著者
福留 真紀
出版者
吉川弘文館
雑誌
日本歴史 (ISSN:03869164)
巻号頁・発行日
no.663, pp.40-55, 2003-08
著者
野見山 宏
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.77-78, 2011-09

書評(Book Review)本稿は、晴山一穂・佐伯祐二・榊原秀訓・石村修・阿部浩己・清水敏著『欧米諸国の「公務員の政治活動の自由」』の書評である。著者らの研究によると、英米独仏の公務員は原則として、勤務時間外においては政治活動は制限されていない。これに対して、日本の公務員は、一律にその政治活動の大半が厳しい制限を受けている。著者らは、この点において、日本の公務員の政治活動の自由は不当な制限を受けていると主張している。また、こうした状況を放置している立法府や前例踏襲主義の司法に対しても厳しい批判の目を注いでいる。This article is a book review of "the freedom of the political activity of the public employee of American and European countries"written by Kazuho Hareyama, Yuji Saeki, Hidenori Sakakibara, Osamu Ishimura, Koki Abe, Satoshi Shimizu . According to the study of authors, as for the public employee of the Britain, the United States, Germany and France, the political activity is not limited as a general rule when I put it outside working hours. In contrast, the Japanese public employee is subject to the limit that most of the political activities are severe uniformly. In this respect, authors insist that the freedom of the political activity of the Japanese public employee is subject to an unfair limit. In addition, I pour eyes of severe criticism for the legislature and the judiciary of the principle of precedent inheritance ignoring such situation.
著者
林 雅子 秋元 志美 稲垣 知宏 隅谷 孝洋 冨田 達郎 中川 敦 長登 康
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.6, pp.1-3, 2009-12-04
参考文献数
3

CMS でストリーミング教材を活用する際,(1) アクセス制限がしにくい,(2) 視聴時間が把握しにくい,という問題点がある.我々は,Flash Media Server 3 (FMS3) の利用を前提に,サーバーの設定変更とメディアプレイヤーの新規開発によりこれらの問題点を解決した.Flash ActionScript3.0 で開発したこのプレイヤーは,SCORM を使用してユーザーごとの閲覧時間とブックマークデータを CMS に記録する事ができる.ここでは,FMS3 の設定とメディアプレイヤーのプログラム構成,特に ActionScript3.0 と SCORM との連携方法についての詳細を報告する.There are two problems with educational streaming media:It is difficult to control users access and to track their operation records. We solve these problems by changing the settings of our Flash Media Server 3(FMS3) by developing a new media player written in Flash ActionScript3.0. The media player can record viewing time and bookmark data of each user by using SCORM. In this article we show the settings of the FMS3 and the program structure of the media player, especially the communication method between SCORM and AS3.0.
著者
春日井 優
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.354-359, 2019-03-15

これまでの「情報B」・「情報の科学」は実施率が低い実態がありました.「情報I」が必履修科目に変わり,「モデル化とシミュレーション」も位置付けられています.指導の参考になるよう「確定的モデル」と「確率的モデル」に分類して説明しています.さらに,教材の探し方についても説明しています.

1 0 0 0 OA 赦律 4巻

出版者
巻号頁・発行日
vol.[2],
著者
マジョリー・ビアンコ 文
出版者
岩波書店
巻号頁・発行日
1953

フランスの民話とアメリカの童話作家ビアンゴの作品の2篇を絵入りで収む。 (日本図書館協会)
著者
川原 栄峰
出版者
[出版者不明]
巻号頁・発行日
1977

制度:新 ; 文部省報告番号:乙251号 ; 学位の種類:文学博士 ; 授与年月日:1977/2/17 ; 早大学位記番号:新526
著者
浅見 徹 窪田 歩 片岸 一起
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.53, pp.269-270, 1996-09-04
被引用文献数
1

近年の大規模な企業内ネットワーク上では,各所で独立,かつ対等の権限でにルータやサーバの設定変更等のネットワーク構成の変更が行われることも多く,それに伴う障害回復に多大な時間を費している.筆者らは,ネットワークの構成変更に伴う障害への対応を容易にするにはソフトウェアの設定も含めたネットワーク構成のバージョン管理を行うことが有効であることを示し,ソフトウェア開発の際にソースコートのバージョン管理に用いられる管理ツールをベースにしたネットワーク構成のバージョン管理システムを提案した.本稿では,管理ドメインごとの構成情報を収容した分散データベースを使って,各ドメインを管理する管理エージェントが全体として一貫性を持って動作する際に必要なエージェント間プロトコルを検討する.

1 0 0 0 OA 市中取締類集

出版者
巻号頁・発行日
vol.[335] 取締筋雑之部,
著者
井柳 美紀
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究の目的は、デモクラシー下の市民的資質との関わりで教養教育の果たす役割について、特に、J.S.ミル、マシュー・アーノルド、ニューマンなどを主な対象としつつ、19世紀イギリスの思想史的文脈において検討することである。同時に、現代における市民的資質の育成の観点から教養教育の役割について考えていくことをも目的とする。一昨年は、マシュー・アーノルドに関する論文や現代の若者の市民的資質に関する論文を書いたが、昨年は、まず、(1)図書において、共著として、熟議民主主義に関する章を執筆したが、これは本研究において市民的資質の一つとしての熟議に関する資質・問題を扱ったものとして位置づけられるものである。ここでは、熟議民主主義の前提として熟議する文化や環境の育成が必要であることなど、熟議民主主義の可能性や今後の課題について検討を行った。(2)そのほか、19世紀イギリスに関する政治的教養についての研究を、マシュー・アーノルド以外に同時代の教養論争に注目しつつ進めたが成果の公表は次年度となる。既にJ.S.ミルやマシュー・アーノルドについて市民的資質との関連から論文を執筆しているが、現在は、特に、19世紀後半におけるイギリスの教養論争において、民主化や産業化が起きる中で、従来の古典中心の教養教育に対する批判がおきる中で、新たな大学の役割や学校教育の役割などに関しておきた議論に着目しながら検討を行っている。(3)また、市民的資質と教養教育との関連で、シティズンシップ教育や教養教育に関する講演会を自治体向けに複数実施したり、一般市民向けの公開講座を実施するなど、本研究の成果を地域にも還元している。
著者
長崎 正義 今田 健 足立 晃一
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2013, 2014

【はじめに,目的】当院は理学療法士3名,作業療法士3名,言語聴覚士2名で構成されている車いす委員会がある。当委員会では新規に導入する車いすの機種選定,購入手続き,導入後の使用法に関する勉強会,整備点検(以下,点検)を担っている。その中の点検は,平成22年4月から月2回の頻度で実施し,病棟で使用している全ての調整,修理を行い,安全に使用できるよう努めている。車いすの点検を実施してきた中で,要整備項目に集約性を感じた。本調査の目的は,点検結果から整備を認めた箇所を記録,集計することでその傾向を把握し,本委員会としての今後の取り組みに活かすことである。【方法】点検は本委員会委員が行い,平成22年4月から毎月2回実施している。チェックシートを用いて,各車いすの点検を実施した。点検結果は院内の申し送りで報告し,担当セラピストに車いすの確認,調整を促している。車いすを集計期間は平成22年4月から平成25年9月までの全84回の点検記録から後方視的に調査した。調査項目は,点検した車いすの述べ台数,大車輪の車軸の緩み(以下,車軸),適正な空気圧(以下,空気圧),ハンドリムの緩み(以下,ハンドリム),ブレーキの効き具合(以下,ブレーキ),バックサポートの張り具合(以下,バックサポート),アームサポートの緩み,フットサポートの高さや向き(以下,フットサポート),キャスターの緩みやキャスター軸の水平(以下,キャスター),上記8項目以外の項目をまとめたその他の計9箇所における要整備件数の合計であった。また,機種特異性のある箇所の整備については集計後,除外項目として扱った。ネジの緩みやパーツの位置や向きに左右差がある場合に要整備箇所とみなした。点検台数から各点検箇所における除外項目の件数を引き,各項目における整備件数の割合を算出した。R ver.2.15を使用して全体の整備割合に対する各調査項目における整備箇所の易発現性に対してカイ二乗検定を行った。【倫理的配慮,説明と同意】ヘルシンキ宣言に従い,点検に関する調査は,使用者を含めたすべての関係者に説明を行い,同意を得たうえで実施した。点検において要整備を認めた箇所についての原因の説明を返却時に行い,同意を得た。点検および集計作業においては,使用者名を伏せて実施し,個人情報の保護に配慮した。当院倫理委員会の承認を得た。【結果】全84回の点検を実施した車いすの延べ台数は1705台,その内,整備を行った台数は1269台であった。延べ件数は15354件であり,整備を行った件数は1545件であった。全点検件数に対する全整備件数の割合は,10.1%であった。整備を点検項目別の整備件数と割合は車軸で145件(9.4%),空気圧348件(22.5%),ハンドリム95件(6.1%),ブレーキ128件(8.3%),バックサポート76件(4.9%),アームサポート82件(5.3%),フットサポート309件(20.0%),キャスター244件(15.8%),その他118件(7.6%)であった。カイ二乗検定は,全体の整備割合に対して,空気圧,ハンドリム,ブレーキ,バックサポート,アームサポート,フットサポート,キャスター,その他の8項目で有意な差を認め,車軸では有意な差を認めなかった。【考察】要整備の発生割合は空気圧,フットサポート,キャスターの順で多く認めた。先行研究において,タイヤ,アームサポート,ブレーキ,フットサポート,キャスターは異常の頻発箇所として報告されている。本調査の結果からも空気圧,フットサポート,キャスターは異常の頻発箇所であると推察する。車いすの点検を行う際,上記3項目は必須確認項目であると考える。また,安全な車いすを提供するうえで各項目の点検を行うことは責務である。要整備になりやすい箇所では,点検の頻度だけではなく,部品そのものの同規格,同サイズへの交換を委員会内で検討,検証し取り組んでいくことが急務である。本調査から点検頻度の検討と部品交換の検討を対策として委員会に提案し,発生しやすい要整備件数の削減に努めたい。当院で院内スタッフを対象に毎週実施している研修会において,リハビリスタッフのみならず,院内スタッフ全体で要整備件数を削減できるよう啓蒙活動を実施していく。【理学療法学研究としての意義】車いすにおいて要整備になりやすい箇所を認識し対策をたてて,安全な車いすの提供に努める活動は車いすの整備件数を削減させることに繋がり,車いすによるインシデントや駆動のしにくさを防止できる。臨床において車いす調整に携わる機会が多い理学療法士が率先して車いす点検を行うことで,安全な車いすを提供することは理学療法士だからこそ出来る生活支援の視点として重要である。
著者
島田 達
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.28, 2014 (Released:2014-07-04)

今日日本は超高齢社会の問題に直面している。高齢者が増えるということは同時に寝たきり老人の増加を意味する。そこで私は寝たきり老人のためのリハビリテーションに着目した。なぜなら彼らは自分の身体をほとんど動かすことができないため、リハビリテーションを取り入れることが難しいからだ。寝たきりをとりまく様々な症状や問題の原因は拘縮である。本研究では治療部位を手指の拘縮に限定し、手指の他動運動によるリハビリテーションが手指拘縮を改善すると同時に認知症の治療にもつながるという仮説を立てた。実地調査や実験を行なうことでリハビリテーション治療を行なうシステムについて研究し、デバイスの制作要件の抽出を行なった。結論として、シリコーンボディを用いた柔らかい素材によるデザインを採用した。
著者
高坂 哲 宮崎 一興
出版者
社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.79, no.5, pp.824-831, 1988-05-20 (Released:2010-07-23)
参考文献数
21

脊髄損傷患者114例を対象に, それらを第9胸髄-第10胸髄を境に上位一下位, および麻痺の程度により完全麻痺-不全麻痺で分け上位完全麻痺, 下位完全麻痺, 上位不全麻痺, 下位不全麻痺の4群で性機能について問診および勃起力に関して陰部皮膚温度から検討した. 症例は16歳から58歳 (平均34.2歳), 罹患期間は平均3年4カ月. 問診結果は, 上位完全麻痺群で反射性勃起90.1%, 性交可能72.5%, 下位完全麻痺群では, 射精可能15.3%と良好であったが, 精神性勃起, 極致感はいずれも10%以下であった. 性的刺激 (視覚的性的刺激, V. S. Sと略す. および機械的陰茎刺激P. M. Sと略す) に対する陰部皮膚温度曲線は, 5つのパターンすなわち, 正常型 (Normo-response), 反射型 (Reflex-response), 低反応型 (Hypo-response), 混合型 (Mixed-response), 無反応型 (Non-response) に分類して検討した. 上位完全麻痺群では, 反射型88.2%, 上位不全麻痺群で混合型40%, 正常型33.3%, 下位完全麻痺群で無反応型38.4%, 低反応型30.7%, 下位不全麻痺群では正常型63.6%という結果であった.また, 各群での陰部反応皮膚温度と勃起の程度は良く相関していたが, 下位不全麻痺群の5例 (22.7%) に皮膚温上昇を認めるにもかかわらず, 勃起が認められなかった. このことは, 勃起現象が血流のみではないことを示唆するものと考えられた.
著者
佐藤 栄子 細金 佳子 佐藤 加代美 尾見 朝子 片桐 善陽
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.88, 2007

_I_ はじめに 当病棟は脳血管疾患などにより、片麻痺、四肢麻痺の患者が多数を占めている。上肢に麻痺がある場合、手掌部が屈曲、拘縮により湿潤し不潔になりやすく悪臭を伴いやすい。そこで、消臭、除湿、空気清浄化に効果があり、安全、安価で洗って再利用できるという利点を持つ木炭を用いて、消臭効果を試みた。_II_ 研究目的:木炭パックを使用することにより、麻痺側手掌の不快臭が軽減でき、有効性を知る。_III_ 研究方法1 対象患者 手指拘縮の患者男性2名 女性1名2 調査方法調査期間 平成19年2月18日~2月24日麻痺側の手掌内に木炭パックを握らない状態で入浴当日の入浴前後、入浴後の3日間を6段階臭気強度表示法を用いて職員5人が測定し平均値を出す。次に木炭パックを使用した状態で同様に調査を行う。_IV_ 結果A氏は、木炭パック未使用時の一番高かった数値は3.2であった。入浴直後は1.4、木炭パックを使用してから1、2日目は徐々に減り3日目は0までいった。B氏は、木炭パック未使用時の一番高かった数値0.4であった。入浴直後は0に減ったが、木炭パックを使用してから3日間ともに数値の変化が少なく、3日目は0.4となった。C氏は、木炭パック未使用時の一番高かった数値は3.6であった。入浴直後は0.2、木炭パックを使用してから1日目が0まで低下。しかし2日目は4.2と増加し、3日目には1.6となった。_V_ 考察今回、木炭を使用して、手掌内の不快臭を消臭できるかと研究を試みた。対象となった患者は全員、週2回の入浴のみであり、手掌内が汚れていない限り手洗いは行っていない。また、見た目の変化も少ないことから臭気における対策ができていなかった。入浴前の不快臭は強く、入浴により不快臭が減少し、時間、日数が経過とともに不快臭の数値が上昇するものと考えていた。結果、3人の対象患者の手掌内の不快臭の消臭効果は木炭パック使用前に比べて数値的に効果があったといえる。A氏B氏共に使用後の数値はほぼ無臭に近い少数点での平均値を出すことが出来た。C氏は研究途中の2日目に木炭パックが手掌内から外れていたため、数値がその日だけ異常に上昇していたことが予測できる。外れていると効果がないということであり、例え短時間でも外れていた場面で数値は上昇し、その後装着した翌日には数値は減少した。このことから、木炭パックの消臭効果は高いといえる。しかし、麻痺側の手掌内に木炭パックを装着するということは容易に出来ることではなく、今後は握らせ方の工夫が必要である。今回は臭いを6段階臭気強度表示法を使用し平均値を出すという方法で行ったため、臭覚の個人差は少なかった。木炭の消臭効果により数値的変動は少なく、おおむね不快臭は軽減できる結果が出た。 _VI_ 結論木炭には消臭の効果があり、その効果は麻痺手の不快臭の軽減にも有効である。麻痺側手掌だけではなく棟内のさまざまな臭いの消臭に木炭を活用することで、良い療養環境を提供していきたい。
著者
濱川 みちる 高良 翔太 阿嘉 太志 濱崎 直人 宮里 好一 西野 仁雄 石田 和人 白木 基之 辺土名 まゆみ 安里 克己 仲程 真吾 山城 貴大 平山 陽介 秋月 亮二
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2015, 2016

【はじめに】中枢神経疾患由来の手指拘縮は,関節可動域拡大運動やストレッチなどを継続しても改善困難な症例が多く,進行すると手指の衛生不良や介護負担増などの負の連鎖を招く。今回,拘縮手改善のために開発された高反発クッショングリップ「ミラクルグリップ」(ホワイトサンズ社製)を回復期病棟入院患者・進行性疾患患者に試用し,良好な成績が得られたので報告する。【方法】脳血管疾患あるいは進行性神経疾患にて当院に入院または通院している者のうち,手指拘縮を認める4例を対象とした。グリップ着用前の状態として,症例Aは脳出血で入院(発症後6カ月),右上肢の拘縮と他動運動時痛,手指不衛生を認めた。症例Bは脳塞栓症で入院(発症後4カ月),左上肢の拘縮・他動運動時痛を認めた。症例Cは脳出血で入院(発症後4カ月),右上肢の痙性麻痺,手指炎症,他動運動時痛,白癬による悪臭・蒸れを認めた。症例Dは多系統萎縮症で通院(発症後16年),定期的なボトックス治療とPT・OTを継続していたが,両手指・手関節を中心に拘縮とかぶれを認めた。対象者には,通常の治療と併用して,ミラクルグリップのモニターとして拘縮手に1カ月間,24時間継続して着用していただいた。評価には,着用期間中の表情や手指衛生に加え,着用前・着用2週間後・1カ月後の拘縮側上肢の関節可動域(以下,ROM)を記録した。【結果】症例Aは着用前,痛みのため離床や理学療法も長期間拒否していたが,着用2日後より他動運動時の抵抗が軽減し理学療法も受け入れるようになった。6日後には爪切りや離床も可能となった。症例Bは着用2週間後に手・肘関節のROM拡大,1カ月後には肩関節のROM拡大が得られ,苦痛様表情も軽減した。症例Cは内服治療との併用にて,着用7日後には右上肢の筋緊張が全体的に軽減し,1カ月後には熱感や疼痛,悪臭の消失が得られた。症例Dは着用7日後より他動運動時の抵抗軽減,1カ月後にはかぶれ消失,ROM拡大が得られた。【結論】今回,手指拘縮患者に対しミラクルグリップを1カ月間使用し,拘縮の軽減,表情や手指衛生の改善が得られた。西野らはミラクルグリップの効果として,クッションの強い反発力と圧力のランダム性が,上肢全体・顔面の血流を増加させ,脳血流も増加することを示している。また筋電図では,上肢屈筋群だけでなく伸筋群の筋活動量も増加すると報告している。今回のROMや表情の改善も同様の作用によるものと考える。また手指衛生の改善は,グリップのもつ高い通気性・抗菌消臭作用が拘縮改善と相まってもたらした効果と考えられる。本研究により,回復期病棟入院患者や進行性疾患患者という,病期により症状が変化する患者においても良好な成績が得られることが分かった。しかしモニター試用という条件上,シングルケースデザインを導入できなかったため,効果の持続性についてはさらなる検証が必要である。今後,ミラクルグリップが治療手段の一つとして病期にかかわらず広く利用され,効果を発揮することが大きく期待される。

1 0 0 0 OA 肖像集 9

著者
〔栗原信充//画〕
出版者
巻号頁・発行日
vol.片桐石州・祥蘂,