著者
小林 直弥
出版者
日本大学
雑誌
日本大学芸術学部紀要 (ISSN:03855910)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.13-23, 2005

日本の芸能の深層には、常にその担い手である芸能者に「巫=シャーマン」の要素を求めてきた歴史がある。中でも一年間の節目に、山や他界から来訪する鬼神の存在は、「翁」を創造し、後に七道者(しちどうもの)を通し芸能化していった過程を考察することもできる。本論ではそうした「翁」の創造と芸能との関係を考察する一方、折口信夫が唱えた「まれびと論」を参考に、芸能における演じる側の役割はいったいなんであったのかについて研究した。

1 0 0 0 OA 本草綱目52卷

著者
明李時珍撰
巻号頁・発行日
vol.[7], 1672
著者
沈 悦 下村 彰男 竹田 直樹
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.389-392, 1999-03-30 (Released:2011-07-19)
参考文献数
37

本研究は, 中国明・清時代における平地作庭の「石組」に着目し, その造景手法について考察することを目的とした。研究の方法は関連する歴史文献実測図等により, 石組の発達史を踏まえながら, 図面データ及び現地調査による定量分析を行った。その結果, 中国明・清時代における石組の特徴を明らかにするとともに造景手法との関係についても明らかにした。特に石組における配石構成の特置及び仮山は, 造景手法に広く関係し, 平地作庭の造景に重要な役割を果たしていることがわかった。
著者
神沼 克伊
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.169-175, 1993-07

南極・昭和基地のいろいろな観測点の位置や標高は, それぞれ異なる値が使われている。近年, 測地衛星を用いた測位システムが発達し, 南極でも用いられている。将来の混乱を防ぐため, 昭和基地のいろいろな点での位置や標高がどのように求められたかを明らかにする。その主なものは以下のとおりである。1) 気象観測点, 地磁気観測点の位置としては天測点の値が使われている。2) 振子測定による重力基準点, 地震計室の位置と標高は基準点測量と水準測量で決められている。3) 地学棟内重力点, 国際絶対重力基準点, 験潮場の位置と標高は地形図(東オングル島1 : 5000)で刺針し, 水準測量で決められている。
著者
藤原 貞朗
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 (ISSN:09150900)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.221-253, 2002-12
被引用文献数
1

一八九八年にサイゴンに組織され、一八九九年、名称を改めて、ハノイに恒久的機関として設立されたフランス極東学院は、二〇世紀前半期、アンコール遺跡の考古学調査と保存活動を独占的に行った。学術的には多大な貢献をしたとはいえ、学院の活動には、当時インドシナを植民地支配していたフランスの政治的な理念が強く反映されていた。 一八九三年にフランス領インドシナ連邦を形成し、世界第二の植民地大国となったフランスは、国際的に、政治、経済および軍事的役割の重要性を誇示した。極東学院は、この政治的威信を、いわば、学術レベルで表現した。とりわけ、活動の中心となったアンコールの考古学は、フランスが「極東」に介入し、「堕落」したアジアを復興する象徴として、利用されることとなった。学院は、考古学を含む学術活動が、「植民地学」として、政治的貢献をなしうるものと確信していたのである。しかし、植民地経営が困難となった一九二〇年代以降、学院は、学術的活動の逸脱を繰り返すようになる。たとえば、学院は、調査費用を捻出するために、一九二三年より、アンコール古美術品の販売を開始する。「歴史的にも、美術的にも、二級品」を、国内外の美術愛好者やニューヨークのメトロポリタン美術館などの欧米美術館に販売したのである。また、第二次大戦中の一九四三年、学院と日本との間で「古美術品交換」が行われ、学院から、東京帝室博物館に、「総計八トン、二三箱のカンボジア美術品」が贈られるのである。いわば、政治的な「貢ぎ物」として、日本にカンボジアの古美術品が供されるかたちとなった。 アンコールの考古学は、フランスの政治的威信の高揚とともに立ち上げられ、その失墜とともに逸脱の道を歩む。具体的な解決策を持たないまま一九五〇年代まで継続された植民地政策のご都合主義に、翻弄される運命にあったのである。アンコール遺跡の考古学の理念が、「過去の蘇生」の代償として「現在の破壊」を引き起こしてきたこと、アンコール考古学の国際的な成熟が、現地に多大な喪失を強いたという歴史的事実を確認したい。再び、アンコール遺跡群の保存活動が開始された現在、この歴史的事実を確認する意義はきわめて大きい。
著者
安田 利枝
出版者
嘉悦大学
雑誌
嘉悦大学研究論集 (ISSN:02883376)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.1-24, 2005-04-30

1999年の地方自治法(LSGA)は、開発援助の与え手(ドナー)側の援助思潮ならびに開発戦略に基づいて、分権化の原則と政策、参加型開発の定式化、地方政府機関の確立に向けて相当程度包括的な法的枠組みをもたらした。しかしながら、1982年地方分権法とこれに続く分権化スキームと同様、問題は法の実効性、運用、実施にある。実施を阻害する要因として、多くの研究者が、高度に権力を集中させた封建的、権威主義的、世襲制的政治、中央政府の実質的コミットメントの欠如、財政分権化への中央省庁の抵抗、地方政府機関の弱体な管理運営能力等を指摘してきた。だがむしろ根源的な問題は、ネパールの恩顧主義の政治文化に支えられて、課題設定権力がドナーの側にあり、ネパール政治社会に適合的な制度設計の代替案が十分に検討されてこなかったことにある。
著者
嶋脇 聡 吉田 和樹 中林 正隆
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.83, no.856, pp.17-00063-17-00063, 2017 (Released:2017-12-25)
参考文献数
36

Arterial endothelial function is known as a factor that correlates with progression of arteriosclerosis. This is measured by flowmediated dilatation (FMD) testing. This test is performed by measuring the brachial artery diameter with an ultrasound system or by measuring digital pulse volumes. Technical and cost-related problems have been pointed out for both methods. We came up with an idea to apply the near-infrared light-based vascular visualization to the measurement of changes in vessel diameter. So, at first, we investigated whether the FMD reaction can be detected with near-infrared transmission images. Next, we derived the estimated values that is considered to correspond to the FMD reaction from the vascular image change. We aimed to determine if these estimated values correlate with brachial-ankle pulse wave velocity (baPWV), which is related to arteriosclerosis. In 50 adult males varying in age, the right upper arm was compressed with a cuff at 200 mmHg for 5 min to cause the FMD reaction after the cuff release. In a 11-min period including time points before and after the cuff compression, near-infrared (wavelength: 850 nm) transmission images near the bilateral finger joints were taken with a CCD camera. The mean brightness was calculated from the images. While no major temporal changes in mean brightness were observed before cuff release, the mean brightness of the hyperemic finger sharply decreased after cuff release. This result suggested that the FMD reaction can be detected with near-infrared transmission images. When the brightness decrease ratio (BDR1) before and after cuff release were compared among age groups, BDR1 at age 50 over years group was significantly smaller than that at age 20-29 years group (p<0.05). BDR1 showed a significant negative correlation with baPWV (R=0.34). This measurement method is considered to have a possibility of estimating FMD reaction and arterial endothelial function.
著者
田畑 朋子
出版者
日本人口学会
雑誌
人口学研究 (ISSN:03868311)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.67-82, 2005

ロシアの人口は,1989年と2002年の国勢調査の間に,自然減少により大きく減少したが,その主要因は男性の早死と出生率の低下であった。本稿では,他国で例を見ないような男性の早死について,その原因を把握し,地域別特徴を明らかにするために,これまで利用できなかった1989〜2002年の14年間における地域別の年齢別死亡率のデータを用いて分析を行った。まず,男性およびそのうちの労働可能人口の死亡率が高い地域と低い地域がこの14年間においてほぼ固定されていることを確認した。男性について労働可能人口(16-59歳)の死亡率の悪化が際立っていることから,次に,労働可能人口の死亡率とその死亡要因の地域別データについて,続いて,25-44歳の年齢層における5歳ごとの年齢別死亡率と労働可能人口の死亡要因の地域別データについて,主成分分析とクラスター分析を利用した分析を行った。その結果,40-44歳の男性死亡率が高い地域,すなわち,欧露部中央と北西(モスクワ市とサンクトペテルブルグ市を除く)では循環器系の疾患による死亡が多く,25-34歳の男性死亡率が高い地域,すなわち,東シベリア南部とカリーニングラード州などでは事故・中毒による死亡が多いことが明らかにされた。この結果は,ロシア男性の早死の原因として,1992年以降の体制転換の影響とアルコールの影響がともに大きいこと,しかも,それらが地域によって異なる形の死亡数増加として現れていることを明らかにした。
著者
川久保 善智 澤田 純明 百々 幸雄
出版者
The Anthropological Society of Nippon
雑誌
Anthropological science. Japanese series : journal of the Anthropological Society of Nippon : 人類學雜誌 (ISSN:13443992)
巻号頁・発行日
vol.117, no.2, pp.65-87, 2009-12-01
参考文献数
70
被引用文献数
3 3

南東北(宮城・福島・山形)由来の古墳時代人・古代人と北東北(青森・岩手・秋田)由来の江戸時代人の頭蓋について,計測的分析と形態小変異の分析を行い,これら東北地方の古人骨に,縄文人やアイヌの形態的特徴が,どの程度遺残しているかを調べた。比較資料として,東日本縄文人,北海道アイヌ,関東の古墳時代人と江戸時代人,それに北部九州の古墳時代人と江戸時代人の頭蓋を用いた。計測的分析では,顔面平坦度計測を含めた18項目の頭蓋計測値を用い,マハラノビスの距離(D<sup>2</sup>)にもとづいた分析と線形判別分析を試みた。頭蓋形態小変異については,観察者間誤差が少なく,日本列島集団の類別に有効であることが知られている6項目に絞って,スミスの距離(MMD)にもとづく分析を行った。D<sup>2</sup>でもMMDでも,縄文人に最も近いのは北海道アイヌであったが,東北地方の古墳時代人(計測的分析では古代人も含む)がこれに次いでおり,古墳時代でも江戸時代でも,九州→関東→東北→北海道アイヌまたは東日本縄文人という,明瞭な地理的勾配が観察された。同様の地理的勾配は,判別分析においても確かめられた。このような地理的勾配から判断すると,今回研究の対象にすることができなかった北東北の古墳時代人は,南東北の古墳時代人よりも,さらに縄文・アイヌ群に近接するであろうと推測された。もし彼らが古代の文献に出てくる蝦夷(エミシ)に相当する人々であったとしても,東北地方の古代日本人(和人)と縄文・アイヌ集団の身体的特徴の違いは連続的であったと思われるので,古代蝦夷がアイヌであるか日本人であるかという"蝦夷の人種論争"は,あまり意味がある議論とは思われなかった。<br>