著者
渡辺 匠 太田 紘史 唐沢 かおり
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.56-69, 2015

Social psychologists have recently begun to explore the problem of free-will beliefs. Philosophers have been working on the problem of free will over the ages, and studies of social psychologists on free-will beliefs are based on past philosophical theories. Meanwhile, philosophers not only argue over the theoretical issue of free will but also engage with the research program of experimental philosophy. This program shares the methodology of social psychology, and experimental investigation of belief in free will is proceeding at a rapid pace. In consideration of the above arguments, it seems obvious that social psychologists need to collaborate with philosophers on the problem of free-will beliefs. The authors therefore review the findings of each discipline and construct a model of people's free-will beliefs. In this model, we consider free-will beliefs as composed by alternative possibility and agency, and these components function to promote attribution of moral responsibility, self-control, and social fit.

6 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1937年09月29日, 1937-09-29

6 0 0 0 OA 記憶障害

著者
長田 乾 小松 広美 渡邊 真由美
出版者
認知神経科学会
雑誌
認知神経科学 (ISSN:13444298)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.118-132, 2011 (Released:2017-04-12)

記憶は、過去を回想するときの把持時間から、短期記憶と長期記憶に分類され、短期記憶は数十秒程度の記憶、長期記憶は数分から数十年前の記憶とされる。短期記憶には、電話番号を即座に憶えるなどの一時的な情報保持機能である作動記憶が相当する。長期記憶は、記憶内容を言葉で表現できる陳述記憶と技術や無意識の経験など言葉で表現できない非陳述記憶に分類される。陳述記憶には、出来事記憶と意味記憶が含まれる。出来事記憶は、個人的な体験やイベントの思い出に相当し、意味記憶は客観的な事実・知識・情報など学習によって習得される一般的な知識や教養に相当する。出来事記憶は加齢の影響を受け易いが、意味記憶は加齢の影響を受け難い特徴がある。非陳述記憶には、水泳や自転車の運転など必ずしも意図せずに習得した技量や技術に係わる記憶に相当する手続き記憶が含まれる。手続き記憶も加齢の影響を受け難く、認知症でも若い頃に修得した手続き記憶は相対的に保たれることが多い。記憶障害を時間軸で捉えると、脳損傷を受けた時点以降の記憶が欠落する状態を前向性健忘、一方受傷以前の出来事を思い出すことができない状態を逆行性健忘と呼ぶ。逆行性健忘では、新しい出来事から古い出来事へ、複雑なことから単純なことへ、慣れないことから習熟したことへ記憶の解体が進む。
著者
外薗 幸一
出版者
鹿児島国際大学
雑誌
鹿兒島経大論集 (ISSN:02880741)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.137-168, 1988-07-20
著者
渡辺 理仁
出版者
一橋大学大学院法学研究科
雑誌
一橋法学 (ISSN:13470388)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.299-333, 2021-07-10

In the Byzantine Empire, Roman law had been applied prior to its rediscovery in the twelfth century. However, it is sometimes pointed out that Byzantine law deviate from Corpus Iuris Civilis. The eighth century small code Ecloga is a typical example of that. This begs the question of whether it is appropriate to position Byzantine law definitely in terms of continuity with Roman law or not. In this paper, I provide an overview of Ecloga and examine its divergence from the Principles in Roman Law that have been identified in previous studies. I then translate the related materials and compare the provisions in the Corpus Iuris Civilis and Ecloga, examining the differences between them and presenting some conclusions.
著者
唐澤 健太 春原 則子
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.421-428, 2019-12-31 (Released:2021-01-04)
参考文献数
17
被引用文献数
1

視床出血後にタイピング困難を主訴とした 1 例を経験した。失語, 失行, 失認は認めなかった。知的機能は良好だが, 処理速度に低下があると考えられた。発症 2 ヵ月後に, 音韻操作, 書字, タイピング能力の評価を実施した。結果, 音韻操作, 仮名書取, 仮名のローマ字への変換書字は良好だが, ローマ字書取で誤りを認めた。また, ローマ字音読においても誤りが認められた。本例は音韻表象とローマ字表象の双方向の情報処理過程が障害され, この影響により本例が訴えていたタイピングの困難さに繋がっていたのではないかと考える。また, 書字に比しタイピングが有意に保たれていた点は, 障害された音韻表象から文字表象への変換過程を, 音韻表象から直接運動エングラムへ変換する, いわゆる手続き記憶による処理過程が補うことでキー操作が行われていたためではないかと考える。
著者
柳田 直美 Naomi Yanagida
出版者
学習院大学外国語教育研究センター
雑誌
言語 文化 社会 = Language, cultute and society (ISSN:13479105)
巻号頁・発行日
no.13, pp.1-29, 2015-03

This article surveys the reign of the fifth Tokugawa Shogun Tsunayoshi 綱吉, considered as “an absolute monarch”, or in the opinion of Kaempfer, as “a good and just, wise sovereign”. When Tsunayoshi inherited his position in 1680 an era of peace and stability had begun. He therefore changed policy from ruling by military authority to attaching greater importance to matters of etiquette and hierarchical order.During the transition from the Ming to the Qing dynasties in early 17th century, when there was no strict division between Buddhism and Confucianism in China, rituals to do good deeds were widely organized under the guidance of Confucian intellectuals. Japanese versions of morality books reflecting this tradition were published around the beginning of Tsunayoshi's government.According to one view the ultimate purpose in books of morality was to make citizens supportive of an ideal absolute government. Tsunayoshi, who was devoted to Confucian thought, considered that the cultivation of “benevolence 仁心” and “mercy 慈悲” was the utmost “good”, and through his “policy of compassion for living things 生類憐み政策” he made people respect life and accumulate “good deeds”.Tsunayoshi adopted Confucianism as a ceremonial doctrine to achieve cultural supremacy in opposition to the court. However, when we consider his policy of compassion we realise that Tsunayoshi was also influenced by the Confucian idea of retribution for good and bad deeds that appears in Chinese morality books.
著者
木村 宏 佐藤 優子
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.60, no.8, pp.555-563, 2017-11-01 (Released:2017-11-01)
参考文献数
15

生物の遺伝情報はゲノムDNAに刻まれている。ゲノムDNAからいかにして必要な情報を必要に応じて取り出すことができるのか,という問題を解明できれば,生命現象の理解に大きく近づくことができる。遺伝子の発現制御には,DNAに直接結合する転写因子が必須であるが,ヒストンの翻訳後修飾を介したエピジェネティクス制御や細胞核内でのゲノム高次構造なども重要な役割を果たすことがわかってきた。そこで,最近,細胞核を包括的かつ時空間的に理解する「ヌクレオーム(Nucleome)」研究が注目を集めている。ヌクレオーム研究という視点に立ち,顕微鏡解析,ゲノム解析,情報・数理解析を融合させることで,ゲノムの発現制御機構を理解できると考えられている。ヌクレオーム研究は米国ですでに予算措置されている他,ヨーロッパでの動きや国際コンソーシアム発足に向けた活動も進んでいる。わが国でもヌクレオーム研究を推進することが生命科学の発展に重要であると考えられる。

6 0 0 0 OA 方丈記

著者
鴨長明 著
出版者
古典保存会
巻号頁・発行日
1925
著者
小林 武夫 熊田 政信 石毛 美代子 大森 蕗恵 望月 絢子
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.31-34, 2014 (Released:2014-02-20)
参考文献数
10
被引用文献数
1

歌唱を職業とする者に,歌唱時においてのみ見られる痙攣性発声障害を「歌手の喉頭ジストニア(singer’s laryngeal dystonia)」と名づけた.痙攣性発声障害の一亜形である.通常の会話は問題がない.本症の発症前に過剰な発声訓練を行っていない.4例は第1例(女性31歳)ソプラノ,ポピュラー,第2例(女性28歳)ロック,第3例(男性40歳)バリトン,第4例(男性46歳)バリトンで,第4例のみが外転型痙攣性発声障害で,他の3例は内転型である.内転型は歌唱時に声がつまり,高音の発声障害,声域の短縮,ビブラートの生成が困難となる.外転型では,無声子音に続く母音発声が無声化する.治療は,内転型はボツリヌストキシンの少量頻回の声帯内注射が有効である.外転型では,後筋にボツリヌストキシンを注射する.
著者
敷地 孝法 野本 正志 大浦 一 桑名 隆一郎 中瀬 美穂
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.141-146, 1997-02-01 (Released:2011-01-14)
参考文献数
11

アクアチム®クリーム(ナジフロキサシン; 大塚製薬)はP. acnesに対し強力な抗菌作用を持ち耐性菌も出現しにくい製剤とされている。今回, 我々は尋常性ざ瘡の患者23例を対象にミノマイシン®とアクアチム®クリームを併用し, 治療対象部位の閉鎖性面皰, 開放性面皰, 丘疹, 膿疱に対する有用性について検討した。その結果, 本疾患に対するアクアチム®クリームとミノマイシン®併用療法とアクアチム®クリームとミノマイシン®短期併用療法は共に8割以上の全般改善が認められた。特にアクアチム®クリームとミノマイシン®短期併用療法はミノマイシン®を1週後に投与中止しているにも関わらず治療効果が減弱していなかった。すなわち尋常性ざ瘡の治療は内服剤が主と考えられているが, 経過観察を十分行えば外用剤での病状維持または治癒治療が可能とも考えられた。以上より尋常性ざ瘡に対しアクアチム®クリームは有効であり, 内服剤の減量が必要な場合にはアクアチム®クリームとミノマイシン®短期併用療法は試みるべき治療方法と考えられた。
著者
上田 昌宏 安原 智久 串畑 太郎 栗尾 和佐子 曽根 知道
出版者
一般社団法人 日本薬学教育学会
雑誌
薬学教育 (ISSN:24324124)
巻号頁・発行日
pp.2020-059, (Released:2021-01-29)
参考文献数
6

COVID-19の影響により対面授業が大きく制限され,すべての科目において学習方略の変更を余儀なくされた.本学は,コミュニケーションを育む上で特に重要な時期である1年次,4年次に,small group discussion(SGD)を伴う科目を多く設定している.そのためSGDを実施しない選択は,コミュニケーション能力を醸成する機会を失い,教育効果に大きな影響を与えると考えられる.そこで,複数の科目において,オンラインSGDを試みたので,その運用方法や方略を記す.さらに,ピア評価から得られた結果から,評価基準が発言頻度に大きく依存し,非言語コミュニケーションは評価の対象になる程には発揮されなかったものと推測される.SGDの本質的な役割は,非言語を含んだコミュニケーションを通じての問題解決能力を養うものである.詳細な検証を行えていないことに留意しつつも,本質的な意味でのオンラインSGDがもたらす教育効果は,対面でのSGDと同等なものになりえないものと考えられる.
著者
工藤 真生 佐藤 光輝
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
no.102, pp.49-55, 2009-10

日本桜100選に選定されている弘前公園において、毎年4月下旬から5月上旬まで開催される弘前さくらまつりでの花見を見ると、桜の木の下一点で行われる宴会スタイルが主であり、広い園内にある約50種2600本の桜を楽しむものとはなっていない。本研究では、この要因を従来の日本酒のボトルデザインにあると考え、若い女性の趣向を取り入れたラベルデザインと飲酒スタイルをファッション化するボトルデザイン制作を試みた。ボトルデザインでは、口につけたまま傾けるラッパ飲みをしないようにボトルを立ててストローでの飲酒スタイルを用い、ラベルデザインでは桜の風景がボトルの中に映り込むことによって、歩きながらの飲酒を楽しめるものにした。その結果、若い女性に好まれるように日本酒のボトルをファッション化することにより、従来のグループ宴会スタイルから個人やカップルが歩きながら花見を楽しめる、新しい飲酒スタイルの提案に成功した。