著者
樋野 公宏 小島 隆矢
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.72, no.616, pp.107-112, 2007
参考文献数
11
被引用文献数
8 5

This paper aims to explain the risk of dwelling burglary with factors representing physical and socio-demographic context of neighbourhoods and make clear the relationship among them with SEM (structural equation modeling). The following are main information got in this paper, which enables evidence-based crime reduction. ・Higher density, larger family and larger daytime population reduce the risk, which probably provide high level of natural surveillance. ・There is higher risk in neighbourhoods with high rate of rented houses. ・There is higher risk in neighbourhoods with high building coverage ratio whereas there is lower risk in those with high floor area ratio. In conclusion, it is suggested that a holistic approach should be taken considering community safety as an aspect of quality of life.
著者
吉田 葵 伊藤 一成
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.342-345, 2019-03-15

プログラミング教育への関心の高まりを受け,情報処理学会では,ジュニア会員を対象とした「Exciting Coding! Junior」を2016年度より開催している.本稿では,2018年9月15日に開催された「Exciting Coding! Junior 2018」のワークショップ設計方針及び内容について報告する.
著者
川上 玲
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.350-351, 2019-03-15

ミンスキー博士の脳の探検 -常識・感情・自己とは-」は,人工知能の父と呼ばれるマービン・ミンスキーが,脳の情報処理に関するアイディアをさまざまに記したものである.ミンスキーは,数学,コンピュータ科学,脳科学,動物学,に造詣が深く,彼の博識さから紡ぎだされる推測(具体的には,「思考素」,「意識の階層化」,「批評家-選択家モデル」など)を通じ,読者は学習や心的活動がどのような仕組でありうるかを想像することができる.感情も思考の一種に過ぎない(であろう)ことや,多くの無意識のプロセスにより意識に上る情報がいかに選択された後のものであるかを実感できる.
巻号頁・発行日
1947

1 0 0 0 OA 発酵と貯酒

著者
宮島 豊
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.95, no.12, pp.856-866, 2000-12-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
15

従来, 日本のビールの大部分が含まれる下面発酵ビ地ルでは, 通気した冷麦汁ヘビール酵母を添加してアルコール発酵を起こさせ, 麦汁中の発酵性糖の大部分をエタノールに変える “発酵” と, 発酵の終わった発酵液を熟成し嗜好性のある飲料に仕上げる “貯酒” の2つに分かれていた。しかしながら近年, 香味の熟成に関する研究成果と, 技術革新による発酵・貯酒タンクの大型化・自動化により2つの役割を従来通りには考えない醸造方法が一般化してきている。
著者
羽賀 祥二
巻号頁・発行日
2009-03

本研究の目的は、津田応助(愛知)ら東海地域の著名な、精力的な活動をおこなった郷土史家を研究対象とし、彼らの経歴・資料収集の手法・著作の内容分析を行い、その歴史学的方法と地域史学構築へ向けた実践活動を明らかにすることにある。今年度も昨年度に引き続き『林金兵衛家文書』の整理を実施し、8割程度の整理作業終えて、仮目録を作成した。林金兵衛は幕末から明治前期の地域名望家であるが、20世紀前期の愛知県を代表する郷土史家・津田応助による伝記研究や郷土史で注目された。津田の郷土史研究の成果である『贈従五位林金兵衛伝』や『東春日井郡誌』、『小牧町史』などの編纂内容などを再検討する格好の史料群であることが確認できた。また、豊田市史の編纂事業のなかで、明治前期に長く西加茂郡長を務めた田中正幅の郷土史研究・著作に注目して、『挙母藩史』、『西加茂郡地理小誌』、『西加茂郡誌』の編纂と内容について検討した。また旧藤岡町誌の編纂の中でも、20世紀前期における郷土誌を収集し、『藤岡町誌』においてその特徴について記述した。
著者
向野 晃弘 樋口 理 中根 俊成 寶來 吉朗 中村 英樹 松尾 秀徳 川上 純
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.379a, 2013

【目的】シェーグレン症候群(SS)ではヒトムスカリン性アセチルコリン受容体M3(AChRM3)に対する自己抗体の関与が指摘されている.抗AChRM3抗体の検出は,細胞外領域に相当する合成ペプチドを用いたELISA法等が既に報告されている.今回,我々は複数貫通膜分子に対する抗体の検出に効果的であるカイアシルシフェラーゼ免疫沈降法(GLIP法)による抗AChRM3抗体測定系を評価した.【対象・方法】SS 37例,健常者39例を対象とし,GLIP法による測定を行った.全長ヒトAChRM3とカイアシルシフェラーゼ(GL)の融合組換えタンパク質をリポーターとしヒト血清(あるいは既製抗体)を反応させた後,プロテインGセファロースを用いて反応溶液中のIgGを回収した.免疫沈降物中のルシフェラーゼ活性の測定で,抗AChRM3抗体の有無を評価した.【結果】1.アミノ末端およびカルボキシル末端領域を標的とする2種類の既製抗AChRM3抗体でGLIP法を実施した結果,本法の抗AChRM3抗体検出における有効性を確認した.2.健常群血清を対象にGLIP法を実施し,カットオフをmean+3SDに設定した.3.SS 3例を抗体陽性と判定した.【結論】全長のヒトAChRM3を抗原に用いた新たな抗AChRM3抗体検出系を確立した.今後は各測定法によるvalidationを行うことを計画している.<br>
著者
中林 一樹
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.75, 2005

1.中越地震の特徴 中越地震は、新潟地震(1964)の40年記念の年に発生した。10月23日午後5時56分、わが国観測史上2回目の「震度7」の強い揺れと、3回に及ぶ「震度6強・弱」の強い余震が引き続いた。被害は、死者40人(震災関連死を含む)、負傷者2,860人、全壊大破家屋3,250棟、半壊5,960棟、一部損壊家屋は75,500棟以上に達した。引き続く余震は、多くの人を自宅外に避難させ、ピーク時は10万人を超えた。 特徴的な被害は、崖崩れや宅地崩壊などの被害である。元々「山崩れ地帯」である中越地域ではあるが、主震や余震の震源直上の中山間地域では、棚田や養鯉池が山腹に拓かれた(外部との連絡道路である)幹線道路や斜面に建つ家屋とともに大崩落した。いわば「山塊崩落」が至る所で発生し、斜面全体が「ゆるみ」、情報的に交通的にも「孤立集落」が多発した。さらに、崩落した大量の土石が河川を埋め、「自然ダム」が発生し、谷筋の集落をせき止められた泥水が水没させた。こうして、山古志村では「全村避難」を行い、その他の被災地でも孤立集落や自然ダム下流の集落などが「全集落移転」を行った。 地震から2ヶ月後に、雪が降った。3000戸の応急仮設住宅が配置も工夫され、積雪以前に完成したことは幸いであった。阪神・淡路大震災の教訓でもあったが、地域(集落)の絆は驚くほど強く、避難所においても、応急仮設住宅においても、「地域」毎にまとまって入居している。4ヶ月の冬を迎え、春以降の本格復興への話し合いが進められた。2.台湾集集地震との比較とその被災地復興の基本方向 台湾集集地震(1999)の被災状況と共通する被災様相を呈している。中山間地域が主に被災し、台湾の震災復興では「社区総体営造」という概念が、その復興の基本となっている。これは、「地域社会の総合的なまちづくり」という計画理念である。被災地では住宅再建と産業復興を、埋もれていってしまった地域の文化の再興や新しい産業の創出など、ソフト・ハード両面からの地域主体の復興への取り組みである。3.中越地震における中山間地域の復興の基本方向 幸い、中越地域は、養鯉業や魚沼産コシヒカリ米という「名産品」を生む地域であり、地域がほこる「闘牛」文化もあり、この地域には他の中山間地域にはない経済力と地域力があるように思われる。しかし、高齢社会の進展した積雪地域であることは、阪神・淡路大震災とも異なる復興プログラムを提供することになる。個々の生活再建には、「被災者生活再建支援法」と「新潟県による生活再建支援」諸制度による支援が基本となるが、孤立集落や山塊崩落に巻き込まれた集落では「防災集団移転事業」などによる移転型「集落復興」を必要としよう。その基本は、動いた山塊や傾斜地の「土留め」と「道路再建」という中山間地域のインフラ復興である。本格復興には相当の長期化が予想される。その間の台風災害による複合災害化が再び発生すると、その復興はさらに長期化するかもしれない。市町村合併による行政体制の変化とともに、注目していなければならない、復興過程の課題であろう。 もう一つの広域的な課題として、温泉観光やスキー観光などの「風評被害とその復興」も大きな課題となっていることを忘れてはならない。
著者
原 一子
雑誌
聖学院大学論叢 = The Journal of Seigakuin University (ISSN:09152539)
巻号頁・発行日
vol.第18巻, no.第3号, pp.95-104, 2006-03

Since Ruth Benedict in her magnum opus, The Chrysanthemum and the Sword, characterized Japanese culture and European culture as a shame culture and a sin culture, respectively, a plethora of scholars have questioned whether or not she was correct in depicting sin as being strictly internal and shame as being external in nature. I classify shame as manifesting itself in three hierarchical dimensions: the physical, social, and existential. Social shame was analyzed in a previous article, as were Kierkegaard, Sartre, and Jaspers in reference to existential shame in another, and I herein continue my analysis of existential shame with reference to Nietzsche’s work on the subject. In particular, this article focuses on how Nietzsche expressed shame in Also Sprach Zarathustra (Thus Spoke Zarathustra). Actually, it is quite difficult at first to make order of the many fragmental references to shame in Zarathustra, so I have classified the “shame” expressions according to six themes: human essence, love of one’s neighbor, the death of God, virtue, transcendence and the Fall, and beyond good and evil. According to Nietzsche, man is shameful, and the history of man is shame. He severely criticizes the love of one’s neighbor, as sympathy fails to take into account man’s inherent shame. Furthermore, Nietzsche asserts that God was killed because He sympathized with man without being conscious of shame. Thus, man must alone break the chains of shame and transcend toward becoming the Superman, with the goal of finally entering the uncharted territory of “no shame,” as a newly born child. Shame is a psychological phenomenon, which is inherently problematic to explain, and it is to be considered as one of the functions of self-preservation from Others or the watchful eyes of Others. This essay demonstrates that shame underlies the basic thought of Nietzsche and serves as the impetus for his criticism of Christian morals such as the love of one’s neighbor, as well as his concept of the Superman.

1 0 0 0 OA 四河入海 25巻

著者
笑雲清三 述
巻号頁・発行日
vol.[28], 1600
著者
岩本 典子
出版者
神奈川大学
雑誌
人文研究 : 神奈川大学人文学会誌 (ISSN:02877074)
巻号頁・発行日
vol.163, pp.A173-A200, 2007-12

本稿は、メディア・テクストにおけるモダリティーと視点、そして文体的な特徴との関連について考察するものである。P.Simpson(1993)のモデルに修正を加えたものを理論的枠組みとして使用する。Simpsonのモデルは元来小説分析のために考えられたものであるが、本稿では新聞記事の分析や政治ディスコースの分析などにも応用できることを提示する。Simpsonのモデルによると、モダリティーと視点のタイプによつて、9パターンの語りのモードが存在するという。まずは、大きく内側からの視点(internal point of view)、外側からの視点(external point of view)に基づくものとに、分類される。内側からの視点は第一人称(I, we)で語られるものをいう。外側からの視点は、第3者(narrator)の視点によるものと、登場人物のなかの回顧者(reflector)の視点によるものとにさらに分けられる。これら3種類の視点には、それぞれに、顕影法(positive shading)、陰影法(negative shading)、そして中影法(neutral shading)が存在し、合計9種類のパターンとなる。顕影法(positive shading)は、高位の価(high value)を持つ束縛的モダリティー(deontic modality)、評価や感情を表す形容詞や副詞(evaluative and emotive adjectives and adverbs)、感情を表す動詞(verba sentiendi)が多用されていることを特徴とする。これに対して、陰影法(negative shading)は、低位の価(low value)を持つ認識的モダリティー(epistemic modality)や、第三者的距離を表す語句(words of estrangement)が際立って使用されていることに特徴づけられる。中影法(neutral shading)は、モダリティーがなく、定言的断定(categorical assertions)が多用され、評価や感情を表す形容詞、副詞および感情を表す動詞があまり使用されないモードである。データとして、ブッシュ大統領によるイラク政策についてのスピーチ、政府が、子供の輸血を、手術時など緊急の際に、宗教的事情に関わらず義務付けた新聞記事、そしてヒル・東アジア太平洋国務次官補による対北朝鮮の非核化交渉に関する記事を分析する。モダリティー、人称、動詞、形容詞、副詞の分析により以下のことが確認された。ブッシュ大統領によるイラク政策についてのスピーチにおいては、内側からの視点で顕影法(positive shading)による語り技法が使われている。子供の輸血を義務付けた新聞記事では、外側からの視点で、顕影法(positive shading)によるレトリックが使用されている。最後の、ヒル・東アジア太平洋国務次官補による対北朝鮮の非核化交渉に関する記事は、外側からの視点で、陰影法(negative shading)により書かれているが、最後の箇所で、顕影法(positive shading)に転移されていることが見受けられた。このように、ひとつひとつのテクストを考察することで、確かに視点、モダリティー、文体的特徴が密接に関連していることが結論付けられた。
出版者
巻号頁・発行日
vol.[2],
著者
大屋 藍子 武藤 崇 オオヤ アイコ ムトウ タカシ Ohya Aiko Muto Takashi
出版者
心理臨床科学編集委員会
雑誌
心理臨床科学 = Doshisha Clinical Psychology : therapy and research (ISSN:21864934)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.53-64, 2011-12-15

研究動向肥満に対する治療は,従来,食事療法,運動療法,行動療法や薬物療法を組み合わせて患者の意欲を維持させながら行われ,肥満者が主体的に自分自身で生活をマネジメントすることが求められる。しかし,生活習慣のセルフマネジメントには,(1)個々人の動機のばらつきの大きさ,(2)習慣の中・長期的な維持の難しさという問題が挙げられる。本稿は,行動分析学の観点から肥満をもたらす生活習慣を分析し,肥満治療に対する提案を行った。その結果,セルフマネジメントの困難な要因は,(1)ストレス発散のための過食など,肥満者にとって連鎖的に形成された摂食行動が存在するため,生活習慣改善への動機が形成されないこと,(2)肥満者の希望する体重・体調変化が即時的に得られないため,中・長期的な食事改善や運動行動が難しいことの,2点に整理された。さらに,その困難さを改善するために,アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)の観点から,摂食欲求や肥満に対するストレスを受け容れながら,生きたい価値に沿った生活習慣の再構築が必要とされ,その結果,対象者は,生きたい価値を追求することで,単なる肥満の治療ではなく,より高いQOL(生活の質)の実現を追究していくことができるということが示唆された。
著者
竹下 登紀子 白木 まさ子
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
榮養學雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.15-24, 2010-02-01
参考文献数
36

企業の社員1081名(男性815名,女性266名)を対象に2006年に行った身体計測,生活習慣に関する質問紙調査,定期健康診査の結果を基に,メタボリックシンドロームの発生状況,青年期と現在の体型と生活習慣との関連等を検討した。<br>BMIによる体型区分では,「やせ」は40歳未満の男性で10.4%,女性で27.3%,「肥満」は男性40歳未満で17.9%,40歳以上で20.3%,女性では各々7.8%,14.3%であった。体型の自己評価では,男性40歳未満では「やせている」の半数,「太っている」の7割,40歳以上群の「やせている」「太っている」の約7割がBMIによる体型区分では「普通」に該当していた。女性では,40歳未満,以上群ともに「太っている」の約8割「普通」体型に該当した。体型チェック・維持する方法は,「体重測定」が最も多く,次いで,男性は「ベルトの穴の位置」,女性では「鏡,ガラスに映った姿」が多かった。メタボリックシンドロームが強く疑われる者およびその予備群の割合は,男性で7.7%,38.1%,女性で3.0%,6.0%であった。腹囲による肥満区分では,肥満者,非肥満とも,40歳未満よりも40歳以上群の有所見率が高く,それは血中脂質,血糖に比べて,血圧で顕著だった。40歳以上の男性において,現在肥満体型の者は,20歳時肥満者では8割,20歳時非肥満者では16.3%であった。20歳時肥満者は非肥満者に比べ現在の有所見数が多くなっていた。20歳時・現在ともに肥満群では食べ過ぎやジュース,炭酸飲料の多飲,ストレス発散のための飲食など不適切な食習慣が継続されていることや運動習慣をもつものが少ないことが示唆された。<br>40歳以上に限らず,若年層に対しても肥満予防やメタボリックシンドローム対策が重要と考える。<br>(オンラインのみ掲載)