著者
大和田 俊之
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究では、1970年代から80年代の日本のポピュラー音楽において、アメリカ文化がどのように影響していたかについて考察する。具体的には、はっぴいえんど解散以降に活躍した荒井由実、シュガーベイブ(山下達郎、大貫妙子)、吉田美奈子、竹内まりやなどを擁するニュー・ミュージックと呼ばれるジャンルの成立や、YMO(細野晴臣、坂本龍一、高橋幸宏)の活動を検証することで、「安定成長期」の日本がいかに環太平洋的な影響関係のもとで音楽文化を創出したかを解明する。その作業を通し、急速に世界的な評価が進む日本の「シティポップ」の起源を検証し、この時期の日本の音楽文化をグローバルなポピュラー音楽史に位置付けたい。
著者
Kenta Masui Genki Okada Norimichi Tsumura
出版者
The Institute of Image Information and Television Engineers
雑誌
ITE Transactions on Media Technology and Applications (ISSN:21867364)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.49-59, 2020 (Released:2020-01-01)
参考文献数
35
被引用文献数
10

The market size of online video advertising is expanding rapidly along with the spread of smartphones and social media. In this study, we estimate advertising effectiveness in the natural environment using online data collection and the remote measurement of webcam facial expressions and physiological responses. We collected 4, 108 videos of the faces of 411 Japanese people who were watching the video advertisement in their natural environment via the Internet. Facial expression and physiological responses such as heart rate and gaze were remotely measured by analyzing facial videos. We found that the accuracies of ad liking and purchase intent prediction are better when various acquired features are combined and machine learning is used than when only single-mode features are used. In addition, we aim to improve prediction accuracy by clustering the personality of the subjects and designing an estimation model for each personality.
著者
三松隠士 著
出版者
公同会
巻号頁・発行日
vol.第1巻, 1890

1 0 0 0 OA 刀剣図

著者
多賀常政
出版者
巻号頁・発行日
vol.[3],
著者
和田 正美
出版者
関西国際大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13455311)
巻号頁・発行日
no.15, pp.149-162, 2014-03

本稿は、大学での講義「西洋教育史」に使用する教科書を作ることを想定して作成したものである。教育思想を正しく深く理解するには、歴史、文化を十分理解していなければならない。大学は学問の場であるかぎり、幅広い領域の知識を統合化する教育が必要であることは言うまでもない。しかし現在、大学の講義時に使用される講義内容に相応しい教科書は皆無といってよい。専門書は豊富にあるが、大学の講義を想定しては書かれてないのである。ソクラテスの時代の倫理・教育思想は、決して突然に生まれ出たものではない。その背景となり、推進力となったものとして、ギリシア神話、自然哲学者たちの思想、ギリシア悲劇、自然中心主義から人間中心主義への転換をはかったソフィストたちの思想,ギリシアの民主政などを挙げることができる。本稿では、ソクラテスの伝記、歴史、そして、プラトンなどの作品を通じて、ソクラテスの人となり、人間像を概観する。それによって、ソクラテスの倫理・教育思想の一層の理解を深めることができると考える。
著者
小池 卓二 李 信英
出版者
一般社団法人 日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.525-530, 2018-12-28 (Released:2019-01-17)
参考文献数
8

要旨: 蝸牛機能の解明には基底板振動と有毛細胞の働きを十分理解することが重要であるが, 生理的環境下における蝸牛振動の直接計測は簡単ではなく, 特にヒトを対象とした計測は困難である。そこで我々は, 蝸牛の数値解析モデルを構築し, 基底板の振動様式の可視化や蝸牛疾患による基底板振動変化について解析を行っている。本稿では, 基底板上で外有毛細胞 (OHC) の能動性を部分的に欠如させたモデルを用いて, 基底板上の各部およびアブミ骨に誘発される歪成分を計算し, 歪成分耳音響放射 (DPOAE) と OHC の能動性との関係を検討した。その結果, 刺激音周波数 f2 を特徴周波数に持つ基底板の位置よりも基部側に存在する OHC の能動性が, DPOAE 生成に重要な役割を果たしていることが示唆された。
著者
外岡 尚美
出版者
青山学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は、現代のパフォーマンス・アートと演劇における身体と苦痛の表象に焦点を合わせ、メディアとしての身体と苦痛および共同性の関係について考察した。マリーナ・アブラモヴィッチ、ロン・エイシー、ステラークなど重要なアーティストによる作品を中心に、身体的苦痛が喚起する情動と、観客の関与のあり方、意味生産および解釈の準拠枠を越える情動の作用を検討し、排他的な共同性の構成を刷新する情動の可能性を明らかにした。また技術と接続した身体と観客の体験に着目して、身体的知覚の変容について検討した。本研究は演劇・パフォーマンス研究において自明とされる、「現前」の枠で捉えられた身体のメディア性を明らかにした。
著者
小嶋 篤
出版者
福岡県立アジア文化交流センター
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

大宰府の軍備は、白村江の戦い(663年)を経た「大宰府都城の造営事業(7世紀後半~8世紀第1四半期)」で整えられ、兵器生産は筑紫大宰傘下の工房が主体的に担った。大宰府に備蓄された兵器は、7世紀後半に生産されたものを多量に含み、8世紀以降の兵器も含まれる。つまり、大宰府保有兵器は、「大宰府都城の造営事業」の過程で確保された兵器を中核として、奈良時代(8世紀)を通じて補修と補充により、長期間維持されたと結論できる。大宰府に備蓄された兵器は、平時においては大宰府常備軍により守衛され、戦時下では朝廷からの勅により戦時編成された軍団によって運用されたと考えられる。
著者
一ノ瀬 俊也
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.102, pp.593-610, 2003-03

各市町村における従軍者記念誌は、日露戦争終結直後、戦死者が忘却されていくことを嘆いて作られた。だが第一次大戦後、主に在郷軍人会市町村分会によって作られた記念誌は、そのような後ろ向きの意図ではなく、ある積極的な政治的意図、すなわち過去の栄光の記録・記憶化を通じて軍人という自己の存在意義を再確認し、反軍平和思想の盛んだった社会に訴えていくために作られていった。そのような記念誌の中で日清・日露の追憶を語った老兵たちは、戦死者の壮絶な死を語って戦争の「記憶」に具体性を与えて、人々の共感を呼び起こす役回りを演じた。そうした語りのあり方は「郷土の英雄」を求める人々の心情にもかなうものだった。老兵たちが自己の従軍体験を語る際、確かに悲惨な体験も語ったものの、基本的には名誉心充足の機会として戦争を描いていた。そのような従軍者たちの「語り」を彼らの〝郷土〟が一書に編む時、彼らが国家の大きな歴史に占めた位置、役割の説明が熱心に行われた。それは戦死者の死の〝意味〟を明らかにし、ひいては戦争自体の持つ価値を地域ぐるみで再確認、受容することに他ならなかった。以上の過程を通じて、満州事変勃発以前から満州は「血をもって購った」土地であり、したがってその権益は擁護されるべきという論理や「社会主義共産主義」の脅威が市町村という末端レベルで繰り返し確認されていった。満州事変に際して軍、在郷軍人会などが国民の支持を調達する際、日露戦争の「記憶」を強調したことは周知のことだが、本稿が掲げた諸事例は、そのような「記憶」が当時の社会において具体的にいつから、どのようにして共有化されていったのかを示すものである。