著者
小林 茂人
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.47-51, 2012 (Released:2012-07-27)
参考文献数
10

反応性関節炎とは, 広義には関節以外の部位の微生物感染後におこる無菌性の関節炎である. レンサ球菌感染症に起因する反応性関節炎は海外ではpoststreptococcal reactive arthritisと呼ばれ, リウマチ熱との異同が論議されている. 扁桃炎に続く反応性関節炎の多くはレンサ球菌感染に起因するがレンサ球菌以外の微生物によることも多いので注意する必要がある. 扁桃炎に伴う反応性関節炎の多くは抗生物質治療によって治るが, 関節炎が持続する症例には抗リウマチ剤治療は有効ではなく, 扁桃摘出術によって完治する. つまり, 扁桃の陰窩膿瘍を除去することによって関節炎が治るという「病巣感染」である. このため, 本疾患は「扁桃摘出によって完治する関節炎」として, 耳鼻科医との医療連携においてきわめて重要なリウマチ性疾患である.
著者
加藤 慶信
出版者
日経BP社
雑誌
日経Linux (ISSN:13450182)
巻号頁・発行日
vol.13, no.11, pp.46-49, 2011-11

Linuxデスクトップを導入する企業や自治体が増えている。大阪府にある交野市役所と箕面市内の小中学校は、2010年にUbuntuベースのLinuxデスクトップを導入した。Linuxデスクトップをサポートするベンダーがほとんどない状況のなか導入に踏み切った背景と導入時の工夫をリポートする。
著者
岩佐 麻未 高沢 百香 伊藤 晃 牧野 七々美 城 由起子 松原 貴子
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0425, 2015 (Released:2015-04-30)

【はじめに,目的】疼痛に対する理学療法の有効性に関して1990年代より系統的な取りまとめが各国でなされ,その中でも運動は強く推奨されている。そのエビデンスは,近年の運動による疼痛緩和(exercise-induced hypoalgesia:EIH)に関する報告で示されているが,いずれも高強度・長時間の運動による効果であり(Julie 2010),疼痛患者に処方することは難しい。また,疼痛に対する理学療法を想定すれば低負荷の有酸素運動が適するが,歩行やランニング,自転車運動など有酸素運動の方法による効果の違いは明らかにされていない。一方,これまで我々は3METs程度の歩行,自転車エルゴメーターによる下肢運動,クランクエルゴメーターによる上肢運動の低負荷有酸素運動により広汎なEIHが得られる可能性について報告した(山形2013)。しかし,個人の運動耐性能により身体へ負荷される運動強度は異なることから,運動強度を統一したうえで運動方法の違いによるEIH効果を厳密に比較するまでには至っていない。そこで本研究では,個々の運動耐性能をもとに運動強度を統一し,歩行,下肢運動,上肢運動といった運動方法の違いによるEIH効果について比較検討した。【方法】対象は,健常成人45名(男性22名,女性23名,年齢21.4±0.7歳)とし,全身運動群,下肢運動群,上肢運動群の3群(各群15名)に無作為に振り分けた。全身運動群はトレッドミル(STM-1250,日本光電)による歩行,下肢運動群は自転車エルゴメーター(Ergociser EC-1200,キャットアイ)による下肢ペダリング運動,上肢運動群はクランクエルゴメーター(881E,Monark)による上肢ペダリング運動を各20分間行わせた。また,運動強度は予測最大心拍数を算出し,Karvonen法を用いて40%heart rate reserve(HRR)に設定した。評価項目は,圧痛閾値,心拍変動,および主観的運動強度の指標であるBorg scaleとした。圧痛閾値はデジタルプッシュプルゲージ(RX-20,AIKOH)を用い,僧帽筋,上腕二頭筋,前脛骨筋にて運動前(pre),運動終了直後(post 0)および15分後(post 15)に測定し,pre値で除した変化率を測定値とした。心拍変動は携帯型心拍変動記録装置(AC-301A,GMS)にて心電図を実験中経時的に記録し,心拍数,および心電図R-R間隔の周波数解析から低周波数成分(LF:0.04~0.15 Hz),高周波数成分(HF:0.15~0.40 Hz,副交感神経活動指標)とLF/HF比(LF/HF,交感神経活動指標)を算出し,圧痛閾値の測定に対応した時点のそれぞれ前1分間の平均値を測定値とした。統計学的解析は,経時的変化にはFriedman検定およびTukey-typeの多重比較検定,群間比較にはKruskal-Wallis検定およびDunn's法による多重比較検定を用い,いずれも有意水準は5%とした。【結果】圧痛閾値は,3群とも全ての測定部位にてpreに比べpost 0で上昇し,全身運動群では全ての測定部位,下肢運動群では上腕二頭筋と前脛骨筋,上肢運動群では前脛骨筋でpost 15においても上昇を示した。また,全身運動群は他群に比べ僧帽筋のpost 15で高値を示した。心拍変動は,3群ともpreに比べ運動中にHFが減衰,心拍数とLF/HFが増大し,群間に差はなかった。またBorg scaleも群間に差はなかった。【考察】すべての運動方法で,運動中の心拍数,自律神経活動,主観的疲労感は同程度であったことから,個々に負荷された運動強度は同一であった。運動方法にかかわらず非運動部を含め広汎な痛覚感受性の低下,およびその持続効果を認め,さらにその効果は全身運動で最も顕著であった。有酸素運動に関する先行研究では,60%HRR以上の高強度負荷によりEIHが生じ,さらに30分~2時間の負荷でその効果は大きいとされている(Kodesh 2014, Naugle 2014, Hoffman 2004)。しかし今回,低負荷・短時間の運動であっても,その方法にかかわらずEIHが生じた。さらに,歩行のようなより広範部の運動の方がEIH効果は大きかったことから,有酸素運動のEIHは全身性の運動で効果が増大する可能性が示唆された。【理学療法学研究としての意義】有酸素運動は低負荷であっても疼痛を緩和させ,特に,誰もが簡便かつ安全に行える歩行のような全身性の運動がより大きなEIH効果をもたらす可能性が示されたことは,疼痛マネジメントとしての運動療法を確立する一助となる意義深い結果である。
著者
FUJIE Ryo ODAGAKI Takashi
出版者
The Physical Society of Japan
雑誌
J Phys Soc Jpn (ISSN:00319015)
巻号頁・発行日
vol.80, no.12, pp.124802-124802-5, 2011-12-15
被引用文献数
1

The aim of this paper is to understand the condition of emergence of social hierarchy in a competitive society. We introduce a minimal model which incorporates cost for participating in fighting in order to understand effects of the difference between the gain for a winner and the loss for a loser. We show numerically and analytically that phase transition from an egalitarian state to hierarchical states occurs in two steps as the frequency of fighting is increased for any value of cost except when the reward is equal to the cost or to twice of the cost, and when no cost is required. Furthermore, we determine the phase diagram consisting of one egalitarian phase and three distinct hierarchical phases in the parameter space of the cost and the frequency of fighting.
著者
深田 陽子 山口 泰
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グラフィクスとCAD(CG) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.109, pp.109-114, 2008-10-31

本研究では,年代別の魅力顔に着目し,年齢相応という条件の下,魅力度を高める顔画像の操作法の実現を目的とする.顔の見た目の年齢推定には,各年代を代表する典型的な顔をサポートベクターマシンによって学習させ,年齢判別ベクトルを求めた.この年齢判別ベクトルに各顔の特徴ベクトルを投影し,年齢推定の判断基準として用いた.顔の魅力操作にあたっては,性別や年代といった要素とは独立して,魅力的/非魅力的と感じさせる要素があるものと仮定し,年代ごとの魅力顔について調査した.以上を踏まえた上で,入力画像に対して見た目の年齢を保ったまま顔の魅力を増減するために,入力画像の年代を推定し,その年代における魅力顔に近づける操作法を示す.Most previous computational works related to facial beauty analyze facial attractiveness and generate beautified images using only young facial images. Therefore, when elderly faces are beautified by previous methods, the modified images tend to look much younger, largely changing their perceived ages. In this paper, we assumed that characteristics of facial attractiveness differ between young, middle-aged and old, and present a method to increase/decrease facial attractiveness under the condition where the image's perceived age is maintained. Our approach includes estimation of perceived age by using SVM and analysis of characteristics of attractive/unattractive faces for each group age using PCA. The experimental results show that the proposed method successfully manipulates facial attractiveness at one's age.
著者
樋本 圭佑 幾代 健司 秋元 康男 北後 明彦 田中 哮義
出版者
日本火災学会
雑誌
日本火災学会論文集 (ISSN:05460794)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.53-63, 2006-12-25
参考文献数
20
被引用文献数
2

本論文では,筆者らがこれまでに開発してきた都市火災性状予測モデルに対して,放水の物理的火災抑制効果,ならびに都市火災時における住民の消火活動行動を組み込むことで,可搬ポンプ等を利用した地域消火活動の有効性を定量的に評価可能なモデルヘと発展させた。ケーススタディとして,同形状の建物が等間隔に並んだ仮想的な市街地に本モデルを適用し,消防水利の整備状況が市街地の火災安全に及ぼす効果について基礎的な検討を加えた。<br>(オンラインのみ掲載)
著者
谷口 倫一郎 大田友一 美濃導彦 石黒 浩 桑島 茂純 和田 俊和
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.2, pp.85-87, 2002-01-17

「大量カメラを用いなければ得られない情報とは何か」、「大量カメラを用いたシステムにおいて通信が果たす役割」、「大量カメラを用いたシステムの今後の展望」などのテーマについて各パネラーの意見を述べ、これをもとにして「大量カメラとネットワーク」の今後について展望する。In this panel, we will discuss varieties of topics, e.g.,``What is the intrinsic information obtained only by mass-camera system?'', ``What is the role of `communication' in mass-camera system?'', ``Future systems based on mass-camera''. Through the discussions, we hope to have a vision of the future in this research field.
著者
富永 恭和
出版者
紙パルプ技術協会
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.12, pp.1459-1464, 2009-12-01
参考文献数
2

においは臭・匂と感覚の影響が大きく100人100様であり,色々な研究からも個人差の大きい器官を有している事が証明されている。<BR>近年,臭気苦情の発生は大きな様変わりを見せている。昭和40年代は畜産等第1次産業を中心に苦情の発生が多かったが,住宅地近辺からの移動により苦情は減少に転じた。そして第2次産業の公害対策(騒音・振動・水質等)が進むにつれ,臭気問題が表面化する。住民の移動(マンション・住宅街の造成)による工場周辺を囲むような街づくりが新たな苦情を起こしていることも要因の一つであると考える。第3次産業といわれるサービス業からの苦情対策は現状の悪臭防止法では追いきれない部分があり今後の課題になっている。<BR>本報では,嗅覚の仕組みと特性,悪臭防止法の制定から改正にいたる流れ,三点比較式臭袋法による臭気の数値化(臭気指数)とパネラー(三点比較式臭袋法被験者)選定による資格,更には紙パルプ及び他分野の発生臭気と対策,環境省の薦める感覚環境の街づくりといったにおいを利用した取組み等を報告する。
著者
高崎地域大会実行委員会
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.178-183, 2005-06-30

2004年度の地域大会を10月23〜24日に開催した.23日午後より24日午前中まで,シンポジウムに出演いただくパネラーの案内により群馬県内を巡検し,地域の実情を視察した(川場村泊).巡検終了後,24日午後に高崎経済大学にてシンポジウムを開催した.巡検の参加者は34名,シンポジウムの参加者は70名(うち会員46名)であった.巡検宿泊先の川場村で新潟県中越地震が発生し,新潟県出身者やそこからの参加者の留守宅や親類の安否が心配されたものの,両日とも天候に恵まれ,成功裡に全日程を終了することができた.なお,巡検は,高崎経済大学地域政策学部の戸所隆氏,津川康雄氏に御案内いただいた.シンポジウムのコーディネーターは,千葉立也(都留文科大),西野寿章(高崎経済大)がつとめた.
著者
立川 一義 大坊 郁夫
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.307-309, 2000
被引用文献数
1

『コミュニケーションの円滑化をたすける香り』をテーマに創作した香水のパーソナルスペース (以後PSと略す) 減少効果を測定し興味深い結果を得た。大学生パネラー30名の協力を得て, 香りなし, 創作香水A, 創作香水B, の3条件で, 前後左右4方向について, ストップデイスタンス法によりPS計測を行った。その結果, 香りなしに比べ, 香水A, Bはそれぞれ面積比換算で50%, 20%のPS減少効果がみとめられた。PS減少の原因を子細に論ずることはできないが, 減少効果のより大きかった香水Aと小さかったBの香りの印象を比較してみた。すると, 香水Aは刺激的, 香水Bは親しみやすいという印象としてとらえられていた。この結果は「嗜好性の高い香りほどPS減少効果が大きいのではないか」という想像に反するもので興味深い。
著者
石川 伸一 吉成 愛未 濟渡 久美
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.30, 2018

【目的】<br><br>低温調理は食材を一般的な調理温度より低い55℃~90℃程度の温度帯でじっくり加熱する調理法である。長時間加熱することで軟らかくなり,また真空包装して調理することにより様々な長所を有する。近年この真空低温調理が注目され,種々の食事提供の場で幅広く活用されているが,長時間調理の報告はほとんどされていない。そこで,真空低温調理によるリンゴへの長時間加熱の影響を検討することを目的とした。<br><br>【方法】<br><br>リンゴは8等分にし、30%濃度のシロップを添加後、真空パックし、それぞれ60,70,80,90℃の湯浴中で1,12,24,48時間加熱調理し、色差測定とテクスチャー測定を行った。70℃で加熱したリンゴを用いて,18歳~23歳の男女66名をパネラーとした官能評価を行った。「かたさ」「甘さ」「酸味」「香り」「色」「総合評価」の6項目をそれぞれ7段階評価で行った。<br><br>【結果】<br><br>色差測定では60℃調理と70℃12,24時間のサンプル間を除いたほとんどのサンプル間で,同じ温度条件で時間経過に伴い明度が有意に低下した。加熱時間が長くなるほど,褐変が進行すると考えられる。テクスチャー測定では70℃サンプルでは時間の経過に伴い有意にかたさの値が減少した。70℃調理では調理時間が長くなるほどペクチンの分解が進むと考えられる。官能評価では,理化学試験の結果と同様に,硬さと色は時間の経過とともに値が有意に減少した。しかし,甘さ,酸味に関して,理化学試験ではみられなかった有意差がみられた。
著者
藤田 欣也
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム (ISSN:13487116)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.195-204, 1996-07-25 (Released:2016-12-05)
参考文献数
20

The feasibility of a self-organized change of stretch reflex gain caused by the passive change of the ankle joint angle was discussed in the human soleus muscles. The amount of the maximal amplitude of Hoffman (H) reflex, normalized by the maximal direct motor (M) response, was used to evaluate the excitability of the soleus motoneuron. The H reflex amplitudes in 1) normal standing, 2) ten degree dorsiflexion, 3) ten degree plantarflexion, were measured in standing posture, and also in sitting posture with the same ankle joint angles, in ten neurologically intact subjects. The normalized H-reflex amplitude was decreased from 38 percent to 32 percent by dorsiflexion and increased to 44 percent in sitting posture. The amplitude in standing posture was also decreased 41 percent to 39 percent by dorsiflexion and increased 42 percent by plantarflexion. It was suggested that the motoneuron pool is inhibited by passive dorsiflexion and facilitated by passive plantarflexion. In 24 of the 30 inhibition by dorsiflexion was indicated in sitting posture; however, only 17 indicated the inhibition in standing posture. In 25 of the 30 facilitation by plantarflexion in sitting posture was indicated; however, only 16 indicated facilitation in standing posture. The tendency of the inhibition and facilitation was obvious in the sitting posture but not clear in the standing posture. Therefore, the change of the reflex loop gain appears to have no relation to the higher center control system such as that for postural control, and seems to be a local self-organized adaptation. Two hypotheses were proposed: 1) in feedback gain compensation, the change is for compensation of the muscle spindle sensitivity change, 2) in stiffness compensation, the change is for compensation of the nonlinearity of the joint stiffness. Measurement of the response to the mechanical perturbation is required to obtain answers for these hypotheses.
著者
井田昌之 小方一郎 久門耕一 中島浩 日比野靖 丸山勉
雑誌
情報処理学会研究報告計算機アーキテクチャ(ARC)
巻号頁・発行日
vol.1990, no.78, pp.1-3, 1990-09-28

今回の討論会においては、討論に先だって、各パネラーの立場を明確にしていただいた。特に、「記号処理マシンは生き残れるか?」という間に対する回答を各パネラーに示していただき、それらを本討論会の基礎とすることにした。以下は、各パネラーから寄せられた回答をまとめたものである。この文章と同じ物は、討論会の10日ほど前に、あらかじめ各パネラーにお送りしてある。したがって、本討論会では相手の論点を踏まえた上での議論が展開されるであろう。また、自分の議論の弱点を補強したり相手の議論の欠点を突いたりして、さらに白熱した討論も期待できる。
著者
滝沢 茂男
出版者
バイオフィリア リハビリテーション学会
雑誌
バイオフィリア リハビリテーション学会研究大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2013, pp.109-122, 2013

<tt>一般的に歩行器は滑りやすい、歩行時に片方を持ち上げて進まなければならない、段差を越えにくいなど使用上の理由からリハビリテーションアプローチ、特に家庭内ではあまり利用されていないのが現状である。そこで我々は通産省:新エネルギー・産業技術総合開発機構より研究助成を受託し、総合リハビリテーション第15巻第6号に紹介した歩行器をさらに改良し、滑り過ぎず、段差を越え易いソリ付き歩行器を開発した。 特徴を1-7に示す。1、前輪に3度の傾斜角度でソリを取付け固定し段差を越え易くした。2、前輪に取り付けたスキー状の滑り板を前後移動することにより、床材の違いによる滑り板の摩擦の調節を可能とした。3、滑り板の後部を反らせることにより、歩行器の後退がいっそう容易となった。4、滑り板と安定脚の取付部に合成ゴムを挟んだ事により、接地がなめらかになった。 5、歩行器に取り付けた腰掛け板をシャワー椅子にも併用可能なよう、Uの字の切込みを入れたプラスチック板製とした。6、シャワー椅子としての使用も考え、後輪にストッパーを取り付けた。7、歩行器の支柱を差し込み式にし、使用者の身長に合わせて高さ調節できるようにした。 </tt><tt>東京大学医学部整形外科主管の治験を行った。治験委員会は後に、21世紀リハビリテーション研究会、バイオフィリアリハビリテーション学会、高齢市民が活躍するための社会技術研究会、International Biophilia Rehabilitation Academyの基礎となった。また使用の効果を論文等で明らかにした。 さらに、1995年度NEDO事業報告会では、パネラーを務め、ノーベル賞を受賞された江崎玲於奈氏と同席をし、記念署名を得ている。</tt>
著者
阿知波 信夫 片寄 政彦 阿部 一博
出版者
日本食品保蔵科学会
雑誌
日本食品保蔵科学会誌 = Food preservation science (ISSN:13441213)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.341-346, 2003-12-30
参考文献数
28
被引用文献数
13 9

強酸性電解水を利用したカットキャベツの実用的な殺菌処理方法を確立した。カットキャベツの処理量に対する処理水量の比率および処理時間を, 従来の殺菌剤である次亜塩素酸ナトリウム水処理と比較して同等の殺菌効果となる条件を明らかにした。続いて強酸性電解水と次亜塩素酸ナトリウム水で処理後のカットキャベツ中のトリハロメタン量を経時的に測定したところ, 次亜塩素酸ナトリウム水処理では保存72時間後までほぼ一定して0.05mg/kgのクロロホルムが検出し続けたのに対し, 強酸性電解水処理では直後でも不検出であった。官能試験 (パネラー30名) では次亜塩素酸ナトリウム水処理直後臭いや食味に問題ありと判定した人が半数以上いたが, 強酸性電解水処理では直後でも異常ありと判定した人は1名以下であった。また, 次亜塩素酸ナトリウム水処理では放置60分後には臭いや食味で異常ありと判定した人は2名以下となった。つまり, トリハロメタンは残存していたにもかかわらず, 臭いや食味では異常を感じないということが判明した。強酸性電解水処理ではトリハロメタンの生成もなく, 消費者へ提供する直前に食品を処理しても臭いや食味にほとんど異常を与えない点からも, 有効な処理方法であるといえる。
著者
Satoshi Kodera Hiroyuki Morita Arihiro Kiyosue Jiro Ando Issei Komuro
出版者
The Japanese Circulation Society
雑誌
Circulation Journal (ISSN:13469843)
巻号頁・発行日
pp.CJ-19-0148, (Released:2019-06-05)
参考文献数
35
被引用文献数
11

Background:The cost-effectiveness of percutaneous coronary intervention (PCI) for ischemic heart disease is undetermined in Japan. The aim of this study was to analyze the cost-effectiveness of PCI compared with medical therapy for ST-elevation myocardial infarction (STEMI) and angina pectoris (AP) in Japan.Methods and Results:We used Markov models for STEMI and AP to assess the costs and benefits associated with PCI or medical therapy from a health system perspective. We estimated the incremental cost-effectiveness ratio (ICER), expressed as quality-adjusted life-years (QALY), and ICER <¥5 m per QALY gained was judged to be cost-effective. The impact of PCI on cardiovascular events was based on previous publications. In STEMI patients, the ICER of PCI over medical treatment was ¥0.97 m per QALY gained. The cost-effectiveness probability of PCI was 99.9%. In AP patients, the ICER of fractional flow reserve (FFR)-guided PCI over medical treatment was ¥4.63 m per QALY gained. The cost-effectiveness probability of PCI was 50.4%. The ICER of FFR-guided PCI for asymptomatic patients was ¥23 m per QALY gained.Conclusions:In STEMI patients, PCI was cost-effective compared with medical therapy. In AP patients, FFR-guided PCI for symptomatic patients could be cost-effective compared with medical therapy. FFR-guided PCI for asymptomatic patients with myocardial ischemia was not cost-effective.