著者
佐々木 順一 北澤 京子 中山 健夫
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.138, no.5, pp.631-635, 2018-05-01 (Released:2018-05-01)
参考文献数
18
被引用文献数
1 3

This research aimed to clarify the present status and challenges of evidence-based medicine (EBM) education in schools of pharmacy. We sent a questionnaire to 268 faculty members in August 2015, and a total of 192 were completed. The educational contents by respondents differed considerably. Only about 30% of respondents self-assessed the current EBM courses they taught as “fulfilling”. Challenges such as “time deficits”, “lack of exercise lessons and practical training”, “limited awareness and skills of teachers”, “lack of appropriate educational tools”, and “insufficient academic ability of students” were mentioned.
著者
加藤 洋美 吉井 美智子 小澤 光一郎
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.127, no.12, pp.2035-2044, 2007-12-01 (Released:2007-12-01)
参考文献数
12
被引用文献数
13 9

In the present study, we tested three kinds of sleeping drugs, consisting mainly of triazolam, brotizolam, and flunitrazepam, to compare the drug efficacy of generic drugs with that of original drugs. After these drugs were administered orally to mice, drug efficacy was evaluated in terms of ambulation, onset time of sleep, and duration of sleep in the open field test. For all kinds of sleep-inducing drugs, the drug efficacy of most generic drugs is not necessarily equal to that of the original drug. The main reason for the difference appears to be due to differences in the rate of absorption of the main drug. Any other differences between an original drug and a generic drug are caused by drug additives, the crystal form of the main drug, the formulation, and so on. In this study, the formulation was not the reason for the differences because all of the drugs were pulverized in a mortar and had no special coating. The drug additives for all the drugs are listed and the drug efficacy compared. Unfortunately, the information was not sufficient to shed any light on the differences in drug efficacy. For effective drug therapy, more information on drug additives should be provided.
著者
古川 勉寛 佐々木 広人 藤原 孝之 小沼 亮
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会 東北ブロック協議会
雑誌
東北理学療法学 (ISSN:09152180)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.46-49, 2017-08-31 (Released:2017-09-15)
参考文献数
19
被引用文献数
1

聴覚刺激強度の変化が下肢骨格筋支配の脊髄興奮準位に及ぼす影響を明らかにするために,Hoffman波(以下,H波)を測定した。【方法】:健常成人男性6名(21歳)を対象とした。聴覚刺激は,周波数250Hzの音源を使用して10dBから80dBまで10dB間隔でランダムに刺激した。H波の測定は,右膝窩部から脛骨神経を電気刺激し,同側のヒラメ筋筋腹中央部から導出した。【結果】:H波変化率(%)は,70dBで125%,80dBで142%であった。多重比較検定の結果,10dBと80dB間に有意差が認められた(p<0.05)。
著者
菊地 久美子 片桐 千華 溝上 陽子 矢口 博久
出版者
一般社団法人 日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3+, pp.44-47, 2017-05-01 (Released:2017-10-07)
被引用文献数
1

顔は部位により肌色が異なることが知られている.肌色の部位差については,これまで多くの報告があり,接触式の測色計により指定部位を測色するほか,デジタルカメラなどの画像色彩計を用いて顔の特定部位を指定し,評価する例などが挙げられる.しかし,これらの方法では指定部位の理解に限定され,顔における肌色分布を連続的に,詳細に把握することはできない.本研究では,顔全体の肌色分布を評価する方法を開発し,肌色分布の加齢変化の特徴および季節変化の特徴を把握することを目的とした.まず,目・鼻・口といった顔のパーツから特徴点を指定し,特徴点から顔の肌色領域を分割した.次に,分割された領域毎に色彩値やメラニン・ヘモグロビンといった肌の色素量の平均値を算出することで,肌色分布を視覚的な分割画像と定量的な分割データの両方で表現する手法を開発した.本手法を20~78歳の女性,522名の顔画像に対し適用させることで,加齢による肌色分布の色彩値の変化を可視化および定量化した.さらに,女性25名の肌色分布の季節変化を可視化した.本研究により,加齢による色変化が生じやすい領域,季節変化が生じやすい領域を明確化することができた.
著者
半田 剣一 浜田 喬
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.482-489, 1985-05-15

高級言語の使用により 信頼性の高い分散処理システムを効率的に記述できる.本論文は分散処理システム記述用の高級言語DPLと そのプログラムを目的計算機上で実行するための仮想計算機DOVEについて述べている.DPLはプロセスを単位とした分散処理プログラムを従来の並列プログラミングの手法を使って記述できるPascal系の言語である.DPLは任意のノード上に動的にプロセスを生成でき それらプロセス間の通信はノードの違いを意識せずに手続き呼出し型の形式で記述できる.またプロセスの同期にはguarded regionを採用し システム機能に必要な柔軟な処理が記述可能である.DPLシステムは システム全体を統合的に記述したDPLプログラム自身と 各ノードにあたる計算機のアーキテクチャの相違を吸収しプログラム実行をサポートする仮想計算磯とに階層が分かれる.後者はDPLシステム内のすべてのノード上に実装されるべきソフトであり DOVEはとくに親ノード上の仮想計算機としての機能をもっている.実際のノード間データ通信もDOVEがサポートするものであるが データ型式の統一によりその処理は非常に簡潔なものとなった.実行テストは単一計算機でのシミュレートであるが 十分DPLおよびDOVEの有用性を確かめられるものであった.
著者
ダラム ヴァレリー
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.50, no.10, pp.24-33, 2001-10-10 (Released:2017-08-01)

幕末から明治初期にかけての歌舞伎を代表する一つの役柄に「悪婆」がある。その名称にも拘わらず、「悪婆」とは典型的には老女というより年増であり、悪を働いても、それはかつての主人等のためを思って行われることが多い。また、悪婆は、悪女・アウトサイダーというレッテルを貼られ、「異界」的な存在でありながらも、庶民にとってはいわばヒロイン的な存在であったようにも思われる。本稿では、化政期から明治初期の歌舞伎台帳における「悪婆」の用例を分析して、そこに垣間見える悪婆像を考察する。
著者
一言 英文
出版者
日本感情心理学会
雑誌
エモーション・スタディーズ (ISSN:21897425)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.23-28, 2015-10-01 (Released:2017-04-24)
参考文献数
24
被引用文献数
1

I propose a cultural psychological explication to the problem of power abuse, such as school bullying. The cultural context of interdependence, which fosters sensitivity to rejection, potentiates lowered social identity with friends, encourages to be ordinary among others and cause relational concern can be a background to the indirect, obscured, and collective type of bullying in Japan. Although universal approach to the abuse of power is proven effective, understanding the nuanced, seemingly subtle shared meanings shared among the cultural members on well-being and power may also be used to understand the big picture of this long-lasting classroom problem.
著者
山本 千夏
出版者
富山医科薬科大学
巻号頁・発行日
1997-09-03

心疾患および脳疾患は日本人の死因別死亡率において2位および3位を占めるだけでなく,その死亡率の合計は第1位の悪性新生物を上回り,公衆衛生学上においても重要な問題となっている。この2つの死因の中では心筋梗塞および脳梗塞が大きな比率を占めている。これらは発症部位は異なるがどちらも血管内の血栓形成を伴う疾患で死亡率だけでなく,罷患率の面からも近年注目されている。動脈硬化症および高血圧症は互いに危険因子であり,心筋梗塞および脳梗塞の基礎疾患として重要である。動脈硬化病変は一般的には血管内膜における血管平滑筋細胞の増殖,血管内および血管組織内血液凝固血管内皮傷害などの所見を呈する血管病変である。すなわち,動脈硬化巣内には結合組織に被覆された血管平滑筋細胞,マクロファージ,Tリンパ球の浸潤および壊死像,脂肪蓄積や血栓が一般的に観察される(Moore, 1981 ; Wight, 1989; Srnall, 1988)。Rossらはこのような変化を内皮傷害に対する動脈壁の反応として考え,傷害反応仮説としてまとめている(Ross, 1993)。それによると,血管内皮細胞の機能障害が生じると内皮細胞のターンオーバーの充進や内皮下組織への単球の侵入が起こる。内膜に侵入した単球はマクロファージへと分化し,変性した脂質を取り込んで泡沫化し,血管平滑筋細胞に対する遊走・増殖因子である血小板由来増殖因子(PDGF)(Ross, 1990)などの増殖因子を放出し,平滑筋細胞の内膜への遊走と増殖を促進する。さらに,血管内皮細胞が剥離するような傷害が加わると血管壁の抗血栓性が失われ,血小板の活性化作用を有する内皮下組織が血液と直接接することによって血小板の粘着・凝集が起こり,このとき血小板からPDGFを初めとする平滑筋細胞遊走・増殖因子が大量に放出され,血管平滑筋細胞の内膜への遊走および増殖が加速されて血管内膜の肥厚斑が形成される。従って,動脈硬化病変の発症の理解には,その初期段階としての内皮細胞機能障害の解明が不可欠である。血管は内腔を一層に覆う血管内皮細胞,中膜を構成する血管平滑筋細胞および外膜の線維芽細胞から成り,それぞれが機能を発現している‘生きた組織'である。近年,血管内皮細胞が血液成分と内皮下組織との接触を妨げる障壁として存在しているだけでなく,様々な因子を産生・放出し,血管と血液の恒常性維持に寄与していることが明らかになってきた。血管内皮細胞は,一酸化窒素を本体とする内皮細胞由来弛緩因子(Palmer et al., 1987)および持続的血管収縮因子であるエンドセリン(Yanagisawa et al ., 1988) を産生・放出し,血管のトーヌスの調節に積極的に関与している。また,血管内腔は抗血栓性を維持しており,血液が非常に凝固し易いものであるにもかかわらず通常血管内では凝固しないが,ひとたび血管内皮細胞が傷害を受けたときは速やかに血液凝固によって止血され,血管は修復される。このとき,不必要な血栓は線溶系によって除去される。このような血液の凝固・線溶を通じた血管の恒常性の維持は血管内皮細胞によって巧妙に調節されている。血管内皮細胞による血液凝固の調節は,血小板凝集抑制作用を有するプロスタサイクリン(Moncada and Vane, 1979)およびヘパリン様活性を有するヘパラン硫酸(Shimada et al., 1985 : Marcum et al ., 1986) の産生・放出,ならびにトロンピンの凝固活性を抑制し, 抗凝固活性へ転換するトロンボモジュリン(Esmon and Owen, 1981 ;Maruyama et al., 1984)の保持によって行われるのに対し,線溶系の調節は組織型プラスミノーゲンアクチベーター(t-PA) (Levin and Loskutoff, 1982)およびその阻害因子であるプラスミノーゲンアクチベーターインヒピタ-1(PAI-1) (Mourik et al ., 1984 ; Gelehrter and Sznycer-Laszuk , 1986)の2つの因子のバランスによって調節されている。PAI-1は液相中に放出されるとそのほとんどがすぐに不活性型PAI-1 となり活性型PAI-1のみがt-PAと結合して不活性型複合体を形成する(Levin, 1986)。t-PAの他に,ウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーター(u-PA)も内皮細胞によって産生・放出されt-PAと同様の活性を示すが,u-PA がフイプリン親和性をほとんど示さないのに対し,t-PA はフイプリンと高い親和性を有し,しかもフイプリンと結合することで活性が増強される(Hoylaerts et al., 1982 ; Ranby, 1982)ことから,t- PAと活性型PAI-1のバランスが血管内の線溶調節に重要であるとされる。血管内皮細胞だけでなく血管平滑筋細胞および線維芽細胞もまたt-PAおよびPAI-1産生能を有しており(Herbert et al. , 1994; Wojta et al., 1993 ; Hola et al., 1983),血管内皮細胞層の傷害時あるいは血管の破綻時に内皮下組織が血液と接したときの線溶調節に関与していると考えられている。ところで重金属と血管病変との関連については,古くから多くの報告があるが一連の報告にはふたつの特徴があった。第一は,動脈硬化を含む血管病変を引き起こすとされる重金属として,カドミウムおよび鉛が特に多く報告されてきたことである。例えば,疫学的にカドミウムの汚染地区に動脈硬化発症率が高く(Houtman, 1993),血管病変と環境カドミウム曝露には関係が見出され,(Carroll, 1966 ; Engvan and Perk, 1985) 鉛についても高血圧症との関係が(Menditto et al., 1994)が報告されている。また,動物実験において,カドミウムおよび鉛は動脈硬化および高血圧を誘発する(Revis et al ., 1981 ; Schroeder and Vinton, 1962 ; Perry et al ., 1983 ; Perry et al ., 1988 ; Chai and Webb, 1988 ; Lal et a1 ., 1991)という。しかしながら第二の特徴は,このように血管病変を引き起こすとされるカドミウムおよび鉛の細胞レベルでの毒性発現機序はまったく不明であったことである。血管内皮細胞の機能障害が血管病変の発症・進展に重要であること,また動脈硬化病変を含む血管病変は一般に凝固促進性あるいは線溶活性の低下の結果と考えられる血栓形成性を伴うことから,内皮細胞が介在する線溶調節に対するカドミウムおよび鉛の毒性発現を明らかにする必要がある。本研究の目的は,カドミウムおよび鉛に曝露した血管内皮細胞からの線溶蛋白の産生・放出の変化およびその結果生じる液相の線溶活性の変化を細胞培養系を用いて検討することによって,内皮細胞が調節する線溶系に対するこれら重金属の毒性発現を明らかにし,これらの重金属による血管病変の誘発機構の理解に寄与することである。さらに,血管内皮細胞の傷害時に線溶調節を行うとされる血管平滑筋細胞および線維芽細胞についても同様の検討を行い,血液線溶調節を行う血管構成細胞に対するカドミウムおよび鉛の毒性発現様式とこれらの重金属に対する各細胞種の応答様式を明らかにすることである。
著者
野口 哲央 花園 忠相 森 健治 沖田 幸祐 坂井田 功
出版者
山口大学医学会
雑誌
山口医学 (ISSN:05131731)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.241-246, 2013-11-01 (Released:2014-02-13)
参考文献数
15
被引用文献数
2 3

症例は65歳の女性で,下腹部痛を主訴に受診し,腹部CTで内臓動脈瘤破裂による腹腔内出血と診断された.血管造影検査では広範囲にわたって血管径の不整や動脈瘤が認められ,回結腸動脈瘤が出血源と考えられた.動脈塞栓術にて症状は改善した.血管造影所見から分節性動脈中膜融解,segmental arterial mediolysis(以下,SAM)と診断された.TAE後1年10ヵ月のCTでは,未治療の動脈瘤と血管狭窄は消失していた.SAMは比較的稀な疾患であり,長期予後の報告もないため自然予後を理解する上で興味ある症例と思われたので,報告する.