- 著者
-
田中 正彦
三上 かつら
- 出版者
- 日本鳥類標識協会
- 雑誌
- 日本鳥類標識協会誌 (ISSN:09144307)
- 巻号頁・発行日
- vol.29, no.1, pp.1-15, 2017 (Released:2018-07-25)
- 参考文献数
- 9
北海道の渡島半島にある七飯町の休耕田において,1990年から2014年までの間に,標識調査で捕獲された鳥類について報告する.この期間中に,のべ 37,868羽,108種が放鳥された.放鳥数が多かった鳥類種は,上位から,オオジュリン,カシラダカ,アオジ,ツバメであった.本調査地の特徴として,秋季のカシラダカ放鳥数が多いことと,オオジュリンの回収にかかわる記録が多いことが挙げられる.カシラダカは,七飯町を含む渡島半島で秋季には多く見られることから,音声誘引と地形的要因が集中を強化したものと思われる.オオジュリンは,秋季・春季ともに当地で数多く捕獲され,181個体が当地で放鳥され他地域で回収された,359個体が他地域で放鳥され当地で回収された.本調査地を通過するオオジュリンを地図上に可視化させると,初放鳥または再捕獲地点は日本海側・太平洋側を問わず日本全国(一部国外も含む)に及んでいた.七飯町は,日本のオオジュリンにとって,重要な渡りの中継地のひとつとなっていると考えられる.ツバメとショウドウツバメは当地を夏のねぐらとして利用していた.