著者
内田 健太
出版者
北海道大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2017-04-26

本研究の目的は、人馴れ・餌付けがエゾリスの人に対する攻撃性を高める可能性について検証することである。これまで、人に馴れたり餌付いた野生動物(例えば、北米イエローストーンのクマや奈良公園のシカ)が人に攻撃的になることが知られている。しかしながら、こうした人為介入がなぜ野生動物の人に対する攻撃性を高めるのかは、未だ科学的に検証されていない。そこで、本研究では過度な人馴れにより、同種に対する攻撃性が人に対する反応にも波及するという新しい枠組みを提示する。餌付けは、野生動物を誘引しエサ台などの局所的な個体密度を高める。こうした環境では、資源を巡る競争が激化し、個体の攻撃性が高まりやすいとされる。そして、こうした攻撃性はしばしば別の対象にも波及すること(漏洩効果Spillover effect)が知られる。つまり、過度の人馴れで全く人を恐れなくなった結果、リスの攻撃性の高まりが人への攻撃性にも波及していると考えた。本研究では、集団の攻撃行動の頻度、個体の同種に対する攻撃性の性格、個体の人への攻撃性を調べることで、上記の仮説を検証にする。平成29年度は、データサンプリングを中心に行った。餌付けされている生息地では、餌付けのされていない生息地よりも、リス同士の争い合いの頻度が高いことが分かった。また、こうした生息地では、人に対する攻撃性も高いことが分かった。現在、約90頭のリスについて、Open field test(同種に対する攻撃性を測る行動実験)を実施しており、行動分析を行っている
出版者
福神出版部
巻号頁・発行日
vol.昭和11年版, 1936
著者
高橋 文博
巻号頁・発行日
2017-03

就実大学

1 0 0 0 OA 難波鑑

著者
一無軒道冶
巻号頁・発行日
vol.[2], 1680
著者
西村 智博
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2018, 2018

<b>1.</b><b>はじめに</b><br><br> 筆者は大学3年生の巡検で初めて地形分類図を作り,その後二十数年間,コンサルタントとして毎年日本のどこかで地形分類図を作成するような業務に携わってきた.<br><br>研究機関と異なり,コンサルタントでは顧客のオーダーに応じて地形分類図を作成することが多く,その結果,山地・低地,寒冷地・温暖地を問わず,全国各地の様々な地形に出くわしてきたと思う.<br><br> ここでは,地形分類図について,製作者・利用者双方の立場から,作業上感じている課題や利活用の事例,将来の展望について述べたい.<br><br><b>2.</b><b>製作者の立場から</b><br><br> 市町村単位やそれより狭い地区単位であれば,地域の特性に応じた凡例を検討し,実情に即した地形分類図を作成しやすい.<br><br> しかし,土地条件図や治水地形分類図,土地分類基本調査など,全国や都道府県レベルで統一された基準で整備される地形分類図では,一定の範囲の地形を標準的な凡例に適合するように分類しなければならないため,地域特有の地形を表現するのに苦心することがある.<br><br> 治水地形分類図を例にすると,「氾濫平野」から1~2m程度の標高差ながらそれと識別される低い「段丘」や,それが徐々に低地に埋没していくエリアの表現,谷の出口に形成される「扇状地」と「山麓堆積地形」の使い分けにはいつも頭を悩ませる.作業時間の制約もあり,これらの区分を主に空中写真やDEMデータから瞬時に判断しようとするのであるから,悩みはなおさらである.<br><br>GISデータとして整備・表示すると,あたかもその境界がハッキリしているように見えてしまうが,実はかなり境界が不明確な場合も多いのである.<br><br>低い「段丘」の場合,「段丘崖」を描かずに直接他の地形面と接するようにしたり,土石流や洪水流によって形成された地形はなるべく「扇状地」として描いたり,製作者なりにはいろいろ工夫して凡例を適用しているつもりではあるが,うまく利用者にそれが伝わっているか・・・甚だ不安である.<br><br><b>3.</b><b>利用者の立場から</b><br><br> ある地区で豪雨災害が発生したとする.さて,どこが大きな被害を受けているか,報道などの部分的な情報だけではなかなか全体像が把握できない.そこで私たちは,すでに整備されている地形分類図を眺めて,点の情報を面に変換するような作業を行っている.「〇〇地区で浸水」という情報があれば,その地区の地形を見て,同様の地形種では同様の災害が起きているのではないかと推測し,そういった地区を重点的に調査するのである.<br><br> 2017年7月には,活発な梅雨前線の影響によって,秋田県雄物川流域で河川の氾濫や土砂災害等の被害が発生した.家屋の浸水が少なく,地方で発生したということもあり,首都圏ではあまり大きな報道はなされなかったが,数十枚の斜め写真が撮影され,すでに整備されている治水地形分類図から浸水範囲は旧河道部が中心であることが読み取れた.<br> このように,広域に整備されている地形分類図は,災害箇所と地形の関係を検討するのに役立ち,逆に,災害が起きる前でも,地域の災害特性を理解するのに大いに役立つのである. <br><b>4.</b><b>今後の地形分類図への期待と課題</b><br><br> これまでの地形分類図は,基本的には「印刷図」としての利用を念頭に作製され,製作目的に応じて凡例が取捨選択されてきた.しかし,近年,地形分類の成果はGISデータとして整備・利用されることがほとんどであることから,発想を変えて,使用者が使用目的に応じて凡例を切り替えられるような仕組みに転換できないであろうか? 例えば,地形分類の凡例を大分類・中分類・小分類・細分類・・・といった具合に階層化して属性を持たせ,使用目的や縮尺に応じて容易に表示を切り替えられるようにするのである.<br><br> また,近年,地形計測技術も格段に進化してきている.例えば,精細な航空レーザ測量では樹木に隠れた数十cmオーダーの微地形も表現できるようになってきており,このようなデータが我が国の国土の半分以上を占めるようになってきている.これに伴って,新たな次元での地形解析が可能となっているが,解析技術が未だ追いついていない.詳細な地形データを判読して詳細に区分することにより,防災や土地利用などに地形分類の成果が活かせる可能性があることから,これらの利活用も十分に検討する必要がある.<br><br> 最後に,地形分類図の作成に関する課題をいくつか挙げておく.地形分類図は,国土の開発に先駆けて整備されてきた面があり,1970年代に技術が広まった.その後,細々と整備が進められているが,熟練技術者の高齢化が進み,作業機会も減少していることから,経験伝承の機会が減少している.<br> 最近,AIを利用した地形評価の取り組みが行われつつあるが,熟練工の経験を次世代にうまく引き継げるような仕組みを早急に検討する必要がある.
著者
松尾 奈々 村田 伸 宮崎 純弥 甲斐 義浩
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.25, no.6, pp.995-998, 2010 (Released:2011-01-28)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

〔目的〕本研究は,高さの異なるヒール靴を着用した安静立位時の胸椎後彎角および腰椎前彎角の変化について検討した。〔対象〕健常成人女性27名(平均年齢21.4±2.5歳,平均身長158.3±5.0 cm,平均足長23.8±0.5 cm)とした。〔方法〕測定は,視線を正面に向けた安静立位姿勢を基準に,裸足とヒール高3 cm,6 cm,9 cmのヒール靴を着用した姿勢の胸椎後彎角および腰椎前彎角の変化を比較した。〔結果〕胸椎後彎角および腰椎前彎角は,ヒールの高さを変えても,有意な変化は認められなかった。〔結語〕ヒール靴着用は,安静立位姿勢の保持において脊椎彎曲角に影響を与えるとは言い切れないことが示唆された。
著者
水野 真理子
出版者
富山大学ヘルン(小泉八雲)研究会
雑誌
ヘルン研究
巻号頁・発行日
vol.4, pp.28-40, 2019-03-31

アメリカにおける日本表象の系譜について考察する際には、ハーンの日本関連著作の検討は避けられないだろう。それと同時に、近年注目を集めている女性作家エツ・スギモト(杉本鉞子)による『武士の娘』(A Daughter of the Samurai)(1925)を代表作とした彼女の数々の作品も、分析対象にする必要があると思われる。そこで、両者の作品を日本表象の観点から比較し、類似点、および相違点などを確認したい。さらにハーンとスギモトがアメリカの作家や後に続く日本文化論者に、どのように評価されたのかを探ってみたいと思う。そして、そこで得られた結論を、今後の日本表象の系譜考察の一助としたい。
著者
シュールハンマー ゲオルグ
出版者
慶應義塾大学
雑誌
史学 (ISSN:03869334)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.491-519, 1940-12

緒言一 生涯二 「日本教會史」のプラン三 「日本教會史」のプランの實現四 ロドリゲス神父の「日本教會史」の價値
著者
立花 潤三 迫田 章義 門脇 亙 山田 強 玉井 博康 稲永 忍 鈴木 基之
出版者
社団法人 環境科学会
雑誌
環境科学会誌 (ISSN:09150048)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.123-133, 2011

低炭素社会に向けた厳しい目標の達成には産業部門,民生部門等すべての部門における低炭素化の努力が不可欠であり,我が国の燃料消費の約15%を占めるとされる食料生産・輸送も当然にその対象に挙げられる。本研究ではまず,鳥取県において現在生産されている食料によって鳥取県民全員の栄養素を賄えるか(県内食料自給自足)の検討を行った。その結果マンガン,パントテン酸が少量不足する以外,他の19種類の栄養素に関しては県内産食料で賄え,一部栄養素に関しては供給過多であることが分かった。次に,県内食料自給自足の条件下において,移入だけを行わない場合は現状の生産・輸送エネルギーの約1割,生産量を一律1割削減した場合は約2割,現在県内生産量が2000[t/year]を超える食料品のみを生産することを条件とした場合には約3割,そして最もエネルギーが小さくなる食料生産を選択した場合には約5割のエネルギーを削減する事ができることが推算された。
著者
高梨 芳崇 川瀬 哲明 沖津 卓二 八幡 湖 奥村 有理 佐々木 志保 宮崎 浩充 香取 幸夫
出版者
一般社団法人 日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.136-142, 2015-04-28 (Released:2015-09-03)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

要旨:小児期における聴覚障害は言語発達, 学習, 心理面に大きな影響を与えるため, 早期発見と支援, 療育が重要とされている。難聴の早期発見のためには新生児聴覚スクリーニングが有用とされており, 現在では全国的に普及している。難聴の早期発見ができるようになったことに伴い, 難聴児への早期支援体制の充実が必要であると考えられている。しかし, 難聴児に対する早期支援体制に対しては地域格差があり, フォローアップに不十分な点がみられることもある。今回, われわれは宮城県の小児難聴の医療, 療育の現状と問題点について報告した。本県の新生児聴覚スクリーニングの施行率には地域差があり, 特に仙台市以外の地域では満足できるレベルに達してはおらず, 難聴児の発見の遅れに伴う, 療育開始の遅れが問題となる症例が散見された。また, 新生児聴覚スクリーニング後の家族への心理的サポートについても改善の必要性があるように思われた。これらの問題を解決するためには医療, 療育, 行政の連携が大切であり, 耳鼻咽喉科医師の主導のもと, 緊密に連携をとるよう努力していくのが望ましいと考えられた。