥生時代の轆轤技術、鉄器の導入を経て、挽物としての基本的な椀の制作技術がほぼ完成された。(2)飛鳥・奈良・平安時代には、大陸の食様式の導入ならびに主食副食分離の発展と対応してさまざまな形状の椀が制作され、現代の椀の造形文化がほぼ形成された。(3)鎌倉・室町時代に入ると、漆の塗分けや漆絵などの装飾技術が発達し、椀形状のバリエーションも一層豊かになった。桃山時代には、大陸の造形文化から独立した、日本固有の椀の造形文化が確立された。
著者
田中 浩司
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.212-223, 2010 (Released:2012-03-27)
参考文献数
28
被引用文献数
5

本研究の目的は, 集団に対する指導という観点から, 保育者による鬼ごっこの指導の枠組みを明らかにすることである。対象者は, 年長クラスにおいて継続的に鬼ごっこを指導した経験のある, 幼稚園教諭と保育士, 合計10名である。詳細な半構造化面接を行い, 552分に及ぶインタビューデータを得た。修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)を用いて分析した結果, 14の概念と4つのカテゴリーが生成され, 全てのカテゴリーと関連する「遊びの流れ作り」がコア・カテゴリーとして位置づけられた。保育者による鬼ごっこの指導は, 次のようなプロセスによって構成されることが示された。保育者はまず, 集団としての「遊びの流れ作り」を行い, その流れの中に子ども自身の意志で参加するように「主体的参加への誘導」を行う。その上で, 子ども自身で遊びをコントロールすることが出来るようにする「自己メンテナンス化」に向けた指導を行っていた。また, 子どもの遊び経験をつなぎ合わせ, 経験に連続性を持たせる「経験の積み上げ」は, 他の3つのカテゴリーをつなぐように機能していることが示された。
著者
西田 順一 橋本 公雄 山本 勝昭
出版者
公益社団法人 全国大学体育連合
雑誌
大学体育学 6.1 (ISSN:13491296)
巻号頁・発行日
pp.43-54, 2009-03-15 (Released:2018-01-09)

本研究では,対人コミュニケーションスキル支援を意図した大学体育実技を大学新入生26名に実施し,その心理的有効性を大学への適応感の観点から評価した。大学体育実技は,計6回のセッションから構成され,キンボール,ユニホック,伝承あそびなどが主なアクティビティとして採択された。また,本授業においては大福帳が活用され,教員と学生間で往復の意見交換が行われた。大学体育授業前後における新入生の適応感を比較した結果,「被信頼感・受容感」の有意な向上が示された。また,大福帳の利用に関しては,「相互コミュニケーション機会」「返信の嬉しさ・楽しさ」「講義内容のふりかえり機会」といった利点があることが質的に明らかとなった。これらの結果から,大福帳を用いて対人コミュニケーションスキル支援を意図した大学体育実技が大学新入生の適応感の向上に貢献できる可能性が示唆された。最後に,本プログラムの制限と有用性を高めるための今後の課題について議論された。
著者
内藤 裕子
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.61, pp.5-12, 1987-07-31 (Released:2017-07-25)

本稿は,近隣住宅地および周辺街路においての子供の遊び行為をフィールド・サーベイし,遊びに利用される空間およびモノの使われ方の現状を明らかにするものである。ここでは,抽出した空間およびモノを,空間形状,装置,素材,雰囲気の四種の評価項目に分類し,考察を加えた。空間形状においては,多くの遊びが,街路と小広場を複合的に使って,遊びを成り立たせている。装置は,遊びのきっかけとなり,遊び行為を誘発させ,遊び行為を介助する道具的役割を担い,遊び方を変化させる。素材は,遊び行為を助け,内容に魅力を与える。素材そのものがあって初めて成り立つ遊びもある。雰囲気は,想像力を高め遊び全体の内容を盛りたてる。さらに,街路を中心とした上記の要因の複合的使われ方により,遊び行為の活性化が生じることが観察された。よって,子供の遊びにとっては,近隣住宅地および周辺街路が重要な場となっていると言える。