著者
半澤 誠司
出版者
The Human Geographical Society of Japan
雑誌
人文地理 (ISSN:00187216)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.587-602, 2004-12-28 (Released:2009-04-28)
参考文献数
54
被引用文献数
4 5

アニメーション産業と家庭用ビデオゲーム産業は, 現代日本の最も広く知られた文化産業のうち2つである。両産業は, 高い離職率と東京への集中という共通の特徴を有する。しかし, 詳細な立地や, 労働市場, 企業間関係という点では明らかに違いがある。ゲーム会社に比べてアニメーション会社の立地は, 国単位ではより東京に, 地域単位ではより東京西部に集中する。ゲーム産業の労働者は, 新卒であろうと中途であろうと公募を通じて採用され, 時折深刻な人間関係の悪化があるためしばしば企業間を移動する。逆に, アニメ産業では, 明らかな人間関係の悪化は少ない。アニメの離職者のほとんどは, フリーランサーになるか自分の会社を設立するかして, そうでなければ完全に当該産業から離れる。ゲーム会社は, アニメ会社に比べ取引関係が少なく, 取引先を替える柔軟性も小さい。これらの違いは, 特有の流通システム-アニメ産業における「合法寡占的」テレビキー局と, ゲーム産業におけるプラットフォームホルダーの存在-と特有の制作工程-前者の「ウォーターフォール工程」と後者の「リバイズド工程」-から生じる。それらは, 産業レベルで相互に影響するだけではなく, 個々の企業の行動にも影響を与える。
著者
和田 充紀 水内 豊和
出版者
富山大学人間発達科学部附属人間発達科学研究実践総合センター
雑誌
教育実践研究 : 富山大学人間発達科学研究実践総合センター紀要 (ISSN:18815227)
巻号頁・発行日
no.11, pp.115-122, 2016-12

選挙権年齢を「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げる改正公選法が6月19日に施行され、国公私立の高校では主権者教育の実施率が94%に上った。特別支援学校においても主権者教育を模索しながら始めている。本研究では国立大学法人附属の知的障害特別支援学校を対象として主権者教育の現状と課題について調査を実施した。その結果、主権者教育を「行なっている」または「行う予定がある」学校を合わせると9割以上の学校が主権者教育の必要性を感じていることがうかがえる。具体的には「選挙の具体的な仕組み」や「模擬選挙などの実践的な学習活動」への取組が行われ、「実際の投票箱を選挙管理委員会から借用」するなどの工夫がなされている。課題としては、「知的障害者用の授業用テキスト・ビデオ・教材」の作成と充実、「保護者への啓発」「出前講座などの他機関との連携」「投票時の対応(社会への啓蒙)」などが示された。
著者
山根 泰志
出版者
九州大学附属図書館
雑誌
九州大学附属図書館研究開発室年報 (ISSN:18813542)
巻号頁・発行日
pp.32-45, 2014

九州大学附属図書館所蔵廣瀬文庫に,現在の福岡県と佐賀県の県境にある背振山における国境を巡って,筑前(福岡藩)と肥前(佐賀藩)が争った際に作成された背振山の絵図(『背振山堺図』)が所蔵されていることが判明した.本稿では,『背振山堺図』の概要等を報告するとともに,その他の廣瀬文庫絵図類も併せて紹介する.
著者
井上 広滋
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.33, no.10, pp.660-667, 1995-10-25 (Released:2009-05-25)
参考文献数
20
被引用文献数
1
著者
関野 進 吉田 耕一 原 輝彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.50, pp.41-47, 2000-05-31
参考文献数
3

システム内部にモデルの特徴点に関する情報と、距離画像から得られた特徴点に関する情報とが与えられているときに、位置姿勢パラメータをどのように決定するかが問題となる。位置姿勢パラメータの推定手法に関する従来法の一つであるGongzhuの手法では、位置姿勢パラメータの導出にHough空間における投票を行うが、任意パラメータに対して、微小刻みで値を変化させ、すべての解について投票といったことをするため、位置姿勢パラメータの精度と推定時間は、任意パラメータの刻み幅に依存する。精度は、この刻み幅が小さい程高くなるが、投票時間は逆に増えてしまうという問題点がある。本報告では、Gongzhuの手法に解析的な手法を用いた改良を加え、位置姿勢パラメータの推定時間と精度の向上の確認を行った。We have been developing object shape recognition systems using range images. These are images composed of scene images whose pixel contains information on the distance from the camera. A range image can be obtained, for example, by capturing the reflection of laser lines from an object through a CCD camera and employing triangulation. We can use this information to realize a recognition system which can distinguish an object, whose 3D shape is specified by CAD data, from a cluttered scene containing many unknown objects. We developed arranged method based on Gongzhu's method.
著者
竹之内 宏 徳丸 正孝 村中 徳明
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.38-53, 2011-02-15
被引用文献数
2

本論文では,多くの人の感性を用いた対話型進化計算(Interactive Evolutionary Computation:以下 IEC)として,2点嗜好法を適用した複数参加型トーナメント方式を用いた対話型遺伝的アルゴリズム(Interactive Genetic Algorithm:以下 IGA)を提案する.これまでに提案されている多くのIECシステムは,ユーザが1個人の場合を対象としている.このため,多くの人が納得する解を得ることができない.そこで本論文では,Web上から多くのユーザの感性を投票として獲得し,IGAの解評価に用いることを想定した多人数参加型のシステムを提案する.提案システムのように,多くの人が投票により解評価を行うIECインタフェースとして,これまでに複数参加型トーナメント方式が提案され,シミュレーションにおいて有効性が検証されている.しかし,実際のWebシステムなどで投票獲得を想定した場合,投票に参加するユーザ数を推定することは困難である.そのため,複数参加型トーナメント方式においては,解評価に必要な投票数を獲得できず,トーナメント対戦を進行させることができないといった問題が想定される.このような問題を解決するためには,獲得した投票の効率的な利用が求められる.そこで,統計的手法である2点嗜好法により,トーナメント対戦の勝敗結果を判定しトーナメントの効率化を図る.2点嗜好法の適用により,投票開始からより早い段階で解候補の優劣を判定できると考えられる.本論文では,シミュレーションにおいて,提案手法の有効性を検証した.シミュレーションにおいては,実際のユーザの代わりにビット列で作成された評価エージェントが解評価を行う.シミュレーション結果より,提案手法において,解評価に必要な投票数が約80%減少されることが確認された.さらに,従来の複数参加型トーナメント方式を比較手法とした性能比較を行った.その結果,提案手法は,トーナメントの効率化という観点より,有効であることが確認された.
著者
柴田 昌明 恩田 寿和 田村 公良
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会論文誌. D, 産業応用部門誌 = The transactions of the Institute of Electrical Engineers of Japan. D, A publication of Industry Applications Society (ISSN:09136339)
巻号頁・発行日
vol.119, no.2, pp.151-158, 1999-02

The paper descries a novel method to extract line segments and circular arcs from the image taken by CCD camera for object recognition. Model based matching is one of the widely used techniques of the object recognition in computer vision, and the position and orientation of the objects are decided with referring the extracted line segments and circular arcs. For the precise and stable decisions of the position and orientation, the accurate extractions of characters are required. These characters are. fast and accurately extracted in the proposed method, while its validity is confirmed in some experiments.
著者
Crichton Michael 小林 収
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1066, pp.68-72, 2000-11-13

問 クライトンさんの最新作『タイムライン』はいわゆる時間旅行(タイムトラベル)物ですが、「量子テレポーテーション」という最新のテクノロジーを使って、現代の若者たちが14世紀のフランスに行くという設定がとても斬新でした。ただ、疑問も感じたんです。もっとエキサイティングな時代と場所があるはずなのに、なぜ14世紀のフランス、つまり中世の西欧を選んだんでしょう。
著者
柳沢 幸夫 渡辺 真人
出版者
国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質調査総合センター
雑誌
地質調査研究報告 (ISSN:13464272)
巻号頁・発行日
vol.68, no.6, pp.259-285, 2017-12-28 (Released:2018-04-12)
参考文献数
119
被引用文献数
1 14

新潟県佐渡島の大佐渡地域南部に分布する新第三系~第四系堆積岩類は,これまで下戸層,鶴子層,中山層,河内層,貝立層及び質場層に区分されてきたが,この研究では,珪藻化石年代層序の詳しい研究成果に基づいて,矛盾や問題のあった新第三系堆積岩類の層序区分を改訂し,新たな層序学的枠組みを提案した.従来の下戸層は分割して下部を下戸層(再定義)とし,従来の下戸層上部を「羽二生川層」として独立した地層とした.また,硬質泥岩からなる鶴子層を廃止し,硬質泥岩層を珪藻質泥岩からなる中山層に含め,中山層を再定義した.さらに,従来の中山層上部に認められる海緑石層より上位の無層理塊状泥岩を従来の中山層から分離し,新たに独立した地層として「野坂層」を設定した.この結果,大佐渡地域に分布する新第三系~第四系堆積岩類の層序は,下位より下戸層,羽二生川層,中山層,野坂層,河内層,貝立層及び質場層となった.
著者
嘉屋 祥昭
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.199, 2009

〈はじめに〉病院を取り巻く情勢は,マイナス要因につながる多くの状況下にある。コンプライアンスに抵触する事案,セクハラ,パワハラ等不祥事はメディアを通じて広がり,また病院・医師のランク等も一方的に報じられている。このように周辺環境がめまぐるしく変化する中,組合員・地域住民の要望に応えるためにも厚生連4病院(尾道・吉田・広島・府中)に働く全職員が仕事の基本やマナーを身に付けて,一層の信頼を高めなければならない。患者や家族が何に不満を抱くのかを検証するのではなく,私たちは何を期待されているのかという観点からもう一度自院・所属職場の接遇を見直す必要がある。広島県厚生連人事部教育課を中心に,4病院教育担当看護副部長と共に作成したマナーガイドブックを活用しながら接遇指導者を育成し,委託職員を含め多職種を対象とする接遇教育に取り組み成果が得られたので報告する。<br>〈マナーガイドブックのねらい〉<br>・4病院の対応の違いや手法の違いをなくし,マナーのレベルアップに努める。<br>・職場の実情に精通した職員が職場の仲間としてマナーを直接指導することでよりきめ細かなマナーが定着する。そのためにも組織内に「質の高い指導・論評」ができる人材を広く育てていくことが必要である。<br>〈接遇指導者養成〉まず各病院より各々の職種から指導者として活動できる人材を選出し,現状と課題を持ち寄った。次にどのように自院で接遇研修に取り組むかをビジョンとゴールを設定し,講義やグループワーク・ロールプレイ等をしながら指導者養成に取り組んだ。終了後は認定証を発行し,接遇指導者としての意識付けとした。現在接遇指導者を28名養成した段階である。<br>〈厚生連4病院での成果〉接遇指導者はこの研修の必要性を説き,ガイドブックを使用し,ロールプレイを取り入れ各病院で研修を実施した。参加者は多職種(医師・研修医・薬剤師・放射線技師・理学療法士・事務・委託業者等)であり,職種間の理解も深まり,協力しながら自部署で自ら実践者として活動できると評価している。<br>〈これからの取り組み〉・ロールプレイ事例集の作成・広島県厚生連として接遇指導者100名を養成する・マナーブック活用の拡大(抄読会など)・患者満足度調査と患者さまの声を用いた評価
著者
五嶋 陽子 Gotoh Yoko
出版者
神奈川大学経済学会
雑誌
商経論叢 (ISSN:02868342)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.169-189, 2016-02-29

論説
著者
菊池 啓 嶋田 亘 伊東 靖宜 辻本 晴俊 岡田 成弘
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.271-278, 2016

<p>&nbsp;&nbsp;&nbsp;2015年6-7月近畿大学医学部堺病院整形外科外来通院患者の中で承諾の得られた396名に笑いのアンケート調査を行った.笑いを10項目で調査し,各項目に対し,性別,年齢別,疾患別(関節リウマチ:RA,慢性疼痛),地域性(淡路島の別調査RA患者22例)に差異がないかを比較検討した.396例中最も多かった結果は,①対象患者は関節疾患,②笑っていた時期は20-50歳,③笑い方は口を開け小声,④最近大声で笑ったのは数日以内,⑤おかしい時に笑う,⑥会話で笑う,⑦笑いが似合うのは明石家さんま,⑧社会と家族に笑いが必要,⑨主治医にくすぐられたら微笑む,⑩このアンケート調査で微笑む,が各項目の中で最大数であった.各項目を個々に分析すると年齢や性別よりもRAでは社会と家族に笑いが必要と答える患者が多いのに対し,慢性疼痛治療患者では笑いが少なく,医療では看護師や受付に笑いが必要との結果多かった.医師のみならず医療スタッフは患者も取り込んで,笑いを取り入れた治療をすることが全ての疾患に重要であろう.</p>