著者
相原 雄幸
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.451-456, 2007-05-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
39
被引用文献数
15

Food-dependent exercise-induced anaphylaxis (FEIAn) is a rare disease. The disease is classified into physical allergy and/or a subtype of food allergy. However, the pathophysiology and epidemiology are not well known. In this article we presented our studies of the epidemiology of FEIAn, in school students (elementary. junior-high, and high school) in Yokohama City and/or Kanagawa Prefecture, Japan. Also, we reviewed FEIAn cases in the literatures in Japan as well as in foreign countries. Six hundred and seven school nurses responded the questionnaire, 30 (Male : Female, 24 : 6) cases of FEIAn and 44 (M : F, 22 : 22) with exercise-induced anaphylaxis (EIAn) among 353977 students were reported. The frequency of FEIAn and EIAn was 0.0085% and 0.012%, respectively. Only one third of nurses had knowledge of FEIAn. We performed provocation tests in 11 of the 30 students with FEIAn and confirmed the diagnosis. We demonstrated transient increases in plasma histamine but not serum tryptase levels during the tests. The causative foods were mainly wheat and crustaceans in 170 Japanese cases and beans and wheat in foreign countries. As for exercise, ball games and running were more frequent sports in both groups. The age of first episode of FEIAn was 10 to 20 years old in most cases. Provocation test often fails to induce symptoms. In addition, we do not have the standard method. Now we are establishing the protocol. FEIAn and EIAn are relatively rare among school students in Japan. There is no evidence to prevent the onset of FEIAn with medicines. Therefore, to avoid serious outcomes and unnecessary restriction, we believe it is important to be familiar with the diseases for not only physicians, but also school nurses and teachers of physical education.
著者
永田 和宏
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.82-83, 2016-02-20 (Released:2017-06-16)

我が国独特の砂鉄製錬法であるたたら製鉄で造った和鉄は,表面がFeOや黒錆び(Fe_3O_4)で覆われることで錆びはほとんど進行しない。和鉄中の過飽和酸素が加熱や湿気などを契機に分解し瞬時に緻密な膜で覆われる。たたら製鉄や大鍛冶の脱炭工程,小鍛冶の工程で,1,500℃以上の固液共存状態で酸素を吸収し,急冷凝固して酸素は過飽和に固溶する。
著者
猪瀬 優理
出版者
北海道社会学会
雑誌
現代社会学研究 (ISSN:09151214)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.61-79, 2000-06-30 (Released:2009-11-16)
参考文献数
24
被引用文献数
1

本稿は,教団の持つ性別役割観が信者の「入信動機」に与える影響を検証している。本稿では,宗教集団の呈示する性別に関するディスコースを,教団の「ジェンダー」(男性/女性の区分基準)を構成するものとして分析対象とした。事例分析においては,「入信動機」を信者の主観的構成物と見なして,そこに現れる男女差について検討した。このような方法論を用いる理由は,次の二つである。1)「入信動機」は,自分の信仰を自分の人生の中に位置づけようとする場合,何度も解釈し直されるものであること。2)その際には,「性別」というカテゴリーが重要な準拠枠となりうること。創価学会員の「入信動機」を分析した結果から,以下の2点の知見が得られた。1)男性は「入信動機」を,自分の職業に関わる問題などの「自分自身の問題」として捉えようとする傾向が強い。2)女性は,子どもや家族のこと,結婚,母親からの信仰を継承した事など,「他者との関係性」から信仰を位置づける傾向が強い。創価学会は,「男性は職場,女性は家庭と社会」という性別役割観を持っている。事例分析から,このような教団の性別役割観が信者に受容されていることが事例から確認された。そのとき,信者は,受動的に教団の性別に関わるディスコースを受容しているのではなく,自分の人生を肯定的に解釈する為の道具として能動的に教団のディスコースを利用している側面が確認された。
著者
木村 弘志
出版者
東京大学
巻号頁・発行日
2020

審査委員会委員 : (主査)東京大学准教授 両角 亜希子, 東京大学教授 福留 東土, 東京大学教授 牧野 篤, 東京大学准教授 小方 直幸, 東京大学准教授 中島 英博

6 0 0 0 OA 7.花粉症

著者
斎藤 洋三
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.91, no.9, pp.2627-2629, 2002-09-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
15
著者
山崎 剛史 亀谷 辰朗 太田 紀子
出版者
公益財団法人 山階鳥類研究所
雑誌
山階鳥類学雑誌 (ISSN:13485032)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.31-40, 2017-08-31 (Released:2019-03-09)
参考文献数
19
被引用文献数
1

Japanese names are a useful tool for Japanese speakers to communicate about birds. However, over 30 years have already passed since the most influential book treating all modern birds and providing Japanese names, “A World List of Birds” (Yamashina 1986), was published. During that time, the classification of birds has undergone major changes. Here we provide a revised list of Japanese names of owl species (Strigiformes) which adopts the latest classification system (Gill & Donsker 2017). When compiling our list, we paid attention to ensuring the stability, brevity and correctness of Japanese names.
著者
松本 太 三上 岳彦 福岡 義隆
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.79, no.6, pp.322-334, 2006-05-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
23
被引用文献数
6 7 3

本研究では東京都区部において2004年春のソメイヨシノの開花日を調査し,気温分布との関係を考察した.その結果,開花日の分布は2004年3月の平均気温の分布とよい対応を示しており,都心部の高温域で開花が早く,郊外部の低温域で遅い傾向がみられた.よって,ヒ-トアイランド現象が開花日に影響を与えていることが明らかとなった。また,開花日と3月の平均気温との関係は,温度変換日数(積算気温のモデル)を用いて,開花日に至るプロセスを評価することによって裏付けられた.各観測地点における開花日から2004年3月の平均気温を推定し,その精度を実測値との比較により評価した.その結果,推定値と実測値との誤差はほとんどの地点で±0.3°C以内で,二乗平均平方根誤差(RMSE)は0.2°Cであった.よって開花日がヒ-トアイランドなどロ-カルスケ-ルの気候環境を表す指標となり得ると考えられる.
著者
児玉 圭司
出版者
法制史学会
雑誌
法制史研究 (ISSN:04412508)
巻号頁・発行日
vol.64, pp.1-57,en3, 2015

<p> 本稿は、明治前期における監獄制度の展開を、受刑者に対する規律という観点から捉えようと試みるものである。<br> 本稿ではまず、日本における死刑の不可視化と、身体刑から自由刑への完全な切り替えが、いずれも一八八二年の旧刑法施行によって達成されたことを明らかにした。<br> 監獄の規律に関する最初の変化は、一八七三年以降にあらわれる。その内容は、以前と比べて、受刑者の生活や行動に関するルールが厳格化されるというものであった。これは、自由刑の採用によって受刑者が急増したこと、およびそれにともなって彼らを管理・統制する必要が生じたことによるものである。<br> 一八七六年以降、東京警視庁や内務省による主導のもと、各地の監獄において、受刑者をその習熟度に合わせて教育し、あるいは服役態度を評価するといった統治技術が新たに導入されている。その背景には、西洋の法制度に関する知識の流入と、これによって生じた改革機運があった。<br> その後、一八八二年になると、監獄制度の設計者は、監獄の目的は受刑者を「良民」に作りかえることにあると理解するようになる。そして彼らは、規律への順応に応じた優遇措置など、受刑者の内面に働きかけるさまざまな統治技術を、法制度の中に組み込んだのである。<br> しかし、少なくとも一八八七年にいたるまで、監獄行政の現場では、過酷な労働を科すなど、肉体的苦痛を与えて懲ら しめることによってこそ受刑者の改善がもたらされるとの主張が根強く、先に記した統治技術は十分に活用されるにはいたらなかった。その背景には、国家が受刑者の労働力を求めていたという実情や、当時流行していた、刑罰に対する復古的な思潮が影響を与えていたものと考えられる。</p>
著者
倉橋 隆
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.240-246, 1998-09-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
22

われわれの香り感覚は鼻腔内の嗅細胞繊毛膜において始まる。この情報変換の分子機構はGタンパク介在性の二次メッセンジャー系によって仲介され, 最終的には細胞膜の陽イオンチャネルを開口し, 一価陽イオンや二価陽イオンを細胞内に流入させることによって, 化学信号を電気的信号 (生体信号) に変換する。陽イオンチャネルを通るCaはさらに二つの重要な役割を果たすことになる。一つは, 細胞内からClチャネルを開口することで, イオン環境が変化した場合にもイオン電流を恒常的に保つ役割をもつ。また, cAMP感受性イオンチャネルに対してフィードバックをかけることによって, 細胞の順応を引き起こす。これとは別に, においマスキングはにおい物質そのものによってイオンチャネルが閉じてしまうことが原因らしい。