著者
大江,宏子
出版者
情報文化学会
雑誌
情報文化学会誌
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, 2007-09-15

伝統的情報通信手段である手紙の価値や機能に関する利用者の意識データをもとに,極力,定量的に,その機能と今日的意義を考察することを試みる。手紙をめぐる数少ない先行研究が着目する論点および,今日隆盛を誇る情報通信技術に基づく新媒体であるメールとを比較考察しつつ,計量解析手法を援用し,手紙を書く行動を規定する要因を分析した結果,広く一般的に言われているように,「若い者は書かない」や「手紙はメールという新メディアと競合関係にある」,あるいは,「昨今の手紙離れは,メールの普及により加速された」といった仮説は否定された。
著者
ナジ エディット 安永 幸子 古瀬 敏
出版者
人間・環境学会
雑誌
人間・環境学会誌 (ISSN:1341500X)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.1-11, 1996-06-30 (Released:2018-10-01)

人口密度の増加と地価の高騰から、地下空間をオフィスとして利用するのが適切かどうかの議論が特に日本では盛んである。しかし、地下の無窓空間オフィスに対する人々の反応はまだ十分わかっていない。ここでは、地下と地上のオフィスを比較して、仕事場に窓のあることの重要さに関する意識;照明視環境に対する意識;オフィスインテリアの一般的評価の3点について検討を行った。その結果、仕事場では窓が強く望まれており、特に地下の無窓オフィスの場合が顕著だった。地下のオフィスで働く人々は、照明条件が地上のオフィスとほとんど同じであるにもかかわらず、視環境を否定的にとらえていた。さらに、地下オフィスでは楽しみや刺激に欠け、閉鎖感が強いと評価された。物理的な環境条件は地上と地下のオフィスの間でよく似ていたことを考えると、本研究で認められた窓の必要性、照明視環境ならびに室内の評価に関する差は、地下と地上という作業環境の物理的性状の違いによるのではなく、地下にあって窓と自然光が欠けているという心理的要因に強く左右されたものと指摘できる。
著者
永田 宏文 萩原 隆一
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.20, no.6, pp.379-385, 1981

<p><tt><b>ガソリン注油中のポリエチレン製携行缶での発火事故,ネオプレンゴム製ボール圧送による油送管内の残油処理中の爆発事故,LPGタンク車から貯蔵タンクヘLPG移充填中の火災事故,およびアルミ粉製造プラントにおけるアルミ粉回収用パグフィルタ室爆発事故の以上4件の事例は,事故原因の調査解析の結果,いずれも静電気が着火源と考えられた.ここでは,静電気の災害に結びつく帯電過程を明らかにするための実験や,事故の発生要因等の検討結果について解説し,静電気災害防止のための一資料として提 </b></tt><tt><b>供する. </b></tt></p>
著者
音楽之友社編
出版者
音楽之友社
巻号頁・発行日
1959
著者
林 慎一郎 室町 泰徳
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画. 別冊, 都市計画論文集 = City planning review. Special issue, Papers on city planning (ISSN:09131280)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.853-858, 2008-10-15
参考文献数
16
被引用文献数
1

本研究では、東京都、神奈川県内から平成19年8月1日に放置車両取締り関係事務の民間委託が行われた4地域を選定し、制度変更前後で駐車している車利用者を対象としたアンケート調査を行った。この2回のアンケート調査結果を基に、違法駐車取締りの制度変更が車利用者の意識にどのような影響を与え、それと共に車利用者の駐車行動がどのように変化したのかを検討した。本研究の主な結論としては、1回目のアンケート調査において、路上を選択した車利用者の内、31%が2回目のアンケート調査において、駐車場を選択したことがわかった。また、駐車場所選択ロジットモデルの推定結果より、徒歩時間、駐車料金、反則金の意識などの通常の変数の他、車利用者の意識を表す変数のパラメータが有意に推定された。また、このような意識を表す変数を組み込んだモデルの方が取締り制度変更後の車利用者の行動をより良く説明できることが示され、車利用者の意識変化が駐車取締り制度の変更前後において、駐車場所選択行動に影響を与えたことが明らかにされた。
著者
山本 光朗
出版者
北海道教育大学
雑誌
史流 (ISSN:03869385)
巻号頁・発行日
no.40, pp.1-48, 2001-04
著者
石川 康晴
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1881, pp.68-71, 2017-03-06

僕は、14歳の頃に起業を決心しました。今で言う「(思春期の過剰な自意識などを指す)中二病」ともいえますね。周りの友だちが、少年漫画雑誌やファミリーコンピュータを買っているのに、僕はお年玉で洋服を買っていました。
著者
光岡 知足
出版者
公益財団法人 日本ビフィズス菌センター
雑誌
腸内細菌学雑誌 (ISSN:13430882)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.179-192, 2005 (Released:2005-08-31)
参考文献数
90
被引用文献数
6

皮膚,上気道,口腔,咽頭,胃,腸管,膣,尿道などには,それぞれ部位によって特徴的な常在細菌がすみつき,常在フローラを構成している.多くの常在菌は潜在的の病原性を有し,何らかの原因でこの平衡関係が破れると,いわゆる“日和見感染”を惹き起こす.平衡関係の乱れは,抗菌物質やステロイドホルモンの投与,外科手術,ストレス,糖尿病,過労,老齢などが原因となる.20世紀後半,腸内フローラの研究は飛躍的に進展し,腸内フローラの包括的培養法の開発,腸内嫌気性菌の菌種の分類・同定法,微生物生態学的法則,宿主の健康と疾病における役割などの研究が系統的に行なわれ,腸内細菌学が樹立された.腸内フローラ研究の発展がきっかけとなり,機能性食品(プロバイオティクス,プレバイオティクス,バイオジェニックス)が誕生した.1980年代,分子生物学的手法が腸内フローラの研究にも導入されたが,いまなお検討段階にある.これからの腸内フローラの研究として,以下が重要課題として挙げられる.(1)腸内に少数しか存在しない菌種を含めた腸内フローラの包括的分子生物学的定性定量解析法の一刻も早い開発が望まれる.さらに,分子生物学的手法によって認識される生息しているが培養困難な菌種の培養可能とし,その分類学的位置づけと生化学・病理学的性状の解明.(2)腸内フローラを構成する主要菌種の生化学的性状と細菌・宿主細胞・食餌成分間の相互関係.(3) 免疫刺激,解毒作用などを含む腸内フローラの機能の研究が推進されれば,機能性食品が生活習慣病・免疫低下・炎症性腸疾患などの予防・治療のために栄養補助食品および代替医療としての利用が可能となる.(4)このような研究を達成するには,1958~1992年に私が理化学研究所(理研)で行なったように,産学の共同研究組織をつくり,研究者の差別化を排除し自由かつ協調的に結集し,学界が中心となって研究を推進させることが望まれる.
著者
高橋 昌巳 一幡 良利 吉田 英一 佐々木 千鶴子 与那覇 朝英
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.36, no.11, pp.779-786, 1988

HeLa細胞の形成したmonolayerに肺炎桿菌を含む培養液を重層し, 菌の細胞吸着条件を求めた。その結果, 106CFU/ml以下の菌を含む培養液では3時間後の細胞吸着菌数が10<SUP>4</SUP>~10<SUP>6</SUP>CFU/mlに達した。肺炎桿菌を10<SUP>6</SUP>CFU/ml含むこの条件下で, AMKの<I>in vitro</I>のMIC濃度の10倍から100倍濃度を作用させ, 菌のHI寒天培地に発育できなくなる作用時間は10MICで18時間, 100MICで6時間後であった。しかしながら, L-プロス中では100MIC18時間作用後もなお48時間後に菌の発育が認められた。5種類の抗生物質の<I>in vitro</I>でのMICの100倍濃度を6時間作用させた結果では, DOXYがAMKと同様の結果を示したが, β-lactam系抗生物質ではHI寒天培地で10<SUP>2</SUP>~10<SUP>3</SUP>CFU/ml発育し, L-プロス中では10<SUP>-4</SUP>~10<SUP>-6</SUP>希釈管まで菌の発育が認められた。形態像はAMK100MIC作用後の光学顕微鏡的変化は認められなかったが, 走査電子顕微鏡的にはHeLa細胞と菌の両方が障害を受け, AMK除去後では細胞と菌の両方の回復してきた像が認められた。β-lactam系抗生物質では菌の伸長と内容物の吐出が光学顕微鏡下で認られた。
著者
稗田 蛍火舞 砂川 陽一 刀坂 泰史 長谷川 浩二 森本 達也
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.146, no.1, pp.33-39, 2015 (Released:2015-07-10)
参考文献数
73
被引用文献数
2 2

高血圧は心血管疾患,脳卒中などの疾患の発症につながる動脈硬化の主要危険因子の一つである.多くの臨床研究から血圧を管理することは,これらの罹患率,死亡率の減少につながることが明らかになっている.しかしこれらの合併症に対する予防効果は降圧薬を用いた治療をもってしても50%未満である.近年,健康的な食事が生活習慣病を予防するだけでなく,治療につながるのではと考え,食品の持つ効果について注目が集まっている.塩分制限,適度なアルコール摂取,およびカロリー制限などの食生活の改善が高血圧の予防のために重要である.また,古くから日本と中国で日常的に飲まれてきた緑茶は降圧効果を有すること,さらにはその有効成分はカテキンであることが明らかとなった.このように降圧効果を持つ食品に関して多くの研究が行われ,これらの機能性食品がレニン・アンジオテンシン系抑制や抗酸化作用,利尿作用,交感神経抑制作用,および血管拡張作用を有する一酸化窒素の合成促進作用などによって降圧効果を示すことが報告されている.今後これらの機能性食品を土台にして,日常の食生活を改善することによって血圧を管理し,健康寿命を延ばすことができると期待される.本総説は動物実験やヒト臨床試験で降圧効果を有することが報告されている機能性食品とその成分についてまとめたものである.
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1612, pp.92-95, 2011-10-17

ゲーム、漫画、アニメ、コスプレ、特撮――。日本のポップカルチャーは今や、世界的な人気を誇る。2011年6〜7月に仏パリで開催された「ジャパン・エキスポ」では欧州各地から日本の漫画・アニメ好きが殺到、会場は約20万人の来場者で埋め尽くされた。 「日本のポップカルチャーが、なぜ世界で受けているのか。
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1947, pp.46-49, 2018-06-25

12年4月、高速バスが防音壁に衝突し死者7人を出した関越自動車道の事故。「運転手の過労」が原因とされ、国はバス会社の安全対策不足を重く受け止め、今度は規制を大幅に強めた。 例えばバス運転手1人が運転できる距離を短くした。
著者
清水 孝教
出版者
東京法令出版
雑誌
捜査研究 (ISSN:02868490)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.64-74, 2019-05
著者
小池 宙 堀場 裕子 渡辺 賢治
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.178-183, 2016 (Released:2016-08-18)
参考文献数
31
被引用文献数
1

はじめに:抑肝散加芍薬厚朴に良好な反応を示した不随意運動を有した1例を経験したので報告する。症例:17歳の男性。6年前から突然体が反り返るような痙攣様の不随意運動を認めていた。精神科・神経内科等を受診し加療を受けるも改善を認めていなかったため,漢方治療を希望し受診した。抑肝散加芍薬厚朴を煎剤にて開始したところ不随意運動は徐々に軽減した。考察:抑肝散は明代の薛已の創方とされる。江戸時代に日本に伝えられ,様々な加味方も使用された。大塚敬節は先人の加味方を基礎に抑肝散加芍薬厚朴を考案し使用した。抑肝散加芍薬厚朴はエキス剤にないため昨今では使用される機会は多くないが,本例のように有効な緊張興奮を伴う症例には有効である。抑肝散との使い分けについては今後さらに研究が必要であると考えられる。